Hothotレビュー
デザイン全振り、外観を魅せるスマホ「CMF Phone 1」を隅々までチェック!
2024年11月1日 06:16
Nothing Technologyから10月1日に発売になったAndroidスマートフォン「CMF Phone 1」。グローバルでは7月に発表され、同時に発表になったスマートウォッチなどの周辺機器は国内でも購入可能になっていたものの、組み合わせて使いたい核となるCMF Phone 1については発売が未定となっており、待望の発売と感じた人は少なくないだろう。
実を言うと筆者もその一人だ。1988年生まれということもあり、小学生の頃に“スケルトン”(編集部注:正しくはトランスルーセントだが、通称)ボディの携帯ゲーム機が流行ったり、高校生くらいの頃に着せ替えできるフィーチャーフォンが流行るなど、Nothing Technologyが発表する多くの製品はまさに「あの頃憧れたガジェットの今の姿」を見せられている感にとにかく惹かれて、真剣に購入を検討している。
今回はNothing TechnologyよりCMF Phone 1をお借りすることができたので、実際に実機を操作し、売りである「着せ替え機構」など含めレビューをお送りする。
CNF Phone 1の仕様を振り返り
CMF Phone 1は チップセットにはMediaTel製の「Dimensity 7300 5G」を採用し、8GBのメインメモリを搭載したミドルレンジのAndroidスマートフォンだ。
本体のストレージ容量は128GBと256GBの2種類が用意され、前者はIIJ限定、後者は本稿執筆時点ではNothingの公式ECサイトでのみ販売されている。ストレージ容量で販路が異なるため購入の際には注意が必要だ。
カメラは約5,000万画素、画角は26mm相当の広角カメラを搭載している。デュアルカメラに見えるがもう片方はポートレートセンサーで通常の撮影時に利用することはできない。最近のスマートフォンとしては珍しい、撮影用のカメラが1つだけという点もある意味特徴といえるだろう。
ディスプレイは約6.67型、解像度は1,080×2,400ドットの有機ELで、輝度は最大で2,000cd/平方mとかなり明るい。リフレッシュレートも最大で120Hzまで対応しているため、ディスプレイ解像度を考えると多くの動画配信サイトにあるフルHD解像度の動画視聴は明るさ含め快適に行なうことができる。
OSはAndroid 14をベースとした「Nothing OS 2.6」を搭載している。基本的にはNothing Phoneシリーズと同様のインターフェイス、機能を有していると言っていいだろう。ドットパターンで描かれた専用のウィジェットやUIの見た目も健在だ。
SIMカードはnanoSIMカードで、DSDVにも対応している。eSIMには非対応で、2枚目のSIMカードはmicroSDカードと排他利用となる。
ネットワーク周りは5Gにも対応し、5GデュアルモードとしてNSAだけでなくSAにも対応している。ミリ派には非対応だが、国内で利用される5Gの対応周波数の中ではn79以外に対応しているため、どの会社のSIMカードを取り付けた場合でも5Gサービスを利用することが可能だ。
売りの着せ替え・カスタマイズを試す
CMF Phone 1の一番の特徴が背面のカスタマイズ機能だ。背面パネルをまるっと取り替えできる着せ替えに加え、専用アクセサリを取り付けて自分好みの1台に仕上げられるようになっている。
個人的には、ゲームのARMORED COREシリーズで自機をカスタマイズする「アセンブル」や、ガンダムシリーズの一部機体にある「ハードポイントへの武装増設」のようなこの仕組みがかなりツボであり、読者の中にも「自分ならこういうカスタマイズがしたい」と考えている人も多いだろう。
バックカバーの交換は4本のネジと、背面右下のスクリューロック、そしてSIMカードトレイを取り外すことで行なえる。
ネジを取り外すためのドライバは着せ替えカバーに同梱されているので別途用意する必要はないが、もちろんサイズが合うドライバを持っていればそちらを使ってもいい。
一通りネジなどを外した後はスクリューロックのあった場所を支点にバックカバーを持ち上げ、隙間にツメを差しこんでバックカバーを剥がしていくようにして外すのだが、これが結構力がいる。
バックカバーは意外と薄く、ツメで留められている箇所に注意しながら外していかないと破損してしまうため、外すのに力がいるとは書いたものの、力ずくで剥がすようにするのはオススメしない。
バックカバーを外した後は逆の手順で違うカラーのバックカバーを取り付けたり、スクリューロックと交換できるアクセサリなどを取り付けながら組み立てていけばカスタマイズは完了だ。
ミドルレンジとしてまずまずの性能
CMF Phone 1の特徴的な外観・カスタマイズ機能を堪能した後で、実際にスマートフォンとしての実力を確認していく。
テストには定番のベンチマークアプリである「GeekBench 6」、「AnTunTun Benchmark」、「3DMark」を使用し、それぞれ計測した結果は以下の通りだ。
GeekBench 6 | |
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CPU シングルコア | 1042 |
CPU マルチコア | 1606 |
GPU OpenCL | 2505 |
GPU Vulkan | 2508 |
AnTuTu Benchmark | |
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総合スコア | 67万7315 |
3DMark(Wild life Stress Test) | |
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最高スコア | 3134 |
最低スコア | 3111 |
市場に出回っているハイエンドモデルと比較するとだいたい半分程度のスコアを記録している。搭載されているチップセットがDimensity 7300 5Gであることを考えれば概ね想定通りのスコアであり、実際の動作もSNSやブラウジングであれば特に不満が出ることはない。
重いゲームも遊べなくはないが、画質設定を落とすなど快適に遊ぶための工夫は必要になる程度の性能だ。
またソフトウェアについて、CMF Phone 1に搭載されている「Nothing OS 2.6」はAndroid 14をベースとしたカスタムOSではあるものの、ホーム画面に並ぶウィジェットがNothingらしさ溢れるドット調のものが並ぶ程度と、操作面では素のAndroidそのものといっていいだろう。
設定画面やアプリドロワーもあまりカスタマイズされた項目はないため、たとえばGoogle Pixelシリーズやモトローラなど、カスタマイズの少ないメーカーからの乗り換えであれば戸惑うことなく操作できるはずだ。
「広角カメラだけ」のカメラの実力をチェック
最後にCMF Phone 1のカメラの実力をチェックしていく。
すでに仕様の項でも触れた通り、CMF Phone 1のカメラはイマドキのスマートフォンにしては珍しく、撮影用のカメラは「約5,000万画素の広角カメラ1基」という構成だ。
通常時は画素を束ね利用し、受光量を増やす「ピクセルビニング」に対応し約1億2,000万画素で撮影を行ない、デジタルズームでは約5,000万画素のセンサーの中央部を利用しトリミングするように2倍ズームを行なうため、カメラは1基といえど普段の撮影ではそこまで困るシーンはないように感じた。
レビュー期間中、天候に恵まれず作例が悪天候ばかりになってしまったのだが、代わりに「どんよりとした空の様子」や、それによって全体的に暗く潰れてしまいそうな木々の葉の色などもしっかりと捉えられている。
デジタルズームも2倍までは特に画質が大きく低下することもない。さすがにデジタル10倍ズームともなると画像を一生懸命に拡大したような写りになってしまうのだが、被写体次第では意外と使えそうにも感じた。
屋内での食事の撮影もシズル感は足りないものの、極端に写りが悪いということもない。傾向としては暖色よりに写りがちだが、夜景も含め明るさの足りない場所で極端にISO感度をあげてノイジーな絵を作り出しているわけでもないため、普段使いでカメラに対して大きな不満は感じないだろう。
性能は標準的。特徴的な外装カスタマイズのバリエーション増に期待
バックカバーの交換や、アクセサリーを取り付けてのカスタマイズに注目が集まるCMF Phone 1だが、スマートフォンとしても仕様通りミドルスペックのスマートフォンとして十分な性能を持っている。
そのため飛び道具的なカスタマイズ機能に惹かれ手にしたとしても不満を感じる場面は少ないだろう。
あとはこのカスタマイズ機能がどこまで広がっていくかだ。
バックカバーも現時点ではNothing Technologyから純正で4色とカラーバリエーションが決して多いとは言えない。
また専用アクセサリも「キックスタンド」「リーシュ(ストラップ)」「カードケース」の3種類と数は少なく、純正でもサードパーティでもいいのでもう少し選択肢が出てくると「自分だけのCMF Phone 1」を作る楽しみが広がるため、カスタマイズの幅が広げられるかは引き続き注目していきたい。
新しい試みとしてはバックカバーなどアクセサリをユーザー自身で作れるよう、3Dプリンタ用のデータが公開もされている。これを活用する手もあるが、誰もが気軽に扱えるものでもないため、たとえばシーズン毎に純正でトレンドカラーのバックカバーが追加されるなどカスタマイズを飽きさせない展開があれば、CMF Phone 1は長く愛せる1台になるはずだ。