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「Surface Pro 8」登場。キーボード変更/新ペン。Thunderbolt 4対応で性能2倍に

Microsoftが発表したSurface Pro 8、重量は891g

 Microsoftは9月22日(現地時間)にオンラインで記者会見を行ない、この中で主力製品の「Surface Pro 8」を発表した。2019年にArm CPU搭載Surfaceとして発表されたSurface Pro Xと共通のデザインを採用することで、ディスプレイの解像度やサイズがアップしている。

 Surface Proシリーズは、2015年に販売が開始されたSurface Pro 4以降、タブレット部分の底面積は同様で、端子部分も互換性を維持してきたため、Surface Pro 4用に販売されたタイプカバーキーボードがSurface Pro 7まで継続して利用することができていた。しかし、今回外形が変更されたことで、従来のタイプカバーキーボードとの互換性はなくなり、Surface Pro X用として販売されてきたタイプカバーキーボードを利用する形となる。

 CPUは第11世代Coreプロセッサへ強化され、Microsoftによれば、前世代となるSurface Pro 7(第10世代Core搭載)と比較して性能は倍になっているという。

Surface Pro 4以来維持されてきたキーボードの互換性が途切れる、Surface Pro Xと同じキーボードをサポートへ

新しいSurface Pro 8では、Surface Pro X用として販売されてきたSurface Pro Signature Keyboard(Surface Slim Pen 2の充電機能付き)などが利用できる

 MicrosoftのSurface Proシリーズは、初代以来、最新製品となるSurface Pro 7(一般消費者向け/法人向け)、Surface Pro 7+(法人向けのみ)までビジネスユーザーの支持を集めているキーボード脱着型の2-in-1型デバイスだ。その最大の特徴として、2014年にリリースされたSurface Pro 4以来、タブレットの底面積(292×201mm)はほぼ一定で、脱着型のキーボード(タイプカバーキーボード)は端子もずっと同じで基本的に同じものがそのまま利用できていた。

 しかし、今回のSurface Pro 8ではついにそのSurface Pro 4以来新しい世代になっても使い回せていたタイプカバーキーボードとの下位互換性がなくなることになった(つまりSurface Pro 7+までのキーボードはSurface Pro 8では利用できないと言うことだ)。というのも底面積が287x208mmとタブレットの外形サイズが変更になり、かつキーボードの端子も変更されたからだ。

Surface Pro Signature Keyboardの構造

 ただ、この新しい底面積は、2年前にArmベースのSoCを搭載したSurfaceとして販売開始されたSurface Pro Xと同じで、端子の形状もSurface Pro Xと同等になっている。つまり、IntelベースのSoCを搭載しているSurface Proシリーズが、Surface Pro Xと同じ底面積に統一された、そう考えることができる。

 なお、厚さ方向はSurface Pro Xが7.3mmであるのに対して、Surface Pro 8は9.4mmとなっているが、タイプカバーキーボードの構造から考えると本体の厚さ方向は互換性に影響はあまりないので、Surface Pro X用のキーボードがSurface Pro 8にも利用できると考えることができる。

 実際、MicrosoftはSurface Pro 8の発表にあわせて、「Surface Pro X Signature Keyboard」(Surface Slim Penの充電機構あり版)、「Surface Pro X Keyboard」(Surface Slim Penの充電機構なし版)の名称で販売してきたSurface Pro X用のキーボードを、それぞれ、「Surface Pro Signature Keyboard」、「Surface Pro Keyboard」へと名称変更しており、そのことを裏付けている。

 Surface Pro 7+以前を所有しているユーザーにとっては、Surface Pro 8へ移行する場合はキーボードも買い換えになるため負担が増えるが、Surface Pro XからSurface Pro 8へ、その逆にSurface Pro 8からSurface Pro Xへ移行する場合には同じキーボードを使い回すことができるというメリットが出てくることになる。

ディスプレイの解像度とサイズが向上、第11世代Coreへ強化され、性能はSurface Pro 7に比べて倍

ディスプレイの解像度は2,880×1,920ドットにあがり、13型にサイズアップしたSurface Pro 8、両辺狭額縁になり今風のデザインになった

 そうした外形を変更したもう1つのメリットは、ディスプレイのサイズと解像度が上がったことにある。Surface Pro 7/7+までは12.5型で2,736×1.824ドット(267ppi)のディスプレイになっていた。これに対してSurface Pro 8では13型2,880×1,920ドット(267ppi)と精細さや3:2のアスペクト比は同じながらディスプレイのサイズアップになっており、2辺狭額縁になってより今風のデザインになっている。また、従来は60Hzだったリフレッシュレートも120Hzへと強化されており、よりなめらかな表示が可能になる。

内部構造
CPUと熱設計

 CPUはSurface Pro 7+と同じ第11世代Coreだが、Core i5モデル、Core i7モデルはIntelのEvoプラットフォーム対応製品となる。Surface Pro 7の第10世代Coreと比較して、CPUだけで40%、GPUは74%向上しており、総合性能では2倍近い性能向上があるとMicrosoftでは説明している。

ストレージはふたを開けるだけで簡単にアクセスできる

 メモリは8GB~32GBで4GBモデルはSurface Pro 8では用意されないことは歓迎していいだろう。ストレージは128GB~1TBで、Surface Pro 7+やSurface Pro Xと同じように、SIMピンで押すだけで開けることができるふたをはずすだけで簡単にアクセスすることが可能になっている(ストレージはM.2の2230サイズのモジュールがネジ1本で固定されている)。もちろん保証の範囲外となるが、保証期間終了後により大容量のストレージに交換するなども容易であることはうれしいところだ。

 セルラー回線への対応は、法人向けの一部モデルのみの対応となっている。モデムはQualcomm Snapdragon X20 LTE Modemで、対応バンドは「1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/19/20/25/26/28/29/30/38/39/40/41/66」となっている。

上が本体の左側面、3.5mmヘッドホン端子があるだけ。下が本体の右側面で、Surface Connect端子とUSB Type-C(TB4)が2つ
筐体色、グラファイト(奥)とプラチナ(手前)の2色展開は変わらず

 Surface Pro 7までは、USB-Aが1つ、USB Type-C(Thunderbolt未対応)が1つという構成になっていたが、Surface Pro 8ではUSB Type-C(Thunderbolt 4)が2つという構成に変更されている。従来Surface ProシリーズではThunderbolt 3/4には対応してこなかったが、Surface Pro 8でついに対応することになった。Surface Pro XではUSB Type-Cは本体左側面に実装される形になっているが、Surface Pro 8では本体の右側面に用意される形になっている。

 なお、バッテリのサイズは50Whになっており、Surface Pro Xの38Whから12Wh分増えている。しかし、バッテリ駆動時間はどちらも同じ最大15時間となっている。この違いは両製品のSoCの電力効率の違いだと考えることができるだろう。当然だが、バッテリの容量が大きいSurface Pro 8の方は重量が重くなっており、Surface Pro Xが774gなのに対してSurface Pro 8は891gになっている。

Surface Pro 8の主な仕様
CPU第11世代Coreプロセッサ(i5-1135G7/i7-1185G7、一般消費者向けモデル)(i3-1115G4/i5-1145G7/i7-1185g7、法人向けモデル)
GPUIntel UHD(i3)/Iris Xe(i5/i7)
メモリ8GB/16GB/32GB(LPDDR4x)
ストレージ128GB/256GB(Wi-Fi/LTE)、512GB/1TB(Wi-Fiのみ)
ディスプレイ13型 PixelSense Flow/120Hz/2,880×1,920ドット(267ppi)
タッチ/ペン10点マルチタッチ/Surface Slim Pen 2(別売)/SurfaceDial対応(別売)
カメラ(Windows Hello対応有無)1080p前面カメラ(500万画素、Hello対応)/4K背面カメラ(1,000万画素)
Thunderbolt 42
オーディオ端子3.5mmヘッドフォン
マイクデュアルマイク(遠方界対応)
その他ポートSurface Connect(1)、Surface Typeカバーポート(1)
Wi-FiWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)
BluetoothBluetooth 5.1
WANQualcomm Snapdragon X20 LTE Modem
対応LTEバンド1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/19/20/25/26/28/29/30/38/39/40/41/66
センサー加速度計/ジャイロスコープ/磁力計/環境光センサー
TPMTPM 2.0
キーボードSurface Pro Signature Keyboard(別売)
ポインティングデバイスSurface Pro Signature Keyboard(別売)
ACアダプタ60W(5W USB-A端子)
バッテリ(サイズ/駆動時間)50.2Wh/最大15時間
カラープラチナ/グラファイト
サイズ(横x縦x高さ)287x208x9.4mm
重量891g
OSWindows 11 Home/Windows 11 Pro/Windows 10 Pro

 このように、Surface Pro 8は、Surface Pro Xのインテル版という趣の製品になっている。どちらも同じ最大15時間のバッテリ駆動だが、Surface Pro Xが774g/7.3mmであるのに対して、Surface Pro 8は891g/9.4mmと重量と厚さは異なっている。ただし、処理能力はがぜんSurface Pro 8の方が高いと考えられるので、性能や従来との互換性を取るか、軽量/薄さをとるかでどちらを買うかを決めれば良いだろう。前者の人はSurface Pro 8で、後者の人はSurface Pro Xとなるだろう。

 Microsoftによれば、Surface Pro 8は米国では本日より開始されており、グローバルには10月5日(Windows 11のリリース予定日)から販売開始される予定だ。米国での価格は1,099.99ドルが想定されている。