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メモリ12GBを備えたAMD「Radeon RX 6700 XT」の実力
2021年3月17日 22:00
AMDは3月17日、Radeon RX 6000シリーズの新モデル「Radeon RX 6700 XT」を発売する。今回は、1440pでのゲーミングをターゲットにした新たなメインストリーム向けGPUの実力をベンチマークテストでチェックする。
12GBのVRAMを備える1440p向けGPU
Radeon RX 6700 XTは、RDNA2アーキテクチャに基づいて7nmプロセスで製造されたGPUで、40基のコンピュートユニットが有効化されており、2,560基のストリームプロセッサや、40基のRay Accelerator、96MBのInfinity Cacheを備えている。
VRAMには、16Gbps動作のGDDR6メモリを12GB搭載。GPUコアとVRAM間は192bitのメモリインターフェイスで接続されており、384GB/sのメモリ帯域幅を実現している。バスインターフェイスはPCI Express 4.0 x16で、TBP(Total Board Power)は230W。
AMDはRadeon RX 6700 XTを1440pゲーミング向けと位置づけており、12GBの大容量VRAMは最新タイトルが「1440p+高画質設定」で要求するVRAM容量を満たせるものとしている。推奨価格は459ドルで、NVIDIAのGeForce RTX 3070(499ドル)とGeForce RTX 3060 Ti(399ドル)の間に投入されることになる。
【表1】Radeon RX 6700 XTのおもな仕様 | ||
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GPU | Radeon RX 6700 XT | Radeon RX 6800 |
アーキテクチャ | RDNA2 | RDNA 2 |
製造プロセス | 7nm | 7nm |
コンピュートユニット | 40基 | 60基 |
ストリームプロセッサ | 2,560基 | 3,840基 |
Ray Accelerator | 40基 | 60基 |
ROPユニット | 64基 | 96基 |
ゲームクロック | 2,424MHz | 1,815MHz |
ブーストクロック | 2,581MHz | 2,105MHz |
AMD Infinity Cache | 96MB | 128MB |
メモリ容量 | 12GB (GDDR6) | 16GB (GDDR6) |
メモリスピード | 16.0Gbps | 16.0Gbps |
メモリインターフェイス | 192bit | 256bit |
メモリ帯域幅 | 384GB/s | 512GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
消費電力 (TBP) | 230W | 250W |
リファレンスモデルながらOC仕様のRadeon RX 6700 XT
今回のテストに用いるのは、AMDより借用したRadeon RX 6700 XTのリファレンスモデル。2スロットを占有するデュアルファン仕様のGPUクーラーを搭載しており、動作には8ピン+6ピンの補助電源を必要とする。画面出力端子はDisplayPort 1.4(3基)とHDMI 2.1。
このリファレンスモデルに搭載されたRadeon RX 6700 XTのブーストクロックは、標準の2,581MHzを上回る2,674MHzとなっており、リファレンスモデルながらOC仕様のビデオカードとなっている。OC仕様となっているのはGPUコアのみで、VRAMについては標準通り16Gbps動作だった。
なお、Radeon RX 6700 XTを搭載したビデオカードについては、各ビデオカードベンダーからオリジナルデザインを採用した製品の発売が予定されている。
今回、ASUSのオリジナルモデル「TUF-RX6700XT-O12G-GAMING」を撮影する機会が得られたので、オリジナルデザインを採用したRadeon RX 6700 XT搭載カードの写真を掲載しておく。
テスト機材
Radeon RX 6700 XTの比較対象には、競合であるNVIDIAから、「GeForce RTX 3060 Ti」と「GeForce RTX 3070」の純正モデル「Founders Edition」を用意した。各ビデオカードのテスト時の動作仕様は以下の表のとおり。
【表2】各ビデオカードの動作仕様 | |||
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GPU | Radeon RX 6700 XT | GeForce RTX 3060 Ti | GeForce RTX 3070 |
ビデオカードベンダー | AMD | NVIDIA | NVIDIA |
製品型番 | リファレンス | Founders Edition | Founders Edition |
ベースクロック | 1,587MHz | 1,410MHz | 1,500MHz |
ブーストクロック | 2,674MHz | 1,665MHz | 1,725MHz |
メモリ容量 | 12GB (GDDR6) | 8GB (GDDR6) | 8GB (GDDR6) |
メモリスピード | 16.0Gbps | 14.0Gbps | 14.0Gbps |
メモリインターフェイス | 192bit | 256bit | 256bit |
メモリ帯域幅 | 384GB/s | 448GB/s | 448GB/s |
電力リミット | 186W (GPU PPT) | 200W (Power Limit) | 220W (Power Limit) |
各ビデオカードを搭載するベース機材には、16コア32スレッドCPU「Ryzen 9 5950X」を搭載したAMD X570環境を用意。グラフィックスドライバについては、Radeon RX 6700 XTにレビュアー向けの「Radeon Software 20.50」、NVIDIAのGPUにはテスト時点の最新版「461.72」を導入している。
また、Radeon RX 6700 XTでは、AMDがSmart Access Memory(SAM)と呼称する「Resizable BAR」を有効化している。比較用のNVIDIA製GPUは、テスト時点では同機能に非対応だった。
そのほかの機材については以下のとおり。
【表3】テスト機材一覧 | ||
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GPU | Radeon RX 6700 XT | GeForce RTX 3070/3060 Ti |
CPU | Ryzen 9 5950X | |
CPUパワーリミット | PPT:142W、TDC:95A、EDC:140A | |
CPUクーラー | ASUS ROG RYUJIN 240 (ファンスピード=100%) | |
マザーボード | ASUS TUF GAMING X570-PLUS [UEFI:3405] | |
メモリ | DDR4-3200 16GB×2 (2ch、22-22-22-53、1.20V) | |
システム用SSD | CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | |
アプリケーション用SSD | CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | |
電源 | CORSAIR RM850 CP-9020196-JP (850W/80PLUS Gold) | |
グラフィックスドライバ | Radeon Software 20.50 (27.20.15002.118) | GeForce Game Ready Driver 461.72 (27.21.14.6172) |
OS | Windows 10 Pro 64bit (Ver 20H2 / build 19042.867) | |
Resizable BAR (AMD SAM) | 有効 | 非対応 |
電源プラン | バランス | |
室温 | 約24℃ |
ベンチマーク結果
それではベンチマーク結果をみていこう。
実施したテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「Forza Horizon 4」、「DIRT 5」、「フォートナイト」、「レインボーシックス シージ」、「Apex Legends」、「オーバーウォッチ」、「Call of Duty: Black Ops Cold War」、「サイバーパンク2077」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「ウォッチドッグス レギオン」、「Horizon Zero Dawn」、「Godfall」、「Microsoft Flight Simulator」、「Blender Benchmark」。
今回のテストにおいて、画面解像度を自由に変更できるゲームでは、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3とおりの画面解像度でテストを実施している。
3DMark
3DMarkでは、DirectX 12テスト「Time Spy」、DirectX 11テスト「Fire Strike」、DirectX Raytracing(DXR)テストの「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を実行した。
DirectX 12テスト「Time Spy」でのRadeon RX 6700 XTは、WQHD解像度で行なわれる標準のTime SpyでGeForce RTX 3060 Tiをわずかに上回るものの、4K解像度のTime Spy Extremeでは逆に3%差をつけられている。トップスコアを記録したGeForce RTX 3070との差は約11~19%で、こちらもTime Spy Extremeで差が拡大している。
DirectX 11テスト「Fire Strike」では、Radeon RX 6700 XTがGeForce RTX 3070とほぼ互角のスコアを記録した。GeForce RTX 3060 Tiには13~18%の差をつけている。
DXRを用いる「Port Royal」では、Radeon RX 6700 XTが最下位に沈んでおり、GeForce RTX 3060 Tiに約19%、GeForce RTX 3070には約40%の大差をつけられている。よりDXR性能にフォーカスしたテストである「DirectX Raytracing feature test」では更に差が拡大しており、GeForce RTX 3060 Tiに約105%、GeForce RTX 3070には約150%という2倍以上の差がついた。
VRMark
VRMarkでは、DirectX 11テスト「Orage Room」、DirectX 12テスト「Cyan Room」、5K解像度テスト「Blue Room」を実行した。
Orange Roomでは、約300fpsで頭打ちとなったNVIDIA製GPUに対して、約262fpsだったRadeon RX 6700 XTは約14%の差をつけられている。
Cyan Roomでは、GeForce RTX 3060 Tiに約8%の差をつけてRadeon RX 6700 XTが2番手のスコアを記録。トップのGeForce RTX 3070との差は約5%だった。
5K解像度で行なわれるBlue Roomでは、GeForce RTX 3060 Tiに約4%、GeForce RTX 3070に約21%の差をつけられ、比較製品中最下位となっている。
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に固定してテストを実行した。
Radeon RX 6700 XTは全ての画面解像度で、最高評価「非常に快適」を獲得できる7,000以上のスコアを記録しているが、スコアは比較製品中最下位となっており、GeForce RTX 3060 Tiに5~8%、GeForce RTX 3070に9~21%の差をつけられている。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画品質を「高品質」に固定してテストを実行した。
Radeon RX 6700 XTは、4Kでこそ約7%の差をつけられているものの、フルHDとWQHDでGeForce RTX 3060 Tiに並ぶスコアを記録した。トップスコアのGeForce RTX 3070との差は10~23%。
Forza Horizon 4
Forza Horizon 4では、描画品質を最高の「ウルトラ」に固定して、ベンチマークモードを実行した。
ここではRadeon RX 6700 XTが全条件で最高のフレームレートを記録しており、GeForce RTX 3060 Tiに15~25%、GeForce RTX 3070に2~12%の差をつけた。以前のテストでSAM(Resizable BAR)の効果が大きいタイトルであったため、同技術に対応していることがRadeon RX 6700 XTのアドバンテージとなっているようだ。
DIRT 5
DIRT 5では、描画品質をもっとも高い「Ultra High」に設定して、ベンチマークモードを実行した。
Radeon RX 6700 XTはすべての画面解像度で60fps以上の平均フレームレートを記録し、フルHD解像度ではGeForce RTX 3070を約3%上回ってトップに立っている。GeForce RTX 3070にはWQHD以上で逆転され、2~9%の差をつけられているが、GeForce RTX 3060 Tiには全ての条件で勝利しており、9~16%の差をつけた。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックスAPI「DirectX12」で描画品質を「最高」にした設定と、それをベースにレイトレーシングを有効化した設定で、フレームレートの測定を行った。
レイトレーシング無効時、Radeon RX 6700 XTはフルHD解像度でGeForce RTX 3070をわずかに上回ってトップに立っているが、WQHD以降では逆に11~18%の差をつけられている。GeForce RTX 3060 Tiとの比較では、フルHDで約12%リードしているものの、WQHDになるとその差は約2%となり、4Kでは逆に2%の差をつけられた。
レイトレーシング関連の項目を「最高」設定で有効化した場合、Radeon RX 6700 XTはNVIDIA製GPUに大差をつけられており、フルHD~WQHDでの差は、GeForce RTX 3060 Tiに81~101%、GeForce RTX 3070に127~137%となっている。なお、4Kについては、Radeon RX 6700 XTは純粋にパフォーマンス不足、NVIDIA製GPUはVRAM不足により、まともに動作していない。
レイトレーシング有効時のパフォーマンスに関しては、どのGPUも快適にはほど遠いものであり、実際にプレイするには描画品質や3D解像度の妥協が必要だ。ただ、フルHDなら一応プレイ可能なレベルにあり、DLSSの利用でフレームレートの向上が狙えるNVIDIA製GPUに比べ、Radeon RX 6700 XTでレイトレーシングを用いるには、描画品質でより大きな妥協が求められることになる。
レインボーシックス シージ
レインボーシックス シージでは、描画品質「最高」をベースに、レンダリングのスケールを100%に設定してベンチマークモードを実行した。グラフィックスAPIは「Vulkan」を利用した。
Radeon RX 6700 XTは、フルHD~WQHD解像度においてGeForce RTX 3060 Tiを約3~5%上回る2番手のフレームレートを記録。4K解像度では2%差をつけられているが、4K解像度でもフレームレートは120fpsを超えている。トップのGeForce RTX 3070との差は6~20%。
Apex Legends
Apex Legendsでは、設定可能な描画品質を最高にして、フレームレートを測定した。なお、テスト時は起動オプションにより、フレームレート上限を解除している。
Radeon RX 6700 XTは比較製品中最下位に甘んじてはいるものの、WQHD以下では144fpsを超える平均フレームレートを記録している。GeForce RTX 3060 Tiとの差は2~11%で、GeForce RTX 3070との差は14~27%。
オーバーウォッチ
オーバーウォッチでは、描画品質を最高の「エピック」に設定しつつ、レンダー・スケールを100%に固定してフレームレートを測定した。
こちらでも、Radeon RX 6700 XTの結果は最下位だが、WQHD以下では144fpsを超えるパフォーマンス発揮して、ゲーミングディスプレイの表示能力を引き出せる実力を示した。GeForce RTX 3060 Tiとの差は約7%で、GeForce RTX 3070との差は20~24%。
Call of Duty: Black Ops Cold War
Call of Duty: Black Ops Cold Warでは、描画品質を設定できる限り最も高くした設定をベースに、レイトレーシングを無効にした設定と、レイトレーシング関連設定をすべて「ウルトラ」にした設定で、平均フレームレートの測定を行なった。
レイトレーシング無効時、Radeon RX 6700 XTはWQHD以下でGeForce RTX 3060 Tiに2~5%上回った。全条件でトップだったGeForce RTX 3070との差は7~8%。
レイトレーシングを有効化した場合、フルHDで60fps以上を記録したNVIDIA製GPUに対して、Radeon RX 6700 XTは30fpsにも届かないという大差がついた。GeForce RTX 3060 Tiとの差は約26~164%で、GeForce RTX 3070との差は2~3倍にも達している。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、レイトレーシングを用いない最高画質設定の「ウルトラ」でフレームレートの測定を行った。なお、本タイトルはDXRによるレイトレーシングに対応しているが、Radeon RX 6700 XTでレイトレーシングを有効化できなかったため、レイトレーシング有効時のテストは省略した。
Radeon RX 6700 XTは、GeForce RTX 3060 Tiに4~8%の差をつけて2番手のフレームレートを記録。トップのGeForce RTX 3070との差は6~12%だった。
アサシン クリード ヴァルハラ
アサシン クリード ヴァルハラでは、描画品質を「最高」に固定してベンチマークモードを実行した。
Radeon RX 6700 XTは全ての条件で最高の平均フレームレートを記録しており、GeForce RTX 3060 Tiに12~50%、GeForce RTX 3070に5~39%の差をつけた。本タイトルもSAMの効果が大きいタイトルであり、WQHD以下ではNVIDIA製GPUを大きく引き離す結果となった。
ウォッチドッグス レギオン
ウォッチドッグス レギオンでは、描画品質プリセットを「最大」にした設定と、それをベースにレイトレーシングを「最大」にした設定でベンチマーク結果を取得した。
レイトレーシング無効時、Radeon RX 6700 XTはGeForce RTX 3060 Tiを5~9%差で上回って2番手の結果を記録。トップのGeForce RTX 3070との差は6~8%だった。なお、いずれの条件でもVRAM使用量の目安が8,000MBを超えるこれらの条件において、VRAMが確実に足りるのはRadeon RX 6700 XTのみである。
これまでのテストからもわかるとおり、レイトレーシングを最大設定で有効化した場合、Radeon RX 6700 XTは比較製品中最下位に沈んでいる。ただ、各GPUとの差は、GeForce RTX 3060 Tiが15~46%、GeForce RTX 3070は46~63%とほかのゲームに比べ小さくなっている。これには、NVIDIA製GPUのVRAM容量が不足していることが影響しているものと考えられる。
Horizon Zero Dawn
Horizon Zero Dawnでは、描画品質を「最高画質」に設定して、ベンチマークモードを実行した。
Radeon RX 6700 XTは、フルHDとWQHDでGeForce RTX 3060 Tiと同じ平均フレームレートを記録しており、4Kでは10%の差をつけられている。トップのGeForce RTX 3070との差は8~22%。
Godfall
Godfallでは、描画品質を「最高」に設定して、ベンチマークモードを実行した。
Radeon RX 6700 XTは、フルHDとWQHDでGeForce RTX 3070に並ぶパフォーマンスを発揮しており、全条件でGeForce RTX 3060 Tiを6~17%差で上回った。4KではGeForce RTX 3070に約10%差をつけられているが、1440pをターゲットとするRadeon RX 6700 XTとしては上々の結果と言えるだろう。
Microsoft Flight Simulator
Microsoft Flight Simulatorでは、描画品質を最高の「ULTRA」にして、フレームレートの測定を行った。測定は、羽田空港から関西国際空港へのルートをAIに飛行させ、離陸後3分間のフレームレートを測定している。使用した機体は「Daher TBM 930」。
Radeon RX 6700 XTは、フルHDでGeForce RTX 3060 Tiに約4%差をつけて上回ったが、WQHD以上では逆に7~16%差をつけられた。トップのGeForce RTX 3070との差は4~36%。
なお、現状のMicrosoft Flight Simulatorは30fpsの維持が目標となるタイトルなので、Radeon RX 6700 XTはWQHD以下ならMicrosoft Flight Simulatorをプレイするのに十分な実力を備えたGPUであると言える。
Blender Benchmark
3DCGソフト「Blender」のオフィシャルベンチマーク「Blender Benchmark」では、Radeon RX 6700 XTは「OpenCL」、NVIDIA製GPUは「OptiX」を利用してレンダリングを実行した。なお、参考までにRyzen 9 5950XによるCPUレンダリングの結果も比較した。
Blenderのレンダリング速度はNVIDIA製GPUが優勢で、合計941秒だったRadeon RX 6700 XTに対し、GeForce RTX 3060 Tiは483秒で約2倍、GeForce RTX 3070は409秒で約2.3倍も速かった。
なお、「koro」ではRadeon RX 6700 XTが最速を記録しており、Radeonの方が高速な場合もあると言えそうな結果ではあるのだが、このシーンについてはNVIDIA製GPUのレンダリング時間が、過去のバージョンより大幅に増加している。v2.92の「koro」とNVIDIA製GPU、あるいはOptiXの組み合わせで、性能に問題が生じていると考えるのが妥当だろう。
消費電力とモニタリングデータ
ワットチェッカーを用いて、ベンチマーク実行中のピーク消費電力とアイドル時消費電力を測定した結果が以下のグラフだ。
Radeon RX 6700 XTのアイドル時の消費電力は58Wで、55WのGeForce RTX 3060 Tiや、53WのGeForce RTX 3070よりやや高めの数値となっている。
Radeon RX 6700 XTが記録したベンチマーク実行中のピーク消費電力は330~409W。Radeon RX 6700 XTがもっとも低い数値を記録したFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを除いた場合、GeForce RTX 3060 Tiより4~24W高く、GeForce RTX 3070より1~59W低い数値となっている。
モニタリングソフト「HWiNFO64 Pro」を使い、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを「4K/高品質」設定で実行しているRadeon RX 6700 XTのモニタリングデータを取得した。
ベンチマーク実行中、GPUの消費電力であるGPU PPT(Package Power Target)は、リミット値である186Wにほぼ張り付いており、GPUクロックは2,500MHz前後で推移している。
GPU温度は最大77℃で、サーマルスロットリングの基準となるGPUホットスポット温度は96℃。セミファンレス動作に対応する冷却ファンのスピードは、最大で約1,680rpmまで上昇した。なお、AMDによれば、Radeon RX 6700 XTでサーマルスロットリングが作動する温度は110℃なので、この測定中にサーマルスロットリングは発生していない。
ゲーマーにとって価値ある性能とVRAM容量を備えた新GPU
Radeon RX 6700 XTは、1440p以下の画面解像度で高品質なグラフィックや高フレームレートでゲームを楽しめる実力を備えている。
NVIDIA製GPUがまもなくResizable BARに対応予定である点や、今回比較したビデオカードで唯一のOC仕様であること、明らかに劣るリアルタイムレイトレーシング性能など、競合GPUとの比較においては考慮すべき要素も少なくないが、Radeon RX 6700 XTがゲームで発揮するパフォーマンスと、ゲーム用途では十分な余裕のあるVRAM容量は、ビデオカード市場のバランスが崩壊しているいま、ゲーマーにとって間違いなく価値あるものだ。
(ライブ終了後はアーカイブを視聴できます)