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GeForce RTX 4070 SUPER搭載のパワフルミニタワーPC「G-Tune DG-I7G7S」。パルワールドやAAA級タイトルもイケる結果に

G-Tune DG-I7G7S」直販価格27万9,800円

 年明けにNVIDIAの新GPU「GeForce GeForce RTX 40 SUPER」シリーズが登場したことで、BTOメーカー各社からも最新GPUを搭載したニューモデルが販売開始されている。マウスコンピューターのゲーミングデスクトップPC「G-Tune DG-I7G7S」は、GPUにGeForce RTX 4070 SUPER、CPUにCore i7-14700Fを搭載するハイエンド志向の製品だ。高性能なパーツ群をコンパクトなミニタワーケースに収めているのも特徴で、総合的な取り回しのよさが大きな魅力と言えるだろう。

 この記事ではG-Tune DG-I7G7Sのサンプル機をもとに、特徴や使い勝手などのインプレッション、およびベンチマークによる性能チェックを実施していく。

従来モデルからCPUとGPUを乗せ換え、順当に性能向上

G-Tune DG-I7G7Sの主なスペック
CPUCore i7-14700F
(20コア/28スレッド、2.5GHz、TB時最大5.4GHz、33MBスマートキャッシュ)
GPUGeForce RTX 4070 SUPER(12GB GDDR6X)
メモリ32GB(DDR5-4800、16GB×2/デュアルチャネル)
ストレージ1TB(M.2NVMe SSD)
OSWindows 11 Home
ネットワークGigabit Ethernet、Wi-Fi 6E
本体サイズ189×396×390mm
直販価格27万9,800円

 実に幅広い製品ラインナップを誇るマウスコンピューターだが、今回取り扱うG-Tune DG-I7G7Sは、以前から販売されていたGeForce RTX 4070搭載ミニタワ-PC「G-Tune DG-I7G70」の後継モデルという位置付けだ。

 メモリやストレージといったCPU・GPU以外の構成は据え置きだが、GPUがGeForce RTX 4070 SUPERに置き換わっているのはもちろん、CPUも第13世代Coreプロセッサから最新の第14世代Coreプロセッサとなったことで、シンプルにパフォーマンスが底上げされている。

CPUは内蔵GPU非搭載のCore i7-14700F。最新世代のCore i7は前世代に比べてEコアが4基増加しており、コア数据え置きのCore i9やCore i5に比べて性能を伸ばした

 CPUは20コア/28スレッドのIntel「Core i7-14700F」を搭載。世代更新の旨味が少ないと言われがちな第14世代だが、Core i7に関しては少々事情が異なり、例外的に前世代に比べてEコアが増量されたことで性能をかなり伸ばしている。特にマルチスレッド性能では小さくない差が付くため、この点は特筆すべきだろう。

GPUはGeForce RTX 4070 SUPER。WQHD(2,560×1,440ドット)以上の高解像度ゲーミング向きGPUで、DLSS 3周りのテクノロジなども問題なく利用できる

 GPUは、1月に発表されたGeForce RTX 40 SUPERの中ではもっとも廉価な“4070 SUPER”を採用。基本的にはWQHD(2,560×1,440ドット)解像度でのPCゲーミングに向けたGPUで、パフォーマンスギャップが大きかったGeForce RTX 4070 TiとGeForce RTX 4070の隙間を埋める存在でもある。

 AAA級タイトルのゲームプレイでもWQHDで快適な画面描画が期待できるのはもちろん、軽~中程度の負荷のタイトルなら4K(3,840×2,160ドット)解像度でも平均60fps以上のフレームレートが見込めることから、コスパも見つつリッチなPCゲーム環境を構築したいユーザーにはうってつけのGPUと言えるだろう。搭載CPUとのバランスも良好で、ゲームのみならず幅広い用途で活躍が期待できそうだ。

 メインメモリの容量は32GB(DDR4-4800、デュアルチャネル)で、ストレージは高速なデータ転送に対応する1TB NVMe SSD。20万円台後半のハイエンドゲーミングPCということもあり、どちらも容量・速度ともに高水準のパーツが選定されているのはうれしい。

 とは言え、近年はPCゲームの容量も肥大化しているため、場合によっては1タイトルで100~200GB程度の領域を占有されることも覚悟しなければならない。

 ほかのデータの保存も考えると、無尽蔵にゲームをインストールしておけるだけの余裕があるとは言えないので、Steamなどのクラウドセーブ機能でカバーする、追加のストレージを用意するといった準備はしておきたい。

 そのほか、電源ユニットは80PLUS Bronze認証の容量750W対応モデル。ネットワーク機能はオーソドックスなGigabit Ethernetの有線LANコネクタに加え、Wi-Fi 6無線LAN通信を利用可能だ。

スイングドア式のサイドパネル採用でメンテナンス性◎

フロント部は両端に通気口があるが、基本はストレートなパネルタイプ。スリム光学ドライブをオプションで装着可能だ

 続いて、G-Tune DG-I7G7Sの外観やインターフェイスなどを見ていこう。

 従来モデルの後継機ということもあり、筐体はG-TuneのDGシリーズ共通で利用されているオリジナルのブラックミニタワーケースを採用している。

 同ケースにはホワイトのカラバリモデルも存在するのだが、G-Tune DG-I7G7Sで注文可能なのはブラックの1色で、BTOカスタマイズからは片側側面のパネルを強化ガラス製サイドパネル(+4,400円)に変更できる。

フロント上部にはUSBポート、オーディオジャックなどのほか、HDMI端子を備えるのがユニーク
天面には通気口はなし。物を置いてもOKだ

 本体サイズは約189×396×390mm(幅×奥行き×高さ)と、ハイエンドパーツを採用するPCとしてはコンパクトに収まっている。床上設置はもちろん、卓上に設置したい場合でもある程度は融通が効くレベルの大きさなので、比較的取り回しはしやすいだろう。

 エアフローは底面吸気、背面排気のレイアウトを採用。フロントパネルはほぼ一枚板だが、斜めにカットされた両端部分には通気口があり、内部には前面ファン×2を配置することである程度の通気性を確保している。また、フロント上部には斜めに傾斜を付けてインターフェイス類を配置し、床置き時の使い勝手に配慮しているようだ。

内部レイアウト。電源ユニットを上部に配置しており、底面や前面から吸気し、背面にエアフローを流す設計
大型パーツは多いが、ミニタワーケースとして見れば内部スペースは比較的余裕があるように見える。ケーブル類もエアフローを阻害しないよう配線されている
GeForce RTX 4070 SUPERはMSIの「GeForce RTX 4070 SUPER 12G VENTUS 2X OC」が装着されていた
シャドウベイはケース前方近くにまとめられている。非常にアクセスしやすいのであとからの増設も視野に入れていい

 ユニークな点として、USB 3.0ポート×2、ヘッドフォンジャック、マイクジャックに加えHDMI端子を用意しており、VRヘッドマウントディスプレイなどを使用するユーザーの利便性を向上させている点はおもしろい。

背面上部からHDMIの延長ケーブルが伸びており、これをGPUのHDMI端子に挿すことでフロントHDMIを利用可能になる

 利用するにはPC後部から伸びる延長ケーブルを背面のビデオカードに接続しておく必要があるが、それ以外はごくごく普通のHDMIポートなので、好みや都合に合わせて利用すればいいだろう。

 一方、天面に通気口などは用意されておらず、物を置いても熱がこもる心配はいらない。それこそ、VRデバイスを置くなどして利用してもいいだろう。

 左側面のサイドパネルは通気口のないスチール板だが、右側面にはやや大きめの通気口があるので、壁に寄せすぎると塞いでしまう可能性がある点には注意したい。吸気を担う底面にはツールフリーで取り外せるマグネット式のダストフィルターを採用している。内部には、サイドパネルの2本のネジを緩めることでアクセス可能だ。

左側面はスチールパネル。BTOカスタマイズで強化ガラス製のサイドパネルに変更も可能
右側面のスチールパネルは通気口が用意されている

 電源を上部に配置するレイアウトを採用しており、CPUクーラーは一体型水冷で、前面にラジエータが装着されている。GPUも含め大型のパーツは多いが、ケーブル配置なども全体にスッキリとまとまっているため、内部スペースにはそれなりの余裕がある印象だ。

電源ユニットは容量750W
底面にはマグネット式のフィルターを装備。ツールフリーで水洗いも可能

 ストレージベイは前面付近に集約されていて、3.5型×1台および2.5型×2台を同時に使用できる。あとから自分で増設しやすい位置なので、容量が足りない場合は検討するといい。

 背面インターフェイスはUSB 3.2(Type-C)ポート×1、USB 3.0ポート×2、USB 2.0ポート×2、Gigabit Ethernet、オーディオ端子×3を用意。ミニタワーケースということもあり、フロントインターフェイスを含めてもUSBポート数はそれほど多くないため、やりくりは事前に検討しておいたほうがいいかもしれない。

背面インターフェイスはシンプル。ハイエンド機だがUSBポート数は少なめなので注意

 映像出力端子はビデオカード側のHDMI×1、Display Port×3を利用可能だが、フロントのHDMI端子を使う場合は背面の端子が埋まってしまう点には注意しよう。

G-Tune DG-I7G7Sの性能をベンチマークでチェック

 では、G-Tune DG-I7G7Sの性能をいくつかのベンチマークで計測してみよう。今回は以下のタイトルでスコアまたはフレームレートを計測した。GPUはドライバは546.33を使用している。

  • ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
  • ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON
  • パルワールド
  • Cyberpunk 2077

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

 根強い人気のMMORPGタイトルである「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では、すべての計測で最高品質設定を適用し、解像度フルHD・WQHD・4Kの3パターンでテストを実施した。

 ハイエンド志向の製品であるG-Tune DG-I7G7Sにはやや軽すぎるテストではあるが、フルHDでは31,933、WQHDでは26,350と高スコアを記録できており、テストレポートから参照できる平均フレームレートも揃って180fpsを突破している。

 4K解像度でもスコアは14,847、テストレポート上の平均フレームレートは100.21fpsと、十分すぎるほどの結果だ。ハイリフレッシュレートモニターとの組み合わせが推奨されるが、4K解像度まで非常になめらかな映像でゲームが可能なのは間違いない。

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON

 「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」の計測には、フレームレート計測ツール「CapframeX」を使用。画質は「最高」、最大フレームレートは120fps、解像度はフルHD・WQHD・4Kの3パターンとし、自動描画調整はオフとした上で、ゲーム内ミッション「テスターAC撃破」で一定コースを移動した際の1分間の平均・最低フレームレートを算出している。

 結果を見ていくと、フルHDでの計測時とWQHDでの計測時で平均フレームレートに大きな差がないが、これは本作のフレームレート上限が120fpsに制限されているため。どちらの解像度でも平均フレームレートはほぼ上限に張り付いており、快適な動作が望めるということだ。

 一方の4K解像度では平均フレームレートが81.4fps、最小(Min 1%)では63.2fps前後と、さすがにフルHDやWQHDよりは落ちるものの、平均・最小フレームレートともに60fpsの壁を突破している。

 直近ではランクマッチが実装されたことでオンライン対戦が盛り上がっている同作だが、フレームレートが低い状態が続いた場合はオンラインに接続できなくなるといった仕様も存在する。G-Tune DG-I7G7Sであれば、4K解像度まで快適なゲームプレイが可能だろう。

パルワールド

 早期アクセスながら爆発的なブームを起こした「パルワールド」でも、「CapframeX」を利用してフレームレートを計測してみた。プリセットをいったん「最高」に設定した上でDLSSのモードを「クオリティ」に変更し、フルHD・WQHD・4K解像度における計測を実施。ゲーム内マップの一定コースを移動した際の1分間の平均・最低フレームレートを算出している。

 本作はフレームレート設定に「無制限」の項目が存在するが、実際は上限が120fpsとなっており、結果的にフルHD・WQHDの平均fpsはARMORED CORE VIに近い値に落ち着いている。

 フレームレートはマップの移動中にかなりばらつく傾向があるものの、DLSSの恩恵もあってか、WQHD解像度までは最小フレームレートが60fpsをしっかりと上回っている。最高解像度である4Kについては、平均フレームレートは97.7fps、最小フレームレートは59.2fpsと、最小はわずかに60fpsを超えられなかった。とは言え、どの解像度でもプレイにはほぼ支障はないだろう。

Cyberpunk 2077

 現行トップクラスの重量級タイトルである「Cyberpunk 2077」では、ゲーム内ベンチマークモードを使用してフレームレートを計測している。まずは画質設定に「ウルトラ」を設定し、フルHD・WQHD・4K解像度でのテストを実施。こちらはアップスケーリングなどの設定が一切適用されていないほか、ゲーム自体の負荷の高さも手伝って、他タイトルよりも解像度ごとのフレームレートに大きな差が出ている。

 結果、WQHDまでは平均100fpsと好調な描画ができているものの、4Kでは平均・最小フレームレートともに40fps台まで落ち込んでしまい、快適とは言えない状態だ。「ウルトラ」設定で4K解像度を選択する場合、画質プリセットを選んだあとに個別にDLSSを適用することが望ましいと言える。

 一方、より負荷が高いもののアップスケーリングが適用される「レイトレーシング:ウルトラ」画質では、DLSSによって各解像度の差が均され、4Kでも平均57.32fps、最小51.67fpsと、ほぼ快適にゲームを楽しめるレベルまでフレームレートが向上する。どのような画質設定を適用するかはユーザー次第だが、いずれにせよ現行屈指の負荷のゲームを4Kまでそれほど無理なくプレイ可能な点は大きな魅力だろう。

CrystalDiskMark 8.0.4

 最後に「CrystalDiskMark 8.0.4」でストレージ性能を計測した。シーケンシャルリードはQ8T1テストで5,253MB/s前後、シーケンシャルライトは4,727MB/s前後と、極めて良好な結果が出ている。

「CrystalDiskMark 8.0.4」

 CPUやGPUのポテンシャルはもちろん、こういった足回りの良さもG-Tune DG-I7G7Sの優れたポイントだ。

高解像度志向のPCゲーマーはもちろん、VRユーザーにもおすすめ

 ここまで見てきた通り、G-Tune DG-I7G7SはハイエンドゲーミングPCらしく隙のない高性能と、設置場所を選びにくいコンパクトなデザインを両立したデスクトップPCだ。直販価格も27万9,800円と、4Kゲーミングも視野に入れられるPCとしてはそこまで値が張らないため、人気ゲームを安定してプレイできるPCが欲しい多くのユーザーにおすすめできるだろう。

 また、フロントにHDMI端子を備える製品特性を考えれば、ケーブル長にゆとりをもってVRヘッドマウントディスプレイを装着できることはメリットになり得る。スペック的にも十分なので、VR用PCとしても需要がありそうだ。