買い物山脈

「Surface Pro 8」購入記。SSDを換装してお手頃価格で1TBを実現

製品名
Microsoft「Surface Pro 8」
購入金額:

Surface Pro 8
215,380円
スリムペン2付きSurface Pro Signatureキーボード
33,660円
Western Digital CH SN530 NVMe SSD 1TB
23,628円
合計
272,668円
使用期間
約1カ月
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです
Microsoft「Surface Pro 8」

 筆者はIT系ライター。日常的に利用するデバイスはできるだけ新しいマシンを購入している。10月5日に「Windows 11」が提供開始されたが、それに合わせてモバイルノートPCを新調することにした。多くのメーカーが魅力的なマシンをWindows 11に合わせてリリースしたが、今回はWindows 11の真価を体験するために、リファレンスマシン的な位置づけの「Surface Pro 8」を購入することにした。

Surface高すぎ問題、Officeバンドルのせい?

 というわけでSurface Pro 8の価格を調べ始めたのだが、正直結構高い。例えば第11世代Core i7/メモリ16GB/SSD 1TBの2in1であれば、一般的には11~15万円台の製品も販売されている。それらと比較するとかなり割高に感じる。

 そこでスペックを下げることも考えたが、CPUはともかくとして、メモリ16GB、ストレージ1TBというスペックは仕事で使うにあたってはこだわりたい。「今からでもOffice非搭載モデルを出してくれないかなー」と思いつつ、引き続き価格を眺めていたら、Core i7/16GB/256GB搭載モデルが「比較的」安いことに気がついた。

Surface Pro 8の価格比較
Core i5/メモリ8GB/SSD 128GB14万8,280円
Core i5/メモリ8GB/SSD 256GB15万3,780円→14万2,780円
Core i5/メモリ16GB/SSD 256GB19万3,380円→18万0,180円
Core i5/メモリ8GB/SSD 512GB19万3,380円→18万0,180円
Core i7/メモリ16GB/SSD 256GB21万5,380円→19万8,880円
Core i7/メモリ16GB/SSD 512GB24万7,280円→22万7,480円
Core i7/メモリ16GB/SSD 1TB28万1,380円→26万1,580円
Core i7/メモリ32GB/SSD 1TB32万5,380円→30万5,580円
※筆者は割引実施前の価格でSurface Pro 8を購入している
これは記事執筆時点(12月14日)の価格表

Core i7/メモリ16GB/SSD 256GBが「比較的」安価だ

 筆者が希望するスペックはCore i7/メモリ16GB/SSD 1TBで、価格は28万1,380円(以下、割引前の価格)、キーボードカバーを合わせると30万円を超えてしまう。しかしPC Watchの読者の皆様ならご存じのとおり、「Surface Pro X」、「Surface Pro 7+」以降はリムーバブルタイプのSSDが採用されており、背面のストレージパネルを開けるだけで、M.2 2230のSSDを換装できる。

 M.2 2230のSSDは「Surface Pro X」用として日本のAmazonでも販売されていたが、eBayで調べてみると「NEW WD 1TB SN530 2230 NVMe PCIe SSD CH Upgrade Surface Laptop 3 4 GO ProX Pro7+」という商品名で、総額198.47ドル(2万3,628円)で購入できることがわかった(購入当時)。

 つまり、Core i7/メモリ16GB/SSD 1TBモデルが28万1,380円のところ、Core i7/メモリ16GB/SSD 256GB(21万5,380円)に、1TB SSD(2万3,628円)を換装すれば、合計で23万9,008円と、4万2,372円も安価にゲットできるのである。まあ、他メーカーより高い買い物であることに変わりはないが、就寝直前の23時30分前後にSurface Pro 8、換装用SSD、そしてキーボードカバーを購入することになった。

 なお後述するが、筆者の購入した「Western Digital CH SN530 NVMe SSD 1TB」は、利用できる容量が867GBに制限されていた。この点が問題になる方は、ほかのSSDを探すことをお勧めする。

筆者がeBayで購入した「NEW WD 1TB SN530 2230 NVMe PCIe SSD CH Upgrade Surface Laptop 3 4 GO ProX Pro7+」は、価格が164.98ドル、送料が15.99ドル、関税・輸入消費税が17.50ドルで、合計198.47ドル(2万3,628円)だった。11月15日に注文し、12月1日に到着した

 なお、ここでもう1つ注意喚起しておきたいことがある。記事執筆時点で「Microsoft Surfaceの保証とサービスプラン」には、「Surface Pro X および Surface Pro 7+ を除き、SSD はユーザーが取り外すことはできませんが、熟練した技術者がMicrosoftの指示に従って取り外すことができます」と記載されているが、Surface Pro 8については言及がない。その一方で、「Surface Pro 8」の「技術仕様」には「SSD(取り外し可能なソリッドステートドライブ)」と記載されている。

 マイクロソフトの広報に問い合わせてみたが、SSDを交換した際の保証については確定的な情報が得られなかった。SSDを換装した場合には通常の製品保証を受けられなくなる可能性がある。もし換装するのであれば、そのリスクを理解した上で自己責任で実施してほしい。

eBayで1TB SSDを購入して換装、867GBのストレージ容量を獲得

 ストレージの換装はクリーンインストール前提であれば難しくはない。Surfaceシリーズはリカバリーイメージを入手可能なので、こちらを利用する。SSD換装の流れは下記の通りだ。

①Surface回復イメージをダウンロード
②USB回復ドライブを作成
③Surface回復イメージを解凍して、USB回復ドライブにコピー
④元のSSDと新しいSSDを交換する
⑤USB回復ドライブをSurface Pro 8に装着
⑥ボリューム(小)を押しながら電源オン
⑦メッセージに従ってWindows 11をインストールする

 すべてのステップを解説すると、この章が非常に長くなってしまうので、下記では重要なポイントのみ触れておく。

「Surface イメージ リカバリー」で検索すると表示されるサポートページからSurfaceの回復イメージをダウンロードする。ダウンロードにはシリアルナンバーが必要なので本体背面かパッケージで確認しておこう
タスクバーの検索ボックスに「回復ドライブ」と入力して、「回復ドライブ」アプリを起動する
「システムファイルを回復ドライブにバックアップします。」のチェックボックスはオフにする。あとはメッセージに従ってUSBメモリ(16GB以上)を装着すれば、回復ドライブが完成する
先ほどダウンロードしたSurfaceの回復イメージを解凍して、回復ドライブのルートディレクトリーにコピーする。コピー中「ファイルの置換またはスキップ」画面が表示されたら「ファイルを置き換える」を選択する
左下の穴にSIM取り出しピンを差し込み、ストレージパネルを開く
「T3トルクスドライバー」でストレージを固定するネジを取り外す
元のSSDを取り外す。ピンセットなどでもよいが、筆者は傷をつけないように粘着力の弱い養生テープを貼り付けて引き出した
これが今回eBayで購入した「Western Digital CH SN530 NVMe SSD 1TB」
端子の切り欠きを確認し、新しいSSDを装着して、ネジを締める
元のSSDはグリスが塗られ金属ケースに収められている。筆者は念のため0.5mmのサーマルパッドを貼った状態でストレージパネルを戻している
作成済みの回復ドライブをSurface Pro 8に装着し、ボリューム(小)を押しながら電源オン。Windowsのロゴが表示され、その下に回転マークが表示されたらボリューム(小)から指を離す。しばらくすると、上の写真のように「言語の選択」の画面が表示されるので、あとはメッセージに従ってWindows 11のリカバリーを進めていく
Windows 11リカバリ後に「ディスクの管理」を開いてみると、ストレージ容量は866.98GBと表示される

 なお前述のとおり、Windows 11リカバリ後に「ディスクの管理」を開いてみると、ストレージ容量は「866.98GB」と表示された。実は、今回のSSD「Western Digital CH SN530 NVMe SSD 1TB」は、eBayの購入ページで「このドライブの空き容量は867GBです」、「Western Digitalがオーバープロビジョニングに割り当てているため、ユーザーは残りの容量にアクセスできません」と記載されている。

 SSDのパフォーマンスや耐久性を向上させるための「オーバープロビジョニング」にしては、その容量の比率が多すぎると思う。しかし、eBayの購入ページに記載されているとおりなので筆者は気にせず利用している。

 ちなみにeBayで「Surface Pro 8 SSD」で検索すると、SK hynixなど他メーカーのSSDもヒットするので、予算に応じて選んでほしい。筆者はコスパを重視して、今回の「Western Digital CH SN530 NVMe SSD 1TB」を選択した。

ベンチマークは「Core i7-1185G7」搭載機として順当な結果

 さて、ここからはSurface Pro 8を約1カ月使ってきたレビューを手短にお届けしよう。ただし、筆者のSurface Pro 8はSSDを交換済みなので、特にストレージ速度については製品版と異なっている点は留意してほしい。

 今回は「CINEBENCH R23.200」、「PCMark 10」、「3DMark」、「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「CrystalDiskMark 8.0.4」でベンチマークを実施した。結果は下記の通りだ。

「CINEBENCH R23.200」のCPU(Multi Core)は5934、CPU(Single Core)は1463 pts
「PCMark 10」の総合スコアは4920
「PCMark 10 Modern Office Battery Life」(ディスプレイ輝度50%)のスコアは7時間37分
「3DMark」のTime Spyは1814
Fire Strikeは4904
Wild Lifeは13013
「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは7357(やや快適)
「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は2873.47MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は2015.19MB/s

 過去記事「2021年春 最新第11世代Core搭載ノートまとめ。1世代前の製品との性能比較も」で、「Core i7-1165G7」(4コア8スレッド、2.8~4.7GHz)を搭載する「XPS 13」が、CINEBENCH R23のCPU(Multi Core)で4680pts、「3DMark」のTime Spyで1504を記録している。

 今回のSurface Pro 8は上位CPU「Core i7-1185G7」(4コア8スレッド、3.00~4.80GHz)を搭載しているが、XPS 13に対してCINEBENCH R23のCPU(Multi Core)で約1.27倍、3DMarkのTime Spyで約1.21倍のスコアを記録している。Surface Pro 8は287×208×9.3mm(幅×奥行き×高さ)/891gと薄型/軽量筐体ながら、Core i7-1185G7搭載機として順当なスコアを記録していると言えよう。

前面カメラは綺麗、背面カメラは割り切りが必要

 Surface Pro 8は、背面に1,000万画素(1/3.06インチ、1.12μm、F2.0、OV13858)、前面に500万画素(1/4インチ、1.4μm、F2.4、OV5693)のカメラを搭載している。タブレットPCに搭載されているカメラとして背面、前面ともに画質は高い。特に夜間にクリスマスツリーの前で前面カメラを使って撮影したときには、明るく、自然な発色で撮影できていて驚かされた。

 ただ比較対象をスマホにすると、相手が悪いというのが正直なところ。まず強い色が含まれると、やや発色が不自然になる点が気になった。また、画面周辺の描写が甘い傾向が目立つ。さらに、Windows 11の「カメラ」アプリは、拡大操作すると1倍時の画像をそのまま拡大するようで、超解像技術を活用したスマホのカメラアプリとは比較にならない。

 前面カメラの画質はタブレットPCとしてはトップクラスでビデオ会議用には申しぶんない。ただ、背面カメラは基本的にホワイトボードや資料を取り込むための記録用と割り切り、素直にスマホで撮影したほうがよいと思う。

イメージ情報3,968×2,232ドット、シャッタースピード1/1025、F2.0、ISO38、露出モードAperture priority (semi-auto)、測光方式Average
イメージ情報3,968×2,232ドット、シャッタースピード1/876、F2.0、ISO38、露出モードAperture priority (semi-auto)、測光方式Average
イメージ情報3,968×2,232ドット、シャッタースピード1/136、F2.0、ISO38、露出モードAperture priority (semi-auto)、測光方式Average
イメージ情報3,968×2,232ドット、シャッタースピード1/30、F2.0、ISO304、露出モードAperture priority (semi-auto)、測光方式Average
イメージ情報2,560×1,440ドット、シャッタースピード1/33、F2.4、ISO906、露出モードAperture priority (semi-auto)、測光方式Average

Surfaceスリムペン2はデジタイザーペンの最適解

 Surface Pro 8で最も気に入ったのが「Surfaceスリムペン2」。側面に磁力で固定するタイプよりも確実に収納でき、本体内に差し込むタイプよりも格段に取り出しやすい。また扁平率が高い軸も、握ってみると意外としっかりとホールドできる。Surfaceスリムペン2は収納性と握りやすさを両立している点で、現時点のデジタイザペンの最適解だと思う。

Surfaceスリムペン2は取り出しやすいのに、落とす心配はない。バッグの中にそのまま入れても安心だ
Surfaceスリムペン2をSurface Pro Signatureキーボードから取り出すと「ペンメニュー」が表示される。このペンメニューには任意のペンアプリも登録可能。筆者はPDF編集アプリ「Drawboard PDF」を追加している

 ただ、紙に書く感覚を再現するという「触覚モーター」は想像していたのとはかなり違っていた。確かにゆっくりとペン先を滑らすと「ジリジリ」というような振動を感じるが、素早くペン先を動かした場合には筆記感はあまり感じられない。「設定→Bluetoothとデバイス→ペンとWindows Ink→誘導信号→強さ」で振動の強さを調節できるが、「最大」にしても筆者には物足りなかった。実際の筆記感とは異なったとしても、もっと強烈に振動を与える設定があってもいいように思う。

ゆっくりとペン先を滑らすと振動を感じるが、素早く筆記するとほとんど体感できない
「設定→Bluetoothとデバイス→ペンとWindows Ink→誘導信号→強さ」で振動の強さを調節できる

Surface Pro 8には筆者がデジタルデバイスに求めるものがすべて入っている

 なんだかんだでトータルで27万2,668円を費やしたSurface Pro 8だが、現在プライベートで利用しているPCの中で最も気に入っている。使い慣れた日本語入力システム、フル機能のOfficeとAdobeアプリ、フルスピードで入力できるキーボード、タッチ操作とペン操作への対応、そして取り出しやすく、確実に収納できるデジタイザペンと、筆者がデジタルデバイスに求めるものがすべて入っているからだ。

 来年(2022年)前半に発売予定の「Surface Laptop Studio」が気になっていたりもするが、SSDを換装して愛着ひとしおのSurface Pro 8をじっくりと使い倒していきたいと思う。