西川和久の不定期コラム

12型2K液晶、メモリ8GB搭載のマウスコンピューター製2in1「MT-WN1201S」

MT-WN1201S

 マウスコンピューターは4月27日、12型の2in1「MT-WN1201S」をメモリ/ストレージ容量違いで2モデル発表し、同社製品取り扱い量販店などで販売を開始した。

 編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

12型2,160×1,440ドットでメモリ8GB搭載

 一般的なタブレットや2in1といえば、パネルサイズは7~10型前後が多い。少し大きめで良く知られているものとしては、以前ご紹介したSurface Pro(12.3型)やiPad Pro(12.9型)だろうか。とはいえ、5~10万円のレンジに限定すれば前者が圧倒的だ。

 そのようななか、発表されたのが今回ご紹介するマウス「MT-WN1201S」。12型2,160×1,440ドットの2in1だ。サイズだけが大きいわけではなく、解像度も高くなっているのがポイントとなる。

 ストレージとメモリ容量の違いで2モデルあり、手元に届いたのは8GB/128GBの上位モデル。おもな仕様は以下のとおり。

マウスコンピューター「MT-WN1201S」の仕様
プロセッサCeleron N3450(4コア4スレッド/1.10GHz~2.20GHz/キャッシュ2MB/TDP 6W)
メモリLPDDR3-1866 8GB
ストレージeMMC 128GB
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ12型2,160×1,440ドット、光沢あり、10点タッチ対応、Microsoft Pen Protocol対応デジタイザペン対応
グラフィックスIntel HD Graphics 500
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2
インターフェイスUSB 3.0 Type-C、microSDカードスロット、500万画素前面カメラ、指紋認証センサー、ステレオスピーカー、デュアルマイク、音声入出力
バッテリ動作時間約8.4時間
サイズ/重量(本体)約283×202×8mm(幅×奥行き×高さ)/約728g
サイズ/重量(カバー込み)約286×210×21.8mm(同)/約1.2kg
販売価格68,524円(税込/amazon調べ)

 プロセッサはApollo Lake世代のCeleron N3450。4コア/4スレッドで、クロックは1.1GHzから2.2GHz。キャッシュは2MBで、TDP/SDPはそれぞれ6W/4Wとなる。

 メモリはLPDDR3-1866の8GB。ストレージはeMMCで128GB。メモリとストレージは、このクラスとしては余裕がある。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載する。

 ディスプレイは、12型2,160×1,440ドットでアスペクト比3:2。光沢ありで10点タッチ、Microsoft Pen Protocol対応デジタイザペンに対応する。グラフィックスは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 500。

 インターフェイスは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2、USB 3.0 Type-C、microSDカードスロット、500万画素前面カメラ、指紋認証センサー、ステレオスピーカー、デュアルマイク、音声入出力。指紋認証センサーはWindows Hello対応。Type-Cは充電用に加え、DisplayPort Alternate Modeに対応しており、Type-C/DisplayPortケーブルで画面出力可能だ。

 本体のサイズは約283×202×8mm(幅×奥行き×高さ)、重量約728g。バッテリ動作時間は約8.4時間。また、標準でキーボードカバーも同梱。本体と合体時のサイズ/重量は、約286×210×21.8mm(同)/約1.2kgとなる。

 価格はオープンプライスで、Amazonでの販売価格は68,524円となっていた(5月7日現在)。なおメモリ4GB、ストレージeMMC 64GBの「MT-WN1201E」も用意されている。こちらは同じくAmazonで53,301円。約1.5万円の差だ。

前面。パネル中央上に500万画素前面カメラ。分かりにくいが、右上に電源LEDがある
背面。左上付近に指紋認証センサー。キーボードカバーの2段階傾き用ガイドがある
左/下。左側面には何もない。下側面にキーボードカバーコネクタ
右/上。右側面に音声入出力、音量±ボタン、microSDカードスロット、USB 3.0 Type-C。小さい穴2つはデュアルマイク。上側面に電源ボタンと左右にスピーカーのスリット
斜め後ろ(キーボードカバー装着時)。本体取り付け位置を変えて、2段階に傾けることができる。写真は「角度ポジション1」
キーボードカバー。アイソレーションタイプの日本語87キーボードと1枚プレート型のタッチパッド
キーピッチ。実測で約18mm
付属のACアダプタはサイズ約665×50×27mm、重量88g。出力5V/3A、9V/2A、12V/2A。プラグは折りたためる
重量(本体)は実測で717g
重量(キーボードカバー)は実測で467g
キーボードカバーを閉じたところ。色はブラウン。磁石を使い吸着する
Surfaceペン(別売)使用中。Microsoft Pen Protocol対応デジタイザペン対応なので、Surfaceペンを試したところ、問題無く使用できた

 筐体は前面がホワイト、背面がシルバー。雰囲気はiPadのそれに近く質感は良い。単体で重量717g。片手で持ち上げるには少し重いと感じた。

 前面はパネル中央上に500万画素前面カメラ、右上に電源LED。背面に指紋認証センサー、左側面は何もなく、右側面に音声入出力、音量±ボタン、microSDカードスロット、USB 3.0 Type-C。

 上側面に電源ボタンとスピーカー、下側面中央にキーボードカバーコネクタを配置。付属のACアダプタはサイズ約665×50×27mm(同)、重量88g。出力5V/3A、9V/2A、12V/2A。プラグは折りたたむことができる。

 Windows Hello対応の指紋認証センサーは、位置がなんとなく唐突ではあるものの、実際操作してみると、人差し指で電源ボタンを押すポジションから、そのまま背面に指をズラせばいいだけなので、それほど違和感はない。

 12型のディスプレイは、2,160×1,440ドットで解像度も高く、加えて3:2と横でも縦でも扱いやすい。明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。発色は少し色温度が低め(黄色い)か。明るさは100%にすると眩しいほどだ。10点タッチもスムーズに反応する。

 またMicrosoft Pen Protocol対応デジタイザペン対応ということで、手持ちのSurfaceペンを試したところ、問題なく作動した。

 振動やノイズはもちろん皆無。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、主に裏の左側(指紋センサー側)が熱くなる。サウンドは、上側面左右にスピーカーがある関係で音が上に抜け、さらにパワーがないためか細く鳴る。画面が大きいだけに、持った状態などで映像を楽しみたいところだが、少々物足らない印象だ。

 カバー兼キーボードの色はブラウン。重量は実測で467gなので、合体すると約1.2kgと少し重い。ただ、サイズが10型でなく12型と少し大きめなので、この点は考慮すべきだろう。

 本体とは本体下側面にあるコネクタと磁石で固定され、傾きはカバーの一部を折りたたみ、それに本体を立てかける。またこの時、本体側の取り付け位置が2パターンあり、傾きを変えることが可能となっている。

 キーボード自体はアイソレーションタイプの87キーで、主要キーのキーピッチは約18mm。資料によると、キーストロークは約1.5mm確保されている。本体側が12型ということもあり、フットプリントが広く、歪な並びなどはない。タッチパッドは物理的なボタンがない1枚プレートタイプだ。パームレストも含め、それなりに面積があり扱いやすい。

 このキーボードカバーを折りたたみ、本体を立てかけるタイプは、10型前後の2in1に多く見られるが、12型でも実際使ってみると、少し大きいと思いながらも、その分扱いやすい。スタンドの構造から来る欠点は、サイズとは無関係に同じだ。この点の許容範囲で、好き嫌いが別れそうだ。

Apollo Lake搭載でパワーはそれなりだが8GB/128GBは魅力的

 OSは64bit版のWindows 10 Home。Apollo Lake世代のCeleronで、ストレージがeMMCなので動きはそれなりだが、メモリが8GBあるので、動作に余裕がある。

 初期起動、スタート画面(タブレットモード)は1画面。ユーザーサポートのPDFが2つと、マカフィー リブセーフ、マインクラフトがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ。

 ストレージは128GB eMMCの「SanDisk DF4128」。Cドライブのみの1パーティションで約115GBが割り当てられ、空き容量は95.9GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。

 USB 3.0 Type-Cは、DisplayPort Alternate Modeに対応しており、Type-C/DisplayPortケーブルで画面出力可能となっている。

スタート画面(タブレットモード)。1画面。ユーザーサポートのPDFが二つと、マカフィー リブセーフ、マインクラフトがプリインストール
起動時のデスクトップ。壁紙のみの変更とシンプル
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはeMMC 128GBの「SanDisk DF4128」。Wi-FiとBluetoothはIntel製
ストレージのパーティション。Cドライブのみの1パーティションで約115GBが割り当てられている
DisplayPort Alternate Modeに対応しており、Type-C/DisplayPortケーブルで画面出力可能

 プリインストールのソフトウェアは、同社お馴染みのPDFによる「Windows 10ユーザーガイド」、「ハードウェアマニュアル」と、「マカフィーリブセーフ」、「マインクラフト」。マインクラフトがバンドルされているケースは珍しい(筆者が過去扱ったデバイスでは見たことがない)。

 そのほかはデバイス系のドライバなどで、ほとんど素のWindowsに近い状態だ。

ハードウェアマニュアル
マインクラフト

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下の通り。

ベンチマーク結果
PCMark 10 v1.0.1457
PCMark 10 Score1,294
Essentials3,691
App Start-up Score3,418
Video Conferencing Score4,275
Web Browsing Score3,443
Productivity1,820
Spreadsheets Score2,041
Writing Score1,623
Digital Content Creation877
Photo Editing Score895
Rendering and Visualization Score609
Video Editting Score1,240
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.01,632
Creative Accelarated 3.01,957
Work Accelarated 2.02,254
Storage4,365
3DMark v2.4.4264
Time Spy97
Fire Strike Ultra90
Fire Strike Extreme142
Fire Strike317
Sky Diver1,157
Cloud Gate2,363
Ice Storm Extreme13,577
Ice Storm21,148
CINEBENCH R15
OpenGL6.33 fps
CPU101 cb
CPU(Single Core)37 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード203.427 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト100.816 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード32.146 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト15.128 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード32.401 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト14.550 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード9.215 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト12.923 MB/s
BBench(ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能)
バッテリ残量5%まで8時間36分50秒

 Celeron N3450/Intel HD Graphics 500ということもあり、性能はそれなりだ。とくに3DMarkに関しては、ご覧のように絶望的に遅い。バッテリに関しては、仕様上の動作時間が約8.4時間なので、ほぼ仕様どおりとなった。輝度0%でもそれなりに視認性があるため、この値は実運用に近いと思われる。


 以上のように、マウス「MT-WN1201S」は、12型2,160×1,440ドット(3:2)の大型パネル、そしてCeleron N3450/8GB/eMMC 128GBを搭載、キーボードカバーも付属する2in1だ。

 性能はそれなりだが、タブレットとしては広めのパネルにMicrosoft Pen Protocol対応デジタイザペンが使えるため、興味のある人も多いのではないだろうか。また4GB/eMMC 64GBの安価なモデルも用意され、購入しやすくなっているのもポイントが高い。

 スピーカー出力のパワー不足は残念だが、それ以外に仕様上気になる部分もなく、12型の2in1が欲しいユーザーにおすすめしたい逸品だ。