Hothotレビュー

超広角カメラに加えて深度スキャナまで搭載したタブレットの最高峰「iPad Pro」の実力に迫る

Apple「12.9インチiPad Pro」直販価格104,800~176,800円

 Appleは3月18日、iPad Proの12.9インチモデル(第4世代)と11インチモデル(第2世代)を発表、3月25日より販売を開始する。

 約1年4カ月ぶりとなる新型は、プロセッサは末尾のみが変わる小規模なアップデートにとどまっているが、超広角を加えたデュアルカメラ、空間の3次元構造をスキャンする「LiDAR(ライダー)スキャナ」を搭載し、「iPadOS 13.4」で従来モデルも含めてトラックパッド、マウスに対応するなど、多くの進化を遂げている。

 筆者は現在、第3世代12.9インチiPad Proを常用しているので、そのユーザー視点からレビューをお届けしたい。

「Apple Pencil(第2世代)」14,500円、「12.9インチiPad Pro用Smart Keyboard Folio」20,800円、「Magic Trackpad 2」14,800円は別売り

新型でもっとも驚かされたのは大幅値下げ

 iPad Proの2020年モデルは、通信機能(Wi-Fi/Wi-Fi+Cellular)、ストレージ容量(128GB/256GB/512GB/1TB)、カラー(スペースグレイ/シルバー)などを組み合わせた16モデルが用意されている。

 今回の発表で筆者がもっとも驚いたのが価格設定。最廉価モデルが64GBから128GBに増量されている上、最廉価モデル(64GB→128GB)が5,000円/7,000円(11インチ/12.9インチ)、256GB/512GBモデルが11,000円/13,000円(同)、1TBモデルが33,000円/35,000円(同)と、上位モデルほど大幅値下げされているのだ。

 たとえば12.9インチのWi-Fi+Cellular版で新旧モデルを比較すると、最廉価モデル(64GB→128GB)と1TBモデルの価格差は83,000円から55,000円へと圧縮されている。リセールバリューを考慮すれば最上位モデルのお買い得感は非常に高い。正直、2018年モデルを購入したことをちょっと後悔するぐらいの価格設定だ。

【表1】iPad Proの世代別一覧
世代製品名発売日
第1世代12.9インチ iPad Pro2015年11月発売
第1世代9.7インチ iPad Pro2016年3月31日発売
第2世代12.9インチ iPad Pro2017年6月13日発売
第1世代10.5インチ iPad Pro2017年6月13日発売
第3世代12.9インチ iPad Pro2018年11月7日発売
第1世代11インチ iPad Pro2018年11月7日発売
第4世代12.9インチ iPad Pro2020年3月27日発売
第2世代11インチ iPad Pro2020年3月27日発売
【表2】iPad Proのモデル別直販価格一覧
2018年モデル2020年モデル
Wi-FiWi-Fi+CellularWi-FiWi-Fi+Cellular
11インチ/64GB89,800円106,800円
11インチ/128GB84,800円101,800円
11インチ/256GB106,800円123,800円95,800円112,800円
11インチ/512GB128,800円145,800円117,800円134,800円
11インチ/1TB172,800円189,800円139,800円156,800円
12.9インチ/64GB111,800円128,800円
12.9インチ/128GB104,800円121,800円
12.9インチ/256GB128,800円145,800円115,800円132,800円
12.9インチ/512GB150,800円167,800円137,800円154,800円
12.9インチ/1TB194,800円211,800円159,800円176,800円

新型キーボードカバー「Magic Keyboard」は第3世代iPad Proにも対応

 iPad Pro 2020年モデルのおもな進化点は下記の5つ。

  • プロセッサをA12X Bionicから、A12Z Bionicにアップグレード
  • カメラを1,200万画素広角から、1,200万画素広角+1,000万画素超広角に変更
  • 深度スキャナ「LiDARスキャナ」の追加
  • 無線LANをWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)からWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に高速化
  • LTEのバンド数を最大29バンドから最大30バンドに増加
左が第3世代、右が第4世代の12.9インチiPad Pro。第4世代には1,000万画素超広角カメラと、深度スキャナ「LiDARスキャナ」が追加されている
第4世代(左)と第3世代(右)でカメラ部の飛び出し量に差はない
上が1,000万画素超広角カメラ、下が1,200万画素広角カメラ

 なお、iPad Pro 2020年モデルと同時に、トラックパッドを搭載した新型キーボードカバー「Magic Keyboard」(12.9インチ用37,800円、11インチ用31,800円)が発表されており、5月に発売される予定だが、これはiPad Pro 2018年モデルでも使用できる。また、「iPadOS 13.4」でトラックパッドやマウスに対応するが、こちらはアップデートを適用可能なすべてのiPadで利用可能だ。

 今回はMagic Keyboardを借用できなかったが、トラックパッドの搭載、1mmのシザー構造キーの採用、バックライト内蔵、パススルー充電できるUSB Type-Cポートを装備、無段階に角度調整できるヒンジ機構と、Smart Keyboard Folioとはまったくの別物と言えるほどの進化を遂げている。キーボードカバーを購入するならMagic Keyboardの発売を待つべきだ。

「11インチiPad Pro(第2世代)用Magic Keyboard - 日本語(JIS)」が31,800円、「12.9インチiPad Pro(第4世代)用Magic Keyboard - 日本語(JIS)」が37,800円。それぞれ、英語(UK)、中国語(注音)、中国語(拼音)、日本語(JIS)、韓国語、英語(US)、スペイン語版が用意されている※Appleの製品公式サイトから転載

CPU、Neural Engineに変更なし、GPUは1コア増えて8コアに

 それでは基本スペックを順番にチェックしていこう。プロセッサは前述のとおり、A12Z Bionicが採用されている。2018年モデルのA12X Bionicと数字が同じで末尾だけが変わっていることからわかるとおり、大きな変更はない。CPUは高性能コア×4基、省電力コア×4基を合わせて計8コア、マシンラーニング用SoC「Neural Engine」、「組み込み型M12コプロセッサ」はそのまま搭載している。

 大きく異なっているのはGPUが7コアから8コアに増やされていること。また、「高度な熱設計と調整されたパフォーマンスコントローラ」が実装されているとのことだ。GPUコアが増えたぶんグラフィックス性能の向上が期待されるが、この点についてはベンチマークの章で確認したい。

 メモリは例によって公表されていないが、今回借用した12.9インチiPad Proの1TBモデルをベンチマークのシステム情報で確認したところ、6GBが搭載されていた。128GB、256GB、512GBモデルのメモリ容量は今回の記事では確定できないが、少なくとも1TBモデルは前回と同じ容量のメモリを搭載していることになる。

12.9インチiPad Proの1TBモデルは、「AnTuTu Benchmark」、「Geekbench 5」のシステム情報で6GBのメモリを搭載していると表示される

 ストレージは前述のとおり、128GB、256GB、512GB、1TBの4種類を用意。「Pro」で64GBはさすがに厳しいので、最廉価モデルのストレージが128GBに増量されたことは歓迎したい。

 カメラは、背面に広角(1,200万画素、f/1.8)、超広角(1,000万画素、f/2.4、視野角125度)のデュアル構成となり、前面には「TrueDepthカメラ」(700万画素、f/2.2)を引き続き搭載。また具体的なスペックは公表されていないが、背面フラッシュ「True Toneフラッシュ」がより明るくなっている。

第4世代の広角カメラ(1,200万画素、f/1.8)で撮影
第4世代の超広角カメラ(1,000万画素、f/2.4、視野角125度)で撮影
左は第4世代、右は第3世代の広角カメラで撮影した写真だ。今回トータルで189枚の写真を撮影したが、第4世代のほうが暖かみのある色味で記録される傾向があった

 背面カメラ部分に新搭載されたLiDARスキャナは、最大5m離れたオブジェクトも認識可能な深度スキャナ。iOS端末は通常のカメラだけでも「ARKit」で拡張現実を実現しているが、LiDARスキャナを搭載したiPad Proは、さらに広く、速く、正確に計測が可能となる。

 今後、身体機能評価ツール「Complete Anatomy」、家具配置アプリ「IKEA Place」、AR¬アドベンチャーゲーム「Hot Lava」、モバイルCADアプリ「Shapr:3DモデリングCAD」などで、LiDARスキャナが活用されるとのことだ。

溶岩が広がる世界を飛び跳ねながら探索するアドベンチャーゲーム「Hot Lava」で、新しいARモードが2020年後半に利用可能になる。LiDARスキャナのあるなしで、ゲーム体験がどのように変わるのか気になるところだ

 ディスプレイは2018年モデルと同様に角丸加工された「Liquid Retinaディスプレイ」が採用されており、解像度は12.9インチが2,732×2,048ドット(264ppi)、11インチが2,388×1,668ドット(264ppi)。600cd/平方mの輝度、最大120Hzの可変リフレッシュレート「ProMotionテクノロジー」、P3の広色域、環境光に応じて同じ色に見えるように調整する「True Tone」などはそのまま継承している。4スピーカーオーディオ、5つのマイクを搭載している点も同一だ。

左が第4世代、右が第3世代のiPad Pro。どちらも色調整、明るさ調整をオフにして同じ輝度で撮影してみたが、第4世代のほうが少し色は濃く見える。液晶パネルのメーカーが異なるのかもしれない

 通信機能についてはBluetooth 5.0で同じだが、LTEの対応バンドが最大29バンドから最大30バンドに増えて、無線LANがWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)からWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に高速化されている。5Gサービスがスタートするのとほぼ同時に発売されるタブレットが5G非対応なのは残念。Apple初の5G端末になると予想される次期iPhoneを楽しみに待ちたい。

 本体サイズ・重量は12.9インチモデルが214.9×280.6×5.9mm(幅×奥行き×高さ)・641g(Wi-Fi)/643g(Wi-Fi+Cellular)、11インチモデルが178.5×247.6×5.9mm(同)・471g(Wi-Fi)/473 g(Wi-Fi+Cellular)。なお、サイズは2018年モデルと同じだが、重量は12.9インチモデルが10g、11インチモデルが3~5gとわずかに増えている。

 インターフェイスはUSB Type-C、キーボードカバーと接続するための「Smart Connector」を装備。SIMはNano SIMカード(Apple SIM対応)とeSIMをサポートする。

12.9インチディスプレイの解像度は2,732×2,048ドット(264ppi)
ディスプレイ上部ベゼルに顔認証「FaceID」を含む「TrueDepthカメラ」と、マイクが内蔵されている
本体背面。下側にある金属端子はキーボードカバーと接続するためのSmart Connector。カメラ部にはマイクが1つ内蔵されている
本体上部には電源ボタン、スピーカー×2、マイク×2が用意されている
本体下部にはUSB Type-C、スピーカー×2が配置されている。上部と下部のスピーカーは縦、横と持ち方を変えると、左右の割り当てが自動的に切り替わる
本体右側面にはボリュームボタン、Apple Pencilを充電するための磁気コネクタ、Nano SIMカードトレイが配されている
本体左側面にはマイクが設けられている。つまりマイクはディスプレイ上部ベゼル×1、本体上部×2、背面カメラ部×1、左側面×1と合計5つ内蔵されているわけだ
第4世代12.9インチiPad Proの製品パッケージ
パッケージには、本体、18W USB Type-C電源アダプタ、USB Type-C充電ケーブル、説明書類が同梱されている
USB Type-C充電ケーブルのコード長は1m
18W USB Type-C電源アダプタの仕様は、入力100-240V~0.5A、出力5V/3A、9V/2A、容量18W
第4世代12.9インチiPad Pro(1TB、Wi-Fi+Cellular)の実測重量は638.5g
18W USB Type-C電源アダプタ、USB Type-C充電ケーブルの合計重量は実測78.6g
12.9インチiPad Pro用Smart Keyboard Folio。第4世代のカメラ部に合わせて穴が大きくなっている
上が第4世代用、下が第3世代用。キー配列、キートップの印刷に変更はなく、打鍵感も変わらない
第4世代用は色が濃くなっている
第4世代用Smart Keyboard Folioの背面には、Appleのロゴがエンボス加工で新たに刻まれた
第3世代の12.9インチiPad Proを第4世代用Smart Keyboard Folioに装着可能だが、カメラ用穴の寸法は当然合わない。Magic Keyboardでも同様の見た目になるわけだ
第4世代12.9インチiPad ProにSmart Keyboard Folioを装着したさいの合計重量は実測1,051.5g

第3世代iPad Proユーザーにも魅力的なMagic Keyboard

 今回AppleからMagic Keyboardの代わりにトラックパッド「Magic Trackpad 2」が送られてきたので、変則的なレビューとなるがMagic Keyboardの使い勝手を想像してみよう。

 まず最大の特徴であるトラックパッドだが、間違いなくiPad Proの生産性を上げてくれる。3本指で上にスワイプするとアプリをサムネイル表示するAppスイッチャーが表示され、すばやくアプリを切り替えられる。アプリを全画面表示しているときに3本指で左右にスワイプすれば、起動した順番でアプリを行き来可能。どちらの操作もタッチパネルで可能だが、手の移動量を考えるとMagic Keyboardのトラックパッドのほうが効率的だ。

 シザー構造となったキーは、多くの人にとってなじみのある感触となっていることが予想される。Magic Keyboardの1mmのキーストロークはやや浅い。しかしキーストロークだけが打鍵感、打鍵音を決めるわけではないので、どのようなフィーリングになっているのか楽しみに待ちたい。なお、バックライトが重宝する装備であることは言うまでもない。

 個人的にもっとも歓迎しているのが、「フローティングカンチレバー」によって見やすい角度に画面を調整できること。筆者はSmart Keyboard Folioの打鍵感よりも、角度を2段階にしか調整できないことのほうが不満だった。いまSmart Keyboard Folioを使っているが、Magic Keyboardはできるだけ早く購入する予定だ。

iPad Pro(第4世代)用Magic Keyboardはシザー構造のキーを採用。キー手前にトラックパッドが用意されている※Appleの製品公式サイトから転載
「フローティングカンチレバー」によってディスプレイの角度を無段階で調整可能※Appleの製品公式サイトから転載
Smart Keyboard Folioはディスプレイの角度を2段階でしか調整できない
今回はMagic Trackpad 2でiPadにおけるトラックパッドの使い勝手を体験してみた
iPadOS 13.4におけるトラックパッドのポインターは円形。意地でもマウスカーソルにしないところがAppleらしい
トラックパッドの3本指上スワイプでAppスイッチャーの起動、3本指左右スワイプでアプリの切り替えができるのは本当に便利。Magic Keyboardが待ちきれず、思わずMagic Trackpad 2を買ってしまいそうになったほど快適な操作感だ

もっとも大きな性能向上を体感できるのは無線LAN

 今回第4世代の12.9インチiPad Proのベンチマークを実施するにあたっては、第3世代を比較対象機種として使用した。条件をそろえるために第3世代もいったん初期化して、同じ設定を施している。

 ただしベンチマークを実施した時期の都合上、第4世代と第3世代のOSのバージョンは異なっている。また第3世代のiPad Proは、発売日に購入して約1年4カ月日常的に利用してきたので、バッテリが経年劣化している。その点を踏まえて、バッテリベンチマークはご覧いただきたい。

 今回実施したベンチマークは、総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」、CPU/GPUベンチマーク「Geekbench 5」、グラフィックスベンチマーク「Basemark Metal Free」、「iMovie」で約5分の4K動画を書き出し、「iPerf 3」で無線LANのダウンロード速度を計測、最大輝度/輝度50%でYouTube動画を連続再生したさいのバッテリ駆動時間となる。下記が検証機の仕様とその結果だ。

【表3】検証機の仕様
12.9インチiPad Pro(第4世代)12.9インチiPad Pro(第3世代)
CPUA12Z BionicA12X Bionic
メモリ6GB
ストレージ1TB
ディスプレイ解像度2,732×2,048ドット
OSiOS 13.4iOS 13.3.1
【表4】ベンチマーク結果
12.9インチiPad Pro(第4世代)12.9インチiPad Pro(第3世代)
AnTuTu Benchmark
Total768,816758,102
CPU185,154188,192
GPU376,918357,056
MEM129,037134,640
UX77,70778,214
Geekbench 5
Single-Core Score1,1181,120
Multi-Core Score4,6954,699
Compute10,1359,252
Basemark Metal Free
Overall5,8305,742
Lightning8080
Compute8890
Instancing98100
Post-Processing8383
iMovie
5分11秒の4K動画を書き出し2分55秒592分55秒22
無線LANの通信速度
iPerf 3でダウンロード速度を計測789Mbps570Mbps
バッテリ駆動時間
最大輝度でYouTube動画を再生4時間41分1秒4時間4分31秒
輝度50%でYouTube動画を再生13時間9分26秒11時間46分6秒

※AnTuTu、Geekbench 5、Basemark、iPerf 3は3回計測したなかでもっともよかったスコアを採用
※12.9インチiPad Pro(第3世代)のバッテリは約1年4カ月使用してバッテリが劣化している

 まずCPU性能を見てみよう。AnTuTu Benchmarkの「CPU」で第4世代は第3世代の約101%に相当する「768,816」、Geekbench 5の「Multi-Core Score」で約100%に相当する「4,695」というスコアを記録している。やはりCPU性能はA12Z BionicとA12X Bionicで大きな差はないようだ。

 GPU性能については、AnTuTu Benchmarkの「GPU」で第4世代は第3世代の約106%に相当する「376,918」、Geekbench 5の「Compute(Metal Score)」で約110%に相当する「10,135」というスコアを記録している。GPUコアが7コアから8コアに増えたことで、GPU性能が着実に底上げされていることがわかる。

 しかし、その一方で同じくグラフィックスベンチマークのBasemark Metal Freeでは、なぜかスコアに差が見られない。この結果だけを見ると、増えたGPUコアをまるで使っていないかのようだ。

 iMovieでの4K動画書き出しについては誤差以上の差は見られなかった。iMovieは動画の書き出しにGPUコアを使っていないのだと思われる。

 今回もっとも性能が向上したのが無線LANの速度。バッファローのWi-Fi 6対応無線LANルーター「WXR-5950AX12」に、Thunderbolt 3対応10GbE有線LANアダプタ「SANLink3 T1」経由で接続した「16インチMacBook Pro」で、「iPerf 3」をサーバーモードで実行して無線LANのダウンロード速度を計測したが、Wi-Fi 6対応の第4世代はWi-Fi 5対応の第3世代の約138%に相当する「789Mbps」というスコアを記録した。動画視聴やストリーミング音楽にはオーバースペックだが、オンラインストレージから大容量データをダウンロードするさいなどに効果を発揮するはずだ。

 第4世代のバッテリ駆動時間については最大輝度でYouTube動画を再生した場合は4時間41分1秒、約50%の輝度では13時間9分26秒という結果だった。バッテリ駆動時間についてはおおむねスペックどおりの結果と言える。

 なおAnTuTu Benchmark実行時の本体前面の温度を計測してみたが、第4世代が最大36.4℃、第3世代が36.8℃と後者のほうがわずかに高かった。これが第4世代に施された「高度な熱設計と調整されたパフォーマンスコントローラ」によるものだとしたら微妙すぎる差だが、少なくともGPUコアが増えたことによって極端に発熱が増えていないことは確認できた。

左が第4世代で最大温度が36.4℃、右が第3世代で最大温度が36.8℃

最高峰のタブレット端末としてさらに進化したことは間違いなし

 率直に言って今回の新モデルは、第3世代の12.9インチiPad Pro、第1世代の11インチiPad Proを所有しているユーザーが買い換えるほどの決定的な魅力には欠けている。ハードウェア的には超広角カメラが追加されたことと、LiDARスキャナが新搭載されたことが大きなトピックだが、撮影するならiPadよりもiPhoneのほうが手軽だし、iPadによる拡張現実用途はクリエイターには求められていても一般ユーザーにはあまり響かない機能だと思う。

 しかし、機能が強化されて最大35,000円の値下げというのは大きなインパクトがある。また、トラックパッド、マウスに対応したことでノートPC的な使い勝手が大幅に向上したことは間違いない。無印やmini、AirなどのiPadを使っている方だけでなく、Windows搭載2in1 PCをいま活用している方にとっても、最高峰のタブレット端末としてさらに魅力を増したはずだ。