西川和久の不定期コラム

バッテリ着脱可能な第8世代Core搭載13.3型ノート、マウスコンピューター「m-Book J」

m-Book Jシリーズ

 マウスコンピューターは1月18日、13.3型でバッテリの着脱に対応したノートPC「m-Book Jシリーズ」を発売した。編集部から実機が送られてきたので、使用レポートをお届けしたい。

第8世代Core iプロセッサ、着脱可能なバッテリとミニD-Sub15ピンを搭載

 昨今の15型未満のノートPCは、バッテリ内蔵で着脱できないモデルが増えている。そのため、外出途中でのバッテリ交換ができなかったり、長期間の使用で弱ってきたバッテリを新品に変えたりといったことが容易にできず、スリムな筐体と引き換えにデメリットも存在する。

 そのようななか、13.3型でバッテリの着脱を可能にし、プロジェクタなどに接続しやすいようにミニD-Sub15ピンも備え、新型の第8世代、Kaby Lake Refreshを搭載したノートPCが登場した。それが今回ご紹介するマウスコンピューターの「m-Book Jシリーズ」だ。

 前回のレビューでご紹介した「MousePro-NB391Z-MHD」のようにCeleronなどのプロセッサには対応してないものの、ハードウェア的にはほぼ同じで、ブランド違いとなる。

 プロセッサやストレージなどいろいろ構成が用意されているが、今回届いた「m-Book J/J370SN-M2S5」のおもな仕様は以下のようになっている。

【表】m-Book J/J370SN-M2S5のスペック
m-Book J/J370SN-M2S5
プロセッサCore i7-8550U(4コア8スレッド/1.8GHz~4GHz/キャッシュ8MB/TDP 15W)
メモリ8GB PC4-19200(8GB×1)、2スロット最大32GB
ストレージM.2 SSD 512GB
OSWindows 10 Home
ディスプレイ13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)、光沢なし、タッチ非対応
グラフィックスIntel UHD Graphics 620
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2+LE
インターフェイスUSB 3.0×3、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン、100万画素カメラ、カードリーダ、音声入出力
バッテリ駆動時間約7.5時間(標準バッテリ 3セル/10.8V/ 3,275mAh)
サイズ/重量約324×234×22.5~25mm(幅×奥行き×高さ)/約1.4kg
税別直販販売価格114,800円

 プロセッサは第8世代Kaby Lake RefreshのCore i7-8550U。4コア8スレッドでクロックは1.8GHzから最大4GHz。キャッシュは8MB、TDPは15W。現在最上位にi7-8650Uがあるものの、結構強力なSKUだ。メモリはPC4-19200 DDR4 SO-DIMMの8GB×1。2スロットあり、最大32GBにまで対応する。ストレージはM.2 SSD 512GB。OSは64bit版のWindows 10 Home。

 グラフィックスは、プロセッサ内蔵のIntel UHD Graphics 620。外部出力用にHDMIとミニD-Sub15ピンを備えている。国内のビジネス用途ではまだミニD-Sub15ピンを使ったプロジェクタなどの利用が多いとされ需要がある。ディスプレイは、13.3型非光沢のフルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには非対応だ。

 ネットワーク機能は、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応とBluetooth 4.2+LE。Gigabit Ethernetにも対応しているのは個人的にポイントが高い。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×3、100万画素カメラ、SDカードリーダ、音声入出力。このクラスのノートPCで、USBが3ポートあるのは少しめずらしい構成か。

 サイズは約324×234×22.5~25mm(幅×奥行き×高さ)。重量は標準バッテリ(3セル/10.8V/3,275mAh)搭載時で約1.4kg。オプションで13.5時間駆動可能な大容量バッテリ(6セル/11.1V/5,900mAh)も用意されている。

 価格はベーシックなCore i5-8250U/8GB/HDD 500GBモデルの「m-Book J350EN」でWeb販売価格89,800円(税別)から。今回の構成では114,800円(税別)だ。オプションで、メモリ16~32GB、SSD(M.2/NVMe) 128GB~1TB、HDD 2TBなども選択できる。

パネル中央上に100万画素Webカメラ、その左右にアレイマイク。前面側面左側にステータスLED
天板にロゴと、後ろに着脱可能なバッテリ(標準サイズ)
Gigabit Ethernet、HDMI、カードリーダ、USB 3.0(常時給電)
ロックポート、電源入力、ミニD-Sub15ピン、USB 3.0×2、マイク端子、ヘッドフォン端子
非対称だが手前の左右のスリットがスピーカー。メモリなどにアクセスできる小さいパネルはない
キーボードは10キーなしのアイソレーションタイプ。パームレスト部はUVコーティング仕上げ
キーピッチは実測で約195mm(仕様上約18.75mm)
ACアダプタのサイズは約85×35×25mm、重量151g、出力19V/2.1A
重量は実測で1,408g
バッテリの重量は実測で185g

 筐体は天板とパネル/キーボード周辺などがホワイト。そのほかの部分がブラック。個人的には前回の「MousePro-NB391Z-MHD」よりこちらのほうが好みだ。13.3型重量1.4kgなので少し重く感じるのは着脱式バッテリとトレードオフなので仕方ないところ。

 前面パネル中央上に100万画素Webカメラ、その両脇にマイク、正面側面左側にステータスLEDを装備。左側面にGigabit Ethernet、HDMI、カードリーダ、USB 3.0(常時給電)、右側面にロックポート、電源入力、ミニD-Sub15ピン、USB 3.0×2、マイク端子、ヘッドフォン端子を配置。裏は手前左右(ただし非対称)のスリットにスピーカー、後部に着脱式のバッテリを搭載。昔ながらのノートPCスタイルだ。

 付属のACアダプタのサイズは約85×35×25mm、重量151g、出力19V/2.1A。標準バッテリの重量は185gだ。予備にもう1本あれば(もしくは大容量バッテリ1本)、かなりの時間バッテリで駆動できる。

 13.3型のディスプレイは明るさ、コントラスト、発色すべて良好。輝度最小でも結構見える。また非光沢なので眼にも優しい。視野角も十分確保されている。とくに不満になることもないだろう。

 キーボードは10キーなしのアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチは約18.5mm(仕様上約18.75mm)だが、右手前はせまく、そして[Enter]キーの横2つはかなり広くなっている。この点は、前回のMousePro-NB391Z-MHDだけでなく、それ以前の機種でも指摘しているが、もう少しなんとかならないのだろうか。打鍵感はMousePro-NB391Z-MHD同様、ソフトな感じだ。

 タッチパッドは2ボタン式。パームレストも含め、サイズのわりに確保されスムーズに操作できる。またパームレストは耐摩耗性を向上のため、UVコーティング仕上げが施されている。確かにこの白い部分が摩耗すると見栄えが悪くなるのでうれしいこだわりだ。

 振動やノイズは許容範囲。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけるとおもに左側中心に熱を持つ。サウンドはホビー用途として考えた場合は、パワーがなく高音も低音も出ていない。せめてパワーは倍ほしいところ。

 執筆時、多くの他社製ノートPCや2in1が発表されたが、バッテリ着脱可能なモデルは見当たらなかった。より軽く薄くがここ数年のトレンドなので仕方ない部分であるが、本製品のようにバッテリ着脱可能な昔ながらのノートPCもある程度需要はあると思われる。そう言った意味からなかなかおもしろい存在だ。

Core i7、8GB、SSDで快適動作

 OSは64bit版Windows 10 Home。Core i7、メモリ8GB、M.2 SSDの構成なので、ストレスなく操作できる。スタート画面(タブレットモード)は1画面。「ユーザーサポート」グループにある、マニュアル2つとマカフィーリブセーフがインストール済みだ。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプル。

 ストレージは512GB M.2 SSDの「HFS512G39MND-3510A」。C:ドライブのみの1パーティションで約475GBが割り当てられ空きは455GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製だ。

スタート画面(タブレットモード)。「ユーザーサポート」グループにある、マニュアル2つとマカフィーリブセーフがプリインストール
起動時のデスクトップ。壁紙の変更のみとシンプル
デバイスマネージャー/主要なデバイス。ストレージは512GB M.2 SSD「HFS512G39MND-3510A」。Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約475GBが割り当てられている

 プリインストールされているのソフトウェアは、「CONTROL CENTER」、「Windows 10ユーザーガイド(PDF)」、「ハードウェアマニュアル(PDF)」と、「マカフィーリブセーフ」。ほかはシステム系のツールとなる。オプションで、KINGSOFT Office、Microsoft Officeなども選択できる。

CONTROL CENTER / デバイス
Windows 10ユーザーガイド(PDF) / Windows 10の基本操作

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、CrystalDiskMark。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した。

 winsat formalの結果は、総合 6。プロセッサ 9、メモリ 9、グラフィックス 6、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15。メモリのバンド幅は13,649.26104MB/s。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは3516。

 CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 552.9/Write 496.6、4K Q32T1 Read 329.6/Write 312.4、Seq Read 520.5/Write 457.5、4K Read 29.63/Write 84.88(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 75,556、FPU 58,170、MEM 56,077、HDD 40,076、GDI 12,602、D2D 5,048、OGL 10,128。

 メモリが8GB×1と、シングルチャネル動作のため若干損している部分もあるが、おおむね速い。

 BBenchは、バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で28,197秒/7.8時間。

 仕様上約7.5時間なのでほぼ同じだ。標準サイズのバッテリでこれだけ持つのだから、大容量バッテリはさらに長時間駆動が期待できる。

「winsat formal」コマンド結果。総合 6。プロセッサ 9、メモリ 9、グラフィックス 6、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated「3,516」
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated(詳細)。クロックは800MHzから最大の4.0GHzまで。温度は40℃から90度程度と幅が広い
CrystalDiskMark。Seq Q32T1 Read 552.9/Write 496.6、4K Q32T1 Read 329.6/Write 312.4、Seq Read 520.5/Write 457.5、4K Read 29.63/Write 84.88(MB/s)
BBench。バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で28,197秒/7.8時間
CrystalMark。ALU 75,556、FPU 58,170、MEM 56,077、HDD 40,076、GDI 12,602、D2D 5,048、OGL 10,128

 以上のようにマウスコンピューターの「m-Book J/J370SN-M2S5」は、モバイルノートとしては一般的な13.3型の筐体へ、第8世代Core i7を搭載、着脱式のバッテリやミニD-Sub15ピンを採用したいい意味で昔ながらのノートPCだ。オプションで大容量メモリやバッテリ、いろいろな種類のストレージが選べるのもポイントが高い。

 仕様上とくに気になる部分もなく、少し重たくてもバッテリ着脱可能なモバイルノートを探しているユーザーにおすすめしたい1台だ。