最新液晶ディスプレイ ピックアップ

ナナオ「FlexScan EV2333W-H」




FlexScan EV2333W-H
液晶サイズ23型
パネル方式VA方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.2655×0.2655mm
表面処理ノングレア
バックライト方式冷陰極管
応答速度25ms(黒白黒)/7ms(中間色)
コントラスト比3,000:1
視野角上下/左右とも178度
輝度300cd/㎡
表示色1,670万色(10億6,433万色中)
走査周波数デジタル 水平:31~68kHz 垂直:59~61Hz
アナログ 水平:31~81kHz 垂直:55~76Hz
チルト角度0度~30度
高さ調節171.3mm
スイーベル右172度/左172度
ピボット機能右回り90度
入力端子ミニD-Sub15ピン×1
DVI-D(HDCP対応)×1
DisplayPort(HDCP対応)×1
音声入力(ステレオミニジャック)×1
出力端子ヘッドフォン出力×1
スピーカー350mW×1
VESAマウント対応
電源内蔵
消費電力最大45W、標準25W
付属品ミニD-Sub15ピンケーブル
DVIケーブル
オーディオケーブル
電源コード
ユーティリティディスク
本体サイズ標準時:547×346.5~517.8×221~236mm(幅×奥行き×高さ)
縦回転時:332×561.5~628.5×221~236mm(同)
重量4.7kg

 ナナオの液晶ディスプレイ「FlexScan EV2333W-H」は、23型のフルHD液晶搭載ながら、液晶パネルを90度回転させ縦画面でも利用できるピボット機構を備える点が大きな特徴。また、直販価格で54,800円と、同社の製品としては比較的安価な点も魅力。発売日は7月16日。

●本体デザイン

 FlexScan EV2333W-H(以下、EV2333W-H)は、「FlexStand」と呼ばれる独特な形状のスタンドを採用している。横から見ると、台座から後方10度ほど傾いて支柱が伸ている。この支柱は2重構造になっており、液晶パネル固定アームが付いた外側が上下に大きく昇降するようになっている。昇降の幅は171.3mmと非常に大きく、大胆な高さ調節が可能。しかも、大きな力を入れずに高さを調節できる。

 台座には、左右それぞれ172度のスイーベル機構を備える。また、液晶パネル固定アーム部は、上方30度までのチルト機構に加えて、液晶パネルを右に90度回転し縦位置でも利用できるピボット機構も備える。上下の昇降幅が大きいのは、ピボット機構を実現するためでもある。ただ、ピボット機構のためか、液晶パネル部はややぐらつきが大きい。

 本体の基本的なデザインは、台座部分こそ円形となっているが、ぱっと見ただけでFlexScanシリーズとわかる、おなじみの直線的なデザインを採用。ただ、従来製品に比べて液晶パネル部が薄型、軽量化されているためか、液晶サイズの割にコンパクトに感じる。

 電源ボタンや入力切り替え、OSDの操作を行なうボタン類は、液晶パネル下部中央右よりに配置されている。液晶パネル下部中央には、「EcoView Sense」と呼ばれる人感センサーを配置。利用者の有無や距離などを検知し、利用者が席を離れるなどした場合に自動的に電源を切る。また、周囲の明るさを検知して、バックライト輝度を自動調節するための光センサーも内蔵されている。

 液晶パネル下部左側には、出力350mWのスピーカーを搭載。スピーカーは1個のみの搭載で、モノラル再生となる。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の、23型液晶パネルを搭載。パネルの方式はVA方式。応答速度は、黒白黒で25ms、中間色で7ms。視野角は上下/左右とも178度。バックライト輝度は300cd/平方m。パネル表面は非光沢処理が施されている。

●接続端子

 映像入力端子は、ミニD-Sub15ピン×1系統、DVI-D×1系統、DisplayPort×1系統の計3系統を用意。DVI-DとDisplayPortはHDCP対応だ。また、音声入力用のステレオミニジャックも用意。本体に搭載されるスピーカーはモノラルだが、液晶パネル左側面のヘッドフォン端子はステレオ対応となる。

 映像入力および音声入力端子は、他のFlexScanシリーズ同様、液晶背面に下向きに取り付けられている。ただ、FlexStandのピボット機構のおかげで、液晶パネルを縦位置にすると、右側から端子にアクセスできるようになり、接続作業が楽に行なえる。また、支柱後方には、ケーブルを束ねるホールド機構を備えている。

●OSD

 OSDは、設定項目やデザインなど、他のFlexScanシリーズとほぼ同じものが用意されている。操作方法も全く同じで、FlexScanシリーズを使い慣れている人なら迷うことなく操作できるだろう。ただ、上下左右のボタンが横一列に並んで配置されている点は、慣れないと操作に戸惑うかもしれない。

 OSDだけでなく、Windows Vista上から画質調整が行なえる「FineContrast機能」ももちろんサポート。付属の「ScreenManager Pro for LCD(DDC/CI)」を利用すれば、色合いやコントラストなどの調節はもちろん、アプリケーションごとに画質設定を切り替えて利用することも可能だ。

 ところで、EV2333W-Hは「EcoViewシリーズ」に属するモデルで、EcoView関連のOSDメニューも用意されている。操作ボタン右端の、木の葉マークのボタンを押すと、液晶画面右下隅にEcoView関連の設定メニューが現れ、利用設定が行なえる。このEcoView機能は出荷時設定で有効になっており、特に設定を行なわずとも、消費電力を低く抑えられるよう工夫されている。

●画質

 EV2333W-Hの液晶パネルは、非常に自然な発色を実現するとともに、VA方式の液晶パネルを採用していることもあり、パネルを見る角度が少々変わっても発色の変化も少なく、表示品質は申し分ない。広色域対応モデルではないため、映像や画像の厳密な発色が要求されるようなプロ用途としては厳しいかもしれないが、一般的な用途であれば、十分満足できる表示品質が確保されている。

 ただ、応答速度が黒白黒で25msとやや遅いこともあり、デスクトップでウィンドウを高速に動かしたり、ゲームをプレイしている時などに若干残像が気になった。オーバードライブ機能によって、中間色での応答速度は7msとなっているが、AV用途やゲームプレイにはあまり適さないと感じた。もちろん、文字表示が中心のOffice系アプリケーションやWebアクセス時などには、応答速度の遅さの影響はほとんど受けない。1,920×1,080ドット、アスペクト比16:9と、フルHD表示対応の液晶パネルを搭載しているために、AV用途での利用も想定したくなるが、基本的にはビジネス用途に向いている製品と考えた方がいいだろう。

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(2009年 7月 27日)

[Text by 平澤 寿康]