配信修行僧

実は奥が深い、OBSのシーン/ソースの作り方/設定方法

筆者の実際のOBSの画面

 こんにちは、配信修行僧の若杉です。今回はOBSでの、シーン/ソースの作り方扱い方を中心に解説する。多くの人はシーン1つで配信しているかもしれないが、複数のシーンを作って切り替えることで、表現力が増した配信になる。また、ソースもただデータを指定して設置するだけでは画質が良くないといった注意点もあり、実は奥が深い。

 なお、本記事ではOBSバージョン30.2を用いているが、基本的にはバージョン28以降なら当てはまる。

シーンとソースの作り方の基本

OBSの初期画面

 OBSで表示する各要素は「ソース」と呼ばれる(音声ソースなど見えないソースもあるが)。シーンはソースをひとまとめにしたものだ。と言っても、シーンAはゲーム画面だけ、シーンBはWebカメラだけといったように、1つのシーンに1つのソースしかなくても構わない。

 OBSの初回起動時はシーンが1つあり、ソースはなにも指定されていない。顔出しゲーム配信の場合、少なくともソースとしては、ゲーム画面とカメラ映像になる。

 ゲーム画面については、後に詳しく解説するが、ひとまずここでは、「ソース」の「+」をクリックして「ゲームキャプチャ」を選ぼう。名前はそのままでもいいし変更してもいい。「モード」はデフォルトだと「フルスクリーンアプリケーションをキャプチャ」になっている。これで、フルスクリーン表示するゲーム画面がOBSに表示される。

「ソース」の「+」をクリックして、表示する素材(ソース)を選択する

 前回の記事で解説した「ファイル」→「設定」→「映像」の「基本解像度」とゲームの解像度が違う場合、ゲームキャプチャの枠がキャンバスからずれるだろう。そういった場合は、プレビューウィンドウ上でゲーム画面をドラッグしたり、赤い枠をドラッグしてキャプチャウィンドウの位置やサイズを調整しよう。

ソースの縞部分はキャンバスに入りきっていない部分なので、ソースか赤枠をドラッグして位置やサイズを調整する

 カメラ映像を映す時は、「ソース」→「+」をクリックして「映像キャプチャデバイス」を選ぶことでソースとしてカメラが追加される。これも名前はそのままでもいいが、カメラだと分かりにくいし、USBキャプチャユニットも「映像キャプチャデバイス」なので混同しやすいため、管理のしやすさの観点からカメラと分かる名前にした方がいいだろう。

 こちらも、ウィンドウや赤枠をドラッグして、キャンバス内での位置やサイズを調整しよう。ゲーム画面と違って、カメラ映像については、元が縦横比16:9だけど、1:1にしたいといったこともあるだろう。そういう時は、Altキーを押しながら赤枠を内側にドラッグするとトリミングできる。トリミングした辺は緑色の点線で示される。

左上の画像をトリミングしたところ。緑の点線がトリミングの印

 見落とされがちなポイントとして、元のサイズから縮小したソースについては、右クリックして「スケールフィルター」→「ランチョス」を適用しよう。こうすることでジャギーが減り滑らかな映像になる。カメラ映像に限らず、元より縮小して表示させる画像や映像ソースは「スケールフィルター」をかけた方がいい。

縮小表示したソースにはスケールフィルターを適用しよう
スケールフィルター適用前
適用後。全体的に滑らかになっている

 このほかソースとしては、テキスト、画像、メディア(動画や音楽)、ブラウザ画面などを指定できるので、必要に応じてソースで「+」をクリックして追加しよう。なお、テキストについては、表示する実寸にもよるが、フォントサイズを大きめに指定しよう。小さなフォントサイズを指定すると、引き伸ばされてぼやけた感じになるためだ。

 やや余談となるが、ロゴ画像でもなんでもOBSで扱う素材は、専用のフォルダに保存することをオススメする。まれに、Webからダウンロードしてきた画像素材などをダウンロードフォルダに置いたままにして、OBSからその場所を指定して使っている人もいる。それでも大きな問題はないのだが、OBSの素材は素材でフォルダを分けて整頓した方が、いろいろと管理しやすい。筆者の場合は、ドキュメントフォルダに「OBS」フォルダを作り、その下に画像フォルダや音声フォルダなどのサブフォルダを作って、各種素材を保存している。

実はシーンもソースとして使える

 シーンは複数作成できる。基本的なソースが、ゲーム画面とカメラしかなくても、カメラだけのシーン、ゲーム画面だけのシーン、ゲーム画面内にワイプでカメラを重ねたシーン、カメラがゲーム画面とかぶらないようゲーム画面は多少縮小したシーンなどが考えられる。そういったシーンをあらかじめ作っておくと、マウスクリックでシーン(画面)を切り替えられ、ゲームプレイ時は、ゲーム画面+カメラを表示させ、雑談タイムはカメラだけのシーンに切り替えるといったことができる。

 シーンを切り替える時は「シーントランジション」が適用される。デフォルトでは「カット」が適用されているが、「フェード」も選べる。「カット」を選ぶと、シーンをクリックした時に即座に切り替わる。「フェード」を選ぶと0.3秒かけて互いのシーンを重ね合わせながら切り替えていく。動画編集だとディゾルブなどとも呼ばれるトランジションだ。

 「シーントランジション」ドックの「+」をクリックすると、カットとフェード以外に、スワイプ、スライド、スティンガー、カラーにフェード、輝度ワイプといったトランジションも追加できる。好みに応じて選ぼう。

 別途プラグインを使うことで、このシーンに切り替える時だけはこのシーントランジションを使うといったことができる。これについては、回を改めて解説する。

 シーンの応用的な使い方として覚えておきたいのが、シーンもまた1つのソースとして使えるということだ。「ソース」で「+」を押すと「シーン」があり、これを選ぶと、すでに作成した別のシーンをソースとして表示できる。

シーンをまるごと別のシーンのソースとして追加できる

 シーンをソースとして使うことのメリットはいくつかある。たとえば、XやInstagramなど、自分の各種SNSのアカウント名を画像で作っておき、それぞれをソースとして配置/表示し、このソース群を複数のシーンで使っているとする。あとからその配置場所を変えたくなった場合、そのソース群を表示させているすべてのシーンで手作業で配置を変える必要がある。

 こういった時にこのソース群を1つのシーンとして作成しておき、必要な別シーンにソースとして表示させておけば、位置の修正をするのは元のシーンだけで済むのだ。

 これについては、複数のソースを「グループ化」することでも対応できる。グループ化については、グループ化したいソースを選択した状態で右クリックして「選択したアイテムをグループ化」を選ぶ。あるいは、「ソース」→「+」→「グループ化」を選ぶと「グループ」が作成されるので、グループに入れたいソースをそこにドラッグアンドドロップする。

複数のソースを1つのグループにできる

 あとは、そのグループを右クリックしてコピーし、ほかの表示させたいシーンのソースを右クリックして「貼りつけ(参照)」を選ぶ。参照貼りつけの場合は、1つのソースに対しての変更が常に同期されるので、内容を変更したい場合に、すべてのシーンで変更しなくても済む。

 以前のバージョンのOBSでは、グループに対してはホットキーが指定できないなどの制約があったのだが、今ではグループに対してもホットキー操作ができる。ただ、グループ自体の表示位置やサイズはシーンごとに独立しているため、こういった変更をした場合はグループだと作業が増えるので、シーンとして作っておいた方が便利だ。

 また、これはレアケースだが、ソースに対して直接適用できないが、シーンに対しては適用できるフィルタ(プラグイン)もある。こういう時は、そのソースだけを表示させたシーンを作り、フィルタをシーンに対して適用した上で、別のシーンに表示させる。

 このように、グループ化やソースとしてのシーンを活用すると、いろいろとレイアウトを作り込んだ場合でも変更がシーンをまたいで同期されるので楽になるのだが、逆にカメラ映像(映像キャプチャデバイス)については、1つのシーンでフィルタを適用すると、別のシーンでもそのフィルタが強制的に適用(同期)される。

 シーンによってカメラ映像にかけるフィルタを変更したい場合は、そういう機能を持ったプラグインが必要となる。これは回を改めて解説する。

ゲーム画面のキャプチャについて

 ゲーム画面のキャプチャについて、先に簡単に流したが、オススメの設定方法がある。

 ゲーム画面をOBSに表示するには、ソースの「+」を押して、「ゲームキャプチャ」を選ぶ。ソースの名称を指定でき、ひとまずは「ゲームキャプチャ」のままでもいい。「モード」として、「フルスクリーンアプリケーションをキャプチャ」、「特定のウィンドウをキャプチャ」、「ホットキーで全面のウィンドウをキャプチャ」の3つがある。

ゲームキャプチャのプロパティ

 常にゲームをフルスクリーンでプレイするなら「フルスクリーンアプリケーションをキャプチャ」でいいが、OBSを操作して、シーン変更したときに画面が一瞬消えてしまうなど、個人的にはちょっと扱いにくいと感じる。

 「特定のウィンドウをキャプチャ」を選ぶと、「ウィンドウ」という選択肢が追加される。ゲームを起動していれば「ウィンドウ」一覧にそのゲームがあるはずなので、選択しよう。「特定のウィンドウをキャプチャ」を選んだ場合でも、フルスクリーンのゲーム画面もキャプチャできるし、ボーダーレスウィンドウでフルスクリーンにしている場合でもキャプチャできる。細かい設定項目も多数あるが、基本的にモードとウィンドウの選択以外はデフォルトのままでいいだろう。

 ゲーム画面をキャプチャするもう1つの方法として、「画面キャプチャ」がある。これは、モニターに映っているものをそのまま表示させる手法だ。これはいくつかの理由でオススメしない。1つは、ゲームキャプチャと比べて性能が悪いこと。と言っても、Windows 11では、そこまで性能が低下するわけではないようだが、少なくともよくはならない。

 また、画面キャプチャでは、LINEやDiscordなどのメッセージングアプリなどの通知が表示された時も、そのまま配信に写ってしまい、身バレにつながる可能性もある。OSの画面自体を見せる事が目的の配信を除いて、「画面キャプチャ」を積極的に選ぶ理由はないだろう。

 一部の古いゲームでゲームキャプチャでキャプチャできないものもあるようだが、OBSを管理者権限で起動する事で改善される場合もある。そういうゲームを配信する時は、スタートメニューの「OBSアイコン」を右クリックして、「管理者として実行する」を選ぼう。

 ゲームによってはブラウザでプレイするものもある。この場合は、ゲームキャプチャではなく「ウィンドウキャプチャ」を指定し、「ウィンドウ」でキャプチャしたいウィンドウ(ブラウザ)を選ぶ。「キャプチャ方法」は自動になっている。これだとキャプチャできない場合もあるが、「Windows 10(1903以降)」にすれば行けるだろう。

ウィンドウキャプチャの方式には「BitBlt」と「Windows 10」がある。自動でうまく表示されない時は「Windows 10」を選ぼう