西川和久の不定期コラム
ユニットコム「Lev-15FX097」
~デスクトップアーキテクチャを詰め込んだゲーミングノートPC!
2016年10月12日 06:00
株式会社ユニットコムは9月30日、デスクトップ向けCPUとGeForce GTX 1070搭載の、デスクトップ向けアーキテクチャを詰め込んだゲーミングノートPC「Lev-15FX097」シリーズを発表した。なかなか斬新なコンセプトであり、ノートPCの性能を追及するユーザーに刺さりそうな逸品。編集部から試作機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
アーキテクチャはデスクトップPC!
今回発表されたユニットコム「Lev-15FX097」は、一見大柄のゲーミングノートPCの雰囲気だが、中身はデスクトップアーキテクチャなのが、ほかのノートPCと大きく違うところ。
モデルによって構成は違うものの、プロセッサはLGA1151ソケットのCore i5-6500、Core i7-6700、そしてオーバークロック可能なi7-6700Kまで搭載可能。チップセットはIntel Z170 Express。加えてグラフィックスはPascalアーキテクチャのGeForce GTX 1070。CUDAコア数1,920、メモリ8GB/GDDR5でメモリクロック8Gbps。VR Readyな最新鋭だ。
GeForce GTX 1070(8GB GDDR5)搭載は共通で、一番安価なモデルは、Core i5-6500/8GB/HDD 500GBで税別169,980円から。最上位モデルは、Core i7-6700K/16GB/NVMe対応 M.2 SSD 256GB+SSD 512GB×2(RAID0)で税別287,980円から。結構幅が広く、予算や用途に応じて選ぶことができる。
今回手元に届いたのは、ちょうど真ん中に相当するモデルとなるだろうか。主な仕様は以下の通り。
ユニットコム「Lev-15FX097」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-6700(3.4GHz/4GHz、4コア/8スレッド、cache 8MB、TDP 65W) |
チップセット | Intel Z170 Express |
メモリ | 16GB(8GB×2)/DDR4-2133 S.O.DIMM(4スロット/最大64GB) ※2スロット分はユーザーによる変更不可 |
ストレージ | NVMe対応 M.2 SSD 256GB+1TB HDD |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
ディスプレイ | 非光沢15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)IPS液晶ディスプレイ、タッチ非対応 |
グラフィックス | GeForce GTX 1070(8GB/GDDR5)、HDMI/MiniDisplayPort 1.3×2 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応2x2デュアルバンド、Bluetooth 4.2 |
インターフェイス | USB 3.1/Thunderbolt 3兼用ポート(Type-C)、USB 3.1(Type-C)、USB 3.0ポート×3、USB 2.0、200万画素Webカメラ、SDXC UHS-II/MMC対応カードリーダ、ヘッドフォン+S/PDIF光出力、マイク入力 、ライン入力/ライン出力 |
バッテリ駆動時間 | 約2.6時間 |
サイズ/重量 | 約386×267×44mm(幅×奥行き×高さ ※最大突起物を含まず)/約3.6kg |
税別価格 | 169,980円から(今回の構成で217,980円から) |
プロセッサはCore i7-6700。4コア8スレッドでクロックは3.4GHzから最大4GHz。キャッシュは8MBでTDPは65W。チップセットはIntel Z170 Express。メモリスロットは4つあり、DDR4-2133 S.O.DIMM/8GB×2の計16GBが搭載済み。ちょっと注意が必要なのは、メモリ最大搭載量は64GBだが、2スロット分はユーザーが交換できない仕様となっている。
ストレージはNVMe対応 M.2 SSD 256GB+1TB HDD。システムは高速に、データは大容量とバランスの良い構成だ。OSはWindows 10 Home(TH2)。
ディスプレイは、15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)の非光沢IPS。タッチには非対応だ。外部接続用として、HDMI、MiniDisplayPort 1.3×2を備えている。
そしてグラフィックスは冒頭に書いた通り、GeForce GTX 1070。これとTDP 65Wのプロセッサを内蔵しているにも関わらず、短いとは言え、約2.6時間駆動可能と言うのもなかなか興味深い。
ネットワークは、有線LANはKiller NetworkのGigabit Ethernet、無線LANはIEEE 802.11ac対応2x2デュアルバンド。Bluetooth 4.2にも対応する。
インターフェイスは、USB 3.1/Thunderbolt 3兼用ポート(Type-C)、USB 3.1(Type-C)、USB 3.0ポート×3、USB 2.0、200万画素Webカメラ、SDXC UHS-II/MMC対応カードリーダー、ヘッドフォン+S/PDIF光出力、マイク入力 、ライン入力/ライン出力。Thunderbolt 3兼のType-Cなど豊富に搭載しておりポイントが高い。
表から分からない部分として、Windows Hello対応の指紋センサーがタッチパッドにあるのと、24bit/192KHzのハイレゾオーディオ出力に対応していることが挙げられる。ヘッドホンアンプとして「ESS SABRE HiFi Audio DAC」を搭載、600Ωのヘッドホンにも対応した本格的なものだ。
サイズは約386×267×44mm(幅×奥行き×高さ)、重量約3.6kg。内蔵している各モジュールのサイズなどを考えると、これによく収まったなという感じがする。価格は先に書いた通り。内容を考えると妥当ではないだろうか。
筐体はマットなオールブラック。一般的なノートPCと比較して、386×267×44mm(同)というサイズは、特に高さがあり、また重量約3.6kgはモバイルノートの2~3台分の重量と、かなり大柄。とは言え、これだけの内容のデスクトップPCを持ち歩くことを考えればコンパクトだ。
前面はパネル中央上に200万画素Webカメラ。手前側面右に各種ステータスLEDと中央に大きいPower LED。後ろはHDMI、MiniDisplayPort×2、電源コネクタ。左側はGigabit Ethernet、USB 3.1/Thunderbolt 3、USB 3.1(Type-C)、USB 3.0×2、カードリーダ。右側はロックポート、USB 3.0、USB 2.0、各種音声入出力を配置。余裕がある分、多くのコネクタ類が並んでいる。なお、左側面のカードリーダ横にあるUSB 3.0は、[Fn]キー+[電源]ボタンでPowered USBになる。
裏に着脱可能なバッテリを内蔵し、内部へのアクセスはパネルのネジ数本外すだけと比較的容易だ。見る限り、交換可能なメモリは2スロット分。仕様表に「2スロット分はユーザーによる変更不可」となり、おそらく残りの2スロットは、この基板の裏に位置するのだろう。
付属のACアダプタは、165×80×35cmm(同)/重量747gと大きく重い。しかし、本体仕様を考えれば当然で、PC本体も昔で言うところの「トランスポータブル」的なものなので、特に問題ないと思われる。
キーボードはテンキー付き。主要キーピッチは約18mm。スペースキー右側のいくつかが狭くなっている。またフルカラーLEDのバックライトを装備し、プログラムによるコントロールが可能で、ゲーミングノートPCならではの雰囲気を醸し出している。更に同時押しの制限を解消する「Multi-Key rollover」にも対応する。
打感はソフトな感じで打ちやすいものの、高さが約44mmもあり、加えて机と水平なので、ゲーミングとしてではなく、普通の入力用としては使いにくい。傾ける足などが欲しいところだ。タッチパッドは物理的な2ボタン付きで、左上にWindows Hello対応の指紋センサーがある。
15.6型非光沢のIPSパネルは、映り込みも少なく、視野角も広く、明るさ/発色/コントラストも良好。なかなか上質なものが使われている。
試用した範囲で振動は許容範囲。発熱とノイズは、負荷をかけると、主に裏左右のスリットから(ノートPCとしては)強烈な熱風が放出される。スペックがスペックなだけに仕方ない部分だ。一方でパームレストなど手前の部分はあまり熱を持たず良好だ。
サウンドは、キーボード上部、メッシュ部分にスピーカーが埋め込まれている。ノートPCにありがちな中高域が主なシャリシャリした音でなく、カマボコレンジとは言え、中域がしっかりした図太い音だ。ただもう一歩パワーが欲しいところか。
600Ωに対応した音声出力は、(ハイレゾ対応ではないが)「SONY MDR-CD900ST」を接続したところ、パワーもあり、十分ドライブできている。特にバスドラムやベースなど低音(のアタック感など)が締まっているのが印象的だった。
PCMark 8 バージョン2が5000一歩手前と超高性能
OSは64bit版のWindows 10 Homeで、TH2だった。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。特に追加されたタイルはない。デスクトップは壁紙の変更と、左側にショートカットの追加3つ。シンプルな構成だ。
NVMe対応M.2 SSDは「Samsung SSD 950」。HDDは1TB/8MB/5,400rpmの「TOSHIBA MQ01ABD100」。それぞれCドライブとDドライブに割り当てられ、Cドライブは1パーティションで約237GB、空きは215GBだった。Dドライブは全てフリー。
Gigabit Ethernetは、プロセッサからネットワーク関連の使用率をオフロードできる「Killer E2400」。Wi-Fiは「Intel Dual Band Wireless-AC 8260」、BluetoothもIntel製だ。プロセッサ、チップセット、そしてGeForce GTX 1070が特徴的であるものの、ほかのデバイスなどは一般的な構成だ。
Core i7-6700でメモリ16GB、NVMe対応M.2 SSD 256GBの構成ということもあり、とにかく速い。非常に快適な環境であり、速度に限ればゲーミング用途でなくても使いたくなるノートPCではないだろうか。
インストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリは特になし。デスクトップアプリは、「Creative」フォルダに「Creative ALchemy」、「Creativeソフトウェアオートアップデート」、「Sound Blaster X-Fi MB5」。「Killer Networking」フォルダに「Killer Diagnostics」、「Killer Network Manager」。「ノートンセキュリティ」、「Thunderboltソフトウェア」など、主にシステムツール系だ。
そしてシステムをコントロールする「Control Center」。これには、「CPUメモリオーバークロッキング」、「GPUオーバークロッキング」、「Flexikey」といった、本機独自の物が含まれている。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated。3DMark、CrystalDiskMarkの結果も見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は4コア8スレッドと条件的に問題があるので参考まで)。
winsat formalの結果は、総合 8.4。プロセッサ 8.4、メモリ 8.4、グラフィックス 8.9、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 9。メモリのバンド幅は29,244.70768MB/s。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは、4,916。3DMarkは、Ice Storm 159,427、Cloud Gate 30,311、Sky Diver 31,830、Fire Strike 14,072。CrystalMarkは、ALU 87,263、FPU 81,375、MEM 99,137、HDD 58,018、GDI 22,670、D2D n/a(動かず)、OGL 42,516。
このクラスでwinsat formalのグラフィックスが、プロセッサとメモリを超えているのは初めて見た。全てが8.4以上と非常に高い位置でバランスしている。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは5,000一歩手前。そして3DMarkのFire Strikeがほぼ30fps(以上)で動いたのも初めてのような気がする。デスクトップPCも含め、普通のPCは比較にならないことがお分かり頂けるだろう。
CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 リード2,296/ライト942.8、4K Q32T1 リード723.5/ライト283.5、Seq リード2149/ライト560.4、4K リード52.30/ライト189.6(MB/s)。これもかなりの値を叩き出した。
BBenchは、キーボードバックライト/オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で9.936秒/2.76時間。さすがに3時間に満たないが、十分だろう。
以上のようにユニットコム「Lev-15FX097」は、デスクトップ用のプロセッサとグラフィックスを搭載し、豊富なインターフェイスを装備する15.6型フルHD搭載のゲーミングノートPCだ。その性能はベンチマーク結果の通り。ノートPCの範疇に収まらない爆速だ。
発熱やノイズはあるにはあるが、逆に内容を考えると十分制御されている。特に気になる部分もなく、ゲーミング用途はもちろん、ハイパワーで省スペース、または持ち運び可能なノートPCを探しているユーザーにお勧めした逸品と言えよう。