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手にしたらもうゲームがやめられなくなる!高性能Androidゲーム機「AYANEO Pocket S」

AYANEO Pocket S

 「AYANEO Pocket S」は、ゲームプレイに特化したコントローラ付きの高性能Androidゲーム機だ。発売は7月上旬を予定しているが、事前に製品サンプルをお借りできたため、レビューをしていこう。価格は8万9,800円~11万4,800円だ。

Androidでゲームするならスマホでいいんじゃないの?

 製品を紹介する前に、こうしたAYANEO Pocket Sの存在意義について改めて確認しようと思う。そもそも汎用ポータブルゲーム機は任天堂の「ゲームボーイ」から始まり、「ワンダースワン」や「ゲームギア」、「ネオジオポケット」など……一時期は日本のゲーム大手会社がこぞって出していた時代もあったとは思うが、スマートフォン全盛の現代において、「Nintendo Switch」以外の製品は事実上絶滅したと言っていい。つまるところ、ゲームはスマートフォンでやるということだ。

 確かに近年、筆者のゲームライフも80%ぐらいはスマートフォンに移行してしまった。そのためゲームデバイスの投資もほとんどがスマートフォンである。「RedMagic 6 Pro」と「ROG Phone 5 Ultimate」は同時に買ったし、昨年は「RedMagic 8 Pro」、直近ではメモリ24GB/ストレージ1TBの「ROG Phone 8 Pro」を購入した。ちなみに今でもこの4つ端末すべて活用している。

 筆者の場合、ゲーム性能云々……というのはもちろん購入の動機のうちの1つなのだが、ストレージの容量とバッテリ周りの問題で、複数台の運用となっているのだ。

「ゲーミングじゃねぇスマホは、ただのスマホだ」というモットーにより、ゲーミングスマホ以外買わなくなった筆者

 ストレージについては「原神」、「崩壊3rd」、「崩壊:スターレイル」、「NIKKE」、「王者栄耀」という筆者が普段プレイしているゲームだけで120GBほど消費する(この時点で容量128GBのスマートフォンは論外)。これに日常生活の写真や動画を加えると、256GBあってもあっという間に容量がパンパンになってしまう。

 一方バッテリは、メイン端末は当然電話や連絡も受けるので、ゲームはプレイはするけどバッテリも温存しておきたい。また、充電している間はケーブルが行動範囲を制限されるので、「制限されたくない」と思ったら、必然的に充電中のスマートフォンとは別の端末が必要となる。

 そんなわけでゲーマーにとって、AYANEO Pocket Sのような1台端末が増えるというのは、特別なことでもなんでもなく、むしろ自然な流れなように思う。AYANEO Pocket Sが後述するようにゲームに特化した端末なのでなおさらだ。

ゲームをたくさん入れると、容量256GBでも日常兼用だとギリギリ。不要なアプリを消せといったメッセージが出たり、手動で不要になった写真を削除したりするハメに。俺はそんなのを整理をする時間より、ゲームをプレイする時間がほしいのだが

ゲームに特化して機能を取捨選択

 AYANEO Pocket Sを一目見て分かることは「ゲーム機である」ということに尽きる。コントローラを搭載しているので、コントローラ対応タイトルを快適にプレイできる。似たコンセプトにRazerの「Kishi V2 Pro」があるが、Kishiはコントローラが着脱式で、本体が6.8型タブレットであるのに対し、AYANEO Pocket Sはコントローラ直付けで取り外せず、純粋なAndroidゲーム機というコンセプトだ。

 ただ「Androidゲーム機」という意味では、AYANEO Pocket Sが初ではなく、海外を見渡せばAndroid登場初期の頃から結構多かったように思う。日本で発売されたもので有名なのはスペックコンピュータの「SUPERGAMER俺」(2013年)があるし、直近でも「GPD XP」のような製品が投入されている。

 ではAYANEO Pocket Sはそれらと比べて何が違うのか言えば、Qualcommの「Snapdragon G3x Gen 2」の搭載だ。

 スマートフォン向けのプロセッサでハイエンドに当たるSnapdragon 8シリーズは、ゲーム性能に大きく影響するGPUが特に強力であるためゲームに適している。しかしニッチな市場であるゲーム機でそれを採用しようとすれば、XiaomiやOPPOといったスマートフォン超大手と競争できる価格を実現する仕入れ値を達成しなければならない、つまりある程度出荷台数を確保しなければならないというジレンマを抱えることになり、これが採用の障壁となっていた。

 これを乗り越えたのがAYANEO Pocket Sである。もちろん、Snapdragon G3x Gen 2には5G/4Gといった通信機能がないため、その分安上がりで済むというのもあるが、AYANEO Pocket Sではハイエンドスマートフォンのコスト要因の1つであるカメラ機能を完全に排除したことでも、コストを抑えている。その一方でゲームに必要なコントローラ機能や、長時間のゲームプレイで快適性を確保するための冷却機構を備えた。この取捨選択により、より極端なコスト高を抑えているわけだ。

カメラは当然のごとく非搭載。これで「撮れるからついつい撮っちゃって……」で結果的にストレージを圧迫することはない

 ちなみに、Qualcomm公式でプロセッサの提供を認めているのはRazer、Logitech(ロジクール)に続いてAYANEOが3社目。Razer Edge Wi-Fiも直近に発売されたのだが、プロセッサが1世代前の「Snapdragon G3x Gen 1」。Logitechの製品は日本国内では発売されていないが、プロセッサはミドルレンジの「Snapdragon 720G」だ。よってSnapdragon G3x Gen 2は本機が初となる。

Qualcomm公認のSnapdragon搭載ゲーム機はこれで3社目

長時間プレイでも疲れにくいフォルムと、ゲームに特化したソフトウェア

 それでは本体の使い勝手について見ていこう。本体はまさにゲーム機といった雰囲気なのだが、最薄部14mmという薄型志向なこともあって、L/Rトリガー部分の突起を除けば、筆者手持ちの初代PSPや初代PS Vitaなどよりも薄くてスタイリッシュだ。スマートフォンよりは厚みがあるのだが、大容量のバッテリや大口径ファンが内蔵されていることを考慮するとむしろ驚異的だろう。

 本体前面はガラス素材で、透明/高級感のある仕上がり。側面は金属フレームで、サンドブラスト仕上げ。背面の素材はおそらく強化プラスチックだろうが、非光沢塗装で、今回お借りしたホワイトモデルは指紋は目立ちにくく好印象だ。

 実際に手にしてみると、やはり質感の良さが際立つ。また、トリガー部分の突起はかなりいい仕事をしている印象で、350gという重量を感じさせない持ち心地だ。ジョイスティックをグリグリ動かした際のグリップになるため、本体を強く握らずとも安定した操作が可能だ。また、ジョイスティックや各ボタン、トリガーの感触も上々で、至って自然な配置となっているため、プレイ中コントローラが気になることがなく快適にプレイできた。

いかにもポータブルゲーム機らしいサイズ感。ポータブルゲーミングPCのようにちょっと構えなければならないということはない
本体上部のトリガー部に突起。これだけでホールド感が大きく高まるのだから不思議だ。350gという軽量性も手伝って片手でも問題なくホールドできる

 電源ボタンや音量ボタンは本体上部に用意されている。電源ボタンは指紋センサーを兼ねているため、煩雑なパスワード入力なしでログインできるのはいい。また、L/Rボタンの内側に「LC」と「RC」という2つのボタンがあり、デフォルトではそれぞれアプリ切り替えとバックボタンが割り当てられている(現時点では自由に割り振りできないようだ)。

 microSDカードスロットは本体左側面にあり、スロットにはカバーも設けられている。底面は中央にUSB Type-Cがあり、その左側に吸気口がある。さらにその外側左右にスピーカー用のスリッドが設けられている。

 コントローラの配置は、主要ボタンやトリガー標準的にであり、主に使う左ジョイスティックとA/B/X/Yボタンが最上段、十字キーと右ジョイスティックが中段。下段は左側がビューボタンとメニューボタン、右側がAYASapce呼び出しボタンとホームボタンだ。

 ちなみに本体のフォルムから容易に想像がつくが、本製品は「横持ち」が標準であるため、スマートフォンの縦持ち画面に特化した「ウマ娘 プリティーダービー」や、ポートレートでキャラクターを眺めてこそ楽しい「NIKKE」のようなタイトルには向かない。一応ジャイロセンサーで縦表示モードは備わっているし不可能ではないのだが、そういうゲームをプレイするのであればスマートフォンの方がいい。

ディスプレイはスマートフォンでメジャーなAMOLEDではなくIPS液晶(今回試用したモデルは2,560×1,440ドット表示対応の上位モデル)のため黒の表現でやや浮く印象だが、反応速度や視野角はともに良好。欲を言えば120Hzがほしかった
本体左側面
本体右側面
本体底面。USB Type-C、吸気口、スピーカー穴などが見える
本体上部はコントローラのボタンに加え、指紋兼電源や音量調節ボタンを装備。排気口も見える
ショルダーボタンの内側にLCとRCボタンがある
コントローラは標準的な配列で戸惑うことが少ないだろう
microSDカードスロットがあるため、容量不足を補える
ジョイスティック周囲にはRGB LEDによるライティングを搭載している

 ホームは「AYAHome」と呼ばれるランチャーであり、コントローラでアプリを選択できて起動したりできるほか、よく使うゲームなどに関しては「Add to Homepage」でランチャー上部に固定して探しやすくすることもできる。また、「原神」など一部ゲームタイトル選択時は壁紙として表示され、分かりやすくなっている。

 AYASpaceボタンを押して右からスライドインするガジェット「AYASpace」は、現在の状況のモニタリングや動作/ファンモードの切り替え、状態表示オーバーレイの有無の切り替えが可能。またコントローラの設定では、画面上への仮想ゲームコントローラの割り当て、振動の大きさ、ジョイスティックの感度、A/B/X/Yの入れ替えなどが可能になっている。このほか、無線関係のオン/オフや、RGBライトの点灯/消灯/カスタマイズなども可能だ。

AYAHomeと呼ばれる独自ランチャーを搭載
画面を下にスワイプ(またはコントローラで上に行く)とピン留めした感じのアプリが大きく表示される

 画面にコントローラの動作を割り当てる機能についてはもはや説明不要だと思うが、指の移動動作を続ける「Hold(ホールド)」機能は便利だ。たとえばゲームコントローラ非対応の「原神」では周囲を見渡す際に画面の空いているところをスワイプするのだが、そのスワイプ操作を繰り返す必要がある。この操作をエミュレートしてくれるのがHoldというわけだ。実際に試してみたところ、上下の視点操作は若干ぎこちなくなる場面もあったが、一番多く多用するであろう左右に関してはスムーズに操作できた。

AYASpaceボタンを押すとゲーム中でもウィジェットがオーバーレイ表示され、さまざまなカスタマイズが可能
コントローラ操作を画面操作に割り当てる機能

 なお、AYAHomeやAYASpaceといったソフトウェアはファームウェアとは別にアップデートが随時提供されており、実際約1カ月の試用期間中にも5~6回ほどアップデートがあって、開発に対して積極的な姿勢を示していた。ただ現時点での最大の問題はUIが日本語化されておらず英語になっている点で、発売までにローカライズが間に合ってほしい。

 余談だが、コントローラに対応したタイトルであれば、AYANEO Pocket Sはなんら不自由なくプレイできるのだが、筆者が試した限りでは、「崩壊スターレイル」では起動しっぱなしでは問題ないが、再起動の度にコントローラモードとタッチパネルモードを設定で切り替える必要があり面倒だった。おそらく崩壊スターレイル側の問題で、改善を望みたい。

熱と騒音はやや改善の余地ありか

 操作性というところよりも、本機でむしろユーザーとして気になるのは熱や騒音ではないだろうか。

 まず順を追って説明していこう。本機には4つの動作モードと、オフを含めた4つのファンモードが用意されている。右側面のスライドスイッチで即座に動作プロファイルと連動したファンモードが切り替えられるが、AYANEO Spaceを介した自由な組み合わせ設定も可能ではある。

 この4つのモードはCPU/GPU動作クロックがかなり異なり、明確に性能が異なる。以下の表は、室温26℃の環境で液晶輝度は最大の状態にし、負荷がかなり高いRPG「崩壊スターレイル」の最高画質+60fps設定で、長楽天の広場で10分間放置した際の数値だが、まるで違う端末を扱っているかのように性能が大きく異なることが分かるだろう。

モードバッテリ電力ドローファン速度CPU温度GPU温度FPS(長楽天の広場)
Saving(エコ)5W0rpm45℃46℃26~29
Balance(バランス)7.5W1,700rpm60℃62℃42~49
Game(ゲーミング)12W3,500rpm79℃77℃56~60
Max(パフォーマンス)15.5W4,400rpm81℃92℃58~60

 なお、Max(パフォーマンス)はAYANEO Spaceでモード切替のところを横スクロールすると現れるが、選ぶと3秒間の警告表示ダイアログが表示される。ただ検証結果から分かるように、よほど性能にシビアでもなければ、ゲーミングで十分だろう。

ウィジェットでモード切替が行なえるほか、右側面のスライドスイッチでもオンザフライで行なえる
Maxはウィジェットから選択できず、Gameに入った後、右側面のスライドスイッチで入る。入る前に3秒の警告メッセージも

 では「ゲーミングに設定した上でより静音なMuteはどうなのか?」という点だが、ファン速度が2,400rpmまで落ちたが、CPUもGPUも+7℃の86℃、84℃前後で落ち着いた。筐体温度は上がってしまうが、許容できるならこの設定もアリだろう。

 一方でファンを完全にオフにしてしまうと、温度こそあまり変わらないもののサーマルスロットリング制御を行なっているようでフレームレートが54fps前後まで低下した。本体側面もかなり高温になってあまり持ちたくないような温度になるので、まったくおすすめはしない。

 というわけでハイエンドゲームに適したMaxモードでの筐体の熱だが、20分間プレイしたところ、手に触れる左側面のフレーム部で約42.3℃、背面でヒートシンクのちょうど真上だと思われる部分で43.7℃、排気口付近で48℃となった。

Maxモード動作時の本体右側面の温度は42.3℃とやや高め
背面は43.7℃まで上昇するスポットもあるが、プラスチックのためあまり熱が伝わってこない

 この数字だけだと「熱い」と思われるかもしれないが、ファンを内蔵した手持ちのSnapdragon 8 Gen 2搭載ゲーミングスマートフォン「RedMagic 8 Pro」では内蔵ファンをオンにしても左側面フレーム部が45.2℃に達したので、AYANEO Pcoket Sに搭載されている7,053平方mmのヒートシンクフィン、5,180平方mmのベイパーチャンバー、そしてファンが十分に功を奏していると言ってもいいのではないだろうか。

 ただ、RedMagic 8 Proでは標準で本体保護ケースが付属していて、それを装着すれば実際に手に伝わってくる熱が減る。一方、素の状態のAYANEO Pocket Sの方が熱く感じるのは確かなので、ここはユーザーの工夫が必要となる。原神や崩壊のような高負荷3Dタイトルをプレイするのならば、ある程度熱は覚悟しておいたほうがいい。

近いプロセッサを搭載するRedMagic 8 Proの場合45℃を超えるので、AYANEO Pocket Sが特段熱いというわけではない。ただRedMagic 8 Proはケースで熱の体感がかなり下がる。AYANEO Pocket Sにも同様のケースか、貼る隔熱シートがほしいところ

 一方、騒音についてはやはり気になる。バランスモードの1,700rpm前後ではまだ許容範囲だが、2,000rpmを超えた辺りから風切り音と軸音ともに大きめになり、ゲーミングモードやパフォーマンスモードの回転域ではゲーミングノートばりの騒音。場所や時間帯によっては気になるだろう。このあたりは20,000rpmという驚異的な速度でも比較的静かなRedMagic 8 Proの方に一日の長(さすが5年ほど進化し続けてきている)があった。

 なお、本機にはUSBで給電されてもバッテリへの充電を行なわず、プロセッサへの電力供給だけを行なうといったような電源モードがないのだが、試したところ30W程度と、ハイエンドスマートフォンと比較すると控えめの充電電力となっているようで、性能や発熱に大きく影響を与えるほどではなかった。

性能はもちろん一線級。メリハリの効いた動作モードを活用したい

 最後に一通りベンチマークを行ないたい。今回は4つの動作モードでそれぞれの性能を明らかにしてみた。比較用に、Snapdragon 8 Gen 3を搭載した「ROG Phone 8 Pro Edition」と、Snapdragon 8 Gen 2を搭載した「RedMagic 8 Pro」も用意した。

【表】テスト環境
機材AYANEO Pocket SROG Phone 8 Pro EditionRedMagic 8 Pro
CPUSnapdragon G3x Gen 2Snapdragon 8 Gen 3Snapdragon 8 Gen 2
メモリ16GB LPDDR5X24GB LPDDR5X16GB LPDDR5X
ストレージ512GB UFS 4.01TB UFS 4.0512GB UFS 4.0
ディスプレイ2,560×1,440ドット表示対応6型IPS2,400×1,080ドット表示対応6.78型AMOLED2,480×1,116ドット表示対応6.8型AMOLED
OSAndroid 13Android 14Android 14
本体サイズ約260×85×11mm76.8×163.8×8.9mm76.35×163.98×9.47mm
本体重量約350g約225g228g
Antutu Benchmark V10.2.7
Geekbench 6
3DMark

 結果から分かる通り、各モードで明確な違いが現れている。要は、スマートフォン向けで言えば、BalanceはSnapdragon 8 Gen 1相当の性能、GameはSnapdragon 8 Gen 2相当の性能、MaxはSnapdragon 8 Gen 2にGPUの性能強化……というあたりだ。Savingは一気に性能が低下し、Snapdragon 845~855辺りの性能だろうか。

 ちなみにGeekbench 6のSingle-CoreだけMax以外ではスコアが約半分以下と低いのだが、原因は不明だ。ただゲーム性能にはそこまで影響がないのも見て取れる。

 また、スコアから読み取るに、Gameと比較してMaxはGPU重視の強化を図っていることも分かる。先に検証した崩壊スターレイルで、Maxにするとフレームレートがより60fpsに張り付くようになることが分かっていたが、ベンチマークでもより明確になった。

 一部ゲームを意識したハイエンドスマートフォンなどでもこのような各動作モードが用意されているのだが、その挙動について筆者は懐疑的だった。しかしAYANEO Pocket Sのようにメリハリが効いているのなら「プレイしているタイトルに合わせて切り替えてみようか」という気にもなる。

 スマートフォン向けで最新のSnapdragon 8 Gen 3を搭載したROG Phone 8 Pro Editionと比較するとスコア的に劣るのは比較せずとも明白だ。しかし本機はファン内蔵により、ファンを別に取り付けなくても、ゲームのように継続的に負荷を掛けても性能低下がしにくいのがアドバンテージだと言えよう。

買ったらゲーム中毒待ったなし

 本機を約1カ月間お借りしたのだが、その間に起きたことを正直に告白すると「ゲームをプレイする時間が圧倒的に増えた」ということ。平日休日かかわらず、1日少なくとも1時間以上はゲーム時間が増加している。

 5月に「ROG Phone 8 Pro」を自腹購入して以来、そちらでもプレイはしているとか、レビュー目的でAYANEO Pocket Sを触っている……というのはあるのだが、「今日のROG Phone 8 Proのバッテリ残量は43%か。ここでバッテリ切れまでゲームプレイして充電するか、今日はプレイせずに明日に充電して少しでもバッテリの寿命を延ばすか……」などと悩まず、AYANEO Pocket Sを手に取ってゲームをプレイできるのが一番大きい。

 RPGのようなストーリーが続いているゲームは、間を置かずプレイしたほうがストーリーの内容を忘れずに済むので、できれば集中してプレイしたいわけだが、AYANEO Pocket Sが増えたことによって現実的になったわけだ。

 そういう意味では「AYANEO Pocket SでなければできないAndroidゲームがある」というわけではないが、Androidにおけるゲームライフを大きく変化させてくれるのは間違いない。ヘビーなゲーマーはもとより、「ゲームが好きだったんだけど、少し離れてしまった」ようなユーザーにこそ手に取ってもらいたい1台だ。

高性能“Androidゲーム機”「AYANEO Pocket S」をライブ配信でもレビュー【6月26日(水)21時より】

 ゲーム機の新しい形を切りひらくAYANEO Pocket Sをライブ配信でも解説します。実機の外観からゲームの動作デモまで披露する予定です。解説は劉デスク。