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Adobeを変えるNVIDIA。生成AIツールなど開発加速。ナラヤンCEOは退任へ

Adobe CEO シャンタヌ・ナラヤン氏(左)とNVIDIA CEO ジェンスン・フアン氏(右)

 NVIDIAは3月16日(現地時間)から、AIソリューション向け年次イベントGTC 2026を開催しており、初日には同社共同創業者でCEOのジェンスン・フアン氏による基調講演が行なわれた。その中でNVIDIAは、Adobeとの協業深化を明らかにしている。

NVIDIAの開発ツールでCreative Cloudの開発加速

AdobeとNVIDIAが協業を発表(イメージ提供: NVIDIA)

 AdobeはNVIDIAとの戦略的なパートナー関係を深化させることで、クリエイター向けツール「Creative Cloud」や、デジタルマーケティング向けツール「Experience Cloud」向けにAdobeが提供している生成AI機能「Firefly」などに、NVIDIA GPUや開発ツールを活用し、より高機能なAIツールの開発を目指す。

 具体的には、NVIDIAが提供するAIやAIエージェント開発ツールの「CUDA-X」「NeMoライブラリ」「Cosmos」「Agent Toolkit」などをAdobeが大規模に活用。それにより、次世代Fireflyの開発などを加速していく。

 また、Photoshop、Premiere Pro、Acrobat、Frame.ioなどのAdobeが提供しているアプリケーションに実装されるAI機能の開発をこれまで以上に加速し、より迅速に新機能を提供していけるようにする。AcrobatとFrame.ioにはNemotronやAgent Toolkitが導入されるという。

 また、AdobeはNVIDIAがデジタルツイン向けに提供しているOmniverseを活用し、クラウドベースの3Dデジタルコンテンツの開発ソリューションを拡充する。これにより、Adobeのコンテンツクリエーションツールを活用するユーザーが、3Dコンテンツをより手軽に作成できるようになる。

ナラヤンCEOが退任予定。AI活用加速を実現する新経営体制に

Adobe CEO シャンタヌ・ナラヤン氏(2025年のAdobe Summitで撮影)

 今回AdobeがNVIDIAとの提携を発表した背景には、以下の関連記事にもあるように、株式市場などからAI開発にあまり熱心ではないと思われており、株価がふるわない状況にあるからと考えることもできる。

 こうした状況を受けて、Adobeは経営体制の一新を行なうことをすでに明らかにしている。Adobeのシャンタヌ・ナラヤン氏は18年間CEOを務めたが、次のCEOが決まり次第退任することを発表している(退任後は取締役会長に留まる予定)。

 18年におよぶナラヤン体制からの脱却により、Adobeにとっても大きな変革期を迎えているといえる。また、今回NVIDIAとの協業を発表したのも、そうした「AIファースト」の経営体制への移行を象徴する動きといえる。

 ナラヤン氏は両社が発表したプレスリリースの中で「コンテンツ制作は爆発的に増加しており、NVIDIAとのパートナーシップはAIの力でクリエイティブおよびマーケティングワークフローを再発明するという共通のビジョンに基づいている。AIがマーケティングチームやメディアエンターテイメントスタジオの働き方を変革する中、AdobeとNVIDIAは協力して高品質で制御可能かつエンタープライズグレードのAIワークフローを未来に提供していく」と述べた。

NVIDIA CEO ジェンスン・フアン氏(1月のCESで撮影)

 NVIDIAのジェンスン・フアン氏は「AIはあらゆる業界の可能性を再定義する力を与えている。20年以上、NVIDIAとAdobeはデザインと創造性の限界を押し広げるためにパートナーシップを組んできた。我々はそのパートナーシップを新たなレベルへと引き上げ、研究チームとエンジニアリングチームを結集し、NVIDIA CUDAとともにAdobeの愛されるアプリケーションを加速させ、顧客体験を変革する最先端のモデルを共同で構築していく」と述べた。