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ついにデスクトップにも到来!待望の高性能APU「Ryzen 8000G」をテスト

 AMDのSocket AM5向けAPU「Ryzen 8000G」シリーズが、日本国内で2月2日11時より発売される。価格はRyzen 7 8700Gが5万7,800円、Ryzen 5 8600Gが3万9,800円、Ryzen 5 8500Gが2万9,800円だ。

 発売に先立って、Ryzen 8000G シリーズの上位2製品である「Ryzen 7 8700G」と「Ryzen 5 8600G」をテストする機会が得られたので、AMDの最新鋭デスクトップ向けAPUの実力をベンチマークテストでチェックしてみた。

Zen 4系CPUとRDNA 3ベースのGPUを備える「Ryzen 8000G」

 AMDのRyzen 8000Gシリーズは、AMD最新のデスクトップ環境であるSocket AM5向けのAPU。発売時点では4モデルがラインナップされており、いずれもZen 4またはZen 4cベースのCPUコアと、RDNA 3アーキテクチャを採用するGPUコア搭載し、TSMCの4nm FinFETプロセスで製造されている。

 一般ユーザー向けに販売されるのは、最上位のRyzen 7 8700G以下、Ryzen 5 8600G、Ryzen 8500Gの3モデル。いずれもCPUコアやGPUコアの仕様が異なるほか、上位2製品にはAI処理用のNPU「Ryzen AI」が搭載されているが、Ryzen 5 8500Gには非搭載で、CPU内蔵PCIe 4.0のレーン数も上位2製品とRyzen 5 8500Gでは大きく異なる。

【表1】Ryzen 8000G シリーズの主な仕様
モデルナンバーRyzen 7 8700GRyzen 5 8600GRyzen 5 8500G
CPUアーキテクチャZen 4Zen 4Zen 4 + Zen 4c
製造プロセスTSMC 4nm FinFETTSMC 4nm FinFETTSMC 4nm FinFET
Zen 4 コア数862
Zen 4c コア数004
CPUスレッド数161212
L2キャッシュ8MB6MB6MB
L3キャッシュ16MB16MB16MB
Zen 4 ベースクロック4.2GHz4.3GHz3.5GHz
Zen 4 ブーストクロック5.1GHz5.0GHz5.0GHz
Zen 4c ベースクロック3.2GHz
Zen 4c ブーストクロック3.7GHz
CPU内蔵GPU (iGPU)Radeon 780MRadeon 760MRadeon 740M
GPUアーキテクチャRDNA 3RDNA 3RDNA 3
iGPUコア数1284
iGPUクロック2,900MHz2,800MHz2,800MHz
NPURyzen AIRyzen AI
対応メモリDDR5-5200 (2ch)DDR5-5200 (2ch)DDR5-5200 (2ch)
PCI ExpressPCIe 4.0 x20PCIe 4.0 x20PCIe 4.0 x14
TDP65W65W65W
TjMax95℃95℃95℃
対応ソケットSocket AM5Socket AM5Socket AM5
希望小売価格329ドル229ドル176ドル

 今回テストするのは、8コア/16スレッドCPUとRadeon 780M(12CU)を備える最上位のRyzen 7 8700Gと、6コア/12スレッドCPUとRadeon 760M(8CU)を備えるRyzen 5 8600Gの2モデルだ。

 これら上位2モデルのCPUコアはZen 4のみで構成されており、CPU内蔵PCIe 4.0についても合計20レーン備えている。なお、20レーンのPCIe 4.0のうち4レーンはチップセット接続用で、GPU用に8レーン、NVMe SSD用に4レーン×2本となっている。TDPは65Wで、製品パッケージには純正CPUクーラーが付属する。

Ryzen 7 8700G
Ryzen 7 8700GのCPU-Z実行画面
Ryzen 7 8700G(Radeon 780M)のGPU-Z実行画面
Ryzen 7 8700G付属のCPUクーラー
ヒートシンクはベース面まで全てアルミ製
Ryzen 5 8600G
Ryzen 5 8600GのCPU-Z実行画面
Ryzen 5 8600G(Radeon 780M)のGPU-Z実行画面
Ryzen 5 8600G付属のCPUクーラー
ヒートシンクはアルミ製で、Ryzen 7 8700Gの付属品よりやや小さい

 従来のSocket AM5対応CPUと同じく、特徴的なヒートスプレッダを採用するRyzen 8000Gだが、基板側のレイアウトが変更されており、実装部品やパッドはヒートスプレッダの下に隠れるようになっている。

 なお、Socket AM5に対応するRyzen 8000Gシリーズは、対応BIOSにアップデートすることで既存のSocket AM5対応マザーボードで利用できる。

Ryzen 7 7800X3D(右)との比較。基板上の実装部品やパッドの配置が変更されている

テスト機材と比較用CPU

 今回、AMDよりRyzen 8000Gシリーズのレビュアーズキットとして、MSIのAMD B650チップセット搭載マザーボード「B650 GAMING PLUS WIFI」と、G.SkillのDDR5-6400/EXPO対応メモリ「F5-6400J3239G16GX2-TZ5NR」を借りることができた。

AMD B650チップセット搭載マザーボード「MSI B650 GAMING PLUS WIFI」
DDR5-6400/EXPO対応の16GBメモリ2枚組「G.Skill F5-6400J3239G16GX2-TZ5NR」

 また、Ryzen 8000Gシリーズの比較用CPU/APUとして、Socket AM5対応にしてZen 4世代の8コア/16スレッドCPU「Ryzen 7 7800X3D」と、Zen 3世代の8コア/16スレッドCPUを備えるSocket AM4向けAPU「Ryzen 7 5700G」を用意。

 Socket AM5対応CPU/APUについてはAMDより借用した機材で構築したAMD B650環境、Ryzen 7 5700GについてはAMD B550環境を構築してテストを行なった。主な機材は以下の表の通りで、Socket AM5環境についてはEXPOによってDDR5-6400動作に設定している。

 なお、内蔵GPU(iGPU)用のドライバについては、Ryzen 8000Gシリーズにプレビュー版の「Adrenaline 23.20.44」、Ryzen 7 7800X3DとRyzen 7 5700Gには各iGPUに対応する「Adrenaline 24.1.1」を導入している。

 RDNA 3アーキテクチャを採用するRyzen 8000Gシリーズは、フレーム生成技術である「AMD Fluid Motion Frames(AFMF)」に対応するとされているが、今回のテスト環境ではAFMFの動作を確認できなかったためテストを行なうことができなかった。

【表2】テスト機材
CPURyzen 7 8700GRyzen 5 8600GRyzen 7 7800X3DRyzen 7 5700G
コア数/スレッド数8C/16T6C/12T8C/16T8C/16T
L2キャッシュ8MB6MB8MB4MB
L3キャッシュ16MB16MB96MB16MB
iGPURadeon 780MRadeon 760MRadeon GraphicsRadeon Graphics
iGPUコア数12基 (RDNA 3)8基 (RDNA 3)2基 (RDNA 2)8基 (Vega)
iGPUドライバAdrenaline 23.20.44 (31.0.22044.1)Adrenaline 24.1.1 (31.0.24002.92)Adrenaline 24.1.1 (31.0.21910.5)
CPU電力リミットPPT=87.8WPPT=87.8WPPT=162WPPT=88W
CPU電流リミットTDC=75A、EDC=150ATDC=75A、EDC=150ATDC=120A、EDC=180ATDC=65A、EDC=95A
CPU温度リミット95℃95℃89℃95℃
マザーボードMSI B650 GAMING PLUS WIFIASUS TUF GAMING B550M (WI-FI) ZAKU II EDITION
BIOSv1.8v3404
メモリDDR5-6400 16GB×2 (2ch、32-39-39-102、1.4V)DDR4-3200 16GB×2 (2ch、22-22-22、1.2V)
CPUクーラーASUS TUF GAMING LC 240 ARGB (ファンスピード=100%)
システム用SSDCORSAIR MP600 1TB (PCIe 4.0 SSD)
アプリケーション用SSDCFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (USB 10Gbps)
電源玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1,200W/80PLUS Platinum)
OSWindows 11 Pro 23H2 (build 22631.3007、VBS有効)
電源プランバランス
計測HWiNFO64 Pro v7.68、ラトックシステム RS-BTWATTCH2
室温約25℃
Ryzen 7 7800X3DのCPU-Z実行画面
Ryzen 7 7800X3DのGPU-Z実行画面
Ryzen 7 5700GのCPU-Z実行画面
Ryzen 7 5700GのGPU-Z実行画面

ベンチマーク結果

 今回実施したベンチマークテストは、「Cinebench 2024」、「Cinebench R23」、「3DMark」、「Blender Benchmark」、「やねうら王」、「Adobe Camera Raw」、「DaVinci Resolve 18.6」、「HandBrake」、「TMPGEnc Video Mastering Works 7」、「PCMark 10」、「UL Procyon」、「SiSoftware Sandra 20/21」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール」、「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」、「エルデンリング」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」、「VALORANT」、「エーペックスレジェンズ」。

Cinebench 2024

 Cinebench 2024では、CPUの3DCGレンダリング性能を計測する「Multi Core」と「Single Core」を最低実行時間「10分」で実行し、ベンチマークスコアを計測した。なお、GPUテストについては、今回テストした全てのiGPUで実行不能だった。

 Multi Coreでは、Ryzen 7 8700Gが全体2番手となる「1,014」を記録。Ryzen 5 8600Gを約26%、Ryzen 7 5700Gを約31%上回り、Ryzen 7 7800X3Dを約8%下回った。

 Single Coreでは、Ryzen 7 8700GとRyzen 5 8600Gともに全体2番手となる「107」を記録。Ryzen 7 5700Gを約20%上回り、Ryzen 7 7800X3Dを約6%下回った。

【グラフ01】 Cinebench 2024「CPU (Multi Core)」
【グラフ02】 Cinebench 2024「CPU (Single Core)」

Cinebench R23

 Cinebench R23でも、CPUの3DCGレンダリング性能を計測する「Multi Core」と「Single Core」を最低実行時間「10分」で実行し、ベンチマークスコアを計測した。

 Multi Coreでは、Ryzen 7 8700Gが全体2番手となる「16,919」を記録。Ryzen 5 8600Gを約25%、Ryzen 7 5700Gを約24%上回り、Ryzen 7 7800X3Dを約7%下回った。

 Single Coreでは、Ryzen 7 8700Gのスコアは「1,757」で、「1,778」を記録したRyzen 5 8600Gを約1%下回った。なお、Ryzen 7 8700GはRyzen 7 5700Gを約19%上回り、Ryzen 7 7800X3Dを約3%下回っている。

【グラフ03】 Cinebench R23「CPU (Multi Core)」
【グラフ04】 Cinebench R23「CPU (Single Core)」

3DMark「CPU Profile」

 3DMarkのCPUベンチマーク「CPU Profile」は、CPU性能をスレッド数毎に計測するベンチマークテストだ。

 Ryzen 7 8700Gは、同じZen 4世代の8コア/16スレッドCPUのRyzen 7 7800X3Dと拮抗したスコアを記録。Ryzen 5 8600Gは8コア以上ではRyzen 7 8700Gを19~25%下回っているが、4スレッド以下ではほぼ同等のスコアを記録した。なお、Ryzen 7 8700GはRyzen 7 5700Gを12~19%上回った。

【グラフ05】 3DMark「CPU Profile」

Blender Benchmark

 Blender Benchmarkでは、CPUテストを実行してレンダリング速度を計測した。なお、GPUテストについてはRyzen 8000Gシリーズがドライバ側の問題で実行できなかったためテストを省略している。

 Ryzen 7 8700Gのレンダリング速度は全体2番手で、Ryzen 5 8600Gを25~28%、Ryzen 7 5700Gを25~26%上回り、Ryzen 7 7800X3Dを10~15%下回った。

【グラフ06】 Blender Benchmark「CPU」

やねうら王

 将棋ソフトの「やねうら王」では、ベンチマーク機能を利用してマルチスレッドテストとシングルスレッドテストを実行した。

 マルチスレッドテストでのRyzen 7 8700Gは、全体2番手となるスコアを記録。Ryzen 5 8600Gを約25%、Ryzen 7 5700Gを約37%上回り、Ryzen 7 7800X3Dを約8%下回った。

 シングルスレッドテストでも、Ryzen 7 8700Gは全体2番手となっており、Ryzen 5 8600Gを約1%、Ryzen 7 5700Gを約21%上回り、Ryzen 7 7800X3Dを僅かに下回った。

【グラフ07】 やねうら王「マルチスレッド」
【グラフ08】 やねうら王「シングルスレッド」

Adobe Camera Raw「RAW現像」

 Adobe Camera Rawにて、デジタルカメラで撮影した2,400万画素のRAWファイル100枚をJPEGファイルに現像するのに掛かった時間を測定。その処理速度を比較した。

 Ryzen 7 8700Gの処理速度は、全体2番手となる「分速103.2枚」を記録。Ryzen 5 8600Gを約8%、Ryzen 7 5700Gを約109%上回り、Ryzen 7 7800X3Dを約24%下回った。

【グラフ09】 Adobe Camera Raw「RAW現像」

Adobe Camera Raw「AIノイズ除去」

 Adobe Camera Rawにて、カメラで撮影した2,400万画素のRAWファイル5枚に対して「AIノイズ除去」を実行。その処理速度を比較した。

 Ryzen 7 8700Gの処理速度は、全体ベストとなる「分速1.43枚」を記録。Ryzen 5 8600Gを約19%、Ryzen 7 7800X3Dを約751%、Ryzen 7 5700Gを約257%上回っている。

 Adobe Camera RawのAIノイズ除去はGPU性能がパフォーマンスに大きく影響するテストであるため、もっとも先進的なRDNA 3世代でGPUコアの規模も大きいRyzen 8000Gシリーズが、Ryzen 7 7800X3DやRyzen 7 5700Gを圧倒する結果となった。

【グラフ10】 Adobe Camera Raw「AIノイズ除去」

DaVinci Resolve 18.6

 DaVinci Resolve 18.6では、カメラで撮影した2160p60(4K60p)動画を素材として作成した60秒間の動画を、YouTube向けプリセットをベースにH.264、H.265、AV1の各型式でレンダリングしたさいの処理速度を計測した。

 GPUに内蔵されたハードウェアエンコーダの性能が大きく影響するこのテストで、Ryzen 7 8700Gは全体ベストの20.1~20.6fps、Ryzen 5 8600Gがそれに次ぐ18.5~19.0fpsを記録。Ryzen 7 7800X3DやRyzen 7 5800X3Dを大きく上回った。

 なお、Ryzen 7 7800X3DとRyzen 7 5700GのハードウェアエンコーダはAV1形式に対応していないため、テストを実行することができなかった。

【グラフ11】 DaVinci Resolve 18.6

HandBrake

 HandBrakeでは、カメラで撮影した60秒間の2160p60(4K60p)動画をエンコードしたさいの速度を計測した。

 CPUで処理を行なうソフトウェアエンコードでは、Ryzen 7 8700Gが全体2番手の速度を記録。Ryzen 5 8600Gを22~26%、Ryzen 7 5700Gを54~95%上回り、Ryzen 7 7800X3Dを9~12%下回った。

【グラフ12】 HandBrake「ソフトウェアエンコード」

 GPUのハードウェアエンコーダ(AMD VCE)で処理を行なった場合、Ryzen 7 8700GはH.264とAV1で同じ速度を記録し、H.265ではRyzen 7 8700Gが約4%速かった。ただし、H.265の処理時間は1秒差であり、Ryzen 8000Gの2モデルについては同等と考えて良い結果だ。

 なお、H.264とH.265については、Ryzen 7 8700GがRyzen 7 7800X3Dを64~71%。Ryzen 7 5700Gを168~171%上回っている。先進的なAV1に対応し、従来のH.264やH.265を高速に処理できるハードウェアエンコーダの存在は、Ryzen 8000シリーズの魅力のひとつと言えるだろう。

【グラフ13】 HandBrake「ハードウェアエンコード」

TMPGEnc Video Mastering Works 7

 TMPGEnc Video Mastering Works 7では、カメラで撮影した60秒間の2160p60(4K60p)動画をエンコードしたさいの速度を計測した。

 x264を用いたH.264形式へのエンコードでは、Ryzen 7 8700Gが全体2番手の速度を記録し、Ryzen 5 8600Gを24~25%、Ryzen 7 5700Gを35~48%上回り、Ryzen 7 7800X3Dを8~9%下回った。

 x265を用いたH.265形式へのエンコードでも、Ryzen 7 8700Gが全体2番手の速度を記録。Ryzen 5 8600Gを15~18%、Ryzen 7 5700Gを35~43%上回り、Ryzen 7 7800X3Dを6~8%下回った。

【グラフ14】 TMPGEnc Video Mastering Works 7「x264エンコード」
【グラフ15】 TMPGEnc Video Mastering Works 7「x265エンコード」

PCMark 10

 PCMark 10では、もっともテスト項目の多い「PCMark 10 Extended」でスコアを計測した。

 Ryzen 7 8700Gの総合スコアは「7,451」で全体ベストを記録。2番手のRyzen 5 8600Gを約8%上回り、Ryzen 7 7800X3Dを約50%、Ryzen 7 5700Gを約36%上回った。

 サブスコアに目を向けると、Ryzen 8000GシリーズはGPU性能が反映されやすいDigital Content CreationやGamingでスコアを稼いでいることが分かる。

【グラフ16】 PCMark 10 Extended

UL Procyon

 UL Procyonでは、AI処理性能を計測する「AI Interface Benchmark for Windows」で、CPUとGPUの処理性能をそれぞれ計測した。

 CPUテストでは、Ryzen 7 8700Gが全体2番手のスコアを記録。Ryzen 5 8600Gを2~5%、Ryzen 7 5700Gを27~73%上回り、Ryzen 7 7800X3Dを12~24%下回った。

 GPUテストでは、Ryzen 7 8700Gが全体ベスト、Ryzen 5 8600Gが全体2番手のスコアを記録。Ryzen 7 8700GはRyzen 5 8600Gを8~26%、Ryzen 7 7800X3Dを291~367%、Ryzen 7 5700Gを116~152%上回った。

【グラフ17】 UL Procyon「AI Interface Benchmark for Windows (CPU)」
【グラフ18】 UL Procyon「AI Interface Benchmark for Windows (GPU)」

SiSoftware Sandra 20/21「CPUベンチマーク」

 SiSoftware Sandra 20/21のCPUテストから、「プロセッサの性能」と「マルチメディア処理」の結果を紹介する。

 CPUの演算性能を計測する「プロセッサの性能」では、Ryzen 7 8700Gが全体ベストを記録。Ryzen 5 8600Gを28~30%、Ryzen 7 7800X3Dを0.3~5%、Ryzen 7 5700Gを31~58%上回った。

 「マルチメディア処理」では、Ryzen 7 8700GはRyzen 7 7800X3Dと同等からやや下回る全体2番手のスコアを記録。Ryzen 5 8600Gを29~40%、Ryzen 7 5700Gを12~81%上回った。

【グラフ19】 SiSoftware Sandra 20/21「プロセッサの性能」
【グラフ20】 SiSoftware Sandra 20/21「マルチメディア処理」

SiSoftware Sandra 20/21「メモリベンチマーク」

 SiSoftware Sandra 20/21で、メインメモリの帯域幅とレイテンシを計測した結果が以下のグラフだ。

 DDR5-6400動作のメモリを搭載するRyzen 7 8700Gのメモリ帯域幅は58.40GB/sで、Ryzen 5 8600Gの58.53GB/sとほぼ同等だった。これは同じメモリを搭載するRyzen 7 7800X3Dより若干高速で、DDR4-3200メモリを搭載するRyzen 7 5700Gの29.74GB/sを大きく上回っている。

 メモリレイテンシに関しては、Ryzen 7 8700Gが73.9ns、Ryzen 5 8600Gが75.9nsとなっており、同じメモリを搭載するRyzen 7 7800X3Dの59.7nsよりだいぶ大きく、Ryzen 7 5700Gの71.9nsより大きい数値だった。

【グラフ21】 SiSoftware Sandra 20/21「メモリ帯域幅」
【グラフ22】 SiSoftware Sandra 20/21「メモリレイテンシ」

SiSoftware Sandra 20/21「キャッシュベンチマーク」

 CPUが内蔵するキャッシュのレイテンシや帯域幅を測定した結果が以下のグラフだ。

 L3キャッシュ容量が16MBのRyzen 8000GシリーズとRyzen 7 5700Gは、テストサイズが16MBを超えると一気にレイテンシが大きくなり、帯域幅も低下している様子がみてとれる。

 なお、Socket AM5向けデスクトップCPUであるRyzen 7000シリーズは、CCD1基あたり32MBのL3キャッシュを備えているため、Ryzen 8000GシリーズのL3キャッシュ容量は、同じコア数のRyzen 7000シリーズの半分ということになる。

【グラフ23】 SiSoftware Sandra 20/21「キャッシュのレイテンシ」
【グラフ24】 SiSoftware Sandra 20/21「キャッシュの帯域幅」

3DMark

 3DMarkでは、リアルタイムレイトレーシングを採り入れた新世代テストの「Speed Way」、「Port Royal」、「Solar Bay」と、旧世代テストの「Time Spy」、「Fire Strike」、「Wild Life」を実行した。

 新世代テストについては、DirectX 12 Ultimateテストの「Speed Way」はRyzen 8000Gシリーズしか実行できず、Ryzen 7 5700Gは「Port Royal」と「Solar Bay」を実行できなかった。

 そのうえで、Speed WayではRyzen 7 8700GとRyzen 5 8600Gが420前後のスコアで横並び。Port RoyalとSolar BayではではRyzen 7 8700Gが全体ベストを記録しており、Ryzen 5 8600Gを4~18%、Ryzen 7 7800X3Dを284~343%上回った。

【グラフ25】 3DMark「Speed Way」
【グラフ26】 3DMark「Port Royal」
【グラフ27】 3DMark「Solar Bay」

 旧世代のベンチマークテストでは、全てのテストでRyzen 7 8700Gが全体ベストの総合スコアを記録。2番手のRyzen 5 8600Gを17~22%、Ryzen 7 7800X3Dを249~299%、Ryzen 7 5700Gを105~119%上回った。

【グラフ28】 3DMark「Time Spy」
【グラフ29】 3DMark「Fire Strike」
【グラフ30】 3DMark「Wild Life」

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、画面解像度をフルHD/1080p(1,920×1,080ドット)に設定して、3つの描画設定でスコアと平均フレームレートを計測した。

 Ryzen 7 8700Gは、全ての設定で全体ベストとなるスコアを記録。2番手のRyzen 5 8600Gを2~16%、Ryzen 7 7800X3Dを77~190%、Ryzen 7 5700Gを54~85%上回った。平均フレームレートについても概ねスコアと同程度の差となっている。

【グラフ31】 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「スコア」
【グラフ32】 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「平均フレームレート」

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、画面解像度をフルHD/1080pに設定して、3つの描画設定でスコアを計測した。

 全体ベストを記録したのはRyzen 7 8700Gで、2番手のRyzen 5 8600Gを10~18%、Ryzen 7 7800X3Dを215~222%、Ryzen 7 5700Gを60~99%上回った。

【グラフ33】 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール

 STREET FIGHTER 6 ベンチマークツールでは、画面解像度をフルHD/1080pに設定して、3つのグラフィックスプリセット(LOWEST/NORMAL/HIGHEST)でテストを実行。各シーンの平均フレームレートを比較した。上限フレームレートは「FIGHTING GROUND」が60fps、「BATTLE HUB/WORLD TOUR」が120fps。

 メインコンテンツであるFIGHTING GROUNDについては、描画設定「LOWEST」でRyzen 7 8700GとRyzen 5 8600Gがほぼ上限フレームレートを維持しており、WQHD以上ではRyzen 7 8700Gが約12%上回った。なおRyzen 7 8700GはRyzen 7 7800X3Dを46~239%、Ryzen 7 5700Gを22~93%上回っている。

 BATTLE HUBとWORLD TOURでの全体ベストはRyzen 7 8700Gで、Ryzen 5 8600Gを5~10%、Ryzen 7 7800X3Dを182~260%、Ryzen 7 5700Gを78~129%上回った。

【グラフ34】 STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール│描画設定「LOWEST」
【グラフ35】 STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール│描画設定「NORMAL」
【グラフ36】 STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール│描画設定「HIGHEST」

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON

 ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONでは、画面解像度をフルHD/1080pに設定して、4つの描画設定で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは120fps。

 ここでも全体ベストはRyzen 7 8700Gで、Ryzen 5 8600Gを18~20%、Ryzen 7 7800X3Dを222~263%、Ryzen 7 5700Gを89~102%上回った。

【グラフ37】 ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON (v50)

エルデンリング

 エルデンリングでは、画面解像度をフルHD/1080pに設定して、4つの描画設定で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは60fps。

 Ryzen 7 8700Gが全体ベストの平均フレームレートを記録しており、Ryzen 5 8600Gを7~19%、Ryzen 7 7800X3Dを243~279%、Ryzen 7 5700Gを37~84%上回った。

【グラフ38】 エルデンリング (v1.10.1)

モンスターハンターライズ:サンブレイク

 モンスターハンターライズ:サンブレイクでは、画面解像度をフルHD/1080pに設定して、3つのグラフィックスプリセットで平均フレームレートを計測した。

 グラフィックスプリセット「低」では、Ryzen 7 8700GとRyzen 5 8600Gが180fps弱で横並びとなっているが、WQHD以上ではRyzen 7 8700Gが23~29%上回った。また、Ryzen 7 8700GはRyzen 7 7800X3Dを75~320%、Ryzen 7 5700Gを47~86%上回っている。

【グラフ39】 モンスターハンターライズ:サンブレイク (v16.0.2.0)

VALORANT

 VALORANTでは、画面解像度をフルHD/1080pに設定して、3つのグラフィックスプリセットで平均フレームレートを計測した。

 全体ベストの平均フレームレートを記録したのはRyzen 7 8700Gで、Ryzen 5 8600Gを2~7%、Ryzen 7 7800X3Dを32~97%、Ryzen 7 5700Gを32~86%上回った。

【グラフ40】 VALORANT (v8.01.00.2228372)

エーペックスレジェンズ

 エーペックスレジェンズでは、画面解像度をフルHD/1080pに設定して、描画設定をもっとも低くした「最低」と、もっとも高くした「最高」、その中間程度の「中」に設定した3さいの平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。

 全体ベストの平均フレームレートを記録したのはRyzen 7 8700Gで、Ryzen 5 8600Gを7~26%、Ryzen 7 7800X3Dを266~333%、Ryzen 7 5700Gを72~74%上回った。

【グラフ41】 エーペックスレジェンズ (v3.0.55.37)

システム消費電力とワットパフォーマンス

 ラトックシステムのワットチェッカー「RS-BTWATTCH2」を使用して、アイドル時の最小消費電力と、各ベンチマーク実行中の平均消費電力と最大消費電力を計測した。

 Ryzen 8000Gシリーズのアイドル時消費電力は40.5~40.8Wで、CPU以外が同条件のRyzen 7 7800X3Dの55.8Wより15Wほど低い数値となっている。アイドル時消費電力がもっとも低かったのはRyzen 7 5700Gの31.1Wで、これにはマザーボードやメモリの仕様も少なからず影響している点に留意したい。

 ベンチマーク実行中の平均消費電力は、Ryzen 7 8700Gが132.0~150.3W、Ryzen 5 8600Gが114.1~146.9W。最小はRyzen 7 5700Gの73.3~131.1Wで、Ryzen 8000Gシリーズの消費電力はGPUを使用するテストでRyzen 7 5700Gより特に高くなっているようだ。

【グラフ42】 アイドル時とベンチマークテスト実行中のシステム消費電力 (平均/最大)
【グラフ43】 ゲームテスト実行中のシステム消費電力 (平均/最大)

 ベンチマークスコアをシステムの平均消費電力で割ることで求めた「ワットパフォーマンス」を、Ryzen 7 5700Gを基準に指数化したものが以下のグラフ。

 消費電力自体はRyzen 7 5700Gより高いRyzen 8000Gシリーズだが、Ryzen 7 8700GはファイナルファンタジーXIVの標準品質以外でRyzen 7 5700G以上のワットパフォーマンスを記録しており、Ryzen 5 8600GはCPUベンチマークでは分が悪いものの、ゲームテストではRyzen 7 5700Gを上回っている。

【グラフ44】 ベンチマークテスト実行中のワットパフォーマンス比較 (Ryzen 7 5700G比)
【グラフ45】 ゲームテスト実行中のワットパフォーマンス比較 (Ryzen 7 5700G比)

Cinebench 2024実行中のモニタリングデータ

 HWiNFO64 Proを使って計測したCinebench 2024「CPU (Multi Core)」実行中のモニタリングデータをまとめたものが以下のグラフ。テスト時の室温は約25℃。

 Ryzen 7 8700GのCPU温度は最高74.4℃(平均73.1℃)で、CPU消費電力が最大87.9W(平均87.5W)、CPUクロックは平均4,645MHz(最高4,888MHz)。CPU温度はTjMaxの95℃より低いが、CPU消費電力はリミットの87.8Wに達しており、平均CPUクロックは電力リミットスロットリングが生じた結果となっている。

 Ryzen 5 8600GのCPU温度は最高83.6℃(平均80.4℃)で、CPU消費電力が最大86.9W(平均84.7W)、CPUクロックは平均4,818MHz(最高4,925MHz)。CPU温度はTjMaxの95℃より低く、CPU消費電力はリミットの87.8Wを僅かに下回っている。

 なお、Ryzen 5 8600Gの方がRyzen 7 8700GよりCPU温度が高くなっているが、8コアで平均87.5WのRyzen 7 8700Gと、6コアで平均86.9WのRyzen 5 8600Gでは後者の方が熱密度が高くなるので、特に不思議な結果ではない。

【グラフ46】 CPU温度 (平均/最大)│CINEBENCH 2024「Multi Core」
【グラフ47】 消費電力 (平均/最大)│CINEBENCH 2024「Multi Core」
【グラフ48】 動作クロック (平均/最大)│CINEBENCH 2024「Multi Core」
【グラフ49】 Ryzen 7 8700Gのモニタリングデータ│Cinebench 2024「Multi Core」
【グラフ50】 Ryzen 5 8600Gのモニタリングデータ│Cinebench 2024「Multi Core」
【グラフ51】 Ryzen 7 7800X3Dのモニタリングデータ│Cinebench 2024「Multi Core」
【グラフ52】 Ryzen 7 5700Gのモニタリングデータ│Cinebench 2024「Multi Core」

FF14ベンチマーク実行中のモニタリングデータ

 HWiNFO64 Proを使って計測した「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(フルHD/1080p、最高品質)」実行中のモニタリングデータをまとめたものが以下のグラフ。テスト時の室温は約25℃。

 Ryzen 7 8700GのCPU温度は最高63.0℃(平均57.0℃)で、CPU消費電力が最大87.8W(平均81.3W)、CPUクロックは平均4,304MHz(最高4,863MHz)。GPU温度は最高43.9℃(平均40.7℃)で、GPUクロックは平均2,766MHz(最高2,900MHz)。

 Ryzen 5 8600GのCPU温度は最高65.8℃(平均56.5℃)で、CPU消費電力が最大87.8W(平均71.2W)、CPUクロックは平均4,431MHz(最高5,021MHz)。GPU温度は最高41.0℃(平均38.1℃)で、GPUクロックは平均2,740MHz(最高2,800MHz)。

 いずれもCPU温度はTjMaxより低く、CPU消費電力の最大値はリミットに達しているものの、平均値としてはリミット値以下で推移している。ただ、CPUのステータス情報としては電流リミットのEDCが両CPUとも100%に達しており、テスト中は電流リミットスロットリングによってCPUとGPUのクロックが制御されている状況だったようだ。

【グラフ53】 CPU温度 (平均/最大)│FF14ベンチマーク「フルHD/1080p、最高品質」
【グラフ54】 消費電力 (平均/最大)│FF14ベンチマーク「フルHD/1080p、最高品質」
【グラフ55】 動作クロック (平均/最大)│FF14ベンチマーク「フルHD/1080p、最高品質」
【グラフ56】 Ryzen 7 8700Gのモニタリングデータ│FF14ベンチマーク
【グラフ57】 Ryzen 5 8600Gのモニタリングデータ│FF14ベンチマーク
【グラフ58】 Ryzen 7 5700Gのモニタリングデータ│FF14ベンチマーク
【グラフ59】 Ryzen 7 5700Gのモニタリングデータ│FF14ベンチマーク

ビデオカード搭載時のパフォーマンスをチェック

 最後に、今回テストしたCPU/APUにビデオカード(dGPU)を搭載した時のパフォーマンスを簡単にテストする。

 搭載するビデオカードは「GeForce RTX 4090 Founders Edition」で、テスト機材は以下の通り。

【表3】ビデオカード搭載時のテスト機材
CPURyzen 7 8700GRyzen 5 8600GRyzen 7 7800X3DRyzen 7 5700G
コア数/スレッド数8C/16T6C/12T8C/16T8C/16T
L2キャッシュ8MB6MB8MB4MB
L3キャッシュ16MB16MB96MB16MB
iGPURadeon 780MRadeon 760MRadeon GraphicsRadeon Graphics
iGPUコア数12基 (RDNA 3)8基 (RDNA 3)2基 (RDNA 2)8基 (Vega)
iGPUドライバAdrenaline 23.20.44 (31.0.22044.1)Adrenaline 24.1.1 (31.0.24002.92)Adrenaline 24.1.1 (31.0.21910.5)
CPU電力リミットPPT=87.8WPPT=87.8WPPT=162WPPT=88W
CPU電流リミットTDC=75A、EDC=150ATDC=75A、EDC=150ATDC=120A、EDC=180ATDC=65A、EDC=95A
CPU温度リミット95℃95℃89℃95℃
dGPUGeForce RTX 4090 Founders Edition
dGPU用PCIePCIe 4.0 x8PCIe 4.0 x8PCIe 4.0 x16PCIe 3.0 x16
dGPUドライバGRD 551.23 (31.0.15.5123)/Resazable BAR有効
マザーボードMSI B650 GAMING PLUS WIFIASUS TUF GAMING B550M (WI-FI) ZAKU II EDITION
BIOSv1.8v3404
メモリDDR5-6400 16GB×2 (2ch、32-39-39-102、1.4V)DDR4-3200 16GB×2 (2ch、22-22-22-52、1.2V)
CPUクーラーASUS TUF GAMING LC 240 ARGB (ファンスピード=100%)
システム用SSDCORSAIR MP600 1TB (PCIe 4.0 SSD)
アプリケーション用SSDCFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (USB 10Gbps)
電源玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1,200W/80PLUS Platinum)
OSWindows 11 Pro 23H2 (build 22631.3007、VBS有効)
電源プランバランス
計測HWiNFO64 Pro v7.68、ラトックシステム RS-BTWATTCH2
室温約25℃
GeForce RTX 4090 Founders Edition
GeForce RTX 4090 Founders EditionのGPU-Z実行画面(Ryzen 7 8700G搭載時)

3DMark(GeForce RTX 4090搭載時)

 3DMarkでは、ビデオカードを接続するPCIeの帯域幅を計測する「PCI Express feature test」のほか、リアルタイムレイトレーシング対応の「Speed Way」、「Port Royal」、「Solar Bay」を実行した。

 PCI Express feature testでは、GPU接続用のPCIeがPCIe 4.0 x8に制限されるRyzen 8000Gシリーズが13.47GB/sを記録。PCIe 4.0 x16接続が可能なRyzen 7 7800X3Dの26.86GB/sの半分程度で、PCIe 3.0 x16接続のRyzen 7 5700Gの13.39GB/sと同程度となっている。

 なお、Ryzen 7 7800X3Dについてはマザーボード側が対応していればPCIe Gen 5でビデオカードと接続可能だが、Ryzen 8000GシリーズのCPU内蔵PCIeはGen 4までのサポートである点に注意したい。

【グラフ60】 3DMark「PCI Express feature test」

 バスインターフェイスの帯域幅がRyzen 7 7800X3Dの半分程度となっているRyzen 8000Gシリーズだが、3DMarkの新世代テストのスコアはRyzen 7 8700Gで1~4%、Ryzen 5 8600Gでも1~6%、Ryzen 7 7800X3Dを下回る程度となっている。

【グラフ61】 3DMark「Speed Way」
【グラフ62】 3DMark「Port Royal」
【グラフ63】 3DMark「Solar Bay」

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(GeForce RTX 4090搭載時)

 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、グラフィックスプリセットを「最高品質」に設定して、フルHD/1080pと4K/2160pでスコアと平均フレームレートを計測した。

 Ryzen 7 8700GのスコアはRyzen 5 8600Gと同程度で、Ryzen 7 5700Gを14~26%上回っているが、Ryzen 7 7800X3Dには27~37%も下回っている。

 このベンチマークテストはCPUのキャッシュやメインメモリの影響が大きいテストで、Ryzen 7 7800X3Dの3D V-Cacheが非常に大きな効果を発揮することが知られていることから、6倍の容量差(16MB vs 96MB)があるL3キャッシュがこの大差の原因と考えるのが妥当だろう。

【グラフ64】 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「スコア」
【グラフ65】 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「平均フレームレート」

CPU/GPUともに性能が大きく向上した新世代APU

 最新鋭のCPUとGPUを統合したRyzen 8000Gシリーズは、従来のデスクトップ向けAPUであるRyzen 5000Gシリーズから性能が大きく向上していた。特にAdobe Camera RawのAIノイズ除去やハードウェアエンコードで示したGPU進化は大きい。

 今回は残念ながらテストできなかったが、iGPUでAFMFが利用できるようになれば、ゲーム体験もより良いものとすることも可能だろう。今回テストしたRyzen 8000Gシリーズの上位2製品については、内蔵GPUの仕様を前提としたPCの構築に有力な選択肢となるはずだ。

最強の“GPU内蔵CPU”の検証結果をライブ配信でレポート!【1月30日(火)21時より配信】

“結構快適にゲームが動く”GPU内蔵CPU、「Ryzen 7 8700G」と「Ryzen 5 8600G」のレビューをライブ配信でお届けします。新CPUの特徴、仕様からベンチマーク結果、ライブデモまでお届け。解説はCPUもGPUも検証しまくりのKTU・加藤勝明氏と新CPUの発売日には欠かせない男、改造バカこと高橋敏也氏です。(配信終了後は即アーカイブを視聴できます)