Hothotレビュー

無線/ペン対応で世界最軽量のモバイルモニター「RICOH Light Monitor 150BW」

PFU 「RICOH Light Monitor 150BW」

 PFUから登場したモバイルモニター「RICOH Light Monitor 150」シリーズ。ディスプレイに15.6型有機ELパネルを採用するだけでなく、タッチおよびスタイラスペン対応、最薄部4.8mmの薄型筐体、しかも560gの世界最軽量も実現するという、非常に意欲的な製品に仕上がっている。

 今回はLight Monitor 150シリーズから、ワイヤレス接続対応の「RICOH Light Monitor 150BW」を試用する機会を得たので、特徴などを紹介する。すでに発売中で、直販価格は7万9,200円。

薄くて軽く、携帯性はもちろん利便性にも優れる

 「RICOH Light Monitor 150BW」(以下、Light Monitor 150BW)を手にして最初に感じるのは、その圧倒的な薄さと軽さだ。

 冒頭紹介した、世界最軽量560gとなるのはワイヤレス接続非対応のLight Monitor 150のみ。今回取り上げるLight Monitor 150BWの重量は約715gと、Light Monitor 150より155gほど重くなっている。なお、試用機の実測の重量は712gと、公称より3g軽かった。

 とはいえ、一般的な15.6型モバイルモニターの重量は1kg前後が標準的で、軽い製品でも800g台程度。Light Monitor 150BWは、それらと比べても100g近く軽い。どうせなら世界最軽量の「Light Monitor 150」を体験してみたかったが、Light Monitor 150BWを実際に手にしてみても、十分に軽く感じる。筆者は、重量が600g台の14型のモバイルモニターを持っているが、持ち比べてみるとLight Monitor 150BWのほうが軽いと感じるほどだった。

 実際に手にして軽く感じるのは、15.6型というサイズが大きく影響していそうだ。

 サイズは356×221.7×10.8mm。上部と左右側面のベゼル幅がかなり狭められていることもあって、15.6型モバイルモニターとしては十分にコンパクトな部類だ。とはいえ、14型のモバイルモニターより一回り大きい。同じ重量なら、サイズが大きいほど軽く感じるのは自然なことで、Light Monitor 150BWでもそう感じたと言っていいだろう。

 また、筐体を見て驚くのが、その薄さだ。下部は10.8mmあるが、上部の最薄部ではわずか4.8mmしかない。これは、モニターにバックライト不要の有機ELパネルを採用しているところが大きく影響しているはず。もちろん、軽さという点でも有利に働いているのは間違いない。

正面。下部はややベセル幅が広いものの、上部と左右側面のベセル幅はかなり狭く、ボディのコンパクト化に貢献している
左側面。厚さは下部は10.8mmだが、上部は4.8mmと非常に薄い
背面
右側面
今回の試用機は無線接続対応モデルのため世界最軽量ではなかったが、それでも実測の重量は712gと申し分ない軽さだ
製品には専用スリーブケースが付属する

 しかも、筐体剛性もかなり高い。多少強い力でひねってみても、大きく歪むことなく、強さがしっかり手に伝わってくる。剛性が弱いと持ち運ぶ場合に不安があるが、そういった懸念は一切感じない。製品には専用のスリーブケースが付属するので、持ち歩く場合にも安心だ。

 本体を自立させるキックスタンドを内蔵している点もポイントが高い。キックスタンドは縦置き、横置き双方に対応しており、横置き時には本体の角度を約16~70度の範囲内で無段階に調節可能。また縦置き時には70度の角度で保持できる。このキックスタンドの存在も、利便性を大きく高めるという点でも非常にありがたい部分だ。

 さらに、連続約3時間の駆動が可能なバッテリも内蔵。15.6型の大型サイズでキックスタンドを備え、バッテリを内蔵しつつ、非常に薄く軽い筐体を実現しているという点は、非常に大きな魅力と感じる。

本体は十分な剛性を備えており、スリーブケースに入れて安心して持ち運べる
背面には本体を自立できるキックスタンドを内蔵
キックスタンドは16~70度の範囲内で無段階に角度調節が可能
角度調節はできないが、縦置きでの保持も可能
製品には、スリーブケース以外にUSB Type-Cケーブルと、ケーブルフックも付属する

タッチ、AES 2.0ペン対応のフルHD有機ELパネルを採用

 ディスプレイは、先にも紹介したようにフルHD(1,920×1,080ドット)表示対応の有機ELパネルを採用。リフレッシュレートは最大60Hzと標準的だが、コントラスト比は10万:1で、DCI-P3カバー率100%の広色域表示に対応。輝度も300cd/平方mと十分に明るい。

 実際に写真や動画を表示してみても、有機ELらしくハッとするような非常に鮮やかな発色や、メリハリのある明暗が感じられる。できれば、高リフレッシュレート表示に対応していると良かったが、動画も残像を感じることなく非常にクリアに表示される。これなら、映像クリエイターが利用する場合でも、不満なく利用できそうだ。

 ちなみに、個人的にはディスプレイ表面が光沢仕様となっている点が少々気になった。外光の映り込みがかなり強く感じられるため、できれば非光沢仕様を実現してもらいたかったように思う。

1,920×1,080ドット表示対応の有機ELパネルを採用。有機ELらしく、高コントラストかつ鮮烈な発色が可能。また10点マルチタッチ、AES 2.0準拠のスタイラスペンにも対応する
コントラスト比10万:1、DCI-P3カバー率100%の広色域表示に対応しており、写真や動画を鮮やかかつ本来の色味をしっかり表現できる

 またLight Monitor 150BWのディスプレイは静電容量方式の10点マルチタッチと、AES 2.0準拠のスタイラスペンに対応。ディスプレイ表面が光沢仕様となっているのは、このタッチとペンに対応しているためと考えていい。

 タッチ操作は非常に軽快で、直感的な操作が行なえる。スタイラスペンはオプション扱いで、今回は試せなかったものの、4,096段階の筆圧検知に対応し、パームリジェクションにも対応しているため、こちらも軽快な利用が可能だろう。背面キックスタンドを最大に開けば約16度の角度で本体を保持できるので、本格的なペンタブレット相当としても十分に活用できるだろう。有機ELパネルの表示性能と合わせ、クリエイターも納得の仕様と言える。

ディスプレイ表面は光沢仕様のため外光の映り込みはやや激しい印象。天井の照明などがくっきり写り込むのはかなり気になる

USB Type-C接続だけでなくMiracast準拠の無線接続にも対応

 Light Monitor 150BWにはUSB Type-Cが2ポート用意される。このUSB Type-Cポートは、本体背面の一部をくり抜き、本体に対して水平の向きにケーブルを接続するように配置。モバイルモニターでは側面に接続端子が用意され、ノートPCなどと並べて利用する場合にケーブルが邪魔になることもあるが、Light Monitor 150BWならそういった心配はなく、よく考えられた仕様だ。

 2つあるUSB Type-CはいずれもDisplayPort ALT Modeに対応。同じくDisplayPort AlT Mode対応のUSB Type-Cポートを備えるPCとUSB Type-Cケーブル1本で接続し利用できる。通常はPCを1台接続して利用するのが基本だが、PCを2台同時に接続し、側面の入力切り替えボタンで入力を切り替えながら利用することも可能だった。

 また、このUSB Type-Cは入力最大45W、出力最大25WのUSB Power Deliveryもサポート。一方にPCを接続、もう一方にUSB PD準拠のACアダプタを接続すれば、パススルーでPCにも電力を供給できる。とはいえ出力は最大25Wのため、多くの場合PCが必要とする電力を共有できない。そのため、基本的にはPCとACアダプタを同時接続するか、PCからの給電、または内蔵バッテリで動作させることになる。

 筆者が利用しているノートPC「LIFEBOOK WU2/E3」では、USB Type-Cケーブル1本で接続し、LIFEBOOK WU2/E3からの給電で問題なく利用可能だった。ただ、PCによっては給電電力が足りない場合も考えられるため、基本的にはACアダプタを接続して利用したほうが安心だ。

背面の凹み内にUSB Type-Cポートを2ポート用意。双方ともDisplayPort ALT Modeおよび入力45W/出力最大25WのUSB PDをサポート
右側面には電源ボタン、設定操作用のジョグダイヤル、映像入力切換/設定操作ボタンを備える
背面に1.5W×2のステレオスピーカーを搭載

 そして、Light Monitor 150BWの大きな特徴が、Miracast準拠のワイヤレス接続に対応している点だ。これにより、Miracast対応のWindows PCやAndroidスマートフォンから、無線接続で映像を転送し表示できる。またMacやiOSデバイスでは、リコーが配布するアプリ「RICOH Monitor Mirroring」を利用することで無線接続での表示が可能となる。

 無線接続時には、Light Monitor 150BWをワイヤレス接続モードに切り替え、Miracast対応のPCやAndroidスマートフォンから接続操作を行なうだけ。初回接続時にはLight Monitor 150BW側で接続許可を行なう必要があるが、特に面倒な操作不要で接続可能だ。

 それに対し、MacやiOSデバイスとは、専用アプリを利用するとともに、無線LANアクセスポイント経由での接続となる。その場合にはあらかじめLight Monitor 150BWを無線LANアクセスポイントに接続しておく必要がある。なお、対応する無線LANはIEEE 802.11a/b/g/n/ac。

 実際にWindows PCで試してみたところ、基本的に安定した表示が可能だった。無線接続の宿命で表示にはわずかな遅延が発生するため、リアルタイムのレスポンスが求められる作業には厳しいかもしれないが、プレゼンテーションなどで相手に資料や映像を見せるといった用途であればおおいに活用できそうだ。

Light Monitor 150BWはMiracast準拠の無線接続に対応。Windows PCやAndroidスマートフォンなどMiracast対応デバイスと無線で映像を転送し表示できる
無線接続時には、右側面の入力切換ボタンで無線接続モードに切り替えておく
Windows PCなどからワイヤレス接続機能を利用してLight Monitor 150BWに接続する
初回接続時にはLight Monitor 150BWで接続を許可する必要があるが、2度目以降は許可不要で接続できる

 また、無線接続ではPCとスマートフォンなど2つの機器を同時接続し、双方の映像を同時に表示することも可能。2つの機器を無線接続すると、一方が全画面、もう一方がPinP表示される。そして、PinP表示をタッチすると、全画面表示が入れ替わる。PinPの表示サイズはピンチイン、ピンチアウトで調節可能。表示位置も4角のいずれかに移動できる。

 もちろん、無線接続での品質は利用する無線LANの品質に左右される。今回試用している場合でも、安定して利用できることもあれば、たまに接続が切れてしまうこともあった。今回の試用環境は、それほど無線LAN品質は悪くなかったと思うが、劣悪な無線LAN環境では接続が頻繁に切れたり遅延が大きくなるなどして、あまり快適に利用できない場合もあるだろう。そのため、通常は有線接続で利用し、用途に応じて無線接続と使い分ける、といった運用が良さそうだ。

 なお、2画面同時表示が可能なのは2つの機器を無線接続した場合のみで、有線接続と無線接続の同時表示は行なえない。

無線接続時では、Windows PCとスマートフォンなど、2つの機器を同時接続し同時表示が可能
PinP側の映像をタッチすると、全画面表示が入れ替わる
PinPはピンチイン/アウトでサイズを調節可能
PinPは4隅に移動も可能だ

価格に見合った魅力を備えるお勧めのモバイルモニター

 Light Monitor 150BWは、ディスプレイに15.6型有機ELパネルを採用することによる高品質な表示が可能なだけでなく、薄型軽量筐体で軽快に持ち運べる点や、内蔵キックスタンドで自在な角度で利用できる、バッテリ内蔵で電源が確保できない場所でも利用できる、タッチおよびAES 2.0準拠スタイラスペン対応で直感的な操作やクリエイティブ用途に対応できる、Miracast準拠の無線接続に対応と、非常に多くの特徴を備える製品となっている。

 個人的には、ディスプレイ表面を非光沢処理にしてもらいたかったが、それを差し引いてもモバイルモニターとしてトップクラスの魅力を備えているのは間違いないだろう。

 あとは直販価格で7万9,200円という価格をどう考えるかだ。15.6型モバイルモニターとしては確かに高価な部類だ。ただ、15.6型有機EL採用の製品としては、そこまで高価というわけではない。また、先に紹介したような多くの特徴を備えていることを考えると、十分価格に見合った魅力を備えていると言っていい。

 そのため、表示性能に優れ、軽快に持ち運んで利用でき、機能面にも妥協しない高性能モバイルモニターを探している人にお勧めしたい。