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LGエレクトロニクス・ジャパン「W2486L-PF」




W2486L-PF
液晶サイズ24型
パネル方式TN方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.276×0.276mm
表面処理ノングレア
バックライト方式エッジライト式LED
応答速度5ms(黒白黒)/2ms(中間色)
コントラスト比最大2,000,000:1(「F-Engine」OFF時1,000:1)
視野角上下160度/左右170度
輝度250cd/平方m
表示色1,670万色
走査周波数垂直:56~75Hz
水平:30~83kHz
チルト角度-2度~15度
高さ調節なし
スイーベルなし
ピボット機能なし
入力端子ミニD-Sub15ピン
DVI-D(HDCP対応)
HDMI Ver1.1×2
出力端子ヘッドフォン出力(HDMI音声)
VESAマウント非対応
電源ACアダプタ
消費電力28W
付属品ACアダプタ
ミニD-Sub15ピンケーブル
DVIケーブル
ユーティリティディスク
本体サイズ577.4×198.4×440.5mm(幅×奥行き×高さ)
重量4.7kg

 LG Electronics Japanの液晶ディスプレイ「W2486L-PF」は、3万円台前半という普及価格帯の24型フルHD液晶ディスプレイとして、初めてLEDバックライトを採用する、非常に意欲的な製品だ。しかも、安価ながら画質面にもこだわっており、価格以上の価値のある製品に仕上がっている。発売は7月上旬。

●本体デザイン

 エッジライト式LEDバックライトおよび外部ACアダプタ電源を利用することで、最薄部で20.5mm(スタンド部を含めた奥行きは198.4mm)という非常にスリムなボディを実現。本体を横から見ると、その薄さはかなり際立っている。また、直線と曲線を融合した特徴のあるデザインを採用している。本体カラーはブラックが基調となっているが、スタンドアーム部にパープル系のカラーをあしらうことで、独特の存在感がある。

 液晶パネル右下には、タッチセンサー式の操作ボタンを用意。タッチセンサーに指を近づけると、センサー部分に埋め込まれたLEDが光り、操作時にタッチセンサーの位置が把握しやすいように工夫されている。

 スタンドは、底面部のみセパレート構造(アーム部とはネジで固定する)だが、基本的には本体と一体構造となっている。チルト角は前方5度から後方15度まで調節可能だが、高さの調節は行なえず、スイベル機構も搭載されていない。加えて、VESAマウンタにも非対応だ。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の24型液晶を採用。パネル方式はTN方式。応答速度は5ms(黒白黒)/2ms(中間色)、視野角は上下160度/左右170度。輝度は250cd/平方m。パネル表面は非光沢処理が施されている。

 液晶パネルのバックライトには白色LEDを採用。液晶パネル底面に84個の白色LEDを並べるとともに、導光板や拡散シート、集光シートなどを液晶パネル背面に配置することで、白色LEDの光を液晶パネル全体にムラ無く届けている。実際に、輝度ムラは一切感じることはなかった。この白色LEDバックライトは「エッジライト式LEDバックライト」と呼ばれており、冷陰極管採用の従来モデルと比較して、34%強の消費電力低減を実現。もちろん、本体の薄型化も、エッジライト式LEDバックライトの採用が大きく貢献している。

●接続端子

 映像入力端子は、ミニD-Sub15ピン×1系統、DVI-D×1系統、HDMI×2系統の系4系統を用意。DVI-DはHDCP対応で、HDMI端子はVer 1.1対応となる。本体にスピーカーは搭載されないものの、ヘッドフォン出力端子を1系統用意。このヘッドフォン出力からは、HDMI端子に入力されたデジタル音声がアナログ変換して出力される。ただし、ミニD-Sub15ピンやDVI-Dに対応する音声入力端子は用意されないため、ミニD-Sub15ピンやDVI-Dの映像を表示している場合には音声は出力されない。

 これら接続端子は、本体背面の中央下部にまとめて用意されている。端子類は背面に対して垂直方向に取り付けられているため、コネクタ類の接続がやりやすい点は嬉しい。

●画質

 W2486L-PFの大きな特徴となるのが、最大2,000,000:1という非常に高いコントラスト比だ。映像処理回路「F-Engine」の利用とともに、細かな調光が可能な白色LEDバックライトを採用することで、非常に高いコントラスト比を実現したとしている(F-Engineを切った状態では1,000:1)。実際にBlu-ray Discの映像やゲーム映像などを表示してみたが、明るい部分と暗い部分が混在しているシーンでも明るい部分が白飛びしたり、暗い部分の階調が失われるといったことはなく、非常になめらかに表示される。2,000,000:1という数字から考えると、今一歩という印象が無かったわけではないが、深く引き締まった黒が再現される点など、同価格帯の他の液晶ディスプレイと比較して、表示品質は頭1つ抜け出していると言って差し支えない。

 パネル表面が非光沢処理となっているために、若干の白浮きを感じるものの、それを考慮に入れても十分に鮮やかな発色が実現されている。ちなみに、液晶パネルがTN方式のため、視点を上下に大きく移動させた時に色合いが変化するが、デスクに座って使用する場合には上下の視点移動はほとんどなく、この点が気になることはほとんどないと考えていいだろう。

 白色LEDバックライトの輝度は、250cd/平方mと必要十分。また、パネル右下に取り付けられている明るさセンサーによって、部屋の明るさに応じて輝度を自動調節する機能が用意されている点は見逃せないポイントだ。この機能によって、こまめな輝度調節はほぼ必要ない。

 応答速度は、オーバードライブ回路によって2ms(中間色)と非常に高速。実際に動画やゲーム映像を表示させている場合でも残像が気になることは全くなかった。加えて、HDMI入力の表示遅延は、個人的な感覚では、シビアな操作を要求されるゲームも十分快適にプレイ可能なレベルという印象だった。実際に、HDMI端子にPLAYSTATION 3を接続してゲームをプレイしてみたが、遅延によってまともなゲームプレイが行なえないと感じることはなかった。完全に遅延が無いわけではないものの、一般的な液晶TVの「ゲームモード」利用時とほぼ同等レベルと考えていいだろう。

●OSD

 OSDでは、輝度や色合い、色温度などを細かく設定可能。また、メインのOSDメニューに加えて、映像処理回路「F-Engine」専用の設定メニュー、表示モード輝度自動調節などの機能の設定を変更する「smart」メニュー、表示画像のフォトエフェクト機能やヘッドフォン出力のボリューム調節などを行なう「FUN」メニューなども用意されている。このうち、F-EngineのOSDメニューを表示させると、画面左半分がその時点での表示モード、右半分が標準モードで表示され、F-Engineの表示設定による映像の変化を簡単に比較できる点は嬉しい配慮だ。

 OSDの操作は、画面右下のタッチセンサーを利用するが、タッチセンサーの反応がやや悪く、軽快に操作できずにややイライラすることがあった。また、カーソル移動と決定の操作がややわかりづらく、操作に戸惑うこともあった。タッチセンサーではなく物理的なボタンのほうが操作しやすいと思うため、この点は改善を期待したい。

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(2009年 7月 1日)

[Text by 平澤 寿康]