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旧世代と見た目は同じ、でも中身は全くの別物。「Google Pixel 10」シリーズの“真の進化”を徹底検証
2025年8月28日 02:00
Googleから、最新スマートフォン「Google Pixel 10」(以下、Pixel 10)シリーズが発売された。「Pixel 10」「Pixel 10 Pro」「Pixel 10 Pro XL」「Pixel 10 Pro Fold」の4モデルが1度に発表され、日本でも全モデルが発売となる。
このうち、8月28日に発売となる、Pixel 10 Pro Foldを除く3モデルをいち早く試用できたので、それらのハード面を中心に紹介する。直販価格はPixel 10が12万8,900円から、Pixel 10 Proが17万4,900円から、Pixel 10 Pro XLが19万2,900円から。なお、試用機は発売前の評価機のため、ベンチマークテストは行なえず、製品版とは仕様が異なる部分が存在する可能性がある点はご了承願いたい。
本体サイズやデザインは従来モデルとほぼ同じ
Pixel 10シリーズの本体デザインは、従来モデルのPixel 9シリーズで採用された本体デザインをほぼそのまま踏襲している。
側面フレームは、垂直に切り落としたフラットなデザインを引き続き採用。この側面フレームに、ディスプレイ面、背面ともにガラスを組み合わせた、従来同様の構造だ。四角のカーブが比較的なだらかな点も変わっていない。
また、Pixelシリーズで最大の特徴でもある背面カメラバーのデザインも、従来モデル同様。カメラバー側面も、本体側面フレーム同様に垂直に切り落とされており、カメラバー自体は楕円柱的なデザインを採用。側面フレームから切り離されて独立している点も同様だ。
ただ、カメラバーのサイズはわずかに変わっており、横幅と高さは従来と同等だが、縦の幅が増えている。実際にデジタルノギスで計測してみたところ、Pixel 9シリーズはいずれも約21.6mmだったのに対し、Pixel 10シリーズではいずれも約23mmと、1.4mmほど増えている。見た目には違いはほとんど分からないが、双方を横に並べて比べてみると、Pixel 10シリーズのほうがカメラバーの存在感がわずかながら強調されているように感じる。
側面フレームおよびカメラバーのフレーム部には、100%のリサイクルアルミニウムを引き続き採用。側面およびカメラバーのフレーム部はPixel 10がつや消しのサテン仕上げ、Pixel 10 Pro/Pro XLは光沢仕上げとなる。
ディスプレイ面および背面のガラスは、全モデルとも米Corning製強化ガラス「Gorilla Glass Victus 2」を採用。背面ガラスは、Pixel 10が光沢仕上げ、Pixel 10 Pro/Pro XLがつや消しのマット仕上げとなる。
なお、側面および背面の仕上げによらず、いずれも従来同様にすべすべで滑りやすい印象だ。そのため、できればケースを装着して持ち歩くことをお勧めする。
本体カラーは、Pixel 10がIndigo、Frost、Lemongrass、Obsidianの4色、Pixel 10 Pro/Pro XLがMoonstone、Jade、Porcelain、Obsidianの4色を用意する。試用機は、Pixel 10がObsidian、Pixel 10 ProがJade、Pixel 10 Pro XLがMoonstoneだった。
全モデルとも重量が200gを超えた
本体サイズは、Pixel 10が72×8.6×152.8mm、Pixel 10 Proが76.6×8.6×162.8mm、Pixel 10 Pro XLが76.6×8.5×162.8mm。Pixel 10とPixel 10 Proは厚さが0.1mm増えているが、幅、高さはPixel 9シリーズと全く同じ。Pixel 10 Pro XLは厚さも含めて従来モデルと全く同じだ。
ただ、先ほども紹介したように、Pixel 9シリーズとサイズがほぼ同じでも、背面カメラバーの縦幅が増えている点や、後ほど紹介するように下部側面の仕様も変更されているため、Pixel 9シリーズのケースは利用できない。
重量は、Pixel 10が204g、Pixel 10 Proが207g、Pixel 10 Pro XLが232g。Pixel 9は198g、Pixel 9 Proは199gとかろうじて200gを切っていたが、いずれもついに200g越えとなった。全モデルとも重量が増えており、Pixel 10は6g、Pixel 10 Proは8g、Pixel 10 Pro XLは11gの重量増となっている。
この重量増は、後ほど紹介する内蔵バッテリ容量が増えたことが主な要因と考えられる。ただ、実際にPixel 9シリーズと持ち比べてみても、重量の差はほとんど認識できない。そうは言っても、やはり軽ければ軽い方がありがたいのも事実で、シリーズ全モデルで重量が200gを超えたのは少々残念な印象だ。
最新の独自プロセッサ「Tensor G5」を採用
Pixel 10シリーズに搭載されるプロセッサは、全モデルとも最新の独自プロセッサ「Tensor G5」を採用。Tensorシリーズとして初となる、TSMCの3nmプロセスで製造されており、従来のTensor G4と比較してCPU性能が34%、TPUによるAI処理性能が60%向上しているという。Googleによると、過去最大の進化とのことで、その性能が気になるところだが、今回の試用機ではベンチマークテストが利用できないこともあって、今回は直接確認できなかった。
このほか、Pixel 10シリーズの基本スペックは、表にまとめた通りだ。
| Pixel 10 | Pixel 10 Pro | Pixel 10 Pro XL | |
|---|---|---|---|
| SoC | Google Tensor G5 | ||
| メモリ | 12GB | 16GB | |
| 内蔵ストレージ | 128GB/256GB | 256GB/512GB | |
| セキュリティチップ | Titan M2 | ||
| OS | Android 16 | ||
| 更新 | 7年間のOS/セキュリティ/Pixel Dropアップデート | ||
| ディスプレイ | 6.3型有機EL「Super Actuaディスプレイ」、1,080×2,424ドット、アスペクト比20:9、HDR、コントラスト比200万:1、リフレッシュレート60~120Hzスムーズディスプレイ、輝度最大2,000cd/平方m、ピーク時最大3,000cd/平方m | 6.3型LTPO有機EL「Super Actuaディスプレイ」、1,280×2,856ドット、アスペクト比20:9、HDR、コントラスト比200万:1、リフレッシュレート1~120Hzスムーズディスプレイ、輝度最大2,200cd/平方m、ピーク時最大3,300cd/平方m | 6.8型LTPO有機EL「Super Actuaディスプレイ」、1,344×2,992ドット、アスペクト比20:9、HDR、コントラスト比200万:1、リフレッシュレート1~120Hzスムーズディスプレイ、輝度最大2,200cd/平方m、ピーク時最大3,300cd/平方m |
| 背面カメラ | 超広角: F値2,2、画角120度、1/3.1型1,300万画素Quad PDセンサー 広角: F値1.7、画角82度、1/2型4,800万画素Quad PDセンサー、光学式手ブレ補正 望遠: F値3.1、画角23度、1/3.2型1,080万画素Dual PDセンサー、光学式手ブレ補正 | 超広角: F値1.7、画角123度、1/2.55型4,800万画素Quad PDセンサー 広角: F値1.68、画角82度、1/1.3型5,000万画素Octa PDセンサー、光学式手ブレ補正 望遠: F値2.8、画角22度、1/2.55型4,800万画素 Quad PDセンサー、光学式手ブレ補正 | |
| 前面カメラ | F値2.2、画角95度、1,050万画素Dual PDセンサー、オートフォーカス | F値2.2、画角103度、4,200万画素Dual PDセンサー、オートフォーカス | |
| モバイル通信 | 5G Sub-6: n1/2/3/5/7/8/12/14/20/25/26/28/30/38/40/41/66/71/75/76/77/78/79 4G LTE: B1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19/20/21/25/26/28/29/30/32/38/39/40/41/42/48/66/71/75 3G: 1/2/4/5/8 GSM: 850/900/1,800/1,900MHz | ||
| 対応SIM | nanoSIM+eSIMまたはeSIM×2 | ||
| 無線LAN | Wi-Fi 6E(IEEE 802.11ax、2×2+2×2 MIMO) | Wi-Fi 7(IEEE 802.11be、2×2+2×2 MIMO) | |
| Bluetooth | Bluetooth 6 | ||
| センサー | 近接センサー、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、磁力センサー、気圧センサー | 近接センサー、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、磁力センサー、気圧センサー、温度センサー | |
| おサイフケータイ | 対応 | ||
| 防水防塵 | IP68 | ||
| 生体認証性能 | ディスプレイ埋め込み型超音波式指紋センサー、顔認証 | ||
| 外部ポート | USB 3.2 Gen2 USB Type-C | ||
| バッテリー容量 | 標準4,970mAh(最小4,835mAh) | 4,870mAh(最小4,707mAh) | 5,200mAh(最小5,079mAh) |
| 急速充電 | 最大30W | 最大45W | |
| ワイヤレス充電 | Qi2(最大15W) | Qi2 25W | |
| サイズ/重量 | 72×8.6×152.8mm/204g | 76.6×8.6×162.8mm/207g | 76.6×8.5×162.8mm/232g |
| カラー | Indigo、Frost、Lemongrass、Obsidian | Moonstone、Jade、Porcelain、Obsidian | |
RAMはPixel 10が12GB、Pixel 10 Pro/Pro XLが16GBと、こちらは従来同様。内蔵ストレージは、Pixel 10が128/256GB、Pixel 10 Pro/Pro XLが256/512GB。Pixel 10 ProとPro XLでは、従来まであった128GBが省かれている。また、海外モデルでは存在する容量1TBモデルが日本で販売されない点も少々残念だ。microSDカードに対応しない点は従来同様。
モバイル通信は、5GはSub6のみ対応でミリ波非対応と、従来同様。対応SIMはnanoSIMとeSIMで、nanoSIM+eSIMまたはeSIM×2の利用が可能。
無線LANは、Pixel 10 Pro/Pro XLでは従来同様Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)対応だが、Pixel 10はWi-Fi 6e(IEEE 802.11ax)へスペックダウンしている。おそらく価格的な問題でWi-Fi 6e対応になったものと考えられるが、従来モデルでWi-Fi 7に対応していたことを考えると残念だ。Bluetoothは、全モデルともBluetooth 6.0対応となる。
生体認証は、従来同様に前面カメラを利用した顔認証とディスプレイ埋め込み型の超音波式指紋認証を搭載。認証精度や利便性は従来モデル同様。顔認証は暗い場所ではほぼ利用できないものの、指紋認証が非常に軽快で、双方を使い分けることで利便性とセキュリティ性を高いレベルで両立可能だ。
センサー類は、従来同様に近接センサー、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、磁力センサー、気圧センサーを搭載、Pixel 10 Pro/Pro XLではそれらに加え温度センサーを搭載する点も従来同様。温度センサーはカメラバーのLEDフラッシュ下に搭載しており、温度計アプリを利用して様々な物体の表面温度を計測できる。
NFC/FeliCa搭載でおサイフケータイをサポートする点や、IP68準拠の防水防塵性能を有する点も従来同様。
接続ポートは従来同様、下部側面にUSB 3.2 Gen2 Type-Cを用意。物理ボタンは右側面上から電源ボタン、ボリュームボタンの並びで、これも従来から変更はない。
Nano SIMカードトレイは、従来は下部側面に配置されていたが、Pixel 10では全モデルとも上部側面へと移動している。それに伴い、下部側面にはUSB Type-Cを挟んで左右にスピーカーが配置されるようになった。
システムUIにMaterial 3 Expressiveを採用
システムUIは「Material 3 Expressive」を始めて採用することで、見た目の印象が従来からかなり変わっている。
ホーム画面で大きく変わったと感じるのが、アプリアイコンの配置だ。従来までは配置できるアプリアイコンは5×5が標準だったのに対し、Material 3 Expressiveでは4×6が標準となった。なお、設定では5×6や3×3、2×2も選択できる。
また、写真をロック画面に適用した場合に、写っている人物などを切り抜いて強調表示するライブエフェクト表示に対応。猫や犬などのペットにも対応可能のようで、これまで以上に印象的なオリジナルのロック画面を作れるようになった。同時に、ロック画面の「常に表示状態のディスプレイ」を有効にすると、設定した壁紙が常に薄くふんわり表示するといったエフェクトも備わっている。
同時に、一部アプリのUIもMaterial 3 Expressiveに合わせて刷新されている。レコーダーやカメラ、時計、Googleフォトの編集メニュー、Fitbitなどのアプリが該当しており、いずれもボタンなどが見やすくなり操作性が向上したような印象だ。
Material 3 Expressiveを採用したこれらアプリは、Pixel 9シリーズなどの従来モデルでもすでにアップデートで適用され利用できる。またMaterial 3 ExpressiveのシステムUIも、将来のシステムソフトウェア更新に合わせ、従来モデルにも順次展開されていくと思われる。
バッテリ容量が増え、ワイヤレス充電「Qi2」もサポート
バッテリ容量は、Pixel 10が4,970mAh、Pixel 10 Proが4,870mAh、Pixel 10 Pro XLが5,200mAhと、いずれも従来より容量が増えている。駆動時間も、全モデルとも30時間以上に延びている。なお、「スーパーバッテリーセーバー」使用時の駆動時間は最長100時間と従来同様。
有線での急速充電は、Pixel 10およびPixel 10 Proは30W以上のUSB PD/PPS充電器利用時に約30分で最大55%の容量を充電、Pixel 10 Pro XLは45W以上のUSB PD/PPS充電器利用時に約30分で最大70%の容量を充電できる。
そして、充電周りでの大きな進化が、ワイヤレス充電「Qi2」の対応だ。メジャーブランドのAndroidスマートフォンでQi2に対応するのはPixel 10シリーズが初となる。
Qi2対応によって、iPhoneでMagSafeを利用する場合同様に、充電アダプタをマグネットで装着可能となった。これにより、充電アダプタと本体の設置位置がずれて正常に充電できなかったというトラブルも発生せず、安定したワイヤレス充電が可能だ。
Pixel 10とPixel 10 Proでは、Qi2対応充電器を利用することで、最大15Wでのワイヤレス充電が可能。そして、Pixel 10 Pro XLでは、上位規格「Qi2 25W」に対応。Qi2 25W対応の充電アダプタを利用することで、最大25Wのワイヤレス充電が可能だ。
Pixel 10シリーズのQi2対応に合わせ、Qi2 25W対応のワイヤレス充電器「Pixelsnap充電器」もアクセサリとして用意される。今回、Pixelsnap充電器は試用できず、Qi2 25W対応のワイヤレス充電器も入手できなかったため、Pixel 10 Pro XLでのQi2 25Wでの充電は試せなかったが、手持ちのQi2充電器を利用した充電は全機種とも問題なく行なえた。
また、各モデルに用意される純正ケースも、マグネット内蔵の「Pixelsnapケース」となり、ケースを装着した状態でQi2対応充電器を装着して充電可能だ。
このほか、マグネットで装着するスタンドなどのQi2/MagSafe対応アクセサリも利用可能。MagSafe向けのスタンドなどを試してみたが、最も重いPixel 10 Pro XLも安定して保持できた。豊富なMagSafeアクセサリを活用できるようになった点は、Pixel 10シリーズの利便性を大きく高めてくれるだろう。
なお、今後Pixelsnapを入手次第、ワイヤレス充電まわりをあらためてチェックする予定だ。
より明るくなったディスプレイを搭載
ディスプレイは、サイズや表示解像度は従来から変わっていない。また、ベゼル幅や、上部中央に前面カメラのパンチホールがある点も従来同様だ。しかし、全モデルとも輝度が高められており、明るい屋外での視認性が高められている。
Pixel 10はサイズが6.3型で1,080×2,424ドット表示、リフレッシュレート60~120Hzのスムーズディスプレイに対応する有機EL「Super Actuaディスプレイ」を搭載。輝度は最大2,000cd/平方m、ピーク時最大3,000cd/平方mとなり、Pixel 9 Pro/Pro XLと同等の輝度となった。
Pixel 10 Proはサイズが6.3型で1,280×2,856ドット表示、リフレッシュレート1~120Hzのスムーズディスプレイに対応するLTPO有機EL「Super Actuaディスプレイ」、Pixel 10 Pro XLはサイズが6.8型で1,344×2,992ドット表示、リフレッシュレート1~120Hzのスムーズディスプレイに対応するLTPO有機EL「Super Actuaディスプレイ」をそれぞれ搭載。輝度は双方とも最大2,200cd/平方m、ピーク時最大3,300cd/平方mに高められている。
実際に直射日光下での視認性をチェックしてみたところ、Pixel 9シリーズも視認性に優れていたが、Pixel 10シリーズでは、よりはっきり表示内容を確認できた。利便性という意味でも、これは大いに歓迎できる。
Pixel 10の背面カメラが望遠レンズを加えた3眼構成に
背面カメラは、従来モデルではPixel 9が超広角と広角の2眼構成、Pixel 9 Pro/Pro XLが超広角、広角、望遠の3眼構成だった。それに対しPixel 10シリーズでは、Pixel 10も含めて全モデルが超広角、広角、望遠の3眼構成となった。
Pixel 10の背面カメラは、超広角がF値2.2、画角120度のレンズに1/3.1型1,300万画素Quad PDセンサーの組み合わせ、広角がF値1.7、画角82度のレンズに1/2型4,800万画素Quad PDセンサーの組み合わせ。新たに追加された望遠は、望遠は広角に対して5倍相当のF値3.1、画角23度のレンズに、1/3.2型1,080万画素Dual PDセンサーの組み合わせ。広角と望遠のレンズは光学式手ブレ補正機構が備わる。
撮影倍率は、広角を1倍として超広角が0.5倍、望遠が5倍。マクロフォーカスにも対応しているが、Pixel 9のマクロフォーカスは超広角を利用していたのに対し、Pixel 10のマクロフォーカスは広角を利用する。
細かい仕様を従来モデルと比べると、広角レンズのセンサーが1/1.31型から1/2型に小型化している。画素数は5,000万画素から4,800万画素に減っているが、センサーサイズが小さくなったことで、画素サイズも小さくなっており、当然光を取り込む量も減る。そのため、暗所撮影能力は低下していると考えるのが自然だ。
同時に、超広角レンズのセンサーも従来の1/2.55型から1/3.1型に小さくなり、画素数も4,800万画素から1,300万画素に大きく減っている。画素数が大幅に減ったことで、センサーが小さくなっても画素あたりの面積は増えている。
しかし、従来は通常の1,200万画素相当での撮影時に4つの画素を1つの画素として利用していたため、1/2.55型1,200万画素相当で利用できていた。そのため、Pixel 10の超広角も実質的に画素サイズが小さくなった形で、超広角での暗所撮影能力も不利になったと考えられる。
ただ、PixelのカメラはAI処理によって画質を引き上げられるため、そこまで不安になる必要はないだろう。
新搭載の望遠は、1/3.2型1,080万画素センサー採用で、上位モデルの望遠よりもスペックは弱い。それでも、従来の広角を利用したデジタルズームよりは望遠撮影時の画質は向上する。しかもデジタルズームも従来の最大7倍から最大20倍となったことで、より遠くのものを大きく撮影できるようになった。こちらは進化と言っていいだろう。
以下は、Pixel 10の背面カメラで撮影した、超広角、広角、広角2倍、望遠、20倍デジタルズームで撮影した写真だ。
Pixel 10 Pro/Pro XLの背面カメラモジュールや前面カメラは従来と同じ
それに対し、Pixel 10 ProとPixel 10 Pro XLの背面カメラは、双方とも全く同じ仕様。そして、従来モデルの背面カメラとも全く同じ仕様で、従来と同じカメラモジュールがそのまま搭載されている形だ。
具体的には、超広角がF値1.7、画角123度のレンズに1/2.55型4,800万画素Quad PDセンサーの組み合わせ、広角がF値1.68、画角82度のレンズに1/1.3型5,000万画素Octa PDセンサーの組み合わせ、望遠がF値2.8、画角22度のレンズに1/2.55型4,800万画素 Quad PDセンサーの組み合わせ。広角と望遠のレンズは光学式手ブレ補正機構が備わる。
撮影倍率は、広角を1倍として超広角が0.5倍、望遠が5倍となる。マクロフォーカスは従来同様に超広角を利用する。デジタルズームについては、のちほど詳しく紹介する。
前面カメラは、全モデルとも従来モデルと同じ仕様。Pixel 10はF値2.2、画角95度のレンズと1,050万画素Dual PDセンサーの組み合わせ、Pixel 10 Pro/Pro XLはF値2.2、画角103度のレンズと4,200万画素Quad PDセンサーの組み合わせとなり、いずれもオートフォーカス対応だ。
以下は、Pixel 10 Pro XLで筆者が撮影した写真だ。言及のない写真は、いずれも背面カメラの広角1倍で撮影したものとなる。
「カメラコーチ」や「オートベストテイク」などの新しいAI撮影機能を追加
Pixel 10の背面カメラは3眼仕様に変更されたが、ハードウェアの仕様はやや劣化している。またPixel 10 Pro/Pro XLの背面カメラは従来と同じカメラモジュールを搭載。そのため、背面カメラのハードウェアは、Pixel 10が3眼仕様となった点以外に特に進化は見られない。それに対し、AIを駆使した撮影機能としては、新機能がいくつか追加されている。
まず、全モデルで利用できるのが「カメラコーチ」。カメラコーチは、Googleの生成AI「Gemini」を活用し、最適な構図を提案する機能だ。
撮影時に、カメラアプリ右上に表示されるカメラ型のアイコンをタップすると、カメラコーチが起動。撮影しようとしている被写体や背景などをGeminiが解析して、お勧めの構図の候補をいくつか提案してくれる。その中から気に入った候補を選択すると、構え方や撮影位置、ズーム使用などを指示してくれる。その指示通りに操作するだけで、最適な構図に近い写真が撮影できる。これにより、写真撮影初心者でも、印象的な写真を簡単に撮影できるというわけだ。
実際に試してみると、自分では考えていなかった構図を提案されることもあり、新鮮な写真撮影を体験できた。また、写真撮影の腕を上げるのにも役立ちそうだ。
なお、カメラコーチは、クラウドの大規模Geminiモデルを活用するため、利用時にはネット接続が必須となる。
Pixel 8シリーズで登場した「ベストテイク」を進化させた「オートベストテイク」では、集合写真撮影時に数秒間で最大150枚のフレームから全員の最適な表情を抽出し、自動で合成して写真を作り上げる機能。従来のベストテイクでは集合写真撮影後に編集する必要があったが、オートベストテイクならシャッターボタンを押すだけで、その場で自動的に処理され最適な集合写真ができあがる。これは、かなり利便性が高まったと感じる。
「超解像ズームPro」は写真と呼んでいいのか
そして、Pixel 10 ProとPixel 10 Pro XLでのみ利用できる新機能が「超解像ズームPro」だ。
Pixel 9シリーズの超解像ズームは、光学5倍とデジタルズームを組み合わせて最大30倍の望遠撮影が可能だった。それに対しPixel 10 Pro/Pro XLの超解像ズームProでは、デジタルズーム撮影時に拡散モデルを利用した画素補完を組み合わせることで、最大100倍の超高倍率望遠撮影を実現している。拡散モデルによる画素補完処理は、30倍以上の望遠撮影時に実行される。
以下に掲載したのが、Pixel 10 Pro XLで30倍、50倍、75倍、100倍で撮影し、超解像ズームProで画素補完処理された写真と、処理前の写真だ。これを見ると分かるように、超解像ズームProで画素補完処理されることで、デジタルズームとは思えないほどくっきりとした写真が出来上がっている。
ただ、これを“写真”と言っていいのかというと、かなり疑問を抱くのも事実だ。
上の鉄塔の写真は、比較的破綻が少なく画素補完できていることもあって、まだ写真っぽい仕上がりではある。とはいえ、AIによって画素補完されているのだから、実際の被写体そのものが正しく写っているわけではない。
そして、以下の写真はいずれも100倍で撮影したものだが、旅客機の写真は形は比較的くっきりしているものの機体に施されたデザインは破綻しているし、鳩の写真は鳩っぽくは見えるが頭はなんだかよく分からない生き物に仕上がっているし、リモコンの写真では意味不明の文字が作り上げられた。ここまでくると、もはや写真の体をなしておらず、“創作”と言われても仕方がないと感じる。
ちなみに、超解像ズームProで画素補完処理を行なう場合には、処理前のデータもそのまま保持される。その処理前のデータに関しては写真と呼んでいいと思うが、処理後の画像は“写真”と呼んではいけない気がする。
超解像ズームProの特性を理解して使うのであれば、有効に活用できる場面もあるだろう。また、夜景モードなどのAI処理と何が違うんだ、という意見もあるだろう。ただ、データとして存在しない情報をAIで補完して作り出している以上、超解像ズームProで画素補完した画像を“写真”として活用するのは避けるべきだ、というのが筆者の本音だ。
Pixel 10シリーズで撮影した写真全てに「C2PA」情報を付加
Pixel 10シリーズでは、カメラアプリで撮影した写真全てに「C2PA」情報が付加される。Googleは、Pixel 10シリーズがネイティブカメラアプリにC2PAを実装する初めてのスマートフォンとしている。
C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)とは、デジタルコンテンツの出所や編集履歴などを証明するための標準化団体のことで、Pixel 10で撮影した写真には、C2PAの仕様に準拠した改変不可能なメタデータが標準で付加される。
フォトアプリで撮影した写真の詳細情報を確認すると、「作成方法」の「コンテンツ認証情報」として「カメラ撮影のメディア」という情報が付加されていることが確認できる。これは、Pixel 10シリーズのカメラで撮影した写真であることを示す。
そして、各種AI機能を利用して編集したり補正した写真では、「AIツールで編集」という項目も追加される。これにより、そのデータがカメラで撮影したあとに編集されていると確認できるわけだ。
近年、SNSなどでフェイク画像が拡散する例が増えている。以前は一目でフェイクと判断できるものも多かったが、最近は生成AIの精度が向上し、フェイクと判断しづらい画像を誰でも簡単に生成できるようになった。そのため、写真や画像がフェイクではないことを証明する技術の必要性は大きく高まっている。
C2PAの運営委員でもあるGoogleは、そういった問題に対処するために、今回Pixel 10でのC2PA対応を実現した形だ。現段階では、C2PA情報を意図的に削除できてしまうため、まだ完ぺきではないかもしれない。それでも、Pixel 10シリーズで撮影したり編集した写真データに標準で来歴が記録されることは、写真データの信頼性を高めるという意味で、Pixel 10ユーザーにとって有用な仕組みと言える。
「マジックサジェスト」など新たなAI機能も多く搭載
Pixel 10シリーズには、新たなAI機能がいくつか搭載されるが、その中で最も特徴的な機能が「マジックサジェスト」だ。ユーザーが行なっている作業に合わせて、それに関連する情報などをAIが提案してくるというものだ。
たとえば、Googleメッセージでメッセージが送られてきた場合、その内容をAIが解析し、それに関連する情報を表示してくれる。実際に、筆者はちょうど8月27日の特急あずさをWebで予約していて、その予約情報がGmail宛に届くとともに、カレンダーにも予定が登録されている状態だったので、ほかのスマートフォンから「8月27日のあずさの予約、何時だっけ」とメッセージを送ってみた。すると、そのメッセージを受け取ったPixel 10 Pro XLでGoogleメッセージを開くと、カレンダーに登録されている特急あずさの予約情報が提案された。いちいちカレンダーを開いて予定を確認することなく情報が提案されるのは、なかなか便利だ。
このほか、メッセージに関連する共有すべき写真を表示したり、電話をかける場合に電話相手に関連するメールなどの情報を表示する、といったアクションも行なわれる。
マジックサジェストの提案は、Gmail、カレンダー、スクリーンショット、Googleメッセージ、Keepメモなどのアプリデータを解析して行なわれる。利用するアプリデータは設定で個別に指定でき、アプリデータの解析や利用は全てTensor G5によりオンデバイスで処理されるとのことなので、プライバシー保護の観点でも安心して利用できるだろう。
「Daily Hub」という機能も新機能の1つ。こちらは、Gmailやカレンダーなどの情報から当日や翌日の予定をリマインダー的に表示したり、天気情報などから気を付けるべきことを提案してくれる。もちろん、カレンダーや天気情報アプリなどで確認すればいいことでもあるが、ロック画面やGoogle Discoverなどから簡単に呼び出して確認できるため、使ってみると思った以上に便利に活用できる印象だ。
このほか、外国語の相手に電話をかけるときなど、AIによる音声認識と翻訳、音声合成を同時に活用し、自分の言葉をリアルタイムで音声認識しつつ翻訳し、自分の声色に近い音声を合成して相手に伝える「マイボイス翻訳」も、かなり大きな新機能だ。
今回は時間的に実際に試せなかったが、事前に行なわれたデモでは、自動翻訳と音声合成で問題なくコミュニケーションが取れることが示された。しかも、合成される音声が話者の声色に近いという点も驚かされる。この音声認識と翻訳、音声合成は全てオンデバイスで処理されるため、通話内容が外部に流出する心配もない。
日本語と英語では文法の関係上翻訳に少々時間を要するが、ほぼリアルタイムで翻訳と音声合成で言語の違う相手とコミュニケーションが取れるのは、かなり便利に活用できるはずだ。
Pixel 10シリーズ登場時点では、日本語から翻訳できる言語は英語に限られるが、今後対応言語は順次増やされる予定とのことで、そちらにも期待したい。
輝度100%での動画連続再生で10~13時間の駆動を確認
前述の通りベンチマークテストは行なえなかったが、動画の連続再生という形でバッテリ駆動時間をチェックしてみた。
今回は、あまり評価時間がなかったこともあり、ディスプレイ輝度を100%に設定した状態で、YouTubeのストリーミング動画を連続再生して検証。動画の解像度はフルHDで、SIMは装着せずWi-Fi接続で行なっている。
この条件で計測したところ、Pixel 10は約13時間09分、Pixel 10 Proは12時間06分、Pixel 10 Pro XLは12時間42分の駆動を確認した。Pixel 10シリーズの駆動時間は公称で30時間以上とされているが、ディスプレイ輝度が100%とかなり過酷な条件だったことを考えても、検証結果はまずまずといったところだろう。
ちなみに、モデルによって多少駆動時間に違いが見られるが、Pixel 10が最も長く駆動したのはディスプレイの表示解像度が最も低いから、Pixel 10 Proが最も短かったのはディスプレイ解像度がPixel 10より高く、搭載バッテリ容量が最も少ないからと考えられる。
ゲームを長時間プレイしたり、カメラで長時間動画撮影したりというように、高負荷が長時間続く使い方をすれば、さらに駆動時間が短くなる可能性が高い。とはいえ、今回の検証条件で最も短かったPixel 10 Proでも12時間超駆動しており、通常利用の範囲内であれば、短時間でバッテリ切れになる心配はないだろう。
ハードウェア的な進化は少ないが、AI機能の強化はかなり魅力あり
今回見てきたようにPixel 10シリーズは、搭載プロセッサがTensor G5に強化されていたり、Qi2対応、Pixel 10の背面カメラが3眼仕様になるなどの変化はあるが、全体的にはハードウェアの進化は少ない。本体デザインも従来からほぼ変化がなく、ハードウェアだけ見るとマイナーバージョンアップという印象を受けるのも事実だ。
そういった中、Pixelシリーズで定評のAI関連機能が強化され、新たな機能を多数盛り込んでいる点は、大きな魅力だ。短時間の利用の中でも、その多くが非常に便利かつ有用と感じるほどで、使い込むほどにその優位性を強く実感できるだろう。
価格は、Pixel 10 ProとPixel 10 Pro XLでは128GBモデルが省かれたことで実質値上げと感じるかもしれない。ただ、同一ストレージ容量なら従来から据え置きで、この点はありがたい。とはいえ、Pixel 10 Pro/Pro XLは従来よりも高価な価格からのスタートとなるため、大容量の内蔵ストレージは不要で安価なモデルが欲しいという人にとって少々残念な形ではある。
それでも、スマートフォンとしての完成度は非常に高い。そのうえで、新たなAI機能の搭載による使いやすさと優れた利便性と合わせ、幅広いユーザーにお勧めしたい。


















































































































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