ソニー「Sony Tablet S」
~豊富な独自アプリやサクサク動作が魅力



ソニー「Sony Tablet S」

9月17日より順次発売
価格:オープンプライス



 ソニーは、Androidタブレット「Sony Tablet」シリーズを発表した。今回、9.4型液晶搭載の「Sony Tablet S」と、5.5型液晶を2枚搭載する折りたたみ型の「Sony Tablet P」の2機種を用意。Sony Tablet Sはストレージ容量と、対応するネットワーク機能の違いで3モデルが用意され、Sony Tablet PはWi-Fiと3G両対応の1モデルが用意される。

 今回、9.4型液晶を搭載するSony Tablet Sのうち、ネットワーク機能はWi-Fiのみに対応し、32GBストレージを搭載する「SGPT112JP/S」をいち早く試用する機会を得たので、詳しく紹介しよう。ただし、今回試用したのは試作機のため、製品版と異なる可能性がある点はご了承願いたい。

●独特なデザインを採用し、重量も軽い

 ではまず、本体の外観から確認していこう。

 Sony Tablet Sの外観は、液晶パネル面を見る限りでは、一般的なAndroidタブレットとそう大きく変わらないように見える。しかし、側面を見るとその印象はがらっと変わる。本体側面は、底辺側が薄く、奥に行くに従って厚くなる、くさび形のような形状となっている。また、本体上部はラウンド形状になるとともに、側面部はややえぐられた形状となり、さらに液晶面から背面にかけて、ブラックのカバーで覆っているかのような、かなり独特なデザインとなっている。これは、雑誌を開いて、開いた部分を裏側に折りたたんで持っている状態をイメージしたものだそうだが、目をひくデザインなのは間違いない。

 ただ、このデザインは単に奇をてらったものというわけではない。実際に本体を手に持ってみると、横向きの場合は、手前が薄く奥が厚い形状が手にしっくり馴染み、また横向きに持った場合でも、上方のラウンド形状と厚みによって片手でもしっかり掴める。つまり、持ちやすさも考慮されたデザインと言っていいだろう。加えて、テーブルに置いて使う場合でも、液晶面がわずかに手前に傾くため、一般的なタブレットよりも画面が見やすい点も嬉しい。

 本体サイズは、約241.2×174.3×10.1~20.6mm(幅×奥行き×高さ)。10.1型液晶を搭載するAndroidタブレット「MOTOROLA XOOM Wi-Fi TBi11M」と比較すると、液晶サイズが一回り小さいこともあり、横幅はXOOMより8mmほど短いが、奥行きは逆に7mmほど長い。また、高さは最薄部ではXOOMより薄いが奥はXOOMよりかなり厚い。そのため、液晶サイズはXOOMより一回り小さいものの、本体サイズはほぼ同等といった印象を受ける。

 それに対し、本体重量は公称で約598、実測で587.5gであった。XOOMより100g以上軽く、実際に手にすると、Sony Tablet Sの軽さが非常に際立って感じられる。XOOMは、片手で持って使っていると、重さでかなり短時間で疲れを感じてしまうが、Sony Tablet Sではそういったことはない。この軽さは、非常に大きな魅力と言える。

 OSは、試用機ではAndroid 3.1が搭載されていた。9月17日に発売されるWi-Fi版は、試用機同様Android 3.1で発売されることになっている。それに対し、10月~11月に発売が予定されているWi-Fi+3Gモデルでは、発売時からAndroid 3.2が搭載される予定。そして、Wi-Fi版も発売後にAndroid 3.2へのアップデートが提供されるとしている。

 基本スペックは、登場済みのAndroid 3.0/3.1タブレットとほぼ同等だ。プロセッサはNVIDIAのデュアルコアプロセッサ、Tegra 2 1GHzを採用。メインメモリは1GB、ストレージはWi-Fiモデルが16GBおよび32GBの2モデルが用意され、Wi-Fi+3Gモデルは16GBのみ。無線機能は、IEEE 802.11b/g/n対応の無線LANとBluetooth 2.1+EDRを標準搭載し、Wi-Fi+3Gモデルのみ3G機能を搭載。3GキャリアはNTTドコモとなる。

 カメラ機能は、裏面に約511万画素のメインカメラ、液晶面に約30万画素のサブカメラを搭載。センサー類は、3軸加速度センサー、ジャイロセンサー、電子コンパス、照度センサーを搭載。また、赤外線ポートも標準搭載される。側面のインターフェイスは、左側面にヘッドフォン出力とmicro USBポート(ホスト対応)、SDカードスロットが用意される。右側面には、電源ボタンとボリュームボタンの物理ボタンが配置されている。

本体正面。正面からの見た目は一般的なAndroidタブレットとほぼ同等だ背面。正面の液晶面から背面にかけてブラックで統一されており、液晶面から裏面まで一体構造のようなデザインとなっている本体正面。正面が薄く、奥が厚い、くさび形のような構造を採用している
左側面。横から見ると、くさび形の形状や、液晶面から裏面に欠けての一体的なデザインがよくわかる。奥はラウンド形状となっており、雑誌を開いて折りたたんだような見た目となっている本体上方。左右側面も下方に向かって斜めに切り取られている。また、赤外線ポートもこちらに用意されている右側面。高さは手前が10.1mm、奥が20.6mm。側面は左右とも中央部が凹んだようにえぐり込まれている
XOOM(右)との比較。液晶サイズはXOOMの方が大きいため、幅はSony Tablet Sのほうが8mmほど短いが、奥行きはSony Tablet Sのほうが7mmほど大きい重量は、実測で587.5g。XOOMより100g以上軽く、手にしてもかなり軽く感じる左側面には、ヘッドフォン出力と、micro USB(ホスト対応)、SDカードスロットがある。micro USBとSDカードスロットはカバーに被われている
右側面には、電源ボタンとボリューム調節の物理ボタンを配置。リセットボタンもある正面下部左には、ACアダプタ接続用の端子が用意されている裏面右下には、ストラップホールが用意されている。また、上に見えるスリットはスピーカー。スピーカーの横には、PlayStation Certifiedロゴが見える
裏面上部中央に、約511万画素のメインカメラを配置。映像素子にはCMOSセンサー“Exmor”を採用液晶面上部中央には、約30万画素のサブカメラを配置付属のACアダプタ。極端に小型というわけではないが、本体と同時に持ち歩くことはほとんど不要だろう
ACアダプタは専用コネクタに接続して利用する。充電はACアダプタ経由のみで、USB充電には非対応ACアダプタの重量は、電源ケーブル込みで189gだったストラップも付属している

●表示品質に優れる9.4型液晶を搭載
1,280×800ドット表示対応の9.4型ワイド液晶を搭載。表面は光沢処理が施され、やや映り込みが気になるが、発色は鮮やかでコントラストも高く、表示品質に優れる

 Sony Tablet Sに搭載される液晶パネルは、1,280×800ドット表示に対応する9.4型液晶だ。パネルの種類はIPS方式。筆者が持っているXOOMの10.1型液晶と比べると一回り小さいが、横に並べて始めてサイズの違いがわかる程度で、使っていて液晶が小さいと感じることはほとんどない。

 液晶の表示品質は、かなり優れている。表面が光沢処理となっているため、発色が鮮やかなのはもちろん、引き締まった黒が再現され、コントラストも高い。XOOMの液晶も、表示品質は悪くないと感じていたが、Sony Tablet Sと並べて見ると、発色の鮮やかさは明らかにSony Tablet Sのほうが上回っている。もちろん、IPS方式の液晶パネルのため視野角が広く、家族で楽しむ場合でも見る位置によって色合いが変わるといった心配も不要だ。


●独自アプリや独自のチューンで“サクサク”気持ちよく使える

 Sony Tabletには、「サクサク・エクスペリエンス」と呼ばれる、ソニー独自のチューンアップが施されており、サクサクと快適に利用できるような仕組みが盛り込まれている。

 まず、ホーム画面を連続で切り替えられる「クイックスクロール」。通常、5枚あるホーム画面を切り替える場合には、画面上を指で左右にスワイプすることで1枚ずつめくっていく必要があるが、Sony Tabletでは、指を画面上でゆっくり動かすと、画面上に5枚あるホーム画面の現在位置が表示され、それ以後指を左右に動かし続けることで、1アクションで画面を切り替えられる。ゆっくり指を動かす感覚に慣れるまでは、ショートカットやウィジェットを配置するメニューが表示されてしまうこともあったが、慣れればなかなか快適に利用できると感じた。

 次に、ブラウザを利用したWebアクセスだ。ブラウザ自体はほかのAndroidタブレットと同じ標準のものだが、ソニー独自のプラグインが搭載されている。このプラグインは、アクセスするWebページを解析し、素早く表示できるものから先に表示させるというもの。最終的な結果が表示される時間は、このプラグインを搭載しない場合と変わらないものの、テキストなど素早く表示できるものからどんどん先に表示されるため、Webアクセス時の表示までに待たされる感覚がかなり減る。実際にXOOMとの比較動画を見てもらうとよくわかるが、XOOMではほとんどのデータを読み込んでから表示が行なわれるため、何も表示されない時間がかなり長く感じるのに対し、Sony Tablet Sでは、アクセス直後から表示できる情報がどんどん表示されており、待たされる感覚がかなり減っている。

 また、ソフトウェアキーボードは、入力用途によってキー配列が自動的に切り替わるようになっている。例えば、ブラウザなどでユーザー名とパスワードを入力する場合など、ユーザー名を入力する場合にはアルファベットキーのみのキートップの大きなソフトウェアキーボードが、パスワードを入力する場合にはテンキーつきのソフトウェアキーボードが表示される。全角入力ができる場合にはテンキー無し、半角入力のみの場合にはテンキー付き、というように変化するようだ。ちなみに、キーボード設定で、常にテンキーありのキーボードを表示させるように設定することも可能だ。

 アプリメニューも独自のものが搭載されている。このアプリメニューでは、インストールされているアプリをアルファベット順や新しくインストールされた順にソートして表示したり、表示順を自由に変更できる。また、仕切り線を表示させ、種類別や用途別などに分けて表示することも可能。標準のアプリメニューでは、多数のアプリをインストールした場合に、目的のアプリを探すのが面倒になるが、この仕組みがあればそういったこともなくなるはずだ。

 そして、独自のランチャー機能「Favorites」。Favoritesには、よく利用するアプリや音楽、動画などのコンテンツ、Webページなどを登録でき、直接それらが呼び出せるようになっている。いちいちアプリを探して起動し、目的のコンテンツを呼び出す必要がなく、ワンタッチでアプリの起動とコンテンツの表示が行なえるため、こちらも便利に活用できそうだ。

 これらは、処理速度を高めるというものではなく、ユーザーが気持ちよく使えるようにする仕組みだ。実際に使ってみても、ちょっとしたことではあるのだが、かなり快適だ。処理速度にだけ注力するのではなく、使い勝手を高める仕組みを盛り込むという点は、ユーザーにとって非常に嬉しい配慮と言える。

【動画】クイックスクロールでホーム画面を切り替えている様子
【動画】XOOMとのWebアクセスの比較
ソフトウェアキーボードは、全角入力可能時にはキーの大きなものが表示されるパスワードなど、半角入力に指定されている部分を選択すると、テンキー付きのキーボードに切り替わるキーボード設定で、テンキーを常に表示させることも可能
【動画】キーボード表示が切り替わる様子
オリジナルのアプリメニュー。アルファベット順や新しく導入した順などにソート可能仕切り線を表示したり、アプリの表示位置を自在に入れ替えられる。種類や用途ごとにグループ分けも可能
独自ランチャーの「Favorites」。動画や音楽などのよく利用するコンテンツ、ゲーム、ブックマークしたWebページなどを、ワンタッチで呼び出せるFavoritesに表示する内容は、自由に変更可能だ
【動画】アプリメニューで仕切り線を加えている様子

●AV機器との親和性に優れる

 Sony Tablet Sは、ソニーらしい機能もいくつか盛り込まれている。例えば、赤外線ポートを利用したAV機器のリモコン機能。TVやブルーレイレコーダ、AVアンプなど、様々なAV機器のリモコンとして利用できる。ソニー製のAV機器だけでなく、他社のリモコンコードもプリセットされており、機器の種類とメーカーを選択するだけで、簡単に登録できる。

 また、学習機能も用意されており、プリセットされていないAV機器なども操作できる。もちろん、複数の機器のリモコンを登録でき、メニューで操作したい機器を選択することで、特定の機器を操作可能。全てのAV機器をSony Tablet Sで操作するといったことも、もちろん可能だ。ただし、複数の機器にまたがって連続してリモコンコードを送信するマクロ機能は用意されていないので、複数の機器を操作する場合には、そのつどリモコン機能を切り替える必要がある。

 さらに、AV機器との連携機能としては、音楽や動画のプレーヤーや画像を表示するギャラリーなどがDLNAに標準対応しているという点も挙げられる。DLNA対応のTVなどに対して、動画や音楽、静止画などのコンテンツを転送して表示、再生することが可能。各プレーヤーのDLNA機能を呼び出すと、同一ネットワーク上のDLNA対応機器が表示されるので、目的の機器に対して再生させたいコンテンツをドラッグすれば、その機器で再生される。

 筆者は、東芝の「REGZA 42ZS1」を利用しているが、Sony Tablet Sのプレーヤー上ではDLNA機器としてきちんと表示されるのだが、REGZA 42ZS1にコンテンツを転送しようとしても、対応しない形式と表示され、うまく動作しなかった。動画はいくつかの形式で試したが、結果は同じだった。また、音楽やデジカメ写真でも同様だった。ただ、今回試用したのは試作機のため、この個体固有の問題ということも考えられる。

 今回の仕様では、筆者の環境ではうまく動作しなかったものの、標準で赤外線リモコン機能やDLNA対応プレーヤーを標準で用意しているという点は、AV機器メーカーであるソニーらしい特徴と言える。

赤外線リモコン機能。TVやブルーレイレコーダなど、さまざまなAV機器の操作が可能ジェスチャーによる操作にも対応TVやブルーレイレコーダ、AVアンプなど、様々なAV機器に対応
ソニー以外のメーカーのリモコンコードも登録されている学習機能も用意されており、プリセットされていない機器も登録可能だ複数の機器を同時に登録可能。ただし、機器をまたがって操作を行なうマクロ機能は非搭載
ムービープレーヤーやミュージックプレーヤー、ギャラリーはDLNAに対応。コンテンツをDLNA対応機器に転送し再生できるプレーヤーのDLNAボタンを押すと、LAN上のDLNA対応機器が表示され、コンテンツを対応機器にドラッグすればその機器にコンテンツが転送され再生されるミュージックプレーヤーのカバーアートビューでは、ジャケットをばらまいたような表示で、ジャケットをより分けるような操作で再生したいコンテンツを選択できる
ソニーの独自の12音解析技術で、Sony Tabletに保存した音楽を自動分類する「SensMe channels」にも対応デジカメ画像は、ジオタグ情報を読み込み、写真の下に撮影場所を示す地図を表示させることも可能

●プレイステーションのゲームも楽しめる

 Sony Tabletには、他にも独自アプリやサービスが多数搭載されている。中でも目玉的存在なのが、PlayStation Storeから初代PlayStationのゲームをダウンロードし楽しめるというものだ。

 まだサービスが開始されていないため、ダウンロードなどは試せなかったが、購入時に「みんなのGOLF 2」がプリインストールされており、試用機でも楽しむことができた。プレイした感覚は、PlayStation 3のゲームアーカイブスとほぼ同等で、処理がもたつく感覚もなく、スムーズにプレイ可能だった。

 プレイには、画面上に表示されるソフトウェアキーを利用。ただ、ボタンを押すタイミングと操作が画面に反映されるタイミングに多少ズレがあり、ややプレイしづらかったが、これは試作機のため、製品版では改善される可能性が高い。また、Android 3.1ではUSB接続のゲームコントローラに対応したが、Sony Tabletとして基本的にゲームコントローラでのプレイはサポートされない。ただ、実際に試した限りでは、ボタンの位置は異なるものの、Xbox 360用コントローラでのプレイは可能だった。

 また、ピンボールゲーム「Pinball Heroes」を、Sony Tablet用にカスタマイズしてプリインストール。こちらは、画面をタップすることでフリッパーの操作が行なえ、爽快なプレイが可能だ。

 ゲーム以外にも、多数の独自サービスが用意されている。例えば、ソニーのeBOOKストア「Reader Store」から電子書籍をダウンロードし閲覧する機能、ビデオ配信サービス「Video Unlimited」での動画コンテンツのダウンロードなどだ。また、Sony Tabletに最適化されたアプリ配信サイト「Select App」も用意される。ただ、PlayStation Storeも含め、これらサービスは10月以降の提供となるため、今回実際に試すことはできなかった。このあたりは、サービス開始後に再度紹介したいと思う。

初代PlayStation向けのゲーム「みんなのGOLF 2」が標準で付属。また、PlayStation StoreからPlayStation向けのゲームをダウンロードし楽しめるSony Tabletに最適化されたピンボールゲーム「Pinball Heroes」も標準添付。フリッパーをタップで操作でき、かなり快適だ
Sony Reader向けのeBOOKストア「Reader Store」から電子書籍をダウンロードし閲覧が可能Sony Tablet向けのアプリ配信サイト「Select App」も用意される

●ケースやキーボードなど周辺機器も多数用意

 Sony Tablet S用の周辺機器としては、キャリングケースやキャリングカバー、Bluetoothキーボード、クレードルなどが用意される。それら周辺機器をまとめて紹介しておこう。

・キャリングケース「SGPCK1」

 Sony Tablet S専用のキャリングケース。本皮製で、質感はかなり高い。当然専用のキャリングケースなので、サイズもピッタリ。デザインもシンプルで、Sony Tablet Sをスタイリッシュに持ち歩きたい場合に最適だ。

キャリングケース「SGPCK1」。本皮製で質感に優れる純正だけあって、Sony Tablet Sにジャストフィットだ

・キャリングカバー「SGPCV2」

 こちらは、Sony Tablet Sをくるむような形で利用できる、ファブリック製のキャリングカバー。収納時には本体全体を被い、外部からの衝撃を吸収したり、本体にキズが付くのを防いでくれる。また、液晶面カバーを開くだけで簡単に操作が可能。また、カバーの液晶面側には溝があり、本体を立てかけてスタンドとして利用することも可能。キャリングカバー利用時には、Sony Tablet S裏面に固定用のマジックテープを貼り付ることになる。また、本皮仕様のキャリングカバー「SGPCV1」も用意される。

Sony Tablet Sをくるむような形で利用する、ファブリック製のキャリングカバー「SGPCV2」こちらは、革製のキャリングカバー「SGPCV1」。素材以外の仕様は同じ内部はウレタンのクッションなど柔らかい素材が利用されている
Sony Tablet Sに装着した状態付属のマジックテープを裏面に貼って固定することになる裏面のメインカメラ部には穴があいている。また上部赤外線ポート部も穴があいている
本体を開いて溝に立てかけて利用することも可能オプションのクレードルには、キャリングカバーを付けたまま装着可能

・Bluetoothキーボード「SGPWKB1」

 英語配列のBluetoothキーボード。ホームや戻るボタンなど、Android操作用の専用ボタンが左上に用意されている。キー形状は、キーの間が離れた、いわゆるアイソレーションタイプで、キーピッチは約19mm。キャリングカバーや充電用ドックと併用すれば、ノートPCのようにに軽快な文字入力が可能だ。

オプションのBluetoothキーボード。アイソレーションタイプで、配列は英語のみとなるAndroid専用のボタンも用意されている奥が高くなるように傾斜がつけられている

・Sシリーズ専用クレードル「SGPDS1」

 Sony Tablet S専用のクレードル。力を入れずサッと置くだけと着脱しやすい構造が大きな特徴。また、背面のスタンドの位置を2段階に変更でき、クレードルに置いた場合の液晶面の角度を2段階に調節できる点も嬉しい。また、Sony Tablet Sをクレードルに置くと、フォトフレーム機能や時計機能が自動的に呼び出される機能も備えている。ちなみに、クレードルにはACアダプタは付属しておらず、Sony Tablet S付属のACアダプタを取り付けて利用することになる。

Sシリーズ専用クレードル「SGPDS1」クレードルに本体を取り付けた様子。本体の着脱は軽い力で行なえる後方のスタンドは2段階に角度を調節可能
スタンドを起こした状態スタンドをやや引いた状態では、本体の角度がやや深くなる
ACアダプタは本体に付属するものを利用するクレードルとキーボードを利用すれば、小型PCのような感覚で利用可能だ

●快適に利用でき、豊富な独自サービスに魅力を感じる人にオススメ

 Sony Tablet Sのバッテリ駆動時間は、公称でスタンバイ時約430時間、音楽再生時約31時間、ビデオ再生時約6時間、Wi-Fi Web閲覧時約6.2時間とされている。実際にバッテリ駆動時間を検証してみたところ、液晶のバックライト輝度を最低に設定し、無線LANをオン、Bluetoothをオフに設定した状態で、解像度が1,920×1,080ドット、ビットレートが3MbpsのH.264ファイル(Baseline Profile)を連続再生させた場合で、約8時間9分であった。バックライト輝度を最低にすると、かなり暗くなってしまうものの、その状態で8時間を超える駆動を確認したので、もう少し明るくしたとしても6時間は余裕で持ちそうだ。

 次にパフォーマンスの検証だ。まず、ベンチマークソフト「Quadrant Professional Edition」を利用してパフォーマンスを検証してみたところ、総合値はレノボのAndroid 3.1タブレット「IdeaPad Tablet K1」とほぼ同等であった。細かなパフォーマンスを見ると、CPUやI/Oなどで若干の差が見られるが、使用感はほぼ差がないと考えていい。

Quadrant Professional総合スコア
Quadrant Professional詳細スコア

 また今回は、「AnTuTu Benchmark 2.1」も利用した。こちらの結果では、Sony Tablet Sが他のAndroid 3.1タブレットより上回っている。とはいえ、その差はそれほど大きいものではない。スペックが横並びのため、やはり性能的にもほぼ横並びと考えていいだろう。

【表】AnTuTu Benchmark 2.1
AnTuTu Benchmark 2.1Optimus Pad(L-06C)
Android 3.1
Optimus Pad(L-06C)
Android 3.0
XOOM Wi-Fi TBi11M
Android 3.1
IdeaPad Tablet K1
Android 3.1
Sony Tablet S
RAM818.8738828818819
CPU integer1170.21148.611831169.41170
CPU float-point1017.81044.2103510161018
2D graphics265.2255.4246291.8293
3D graphics821.8757759802.2811
Database IO282315370175325
SD card write149.8150105130.695
SD card read172.4177.4159130.6192
Total score46984585.646854533.64723

 Sony Tablet Sは、スペックだけを見ると、他のAndroid 3.1タブレットとほぼ同等だが、さまざまな独自機能や独自アプリ、豊富なサービス、独特な本体デザインなどによって、他の製品とは一線を画す魅力が実現されている。店頭予想価格は、16GB+Wi-Fiが45,000円前後、32GB+Wi-Fiが53,000円前後と、後発のタブレットとしてはやや高価ではあるが、それを補ってあまりある魅力がSony Tablet Sにはある。購入した直後から、豊富なアプリや独自サービスを利用して活用できるという点に魅力を感じる人はもちろん、これからAndroidタブレットを購入しようと考えている人まで、広くオススメしたい製品だ。

バックナンバー

(2011年 9月 7日)

[Text by 平澤 寿康]