Hothotレビュー

14.5型3K有機EL搭載のプレミアムタブレット「LAVIE Tab T14」を試す

NECパーソナルコンピュータ「LAVIE Tab T14(T1495/HAS)」

 NECパーソナルコンピュータ(NEC PC)から登場したAndroidタブレット「LAVIE Tab T14 T1495/HAS」。これまでNEC PCは、コストパフォーマンスに優れるエントリークラスからミドルレンジのAndroidタブレットを多く投入してきたが、本製品はクリエイターやハイエンドユーザーをターゲットとしたプレミアムクラスに位置付けられ、NEC PCとしても新たなチャレンジとなる製品として位置付けている。

 今回、実際に製品を試用する機会を得たので、チェックしていきたいと思う。すでに発売中で、直販価格は14万2,780円から。

上質な印象の大きなボディに14.5型の大画面

 「LAVIE Tab T14 T1495/HAS」(以下、T1495/HAS)の本体デザインは、どちらかというとタブレットとしてオーソドックスかつシンプルだ。背面上部に帯状の突起があるもののほぼフラットで、側面も直線的に切り落とされているため、本体を手にすると比較的ゴツゴツとした感触が伝わってくる。それでも、本体の角や背面の突起部分の角はなだらかなカーブとなっているため、見た目にはそれほどソリッドな印象は受けない。

 カラーは重厚感のあるスチームグレーで、ボディ部分は光沢感が抑えられている。それに対し背面上部の突起部分は光沢感の強い処理となっており、質感はプレミアムクラスらしい上質な印象だ。

 サイズは327.8×210.8×5.9mm。薄さはかなり際立っているものの、フットプリントはかなり大きい。これはモニターサイズが14.5型とAndroidタブレットとしてもかなり大きな部類に入るからだ。モニターサイズが10.95型のPixel Tabletと比べてみると、その大きさがかなり際立つことが分かる。

 それでも、モニター周囲のベゼル幅はかなり狭められていることもあり、モニターサイズを考えるとなかなかコンパクトにまとめられているとも言える。

本体正面。14.5型モニター搭載のため、フットプリントは327.8×210.8mmとなかなかのサイズだが、ベゼル幅が狭く、モニターサイズの割にはコンパクトだ
Pixel Tablet(手前)と並べてみると、T1495/HASの大きさが際立つ
背面。ボディは非光沢のスチームグレーで、上部の突起は光沢感があり、なかなか上質だ
上部側面
下部側面。高さは5.9mmとなかなかの薄さだ
左側面
右側面

 重量は公称で約735g、実測では736gだった。さすがに10型クラスのタブレットと比べるとかなり重く、実際に手に持ってみてもずっしり重く感じる。長時間手に持って使うのは少々つらいと感じるほどだ。

 そのためT1495/HASには、本体を自立するスタンドとしても利用できる「タブレットカバー(PC-AC-AD046C)」や、ノートPC的な使い方を実現するキーボードと本体を自立できるキックスタンドをセットにした「キーボード&キックスタンド(PC-AC-AD045C)」をオプションとして用意している。

 このうちタブレットカバーは、タブレット用のカバーとしては標準的なものだが、カバー部分を開いて背面で折りたたむことで本体が自立できる。動画を視聴する場合など、テーブルに立てて置けるため便利だ。また、背面側には後ほど紹介するオプションのスタイラスペン「デジタルペン2(PC-AC-AD033C)」を収納できる突起を用意し、そこにデジタルペン2を収納して保管したり持ち歩ける点も便利だ。

 このタブレットカバーを装着した状態での実測の重量は1,019g、さらにデジタルペン2を含めると1,032gだった。

本体の重量は実測で736g。サイズが大きいためしかたのない部分もあるが、手にするとずっしり重く、長時間手に持って使うのは少々つらい
オプションで用意されているタブレットカバー
本体全体を覆って保護できるので、安心して持ち歩ける
カバーの背面突起部分にスタイラスペン2を収納して持ち運べるのも便利
このようにカバー部分を背面で折りたたむと本体を自立できる
タブレットカバー装着時の重量は実測で1,019gだった
タブレットカバーにデジタルペン2を加えた重量は実測で1,032g

フローティングウィンドウで複数アプリを同時利用可能な新UI「One Vision」

 T1495/HASは、OSとしてAndroid 13を採用。その上で、独自UI「One Vision」を採用している。独自UIとはいっても、タブレットモードでは標準的なUIとなっているため、そこまで大きな違いがあるとは感じない。

 そして、競合のタブレット同様に、複数アプリを画面分割やフローティングウィンドウで同時利用できる機能もサポート。ただ、こちらはかなり使いやすいように工夫されている。

 通常利用時には、アプリを起動すると全画面での表示となる。そして画面上部中央に表示される「…」をタップすることで、画面分割やフローティングウィンドウでの表示に簡単に切り替えられる。

 画面分割では、2つのアプリを左右(縦画面表示の場合は上下)に1:1で分割して同時表示できる。分割表示後はそれぞれの表示エリアを1:2または2:1に調節することも可能だ。

 そしてフローティングウィンドウを選択した場合には、そのアプリがウィンドウ形式での表示となる。こちらでは3つ以上のアプリを同時に表示して利用可能となる。この場合、利用するアプリ全てをフローティングウィンドウで表示するだけでなく、あるアプリを全画面表示し、その上にほかのアプリをフローティングウィンドウで表示する、といったことも可能。

 特別目新しい機能ではないかもしれないが、T1495/HASでは画面サイズが大きいことと、後ほど紹介するように表示解像度も3,000×1,876ドットと高解像度のため、画面分割やフローティングウィンドウでの複数アプリの同時利用もかなりやりやすいと感じる。同時に、One Visionによって簡単に表示モードを切り替えられる点もあり、高解像度大画面を有効活用しながら利便性を高められるだろう。

OSはAndroid 13で、独自UI「One Vision」を採用している
アプリを起動し、上部の「…」ボタンをタップするとメニューが開き、画面文化地やフローティングウィンドウでの表示に切り替えられる
画面分割で2つのアプリを利用している様子。横画面では横に、縦画面には縦にアプリを並べて利用できる
中央部分を左右にスワイプすると、表示領域を1:2または2:1に変更可能
フローティングウィンドウにすると、このように複数のアプリをウィンドウ状に開いて利用できる

キーボード&キックスタンドでクリエイティブ作業やビジネス作業が快適に

 オプションの「キーボード&キックスタンド」は、マグネットで背面に装着するキックスタンドと、同じくマグネットで装着してノートPCのように利用できるスタンド型キーボードをセットにしたものだ。

 キックスタンドは本体背面に装着することで、およそ28~65度ほどの範囲内で本体を保持するキックスタンドとして活用できる。また、90度に開いた状態では縦画面での利用も可能だ。

 キックスタンドはかなり強力に固定され、タッチなどで操作してもほぼぐらつきなく本体を保持できるため、動画視聴からスタイラスペンを使ったクリエイティブ用途まで申し分なく利用できそうだ。

 このキックスタンドを装着した状態の本体重量は、実測で877g。

キーボード&キックスタンドは、マグネットで背面に装着するキックスタンドとスタンド型キーボードがセットとなっている
キックスタンドは本体背面にマグネットで装着して利用
利用しないときは畳めばそれほど邪魔にならない
キックスタンドは28~65度ほどの範囲内で角度を調節できる。ぐらつきなく本体を保持できるので、深く倒してペン入力を行なう場合にも適している
キックスタンド装着時の重量は、実測で877gだった

 スタンド型キーボードは、本体に装着することでノートPC的に利用できるようになる。こちらもマグネットで固定する仕様で、ワイヤレスではなく本体背面の端子に有線接続して利用可能となる。

 オフィスアプリを利用した文書入力作業などを行なう場合には、スクリーンキーボードを利用するよりも圧倒的に快適。手前のタッチパッドによる操作もできる。そして、このスタンド型キーボードは、本体にキックスタンドを装着した状態でも取り付けられるよう、背面部分に大きな切り抜きを用意。キックスタンドは常に装着したままにしておき、必要な時にスタンド型キーボードに装着して利用できるのは、なかなか便利だ。

 本体にキックスタンドとスタンド型キーボード双方を装着した状態での重量は、実測で1,504gだった。

スタンド型キーボードを装着すると、ノートPCのような使い勝手を実現
キーボードは本体背面の端子を利用した有線接続となる
スタンド部には、キックスタンドに合わせた大きな切り抜きがある
このように本体にキックスタンドを装着したままキーボードを装着できる
キーボードを畳んだ状態でもキックスタンドが切り抜きにすっぽり収まる
キックスタンドとスタンド型キーボード双方を装着した状態の重量は、実測で1,504gだった

 キーボードは、主要キーのキーピッチが約19mmフルピッチを確保。ストロークは1.2mmほどとやや浅めだが、強めのクリック感によってまずまず快適な打鍵感だ。また、2段階に明るさを調節できるキーボードバックライトも搭載。Enterキー付近やスペースキー左右のキーは分割で搭載しているが、キーボード部分の剛性がかなり高いこともあって膝の上などでも快適にタイピングできる。感覚的には13~15型のノートPC搭載キーボードとほぼ同等という印象だ。

キーボードは主要キーのキーピッチが約19mmフルピッチ。ストロークはやや浅めだが強めのクリック感で快適なタイピングが可能。ただ、Enterキー周囲やスペースキー左右のキーをキー分割で搭載する点は少々残念

 そして、もう1つの特徴として、スタンド型キーボードを装着すると、独自UIのOne Visionに用意される「PCモード」と呼ばれるWindows PCに近いUIへと切り替わる。

 PCモードでは、画面下部にはWindowsのそれに近いタスクバーが表示されるとともに、利用するアプリは基本的にウィンドウ表示となる。これによって、複数のアプリもWindows PC同様の同時利用が可能となる。

 また、アプリウィンドウの最小化、最大化、終了などのボタンもWindowsのウィンドウと同じで、「Ctrl+Tab」でのウィンドウ切り替えや「Ctrl+C」、「Ctrl+V」などのよく利用するキーボードショートカットも利用可能。実際に使ってみても、かなりWindows PCに近い感覚で利用でき、かなりよく考えられたUIと感じた。

 PCモード同様の機能を実現するスマートフォンやタブレットはこれまでも存在しており、そういった意味ではPCモードも特別目新しい機能とは言えないだろう。ただ、T1495/HASのPCモードは、スタンド型キーボードとの併用を基本としていることから、扱いやすさはかなり優れている。Windows PCと全く同じとは言わないが、文書やスプレッドシートの編集、スライドの作成などはPCにかなり近い感覚でこなせるようになるため、活用の幅が大きく拡がると言っていいだろう。

スタンド型キーボードを装着すると、Windows PCライクなUI「PCモード」に切り替わる
PCモードでは、アプリは基本的にウィンドウ表示となり、ウィンドウ操作やUIもWindowsに近いものとなっているため、Windows PCに近い操作性となる

14.5型と大型の3K有機ELモニターを搭載

 モニターは、アスペクト比16:10、3,000×1,876ドット表示対応の14.5型有機ELパネルを採用。リフレッシュレートは最大120Hzで、60Hz、90Hz、120Hzに設定するだけでなく、利用するアプリなどに応じて自動的にリフレッシュレートを調節する機能も用意。

 NEC PCはモニターの表示性能については公表していないものの、発色の鮮やかさやコントラスト比の高さは、さすが有機ELという印象。

アスペクト比16:10、3,000×1,876ドット表示対応の14.5型有機ELパネルを搭載。有機ELらしく、非常に鮮やかで高コントラストな映像表示が可能で、クリエイターも満足できるはずだ

 また、モニターは10点マルチタッチに加えて、オプションのスタイラスペン「デジタルペン2(PC-AC-AD033C)」に対応。4,096段階の筆圧検知や傾き検知に対応しており、非常に繊細なペン入力が可能だ。

 このデジタルペン2は、背面上部にマグネットで装着することでペンの充電が可能。また、先に紹介したように、背面にデジタルペン2を装着したままタブレットカバーに収納できる。

 同時にT1495/HASには、映像クリエイターが広く活用していることでも知られる、イラスト制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT EX」をプリインストール。3カ月無料で利用できる(初めての利用の場合のみ)ため、本格的なイラスト制作を始めたいと考えている人にとってもありがたい。

 できれば、デジタルペン2を標準で本体に付属してほしかったところだが、このあたりはコスト的に難しかったのだろう。とはいえ、高性能なスタイラスペンを大画面有機ELモニターで活用できる点は、クリエイターにとって大きな魅力となるはずだ。

4,096段階の筆圧検知や傾き検知に対応するスタイラスペン「デジタルペン2(PC-AC-AD033C)」に対応。繊細なペン入力が行なえるため、モニターの表示性能と合わせてクリエイターに最適だ
デジタルペン2は背面上部にマグネットで装着することで充電が可能
デジタルペン2を装着したままタブレットカバーに収納できるので、携帯性にも優れる

映像入出力に対応し、モバイルモニター代わりとしても利用可能

 T1495/HASでは、右側面にUSB Type-Cを2ポート搭載している。AndroidタブレットでUSB Type-Cを2ポート備えているというのはなかなかめずらしいが、T1495/HASではそれに加えて、DisplayPort Alt Modeによる映像入出力に対応している、という特徴を備えている。

 側面中央のUSB Type-Cは、映像出力に対応。DisplayPort Alt Mode対応のモニターを接続すると、T1495/HASの画面をそのまま表示するミラーモード、または2画面目の領域として利用する拡張モードで利用可能となる。また、タッチ操作に対応するモバイルモニターを接続してみたところ、モバイルモニター側でのタッチ操作も可能だった。

 ただし、拡張モードの場合には、同じアプリを2つのモニターで同時起動することは不可能。また、拡張モニター側では利用できない機能も存在する。たとえば、Googleフォトの編集機能は、「外部モニターでは利用できません」と表示され、拡張モニター側では利用できなかった。そのため、使い方は限られると考えた方がいいだろう。

T1495/HASには、右側面にUSB Type-Cを2ポート用意しており、中央(写真では右)の端子は映像出力、下部(写真では左)の端子は映像入力に対応
映像出力対応のUSB Type-Cに、DisplayPort Alt Mode対応モバイルモニター(写真右)を接続した状態。こちらは拡張モードでの状態だが、同じ画面を表示するミラーモードの利用できる
拡張モードでは、同じアプリを2画面で別々に起動して利用することはできず、すでに開いているアプリを別画面で開く場合には、開いているアプリを閉じて再起動する必要がある
Googleフォトの編集機能は、「外部モニターでは利用できません」と表示され、拡張モニター側では利用できない

 それに対し、横画面で右側面下部のUSB Type-Cは映像入力に対応。T1495/HAS付属のUSB Type-Cケーブルや、DisplayPort Alt Mode対応の汎用USB Type-Cケーブルを利用し、DisplayPort Alt Mode対応USB Type-Cを備えるPCと接続すると、映像入力を自動で検出し、接続した機器の表示へと切り替わる。

 手持ちのWindowsノートPCで試してみたところ、ミラーモード、拡張モードともに問題なく映像が表示され、T1495/HASのスピーカーからの音声再生やタッチ操作も問題なく動作した。T1495/HAS上部側面のボリュームボタンを押すとメニューが表示され、輝度やスピーカーのボリュームを調節したり、1495/HASのバッテリ残量を確認できる。

 ただし、スタイラスペンやスタンド型キーボードはWindowsからは認識せず、利用できなかった。また、映像入力時にはT1495/HASのAndroid画面への切り替えも行なえず、ケーブルを外さない限りAndroidは利用できないようだ。そのため、映像入力時にはT1495/HASは純粋なモバイルモニター相当として動作すると考えていいだろう。

 モバイルモニターとして利用している場合でもAndroidを呼び出せたり、Windows側でもスタイラスペンが利用できると、より利便性が高まるため、できれば今後のアップデートやドライバの用意などで対応してもらいたいと感じる。

 ちなみに、映像出力対応のUSB Type-CにPCを接続した場合には、AndroidデバイスとしてPCに接続される。

手持ちのWindows PCを映像入力対応のUSB Type-Cに接続した状態。こちらもミラーモード、拡張モードとも問題なく動作し、T1495/HASのタッチも利用できたが、デジタルペン2はWindowsで利用できない
モバイルモニターとして利用している時に上部ボリュームボタンを押すとメニューが表示され、輝度やボリュームを調節したりバッテリの状況を確認できる

 映像入力、映像出力時の電力は、接続した機器からT1495/HASに向かっての供給のみで、T1495/HASから接続機器への供給は行なえない。そのため、映像出力、映像入力を利用する場合には、接続機器から電力を供給するか、T1495/HASの空いているUSB Type-CにACアダプタを接続することになる。もちろん、T1495/HASはバッテリを内蔵しているため、バッテリ残量がある限りは電力が供給されずとも映像を表示できる。

 なお、USBとしての仕様は、映像出力対応ポートがUSB 3.0準拠、映像入力対応ポートがUSB 2.0準拠。双方とも充電ポートとしても利用できる。

プレミアムクラスの製品らしくスペックは充実

 T1495/HASの主な仕様は、以下の表にまとめた通り。プレミアムクラスのAndroidタブレットとして申し分ないものとなっている。

【表1】LAVIE Tab T14 T1495/HASの主な仕様
LAVIE Tab T14 T1495/HASの主な仕様
SoCMediaTek Dimensity 9000
メモリ12GB LPDDR5X
内蔵ストレージ256GB
外部ストレージ最大1TB microSD
OSAndroid 13(One Vision)
モニター14.5型3,000×1,876ドット有機EL、アスペクト比16:10
背面カメラ約500万画素超広角(パンフォーカス)、約1,300万画素広角(オートフォーカス)
前面カメラ約1,300万画素(パンフォーカス)
無線LANWi-Fi 6
BluetoothBluetooth 5.3
防水・防塵IPX2防滴/IP5X防じん
生体認証電源ボタン一体型指紋認証センサー、顔認証
外部ポートUSB 3.0 Type-C(映像出力対応)、USB 2.0 Type-C(映像入力対応)
バッテリ容量12,300mAh
付属品ACアダプタ、USB Type-Cケーブル、ヘッドセットアダプタ
サイズ(幅×奥行き×高さ)327.8×210.8×5.9mm
重量約735g
カラーストームグレー

 SoCにはMediaTekのDimensity 9000を採用。Dimensity 9000シリーズには、後継モデルのDimensity 9000+や、上位モデルのDimensity 9200+が存在するが、Dimensity 9000自体もまだまだ十分な性能を備えている。競合となるQualcommのSnapdragon 8 Gen 1と比べても同等以上の処理能力を備えると言われており、プレミアムクラスのAndroidタブレットとして申し分ない性能を発揮すると考えていい。

 RAMは標準で12GBと十分な容量を搭載。これなら、複数アプリの同時利用はもちろん、動画編集なども快適にこなせるはずだ。

 内蔵ストレージは256GB。こちらは特別大容量というわけではないが、最大1TBのmicroSDカードを装着して利用できるため、大量の写真や動画を扱う場面が多いとい場合でも安心だ。

本体左側面に、microSDカードスロットが用意され、最大1TBのmicroSDカードを利用できる

 実際にいくつかのアプリを利用してみたが、動作は非常にキビキビとしており、とても快適だ。以下に、いくつかのベンチマークアプリの結果を掲載するが、いずれもなかなかの高スコアが得られている。これなら、プレミアムクラスのタブレットとして性能面での不満はほとんどないと言えそうだ。

PCMark for Android BenchmarkのWork 3.0 performanceの結果。プレミアムクラスの製品らしい高スコアが得られている
PCMark for Android BenchmarkのStorege 2.0の結果。こちらも申し分ないスコアで、内蔵ストレージの性能も不満がない
3DMarkのWild Lifeの結果。こちらもなかなかの高スコアで、ゲームやクリエイティブアプリも快適に利用できそうだ
Geekbench 6のCPU Benchmarkの結果。競合のSoCと比べても全く見劣りしないスコアで、この結果からもSoCの処理能力の高さが伝わってくる
Geekbench 6のGPU Benchmark(OpenCL)の結果。こちらも非常に高スコアが得られた
Geekbench 6のGPU Benchmark(Vulkan)の結果も十分に優れている

 また、T1495/HASはゲーミング向けとしては位置付けられていないが、比較的動作が重いことで有名なゲームアプリ「原神」をプレイしてみたが、画質設定を「最高」、かつフレームレートを「60」に設定しても、特に動作の重さを感じることなくプレイできた。重量級のゲームが快適に動作するなら、そのほかのアプリも快適に動作すると考えていいだろう。

動作が重いゲーム「原神」は、画質を「最高」、フレームレートを「60」に設定しても快適にプレイできた

 無線機能は、Wi-Fi 6準拠の無線LANとBluetooth 5.3に対応し、ワイヤレスWANは非搭載。

 生体認証機能は、指紋認証センサーと前面カメラを利用した顔認証に対応。指紋認証センサーは左側面搭載の電源ボタン一体型となる。また、IPX2準拠の防滴仕様、IP5X準拠の防じん仕様にも対応する。

 スピーカーは、JBL製スピーカーを左右側面に4基ずつ、計8基搭載。音質は良好で、伸びがあり迫力のあるサウンドを再生できる。また、Dolby Atmosもサポートしており、映画などのコンテンツも音に包み込まれるようなサラウンドサウンドで楽しめる。サイズが大きいこともあって、サラウンドの効果がはっきり感じられるのも嬉しい部分だ。

左側面上部に、指紋認証センサー一体型の電源ボタンを配置
上部側面にはボリュームボタンを配置

 カメラは、500万画素センサーの超広角レンズ(パンフォーカス)と1,500万画素センサーの広角レンズ(オートフォーカス)の2眼仕様。前面カメラは1,300万画素センサーを採用。以下に背面カメラの作例を示すが、写真画質はまずまず良好。ただ、本体サイズが大きいことと、シャッター音がかなり大きいため、スマートフォン同様に写真を撮影するのは少々厳しい印象だ。

背面カメラは500万画素センサーの超広角レンズと1,500万画素センサーの広角レンズの2眼仕様
前面カメラは500万画素センサーで、顔認証カメラとしても利用される
作例
超広角レンズで撮影
広角レンスで撮影
広角レンズ、2倍デジタルズームで撮影
広角レンジ、8倍デジタルズームで撮影

 内蔵バッテリ容量は12,300mAhで、公称の駆動時間はWeb閲覧時で約6時間。それに対し、画面輝度を50%に、リフレッシュレートを60Hzに設定して、内蔵ストレージに転送したフルHD動画を連続再生してみたところ、約7時間16分と、公称よりもやや長めの駆動を確認した。このあたりは実際の利用状況に大きく左右されるはずだが、大画面・高解像度の有機ELを搭載していることを考えると、まずまずの駆動時間が確保できると考えていいだろう。

 製品パッケージには、出力15WのACアダプタとUSB Type-Cケーブル、USB Type-C接続のヘッドセットアダプタが付属する。

パッケージには、出力15WのACアダプタ、USB Type-Cケーブル、ヘッドセットアダプタが付属

クリエイティブ作業に活用できる高性能・大画面のプレミアムタブレットとして魅力

 今回、T1495/HASを試用してみたが、その性能の高さやモニターの優れた表示性能はもちろん、繊細なペン入力、映像入出力に対応することで複数画面での利用やモバイルモニターとしても利用できるなど、その利便性の高さに大きな魅力を感じた。

 また、オプションのキーボード&キックスタンドの利用でWindows PCのような使い方ができる点は、目新しい機能ではないが、これまで実現してきた競合製品と比べて使い勝手が優れており、こちらも実用性が高いと感じた。

 懸念となるのは、そのサイズと重量、価格だろうか。サイズと重量に関しては、数字だけ見るとかなり大きく重く感じるかもしれないが、搭載する14.5型の大型モニターを考えると、十分コンパクトで重さも想定の範囲内と言える。

 そして、直販で14万2,780円からの価格についても、競合のプレミアムクラスタブレットと比べて特別高いわけではない。少なくとも、モニターやスペックなどの仕様を考慮すると十分納得できる価格と言える。

 以上から、クリエイティブ作業に活用できる高性能・大画面のプレミアムタブレットを探している人はもちろん、高性能で幅広い用途に活用できるAndroidタブレットが欲しい人にお勧めしたい。