日本HP「HP All-in-One PC200」
~10万円を切る3波デジタルチューナ搭載液晶一体型PC



日本HP「HP All-in-One PC200」

4月20日 発売
価格:99,600円~



 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)から登場した「HP All-in-One PC200」(以下All-in-One PC200)は、21.5型ワイド液晶を搭載した液晶一体型PCだ。同社では、2010年3月に18.5型ワイド液晶を搭載した「HP Pavilion All-in-One PC MS200」を発売しているが、All-in-One PC200は、その上位モデルとなる。All-in-One PC200は、地上/BS/110度CSの3波デジタルチューナを搭載していることが特徴だ。直販モデルと店頭モデルの2モデルがあり、後者のほうがCPUやHDD容量などのスペックが高い。直販モデルの価格は99,960円と、10万円を切っており、コストパフォーマンスも魅力だ。今回は、直販モデルを試用する機会を得たので、さっそくレビューしていきたい。

●デュアルコアのPentiumを搭載

 All-in-One PC200のボディは、一見ただの液晶TVか液晶ディスプレイのように見える、オーソドックスでシンプルなデザインである。上品で目立ちすぎないため、万人向けであろう。ボディカラーは光沢のあるブラックのみだ。本体サイズは、545.5×428.56×220.09mm(幅×高さ×奥行き)で、重量は約8.25kgである。220.09mmという奥行きはスタンドの奥行きであり、本体部分の厚さは65.19mmとかなりスリムだ。

 直販モデルでは、CPUとしてPentium E5400(2.7GHz)を搭載。Pentiumというブランド名が付いているが、デュアルコアCPU「Core 2 Duo」の廉価版であり、このクラスとして必要にして十分なパフォーマンスを実現できる。店頭モデルでは、上位のCore 2 Duo E7500(2.93GHz)が搭載されている。チップセットは、グラフィックス機能統合型のIntel G45S Expressを搭載。メモリはPC3-10600 DDR3 SO-DIMMスロットが2基用意されており、直販モデルでは1GB SO-DIMM×2の2GB、店頭モデルでは2GB SO-DIMM×2の4GBが実装されている。なお、メモリの最大容量は4GBなので、店頭モデルのメモリをそれ以上増設することはできない。HDD容量は、直販モデルが500GB、店頭モデルが750GBである。OSは、Windows 7 Home Premium 32bit版がプリインストールされている。

●ノングレアタイプのフルHD表示対応液晶を採用

 液晶は21.5型ワイドで、解像度は1,920×1,080ドットのフルHDである。コンシューマ向けの液晶一体型PCでは、光沢タイプの液晶を採用しているものが多いが、All-in-One PC200の液晶はノングレアタイプであり、外光が映り込みにくい。むしろ、液晶周囲のベゼル部分が光沢のあるブラックなので、ベゼル部分への映り込みが気になる。ノングレアタイプのほうが、まぶしさを感じにくく、長時間使っていても疲れが少ない。解像度が高いので、複数のウィンドウを同時に開いても快適に作業がおこなえる。また、輝点ゼロが保証されていることも評価できる。液晶上部には、VGA解像度のWebカメラとアレイマイクが搭載されており、ビデオチャットなどに利用できる。

 スタンドにはスイベル機構が搭載されており、スタンドを動かさずに液晶を左右に回転できる。また、前後のチルト調整も可能で、チルト角度は0~30度である。

解像度は1,920×1,080ドットのフルHD対応。コンシューマ向け液晶一体型PCとしては珍しく、ノングレアタイプなので、外光が映り込みにくい液晶上部に、VGA解像度のWebカメラとアレイマイクを搭載。ビデオチャットなどに利用できるスタンド部分には左右に回転が可能なスイベル機構が搭載されている
液晶は前後に傾ける(チルト)が可能。これは、液晶をもっとも立てた状態液晶は最大30度まで上向きに傾けられる


●地上/BS/110度CS対応3波チューナを搭載

 All-in-One PC200は、地上/BS/110度CS対応の3波デジタルチューナを搭載しており、地上デジタル放送やBS/110度CSデジタル放送の番組の視聴や録画が可能なことも魅力だ。チューナカードはAVerMedia製で、背面右上のカバーを外してB-CASカードを装着する。TV放送の視聴や録画は、Windows 7標準のWindows Media Center機能を利用する。

 なお、地上デジタル放送用とBS/110度CSデジタル用ではアンテナ端子が別々になっているので、両方を視聴する場合は、両方のアンテナ端子にアンテナケーブルを接続する必要がある。アンテナ端子は別々だが、地上デジタル放送とBS/110度CSデジタル放送を同時に視聴することや録画することはできない。データ放送の双方向サービスやダビング10にも対応しており、Windows Media Center対応の赤外線リモコンも付属しているので、離れた場所から家電感覚で操作できる。

 キーボードは有線接続のUSBキーボードで、キーピッチは広く、キー配列も標準的なので使いやすい。マウスも一般的な光学式ホイールが付属する。キーボードやマウスは無線式のほうが、ケーブルが邪魔にならず、離れた場所からでも利用できるので便利だが、コストを重視して有線タイプを選択したのであろう。なお、キーボードは底面の中央が凹んでおり、使わないときには、本体のスタンド部分に収納できるようになっている。

TVの視聴や録画にはWindows Media Center機能を利用。EPGを使った番組の録画予約が可能背面右上のカバーを外すと、B-CASスロットとSO-DIMMスロットが現れる。SO-DIMMスロットは2基用意されているが、標準で1GB SO-DIMMが2枚装着されており、空きスロットはないキーボードは有線接続タイプ。キーピッチは広く、キー配列も標準的なので、快適にタイピングが可能。テンキーの上には、ミュートボタンや音量調整ボタンが用意されている
付属マウスは有線接続タイプの光学式。ホイール付きで左右対称デザインの一般的なものだマウスの底面。レーザー方式ではなく通常の光学式だが、使い勝手は良好だ付属の赤外線リモコン。Windows Media Center機能を離れた場所から操作できる


●LightScribe対応DVDスーパーマルチドライブを装備

 光学ドライブとして、右側面にDVDスーパーマルチドライブを搭載しているが、このDVDスーパーマルチドライブはメディアのレーベル面に直接印字できるLightScribe機能をサポートしている。LightScribe機能の利用には、LightScribe対応メディアが必要だが、プリンタを使わずにレーベル面に文字や画像を印字できるのは便利だ。

 インターフェイスとしては、USB 2.0×7(左側面2、背面5)やGigabit Ethernetなどを備えるほか、SDカード/メモリースティック/xD-Picture Cardに対応した6in1メディアスロットも搭載する。ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11b/g/n対応無線LANをサポートしているが、Bluetoothには対応していない。

 電源回路は内蔵しておらず、電源は付属のACアダプタ経由で供給される。出力は150WとノートPCのACアダプタに比べると大きいので、サイズもやや大きめだ。

 独自ソフトとして、ランチャーソフトの「PC Dock」とマルチメディアプレイヤーの「HP MediaSmart」がプリインストールされている。HP MediaSmartは、DVD、音楽、フォト、ビデオの4つのモードを備え、直感的な操作でデジタルコンテンツを楽しめる。

左側面には、6in1メディアスロットとUSB 2.0×2、マイク入力、ヘッドフォン出力が用意されている左側面のポート部分のアップ右側面には、光学ドライブのイジェクトボタンと輝度調整ボタンが用意されている
右側面にDVDスーパーマルチドライブを搭載している背面には、Gigabit Ethernet、USB 2.0×5、地デジ用アンテナ入力、BS/110度CS用アンテナ入力、ライン出力が用意されている背面ポート部分のアップ
付属のACアダプタ。出力は150Wで、サイズはかなり大きいCDケース(左)とのACアダプタのサイズ比較オリジナルランチャーソフトの「PC Dock」。アプリケーションをジャンルごとに登録し、呼び出すことが可能
オリジナルのマルチメディアプレイヤーの「HP MediaSmart」のフォト画面。スライドショーやCDの作成もおこなえる


●Core 2 Duo搭載ノートPCと同等以上の性能

 参考のためにベンチマークを計測してみた。利用したベンチマークプログラムは「PCMark05」、「3DMark03」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark」である。比較対照用として、レノボ「IdeaCentre A600」「ThinkPad X201」「ThinkPad T400s Windows 7モデル」、デル「Studio 15 OPIデザイン」の値も掲載した。

 PCMark05の総合スコアであるPCMarksは5071で、通常電圧版のCore 2 Duo搭載のThinkPad T400sよりも13%ほど高い。CPUクロックが高いだけでなく、HDDが3.5インチなのでディスクパフォーマンスが高いということも効いているのであろう。今回試用した直販モデルの実装メモリは2GBだが、Windows 7 Home Premiumも快適に動作していた。ただし、単体GPUは搭載しておらず、チップセット統合のグラフィックス機能を利用しているので、3D描画性能に関しては期待できない。総合的にみて、Core i5搭載ノートPCには多少見劣りするものの、Core 2 Duo搭載ノートPCとは同等以上の性能を持つといってよいだろう。

【ベンチマーク結果】
 HP All-in-One PC200IdeaCentre A600ThinkPad X201ThinkPad T410sThinkPad T400s
Windows 7モデル
Studio 15 OPIデザイン
CPUPentium E5400(2.7GHz)Core 2 Duo P8700(2.53GHz)Core i5-540M(2.53GHz)Core i5-520M(2.4GHz)Core 2 Duo SP9400(2.4GHz)Core i5-430M(2.26GHz)
ビデオチップIntel G45S内蔵コアMobility Radeon HD 4350CPU内蔵コアCPU内蔵コアIntel GS45内蔵コアMobility Radeon HD 4570
PCMarks5071N/A616356774480N/A
CPU Score654063937637737560926677
Memory Score494152536286618452765738
Graphics Score200244422670261020575234
HDD Score769367385534429144714646
3DMark03
1024×768ドット32ビットカラー(3Dmarks)2855889041114101249310687
CPU Score10061604112110689801604
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH262358722516245824875991
LOW391188073885380838688933
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP99.9799.9710096.6399.93100
HP99.9710010099.9799.93100
SP/LP99.9799.9799.9710099.9799.97
LLP99.9799.9710099.9799.97100
DP(CPU負荷)504019214819
HP(CPU負荷)362310121911
SP/LP(CPU負荷)201377108
LLP(CPU負荷)21106678
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード115.4MB/s123.1MB/s72.04MB/s36.20MB/s47.04MB/s60.85MB/s
シーケンシャルライト120.6MB/s122.9MB/s70.53MB/s40.05MB/s48.16MB/s60.53MB/s
512Kランダムリード28.84MB/s53.46MB/s32.85MB/s23.30MB/s26.89MB/s27.79MB/s
512Kランダムライト80.88MB/s75.92MB/s35.23MB/s24.25MB/s30.03MB/s40.09MB/s
4Kランダムリード0.462MB/s0.751MB/s0.462MB/s0.425MB/s0.450MB/s0.424MB/s
4Kランダムライト0.800MB/s1.665MB/s1.171MB/s0.961MB/s1.049MB/s1.399MB/s


●コストパフォーマンスの高さが魅力

 All-in-One PC200は、3波デジタルチューナとノングレアのフルHD液晶を搭載しながら、直販モデルでは10万円を切る価格を実現しており、コストパフォーマンスは高い。単体GPUを搭載していないので、ゲーム用途には向かないが、Webやメール、文書作成などをおこなうのなら、十分なパフォーマンスである。1台でTVとPC、DVDレコーダーの3役を果たすので、一人暮らしを始めた人など、できるだけ部屋に置く機器を減らしたいという人にもお勧めだ。

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(2010年 5月 13日)

[Text by 石井 英男]