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Macのパスワードを忘れてしまったら、どうする?

 パスワードを忘れてしまってMacにログインができなくなっても慌てることはありません。ユーザアカウントに関連付けられたApple IDの情報さえわかっていれば、簡単にログインパスワードは復旧可能です。ただし注意したい点は、設定やマシン環境の違いなどで、表示されるメニューやプロセスが異なる点です。また稀なケースですが、環境によってはデータ消失のバッドエンドにつながることも……。まさかの事態を避けるためにも、パスワード忘れに備えてMacの各種設定を確認し、実際のリセット方法についてもあらかじめ理解しておきましょう。

FileVaultの設定を確認しよう

 Macのログインパスワードを忘れてしまったときに備えてまず確認しておきたいのが、Macの起動ディスクを暗号化して不正アクセスを阻止する機能である「FileVault」です。

 FileVaultをどのように設定しているかによってパスワードのリセット方法が異なりますので、「システム環境設定」の「セキュリティとプライバシー」パネルにある「FileVault」タブを開いて確認しておきましょう。

 もしFileVaultがオフになっている場合は「FileVaultをオンにする」をクリックして、試しに有効化してみてください。すると、ログインパスワードのリセットを行なうための2つの選択肢が出てきます。

 iCloudアカウントを使用するか、28文字の復旧キーを使用するかのいずれかです。Macのログインパスワードを忘れたときにどちらでリセットするかをここで決定することができます。

 すでにFileVaultがオンになっていてどちらを選択したかを覚えていない人は、一度FileVaultをオフにしたあと再度有効化して設定し、しっかりと覚えておきましょう。

 なお、iCloudアカウントのパスワードとFileVaultの復旧キーを両方とも忘れてしまった場合は、Macにログインしたり、起動ディスク上のデータにアクセスしたりできなくなりますので注意が必要です。

FileVaultの設定を確認するには、システム環境設定の「セキュリティとプライバシー」パネルの「FileVault」タブを開きます。「FileVaultをオンにする」と表示される場合は、クリックすると有効化できます
「FileVaultをオンにする」をクリックしたあと開かれる画面で、「iCloudアカウントによるディスクのロック解除を許可」、もしくは「復旧キーを作成して、iCloudアカウントは使用しない」のいずれかを選択します
復旧キーを作成する場合は、28文字の復旧キーをメモなどに控えておきましょう。ログインパスワードをリセットする際に手動で入力する必要があります。手間だけでなくメモを紛失するケースも考えられるため、通常は「iCloudアカウント」のほうを推奨します
iCloudアカウント(Apple ID)でログインパスワードをリセットするには、ユーザアカウントがApple IDと関連付けられていることが前提です。システム環境設定の「Apple ID」パネルからサインインして関連付けておきましょう

iCloudアカウントか復旧キーでリセット

 では、ここからは実際のログインパスワードのリセット方法を解説していきます。

 まずFileValutを有効化している場合は、ログイン画面でパスワードの入力を3回間違えると、「再起動してパスワードリセットのオプションを表示」というオプション画面(以下、リセットオプション)が表示されますので、それをクリックします。

 するとMacが再起動して「パスワードをリセット」アシスタントが開かれ、iCloudアカウント(Apple ID)または復旧キーの入力画面が表示されますので入力します。どちらの画面が表示されるかは、前述したFileValutの設定に基づきます。

 そしてApple IDまたは復旧キーが問題なく認証されれば、新しいパスワードの設定画面へと移り、設定後にMacを再起動すると新しいパスワードでMacへログインできるようになります。

ログインパスワードの入力を3回間違うと、リセットオプションが表示されます。「再起動してパスワードリセットのオプションを表示」をクリックします
「パスワードをリセット」アシスタントが開かれます。FileVaultでiCloudアカウントを選択した場合は、Apple IDでサインインを行ない、「次へ」と進みます
ログインパスワードをリセットするユーザを選択し、新しいパスワードを入力して「次へ」をクリックします
問題がなければ数十秒程度で再設定が行なわれます。最後に「再起動」をクリック。Macが起動したら、新しいパスワードを入力してログインしましょう
FileVaultで復旧キーを選択した場合は、「パスワードをリセット」アシスタントで復旧キーの入力欄が表示されます。あらかじめ控えておいた28文字の復旧キーを入力してから、新しいパスワードを設定します

FileVaultがオフの場合はどうする?

 次にFileVaultをオフにしている場合のパスワードリセット方法を見ていきましょう。

 ここで重要なのが、システム環境設定の「ユーザとグループ」パネルの設定です。「Apple IDを使用してパスワードをリセットすることを許可」にチェックが入っていれば、ログイン画面でパスワードの入力を3回間違えたときに「Apple IDを使ってリセットできます」と表示され、ここから最終的に「パスワードをリセット」アシスタントを開いてリセットできます。

 しかし、「Apple IDを使用してパスワードをリセットすることを許可」がチェックされていないと、ログインパスワードを3回間違ってもリセットオプションが表示されず、「パスワードをリセット」アシスタントを呼び出せません。

 この場合は、次に説明する「macOS復旧」を呼び出してターミナル操作を行ない、「パスワードをリセット」アシスタントを呼び出しましょう。

 なお、「Apple IDを使用してパスワードをリセットすることを許可」というメニューは、FileVaultがオンになっている場合は表示されません。

「Apple IDを使用してパスワードをリセットすることを許可」がオンになっていれば、ログイン画面で「Apple IDを使ってリセットできます」という表示が出ますのでクリックします
Apple IDの情報を入力し、「パスワードをリセット」をクリックすると、キーチェーンに関してのアラートが表示されます。「OK」をクリックすると再起動がかかり、「パスワードをリセット」アシスタントに移動します

「macOS復旧」からリセットする

 FileVaultがオフになっていてログイン画面でリセットオプションが表示されない場合は、前述したように「macOS復旧」を使って「パスワードをリセット」アシスタントを呼び出す必要があります。

 「macOS復旧」を呼び出すには、インテル製CPUを搭載したMac(以下、インテルMac)は起動時に「command」キー+「R」キーを長押しします。

 一方、Appleシリコンを搭載したMacでは起動時に電源ボタンを起動オプションのウインドウが表示されるまで長押しして、「オプション」を選ぶと「macOS復旧」が起動します。

 そしてmacOS復旧が起動したら、「ユーティリティ」メニューから「ターミナル」を選択し、「resetpassword」と入力して確定すれば「パスワードをリセット」アシスタントが起ち上がります。

 ターミナルの操作は慣れていないと不安に感じるかもしれませんが、ここでは「パスワードをリセット」アシスタントを起動するために入力するだけなので、それほど難しくはないでしょう。

Appleシリコン搭載Macで「macOS復旧」を呼び出すには、電源ボタンを起動オプションのウインドウが表示されるまで長押ししして、「オプション」を選択して「続ける」をクリックします
「macOS復旧」が開いたら「すべてのパスワードをお忘れですか?」をクリック後、MacにリンクされているApple IDを入力して認証します
「macOS復旧」のメニューが表示されるので、「ユーティリティ」メニューから「ターミナル」を選択します
ターミナルが起動したら「resetpassword」と入力して「return」キーを押すと、「パスワードをリセット」アシスタントが起ち上がります
「パスワードを忘れた」を選択して「次へ」と進むと、再度Apple IDを入力して、ログインパスワードの再設定が行なえます

別のユーザがパスワードを忘れたら管理者側でリセット

 ここまで解説した方法を試せば、Macを1ユーザで利用している環境ならたいていの場合はパスワードをリセットできるでしょう。もしそれでもうまくいかない場合はAppleのサポートに問い合わせてみてください。

 ちなみに、1台のMacを家族などの複数のユーザで利用している場合は、自分以外のユーザがログインパスワードを忘れてしまうことがあるかもしれません。

 その際は、そのMacの管理者がシステム環境設定の「ユーザとグループ」パネルからユーザを選択して、「パスワードをリセット」をクリックすることでリセットすることが可能です。

 また、こうした事態に備えて「ユーザとグループ」パネルで別のユーザに「Apple IDを使用してパスワードをリセットすることを許可」にチェックを入れておけば、ユーザ自身でApple IDを使ってパスワードリセットが可能になります(FileVaultがオフの場合)。

 「ユーザとグループ」パネルからユーザを選択する際には管理者パスワードが必要ですので、万が一、管理者もパスワードを紛失している場合はリセットオプションまたはmacOS復旧のどちらかで「パスワードをリセット」アシスタントを呼び出して解決しましょう。

Macの管理者は別のユーザアカウントのパスワードをリセットできます。システム環境設定の「ユーザとグループ」パネルを開き、パスワードを紛失したユーザを選択。「パスワードをリセット」をクリックして、新しいパスワードを再設定すればOKです
管理者がパスワードを紛失した場合など「ユーザとグループ」パネルでの解決が難しい場合は、「パスワードをリセット」アシスタントを起動します。FileVaultがオフの場合は、アクティベートの解除を行ない、アクティベーションロック後にApple IDの認証を手動で操作する場合があります。Macに登録されているユーザがリストされます。すべてのユーザのパスワードを再設定し直して「次へ」と進めると、パスワードのリセットが完了します

Apple IDはパスワード紛失のリスクを減らしておこう

 ここまで見てきたように、MacのログインパスワードのリセットにはApple IDの情報が不可欠です。しかし、Apple IDのパスワードは複数回入力を間違ってしまうと、アカウントの所有者本人がロックアウトされる可能性があります。

 そこでApple IDにログインできなくなる事態に備えて、家族や友人などを復旧用連絡先として登録しておくのが得策です。復旧用連絡先の条件は、13歳以上でApple IDの2ファクタ認証が有効であり、デバイスのパスコードが設定されている必要があります。

 また、macOS Monterey以降を搭載したMacおよび、iOS 15またはiPadOS 15以降を搭載したiPhone、iPad、iPod touchを使っているユーザが対象です。

 復旧用連絡先を指定しておくと、もしパスワード紛失などを自分が起こしてしまっても、復旧用連絡先に送られる6桁のコードを教えてもらい、自分のデバイスに入力。本人確認が完了すればApple IDのパスワードをリセットできます。

システム環境設定の「Apple ID」パネルから「パスワードとセキュリティ」を開き、「アカウントの復旧」の「管理」をクリックします
「アカウント復旧用の連絡先」の画面が表示されるので、「復旧用の連絡先を追加」を選びます
「復旧アシスタント」欄に、復旧用の連絡先を追加します。指定するユーザの情報はあらかじめ「連絡先」アプリに登録しておく必要があります
指定したユーザにはメッセージが送られ、相手が承認すると、復旧アシスタントにユーザが追加されます
復旧用連絡先として自分が指定された場合、メッセージのリンクを開くと「アカウントの復旧」画面が確認できます。もしも相手にトラブルが起きたときに、復旧用コードを取得して、本人確認などをサポートできます