西川和久の不定期コラム
15.6型でほぼ1kgの超軽量モバイルノート「LG gram」
2018年2月15日 12:00
LGエレクトロニクス・ジャパンは2月1日、CES 2018に合わせて発表した13.3型/14型/15.6型モバイルノートPC「LG gram」の国内投入を発表、2月23日から販売を開始する。販売に先駆けLG gramの15.6型が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。
15.6型でも1,095gの超軽量モバイルノート
LG gramは、15.6/14/13.3型についてそれぞれプロセッサ、メモリ、ストレージなどの違いで3モデルあり、合計9モデルが用意される。
15.6型は重量1,095gと、1kgを超えているものの、ほかはすべて1kgを切り(14型で995g、13.3型で965g)、加えて全機種72Whの4セルリチウムポリマーバッテリを搭載。約23時間以上のバッテリ駆動が可能となっており、いずれもモバイルノートとして仕上がっている。
今回手元に届いたのは15.6型で、(1)Core i5-8250U/4GB/SSD 128GB、(2)Core i5-8250U/8GB/SSD 256GB、(3)Core i7-8550U 8GB/SSD 512GBの3モデルなかの中位モデルとなる。おもな仕様は以下のとおり。
LG gram(15Z980-GA55J) | |
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プロセッサ | Core i5-8250U(4コア8スレッド/1.6GHz~3.4GHz/キャッシュ6MB/TDP 15W) |
メモリ | DDR4-2400 8GB |
ストレージ | SSD 256GB |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)、光沢あり、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620 |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Ethernet(Type-Cアダプタ付属)、Bluetooth 4.1 |
インターフェイス | USB 3.0 Type-C(DisplayPort Alternate Mode対応)、USB 3.0×3、720p Webカメラ、microSDカードリーダ、HDMI、音声入出力、内蔵ステレオスピーカー(1.5W+1.5W) |
バッテリ/駆動時間 | 72Wh 4セルリチウムポリマー/約23時間 |
サイズ/重量 | 357.6×228.4×16.8mm(幅×奥行き×高さ)/1,095g |
税別店頭予想価格 | 162,500円 |
プロセッサは第8世代のCore i5-8250U。4コア8スレッドでクロックは1.6GHzから最大3.4GHz。キャッシュは6MBでTDPは15W。上位にi5-8350Uがあるものの、Core i5でも4コア/8スレッドに対応する強力なSKUだ。メモリはDDR4-2400 8GB、ストレージは256GBのSSDを搭載している。OSは64bit版のWindows 10 Home。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 620。外部出力用にHDMIを備えている。ディスプレイは光沢ありの15.6型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)。sRGBカバー率96%以上。タッチには非対応だ。
ネットワークは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1と、Type-Cへ接続するEthernetアダプタが付属する。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0 Type-C、USB 3.0×3、720p Webカメラ、microSDカードリーダ、音声入出力、内蔵ステレオスピーカー。なお、USB 3.0 Type-Cは、DisplayPort Alternate Mode(最大4096×2,160@60Hz)での出力と、Power Delivery対応ACアダプタで充電可能となっている。
サイズは357.6×228.4×16.8mm(幅×奥行き×高さ)、そして重量は1,095g。15.6型にも関わらず、この1kgちょっとの重さは驚異的で最大の魅力と言えよう。
バッテリは72Wh 4セルリチウムポリマーを内蔵し、駆動時間は約23時間。カラーバリエーションは15.6型と14型はホワイトのみ(13.3型は一部ダークシルバー)。今回の構成で税別店頭予想価格は162,500円(下位モデル142,500円、上位モデル194,630円)。
このタイプの薄型ノートPCとしてはめずらしく、メモリ(4GBから8GB/8GBから16GB)とSSD(+128/+256/+512GB)のアップグレードサービスも有償で行なっている(LG gram アップグレードサービスへのリンク)。ちょっと不足気味かな……と思ったときに価格もリーズナブルなので必要に応じて検討するのもいいだろう。
筐体はフルメタルのオールホワイトで非常に綺麗で質感も高い。そしてなにより箱から本体を取り出したときの第一印象が“軽い!”。15.6型と見た目がそれなりに大きい分、持ったときのインパクトはかなりのもの。一方、軽いながらも、米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810G」の耐久試験をクリアしてるので満員電車での圧迫にも安心だ。
天板はLGではなくgramのロゴ。前面は狭額縁でパネル中央上にWebカメラがある。一般的に狭額縁の場合、上にはスペースがなく、下側に埋め込まれているケースが多いのだが、本機はキッチリ上にある。下の場合、ローアングルに映ってしまうので上にあるほうが都合がよい。
左側面に電源入力、USB 3.0、HDMI、USB 3.0 Type-C、Power LED。右側面にロックポート、USB 3.0×2、音声入出力、microSDカードリーダを配置。各コネクタのサイズからわかるように筐体はかなり薄い。
本体裏面は4つのゴム足と手前左右にステレオスピーカーがある。バッテリは内蔵式で着脱はできない。付属のACアダプタは、サイズ約10×4.7×2.5cm、重量225g、出力19V/3.42A。
15.6型のディスプレイは、明るさコントラスト、発色、そして視野角もすべて良好。発色は光沢パネルということもあり、原色の彩度が若干高めでギラギラ感があるものの、気になるほどでもない。パネルの傾きは写真の位置が最大となる。
キーボードは10キーありのアイソレーションタイプだ。キーピッチは主要キーで約19mm。手前と[Enter]キー周囲がせまくなっている。打鍵感は浅く軽めだろうか。またバックライトも搭載し、オフ/弱/強に調整できる。タッチパッドは1枚プレート型。15.6型とフットプリントも十分あるので、パームレストも含めゆったり操作できる。
動作時のノイズや振動はほぼない。発熱もベンチマークテストなど負荷をかけても、キーボード上の部分が少し暖かくなる程度だった。サウンドはカマボコレンジではあるが、結構なパワーで最大にするとうるさいほどだ。サイズ的に左右の幅を確保できるのでステレオ感もあり、これ以上の音質を求めるなら外付けスピーカーにしたほうがいいだろう。
15.6型でBBench 24時間越えの驚異的なスタミナ
OSは64bit版のWindows 10 Home。Core i5、メモリ 8GB、SSDというだけあって、ストレスを感じない動作だ。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。LGグループと、APPsグループの一部がプリインストールとなる。
デスクトップは、壁紙の変更、左側にLG Easy Guideへのショートカットを追加。そして同社のイメージカラーであるピンク系がアクセントカラーに設定されている。長年PCのレビューをしてきたが、このアクセントカラーは初。こうして見ると、これはこれできれいに感じる。
ストレージはSSD 256GBのSKhynix「HFS256G39TND-N210A」。M.2タイプだ。C:ドライブのみの1パーティションで約221.8GBが割り当てられ空き199GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。
またデバイスマネージャーには表示されていないが、付属のType-C接続EthernetアダプタはRealtek製。リンク速度を確認したところ100Mbpsだった。Gigabit Ethernetでないのが残念なところか。
プリインストールされているソフトウェアは、「SmartAudio」、「Dolby Access」、「DTS Audio」、「PhotoDirector for LGE」、「Power Media Player for LGE」。
LG Softwareに、「LG Control Center」、「LG Easy Guide」、「LG TroubleShooting」、「LG Update Center」など。メディア/オーディオ系と、同社のツール系がおもになっている。
このなかで、「LG Control Center」の右上にある「Instant Booting」は、オンにすると、天板を開けたとたんに電源オンとなり、あっという間に起動する。なかなか便利な機能なので常時オンにして使いたいところ。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、CrystalDiskMark。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した。
winsat formalの結果は、総合 5.4。プロセッサ 9.1、メモリ 9.1、グラフィックス 5.4、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15。メモリのバンド幅は13,729.42146MB/s。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは3,077。
CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 561.5/Write 270.5、4K Q32T1 Read 315.3/Write 260.5、Seq Read 474.4/Write 271.1、4K Read 32.63/Write 87.32(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 68,242、FPU 60,875、MEM 52,840、HDD 37,476、GDI 15,054、D2D n/a、OGL 12,953。
メモリがシングルチャンネル動作なのでその分、若干遅くなっているが、クラス相応と言ったところだろう。
BBenchは、バッテリ節約機能オン、バックライト/キーボードバックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で87,731秒/24.4時間。
仕様上、約23時間なので、1時間半ほど超えた。またパネルの輝度最小でも暗めの室内であれば十分見える明るさなので、この結果はリアルな駆動時間に近いと思われる。15.6型でほぼ24時間なら十分だ。
番外編。裏蓋を開け、SO-DIMMとM.2 SSDが増設可能
さて、前半でアップグレードサービスについてふれたが、じつは裏にあるゴム足4つとキャップ4つを外すとネジがあり、パネルを開けることができる。
手順としては、ゴム足とキャップの計8つを外し(両面テープ的なもので固定されているが、意外と外しにくい)、ネジ8本を外す。裏パネルは内部から爪のようなもので引っかかっているため、手前から薄い板状のものを隙間に挟み、焦らずゆっくり開けていくといった感じだ。
実際内部の写真を掲載するのでご覧いただきたいが、空きのSO-DIMMスロットとM.2スロットが1つずつある。これを使ってメモリとSSDを増設可能になっているのだ。もちろん一度開けてしまうと製品保証の対象外になるため自己責任になるが、腕に覚えのある人は試して見るのもいいだろう。13.3型と14型もアップグレード対象なので、似たような構造になっていると思われる。
以上のようにLG gram(15Z980-GA55J)は、15.6型フルHD、第8世代のCore i5プロセッサ、メモリ8GB、ストレージSSD 256GBを搭載した上で、重量なんと1,095g。そしてバッテリ駆動時間24時間越えと、まさにモバイルノートの逸品と言える仕上がりになっている。ラインナップとして13.3型、14型もあり、好みや予算に応じて選べるのもうれしいポイントだ。
仕様上、気になる部分はまったくなく、完成度は非常に高い。軽くて速いモバイルノートを探しているユーザーにおすすめできる1台と言えよう。