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WQHDに好適なゲーミングPC。最新CPUを載せた「G-Tune PP-Z」を試す
2022年12月6日 06:32
マウスコンピューターの「G-Tune PP-Z」は、同社がフラグシップゲーミングPCに採用する堅牢な作りのフルタワーケースに、Intel最新の16コア/24スレッドCPUであるCore i7-13700KFと、GeForce RTX 3070を搭載したハイスペックなゲーミングPCだ。
今回は、最新CPUの採用でゲーミング性能が向上したG-Tune PP-Zのパフォーマンスを、4年前のハイスペックゲーミングPCに相当する機材との比較を通して確認する。
堅牢な作りが魅力のハイスペックゲーミングPC
G-Tune PP-Zは、マウスコンピューターのフラグシップゲーミングデスクトップPC「G-Tune PP」シリーズに属する製品で、先日テストしたG-Tune XP-Zと同じフルタワー筐体に、Core i7-13700KFとGeForce RTX 3070というアッパーミドルクラスのプロセッサを搭載したハイスペックゲーミングPCだ。標準構成の価格は35万9,800円だが、12月14日10時59分までの期間は、冬のボーナスセールとして4万円引きの31万9,800円で購入できる。
【表1】G-Tune PP-Zのスペック | |
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OS | Windows 11 Home |
CPU | Core i7-13700KF(8P+8Eコア/24スレッド) |
GPU | GeForce RTX 3070(8GB) |
マザーボード | Intel Z790チップセット搭載マザーボード |
CPUクーラー | 360mm水冷CPUクーラー |
メモリ | 32GB DDR5-4800(16GB×2) |
SSD | 1TB NVMe SSD(PCIe 4.0 x4) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
有線LAN | 2.5Gigabit Ethernet |
電源 | 700W電源(80PLUS BRONZE) |
サイズ(突起部含む) | 約220×490×501mm |
G-Tune PP-Zが採用する筐体は、ダーククロム強化ガラスと赤いアルミパネルを組み合わせた前面パネルが特徴のフルタワーケース。標準構成では両側面にスチールパネルを採用しているが、オプションで左側面をガラスパネルに変更するオプションが用意されている。突起部を含めた筐体サイズは約220×490×501mm。
ケース内部は左側がマザーボードやビデオカードなど主要コンポーネントの搭載スペースで、右側には電源ユニットや光学ドライブが配置されている。フルタワーケースの高い収容能力によって、各パーツは無理なくスマートに配線されている。また、CPUの冷却には360mmサイズのオールインワン水冷クーラーが採用されており、最新鋭のCPUをしっかり冷やせる構成となっている。
最新CPUのパワフルさが際立つG-Tune PP-Z。4年前の高性能ゲーミングPCとも比較
ここからは、ベンチマークテストでG-Tune PP-Zの性能をチェックする。実施したベンチマークテストは、「Cinebench R23」、「Blender Benchmark」、「3DMark」、「PCMark 10」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」。
今回はG-Tune PP-Zの比較相手として、Core i9-9900KとGeForce RTX 2070をベースに構築した環境を用意した。これは約4年前のハイスペックゲーミングPCに相当する構成で、まだまだ現役で通用しそうなスペックではあるものの、時期的にはそろそろアップグレードを検討してもよい頃合いでもある。新旧ハイスペックゲーミングPCの間にどれだけの差が生じているのか様子をみてみよう。
【表2】テスト条件 | ||
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機材 | G-Tune PP-Z | 比較機材(Core i9-9900K環境) |
CPU | Core i7-13700KF(8P+8Eコア/24スレッド) | Core i9-9900K(8コア/16スレッド) |
マザーボード | Intel Z790チップセット搭載マザーボード | ASUS TUF Z390M-PRO GAMING |
CPU電力/温度リミット | PL1=125W、PL2=253W、Tau=56秒 | PL1=95W、PL2=210W、Tau=28秒 |
CPU温度リミット | 100℃ | 100℃ |
メモリ | 32GB DDR5-4800(16GB×2) | 32GB DDR4-2666(16GB×2) |
GPU | GeForce RTX 3070(8GB) | GeForce RTX 2070(8GB) |
GPUドライバ | Game Ready Driver 526.98(31.0.15.2698) | Game Ready Driver 526.98(31.0.15.2698) |
Resizable BAR | 有効 | 非対応 |
システム用SSD | 1TB NVMe SSD(PCIe 4.0 x4) | CORSAIR MP600 1TB(PCIe 3.0 x4) |
電源 | 700W電源(80PLUS BRONZE) | 1,050W電源(80PLUS Platinum) |
OS | Windows 11 Home 22H2(build 22621.819、VBS有効) | Windows 11 Pro 22H2(build 22621.819、VBS有効) |
電源プラン | バランス | バランス |
Cinebench R23
CPUの3DCGレンダリング性能を計測するCinebench R23では、Core i7-12700KがMulti Coreで139%、Single Coreでも約66%という大差でCore i9-9900Kを上回った。
Core i7-13700KFは、PコアとEコアのハイブリッドアーキテクチャによって優れたマルチコア性能を実現しただけでなく、発売当時は最上級だったCore i9-9900Kのシングルコア性能をも圧倒しており、この4年間でIntelのCPU性能が大きく飛躍したことが分かる。
Blender Benchmark
Blenderの公式ベンチマークソフトである「Blender Benchmark」では、CPUとGPUでそれぞれテストを実行した。
CPUテストでは、Core i7-13700KFがCore i9-9900Kの約2.3倍の高い性能を発揮した。3DCGや動画のレンダリングのように、マルチスレッド性能が求められる処理では圧倒的な性能向上が得られるだろう。
GPUテストでは、GeForce RTX 3070がGeForce RTX 2070を45~57%上回った。CPUに比べると差が小さく見えるかもしれないが、約1.5倍の性能差はかなり大きなものであり、クリエイティブシーンでGPUを活用したいユーザーにとってもメリットのあるアップグレードとなるはずだ。
3DMark「CPU Profile」
CPUの性能をスレッド数ごとに確認する3DMarkのCPU Profileでは、Core i7-13700KFがCore i9-9900Kと比べて41~75%高いスコアを記録した。
PCMark 10
PCMark 10で最もテスト数の多いExtendedを実行した結果、G-Tune PP-ZはCore i9-9900K環境を総合スコアで約41%上回った。
G-Tune PP-Zは全てのテスト項目でCore i9-9900K環境に明確な差をつけている。ゲームに限らず、あらゆるシーンで性能アップの恩恵が得られるだろう。
3DMark
3DMarkではCPU Profile以外にも、ゲーミング性能を計測する「Speed Way」、「Port Royal」、「Time Spy」、「Fire Strike」、「Wild Life」を実行した。
G-Tune PP-Zは高負荷テストのSpeed Wayで比較環境を約73%上回り、ほかのテストでも50%ほど高いスコアを記録している。
実際のゲームでも旧世代ゲーミング環境を圧倒的するG-Tune PP-Z
ここからは、実際のゲームを使って性能を比較する。ベンチマークテストでは4年前のハイスペックゲーミングPCを大きく上回ってみせたG-Tune PP-Zが、実際のゲーミングシーンでも性能を発揮できるのかに注目だ。
テストしたゲームは「オーバーウォッチ2」、「フォートナイト」、「エーペックスレジェンズ」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」の4本。いずれもハイフレームレート動作でよりよいゲーム体験が得られるタイトルだ。
オーバーウォッチ2
オーバーウォッチ2では、グラフィックプリセットを最高の「エピック」に設定して、フルHDとWQHDでの平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fps。
G-Tune PP-Zは、フルHDで約224.4fps、WQHDで約161.5fpsを記録した。これは、それぞれ約142.6fpsと約102.8fpsだったCore i9-9900K環境を約57%上回るものだ。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックプリセットを「最高」に設定して、フルHDとWQHDでの平均フレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIはDirectX 12。
G-Tune PP-Zは、フルHDで約173.7fps、WQHDで約116fpsを記録。それぞれ約117.5fpsと約77.9fpsだったCore i9-9900K環境より48~49%高い結果となった。
エーペックスレジェンズ
エーペックスレジェンズでは、グラフィック品質を可能な限り高く設定して、フルHDとWQHDでの平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。
G-Tune PP-Zが記録した平均フレームレートは、フルHDで約158fps、WQHDで約130.8fps。それぞれ約102.5fpsと約86fpsだったCore i9-9900K環境を52~54%上回った。
モンスターハンターライズ:サンブレイク
モンスターハンターライズ:サンブレイクでは、グラフィックプリセットを「高」に設定して、フルHDとWQHDでの平均フレームレートを計測した。
G-Tune PP-Zが記録した平均フレームレートは、フルHDで約214.8fps、WQHDで約159.3fps。それぞれ約130.8fpsと約105.7fpsだったCore i9-9900K環境を64~51%高いフレームレートを発揮した。
モンスターハンターライズ:サンブレイクは、ハイフレームレートの実現にCPU性能を必要とするタイトルだ。フルHDではCore i9-9900K環境のGPU使用率は平均82%程度で、明らかにCPU性能がボトルネックとなっている。
一方で、G-Tune PP-Zについても、フルHDでのGPU使用率は平均91%程度でややGPUが遊んでいる。それでも、200fpsを超える平均フレームレートを記録してCore i9-9900Kを約64%も上回ってみせたこの結果は、CPU性能の向上がゲーミングシーンでも大きな差となり得ることを示すものだ。
フルHDやWQHDでのゲームに好適な性能。旧世代マシンからの乗り換えにも魅力的
G-Tune PP-Zは、フルHDやWQHD解像度のゲーミングモニターと組み合わせて、ハイフレームレートでゲームを楽しむのに適したパフォーマンスを実現している。今回、比較に用いたCore i9-9900KとGeForce RTX 2070の組み合わせが、現在でも通用するゲーミング性能を備えていることは確かだが、G-Tune PP-Zはそれを明確に超えて見せた。
快適にゲームをプレイできるPCを探しているユーザーはもちろん、旧世代のゲーミングPCを所有しているユーザーの乗り換え先としても、魅力的な実力を備えたゲーミングPCであると言えるだろう。