Hothotレビュー
大人気スマホがダブルレンズカメラや狭額縁ワイド液晶搭載で進化。ファーウェイ 「P20 lite」
2018年6月27日 11:00
ファーウェイ・ジャパンは、SIMロックフリー仕様のミドルレンジスマートフォン新モデル「P20 lite」を6月15日に発売した。従来モデルとなる「P10 lite」の後継モデルで、アスペクト比19:9の縦長ディスプレイの採用や、裏面メインカメラにダブルレンズカメラを採用するなどの進化を遂げている。すでに発売中で、直販価格は34,538円。
P20シリーズ上位モデルと同等のデザインコンセプトで質感も優れる
ファーウェイの最新ミドルレンジスマートフォン「P20 lite」は、2017年6月に登場し、SIMロックフリースマートフォン市場でトップセールスを記録するなど非常に高い人気を集めた「P10 lite」の後継モデルだ。
P10 lite同様に、直販を含めたオープンマーケットで販売されるとともに、多くのMVNO業者からも販売されるが、P20 liteはさらにauのキャリアモデル「HWV32」としても採用され、さらに人気を集めることが予想される。
なお、オープンマーケットおよびMVNO業者で販売されるモデルとauで販売されるモデルでは、内蔵ストレージ容量や通信部分の仕様が異なっている。今回はオープンマーケットで販売されるモデルを試用したため、そちらをベースに紹介する。
本体デザインは、従来モデルから大きく変更され、P20シリーズとして上位となるP20やP20 Proと同じコンセプトとなっている。側面にメタルフレームを採用し、ディスプレイ部だけでなく背面にもガラスを採用。また、ディスプレイ面と背面のガラスは側面がカーブした2.5Dガラスで、側面もほぼシームレスに続くなだらかなカーブとなっている。このあたりの質感は非常に優れており、高級感も十分に感じられる。
正面を見ると、上位モデル同様に本体の左右側面と上部のベゼル幅が極限までせばめられるとともに、下部ベゼル幅も従来から大幅にせばめられており、表示領域の占める割合が大きく高められている。また、上部の前面カメラやスピーカー付近に切り欠きが用意されている部分も、上位モデルと同等だ。上位モデルと異なる部分は、ディスプレイ下部に指紋認証センサーを搭載せずHUAWEIロゴが記されているという部分ぐらいで、見た目は上位モデルと大きく変わらない。
背面のデザインも、上位モデルを踏襲。背面に2.5Dガラスを採用しており、光沢感や質感が高められるとともに、手触りも非常に滑らかだ。また、裏面のメインカメラは本体左上に比較的大きな突起とともにまとめられており、その下にLEDフラッシュを搭載。また、下部左には縦向きにHUAWEIロゴを記すなど、こちらも上位モデルと同等のデザインとなっている。
唯一大きく異なるのは、裏面中央上方に指紋認証センサーを搭載している部分だが、指紋認証センサー内も本体カラーと同じ色となっているので、デザイン性が大きく損なわれているという印象もない。カラーはクラインブルー、サクラピンク、ミッドナイトブラックの3色をラインナップする。
本体サイズは71.2×148.6×7.4mm(幅×奥行き×高さ)と、比較的コンパクトなサイズとなっている。側面のなだらかなカーブと合わせて、手にしても手にしてもゴツゴツとした印象は皆無で、とても持ちやすい。女性の手にも問題なく馴染むはずだ。
ただし、背面もガラスとなったことで、筐体はかなり滑りやすくなっている。とくに気をつけたいのがテーブルなどに置く場合で、わずかな角度でもスルスルっと滑ってしまうため、要注意だ。
重量は公称で約145gと、最近のスマートフォンとしては十分に軽い。スリムで持ちやすい筐体と合わせて、軽快に利用できると言っていいだろう。なお、実測の重量は144.9g(SIMカード未装着時)だった。
切り欠き付きの5.84型フルHD+液晶を採用
ディスプレイには、1,080×2,280ドット表示対応の約5.84型液晶を採用している。アスペクト比19:9の縦長表示に対応している点と、狭額縁仕様で前面の大部分が表示領域で占められている点、上部にインカメラやスピーカーなどを囲む切り欠きが用意されている点などが特徴だ。パネルの種類はIPS。ミドルレンジスマートフォンとして標準以上の表示品質を備えており、写真の表示や動画の視聴でもまったく不満を感じない。野外でも十分な視認性を確保できる輝度も備えている。
ディスプレイ上部の切り欠きの存在は、P20シリーズ上位モデルと同じだ。切り欠きの左右には、各種通知アイコンなどの表示に特化しており、アプリの利用時や写真、動画などの表示時には切り欠き部分が表示領域として利用されることは基本的にないため、実際の利用時に切り欠き部分が気になることはほぼないだろう。
また、上位モデル同様に、切り欠きの存在を感じさせないような表示設定も用意されている。ディスプレイの切り欠きについては賛否両論ある中、切り欠きの存在を感じさせない表示設定が用意されている点は大きな魅力となるはずだ。
1,600万画素+200万画素のダブルレンズカメラを搭載、インカメラも1,600万画素
ファーウェイのスマートフォンでは、充実したカメラ機能が大きな魅力となっている。とくにPシリーズの上位モデルでは、LEICAコラボレーションの高性能カメラを搭載することで、高い人気を集めている。P20 liteではLEICA銘のカメラこそ搭載しないものの、充実したカメラ機能をしっかり搭載している。
背面のメインカメラには、1,600万画素と200万画素の2つの撮像素子を使ったダブルレンズカメラを採用している。従来モデルはシングルレンズカメラだったので、大きな進化と言っていいだろう。また、撮影用の撮像素子も従来モデルの1,200万画素から1,600万画素へと向上。今回は従来モデルが手元にないため比較はできないが、画質も高まったと言っていいだろう。
ところで、スマートフォンのダブルレンズカメラには、上位モデルのP20 Proのようにカラーセンサーとモノクロセンサーを組み合わせてダイナミックレンジを高める仕様のものをはじめ、広角レンズと望遠レンズを組み合わせたものなど、いろいろな仕様があるが、P20 liteのダブルレンズカメラは、1,600万画素が撮影用となり、200万画素は被写界深度計測に特化したものとなっている。これによって、シングルレンズカメラでは難しい「ワイドアパーチャー」機能を実現。背景をぼかした写真を撮影できるだけでなく、撮影後に指定した場所にピントを合わせたり、背景のぼけ味を調節できる写真を撮影可能だ。印象的な写真を手軽に撮影できるようになるため、写真撮影が楽しくなるはずだ。
ただし、上位モデルのようなAI撮影機能は備えない。また、ダブルレンズカメラの仕様も異なるため、暗所撮影能力も上位モデルにはおよばない。このあたりは、比較的安価なミドルレンジクラスの製品ということで、しかたのない部分だろう。それでも、従来モデルに比べると画素数の向上や機能向上を実現している点は、素直に喜べるはずだ。
また、インカメラも進化しており、P20 liteでは従来モデルの800万画素から1,600万画素へと撮像素子の大幅な高解像度化を実現。もちろん、背景をぼかして人物を際立たせる「ポートレートモード」や、顔の肌の質感を滑らかにするなどの補正を10段階で行なえる「ビューティーモード」なども引き続き搭載しているため、セルフィー撮影を重視する人も問題ない。セルフィー撮影で便利な機能としては、背面の指紋認証センサーを利用したシャッター操作や、手のひらをカメラに向けるとセルフタイマーが起動する「ジェスチャーセルフィー」機能もしっかり盛り込まれている。
SoCやRAM搭載量なども強化
P20 liteに搭載されるSoCは、Kirin 659を採用。従来モデルのKirin 658同様のオクタコアSoCだが、プロセッサコアの動作クロックが2.36GHz×4+1.7GHz×4に向上しており、処理能力が高められている。また、内蔵ストレージは32GBと従来同様だが、RAMは標準で4GBに増量(従来は3GB)されており、処理に余裕ができている。
外部ポートは、下部側面にUSB Type-C(USB 2.0)とヘッドフォンジャックを用意。左側面にはSIMカードトレイ、右側面にはボリュームボタンと電源ボタンを配置する。
対応するSIMカードはNano SIM。デュアルSIM対応で、2枚のNano SIMを装着して利用できるが、セカンダリSIMはGSMの音声通話のみ対応となる。また、SIMトレイのSIM2側は、SIMカードとmicroSDカードの排他利用となる。microSDカードは最大256GBまで対応する。
通信機能の仕様は、LTEの対応バンドがBand 1/3/5/7/8/18/19/26/28/41、WCDMAがBand 1/2/5/6/7/19、GSMが850/900/1,800/1,900MHz。キャリアアグリゲーションに対応するとともに、auVoLTEをサポート。このほか、IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LANと、Bluetooth 4.2+BLEも標準搭載する。
センサー類は、加速度センサー、電子コンパス、ジャイロセンサー、近接センサー、環境光センサーなどを搭載。生体認証機能は、背面の指紋認証センサーによる指紋認証機能に加えて、前面カメラを利用した顔認証機能も搭載。ただし、この顔認証機能は赤外線カメラを使った高度な認証機能ではないため、安全性はやや劣る。
内蔵バッテリ容量は3,000mAhで、連続待受時間は約532時間(FDD-LTE)、連続通話時間は約21時間(WCDMA)。付属のACアダプタを利用した急速充電にも対応している。
なお、FeliCaや防水・防塵機能などは搭載しない。このあたりは少々残念だが、価格帯を考えると仕方がないだろう。
最新ミドルレンジスマートフォンとしてまずまずの性能
では、参考としてベンチマークテストの結果を紹介する。利用したベンチマークアプリは、「PCMark for Android 2.0.3716」、「3DMark v2.0.4580」、「AnTuTu Benchmark v7.0.9」の3種類だ。
【表】ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark for Android 2.0.3716 | |
Work 2.0 Performance | 5023 |
Computer Vision | 2371 |
Storage | 8547 |
3DMark v2.0.4580 | |
Ice Storm Extreme | 7828 |
Sling Shot | 154 |
Sling Shot Extreme -OpenGL ES3.1 | 153 |
Sling Shot Extreme -Vulkan | 370 |
AnTuTu Benchmark v7.0.9 | |
Score | 87125 |
CPU | 41314 |
CPU 演算処理スコア | 7022 |
CPU 一般使用スコア | 5926 |
CPU マルチコアスコア | 28366 |
GPU | 13156 |
3D[Marooned]スコア | 2069 |
3D[Coastline]スコア | 3651 |
3D[Refinery]スコア | 7436 |
UX | 24180 |
データセキュリティスコア | 5061 |
データ処理スコア | 5364 |
画像処理スコア | 3658 |
ユーザーエクスペリエンスのスコア | 10097 |
MEM | 8475 |
RAMスコア | 2394 |
ROMスコア | 6081 |
結果を見ると、さすがに上位モデルにはかなわないものの、ミドルレンジスマートフォンとしてまずまずのスコアが得られている。プロセッサのスコアはSnapdragon 630搭載スマートフォンとほぼ同等で、3万円半ばの販売価格を考えると十分な処理能力だ。3D描画能力はややスコアが低く、3D描画の本格ゲームをバリバリプレイしたいという人にはやや物足りないと思うが、カジュアルゲームならそれほど不満なくプレイできるはずだ。この価格帯のスマートフォンとしては、性能面は申し分ないと言える。
続いてバッテリ駆動時間だ。今回は、バックライト輝度を約50%、音量を約30%に設定し、無線LANやBluetoothを有効にした状態で、内蔵ストレージに保存したH.264形式のフルHD動画を連続再生させて検証したところ、約10時間43分を記録した。動画連続再生で10時間を超える駆動時間なら、通常利用で1日は十分バッテリが持つはずで、駆動時間も十分満足できると言えそうだ。
抜群のコストパフォーマンスで、広くおすすめできる
このようにP20 liteは、3万円台半ばの価格ながら、申し分ないスペックやダブルレンズカメラの搭載、1,080×2,280ドット表示対応の超狭額縁液晶、高級感のあるデザインなど、価格以上の価値を備えるスマートフォンに仕上がっている。コストパフォーマンスは同価格帯の競合製品を確実に凌駕していると言っていいだろう。
また、P20 liteは多くのMVNO業者からも販売されている。それぞれのSIMとセットでさらに安価に購入できるプランも用意されているため、乗り換えや新規購入ということなら、そちらもおすすめだ。