大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」
レッツノート、部材高騰も製品価格には転嫁せず。14型ノートが想定外に好調な理由とは?
2022年2月24日 06:20
パナソニックのレッツノートが、2022年1月以降、好調な売れ行きをみせている。とくに、レッツノート「FV1」シリーズは、2021年6月の発売以来、従来モデルに比べて5倍という売れ行きを見せており、パナソニックコネクティッドソリューションズ社 副社長 モバイルソリューションズ事業部長の坂元寛明氏は、想定以上の売れ行きに、「我々の中にも、レッツノートは、12型モバイルであるという枠を決めていた部分があった。だが、FV1シリーズによって14型以上の新たな領域でも、レッツノートが存在感を発揮できることがわかった。今後、大画面ニーズにも積極的に展開していきたい」と手応えを示す。
2025年度の年間100万台の出荷に向けた大きな成果を得たともいえ、その地盤づくりに拍車がかかる。その一方で、部材価格の高騰は、製品価格には反映しない姿勢も示した。坂元副社長にレッツノートおよびタフブックの事業戦略について話を聞いた。
需要は強いが部品不足によって前年割れに
パナソニックのレッツノートは、1996年6月、第1号製品となる「AL-N1」を発売し、今年度は25周年の節目を迎えている。
「2020年下期までは、コロナ禍の影響で実需が減少していたが、2021年に入り、需要が戻り、2021年上期は比較的順調に推移した。だが、2021年8月からは、部品の調達に遅れが生じ、10月には製品をお届けできない状況に陥った」という。
とくに、タフブックの市場供給が遅れたという。
「レッツノートの部品不足はほぼ解消しているが、タフブックが半導体まわりで影響を受けている。いまは8割程度まで回復しているものの、安全在庫を持てるところまでには至っていない。中国では突然のロックダウンが行なわれるといったこともあり、サプライチェーンへの影響は予断を許さない。半導体供給不足の影響は、2022年一杯続くと見ている。こうした状況を踏まえながら、お客様にご迷惑をかけないように、様々な工夫を凝らす1年がさらに続くことになる」とする。
2020年度のレッツノートおよびタフブックの全世界の出荷台数は約77万台だったが、2021年度の実績は、前年比5%減の約73万台になりそうだ。年度はじめには、82万台の計画だったが、これを大きく下回ることになる。最大要因は部品不足により、需要に応えられる製品を市場に供給できなかったことが最大の理由だ。
だが、国内PC市場全体では、2021年度は前年比約40%減という状況で推移しており、それに比べると落ち込みは少ないともいえる。2020年度は、GIGAスクール構想の特需があり、2021年度はその反動となっているのが理由だ。だか、その影響を受けなかったレッツノートは、もともと前年実績を上回る他社とは異なる計画を打ち出し、部品不足がなければ、計画通りに前年実績を上回る可能性もあったといえる。
FVシリーズが従来比5倍の売れ行き
そして、注目しておきたいのは、2022年1月以降、さらに盛り返す動きが出ているという点だ。
坂元副社長によると、2021年度第4四半期(2022年1月~3月)の見通しは、約24万台としており、前年同期比14%増という高い成長を見込んでいるのだ。国内PC市場全体では、第4四半期は60%減以上の落ち込みが見込まれていることに比べると対照的だ。
また、年間出荷見通しの73万台の見通しのうち、約3分の1がこの四半期に集中している点も見逃せない。「2022年度に向けて、この勢いは持続しそうだ」と坂元副社長は、その手応えに自信をみせる。
レッツノートが好調な理由は2つある。
1つは、2021年12月までに納入できなかった製品が、1月になって納入が進んだことだ。部品不足の課題は引き続き厳しいが、それでも部品調達の状況がわずかに回復したことで、これが1月以降の実績として上乗されているのだ。
そして、もう1つの理由は、レッツノートのFVシリーズが、2021年6月の発売以降、従来モデルのLVシリーズに比べて、5倍の売れ行きをみせており、その勢いが2022年1月以降も継続しているという点だ。
坂元副社長は、「FVシリーズは、自信作ではあったが、自分たちが、びっくりするぐらいに売れている」と笑いながら、「FVシリーズは、2022年3月まで、生産が間に合わない状態が続いている。これはコロナ禍での部品不足の影響ではなく、想定以上の需要によるものである」と語る。
FVシリーズは、13.3型ノートPCとほぼ同等の筐体サイズながら、縦横比が3:2の14型液晶ディスプレイを搭載。大画面化とコンパクト設計、999gの軽量化によって持ち運びしやすいことや、インテルGNAに対応したAIノイズ除去機能を搭載し、タイピング音や、外から聞こえる突然のサイレンといったノイズを低減。音響効果ソフト「Waves MaxxAudio」と、音圧の高いボックス型スピーカーを採用し、快適なウェブ会議環境を実現している。ニューノーマルで多様化する働き方をサポートすることを狙って開発したモバイルノートだ。
「日本では、オフィスとリモート環境の双方で仕事をすることをハイブリッドワークと捉えることが多いが、ハイブリッドには、異質の掛け合わせによって、新たな価値を作り出すという意味がある。どこにいても、1つの空間で働くことができるような環境の実現を目指すのがハイブリッドワークの本来の考え方であり、そこに向けて開発したのがFVシリーズである。レッツノートは、常に、お客様の声を聞き、お客様の使用シーンを思い浮かべて設計している。どこにいても1つの環境で仕事ができるハイブリッドワークに最適な画面サイズ、音質、重量などを実現したのがFVシリーズである」とする。
FVシリーズの特徴の1つが、3:2の画角である。16:9や16:10のディスプレイに比べて、縦方向が長く、その分、表示領域が広い。アプリ使用時のタスクバーの表示やWeb閲覧などでも効果的であり、Excelなどの利用でも多くの情報を表示でき、ビジネス用途での利用時の評価が高いという。
そして、このコンセプトは、遠隔授業が必須となっている大学生が利用するPCとしても評価が高まっており、「ここにきて、大学からの引き合いが増えている」という。
14型以上の市場に本格参入か?
レッツノートは、12型液晶ディスプレイを搭載したモバイルノートで成功を収めてきた歴史がある。
現在も12.1型液晶ディスプレイを搭載したSVシリーズ、12.0型液晶ディスプレイを搭載した2in1ノートPCのQVシリーズを主力製品としてラインアップしている。
その一方で、これまでにも14型液晶ディスプレイ搭載モデルとして、LXシリーズやLVシリーズを開発してきた経緯があったが、12型クラスがレッツノートの主役であったのに対して、脇役の印象は否めなかった。
「自分たちでも、レッツノートは12型であるという枠のなかに決めつけていた部分があった。だが、FVシリーズの反響の大きさにより、14型という領域でも、レッツノートが存在感を発揮できることがわかった。この背景には、様々な技術の進化が見逃せない。狭額縁によってコンパクト化でき、1kgを切ることができるようになった。レッツノートの強みを提案できる新たな市場が増えたともいえる。14型ノートPC市場は、12型ノートPC市場に比べて、競合が激しいが、そこにレッツノートがいよいよ本格参入できる手応えを掴んだ」とする。
レッツノートは、「新幹線シェアが高い」と言われるように、出張が多いビジネスマンなどに重宝されてきた。レッツノートを採用している報道機関が多いのも、壊れにくく、どこででも原稿を書くことができるPCとして評価されている点が挙げられる。
これは、レッツノートが、「軽量」、「長時間」、「頑丈(タフ)」、「高性能」という要素を高い次元でバランスしており、モバイルノートに最適な要件を持った製品を生み出していることが理由となっている。
だが、コロナ禍では、モバイルノートといった市場に加えて、新たにハイブリッドワークという要素が加わり、その市場に向けては主力のSVシリーズだけではカバーしきれない部分が出てきた。それをカバーする形で市場投入したのが、FVシリーズである。技術進化をうまく活用しながら、ハイブリッドワーク向けPCという領域に、新たな布石を打つきっかけとなった製品ともいえる。
そして、この進化はこれからも続きそうだ。
坂元副社長は、「たとえば、今後は、15型や16型といったさらなる大画面ニーズにも積極的に展開していきたいと考えている。さらに、タフブックで定評がある太陽光下でも見やすい高輝度、低反射の液晶ディスプレイを、レッツノートに搭載することも視野に入れている。屋外の現場というハイブリッドワーク環境にも対応できるようになる」と語る。
ハイブリッドワークという新たな市場の形成と、パネルの重量の軽減などの技術進化によって、これまでのレッツノートには搭載できなかった液晶ディスプレイの搭載も可能になり、レッツノートが目指すハイブリッドワークの実現をさらに進化させることになる。
これは、レッツノートが戦える市場が増えたことと同義語だといえるだろう。レッツノートにとって、もう1つの事業の柱が生まれるのかが注目される。
ちなみに、今後、パナソニックグループ社内で利用するPCも、Windows 11を搭載したFVシリーズを積極的に導入していくことになるという。
ソフトウェアを品質向上に活かす
一方、利用シーンが多岐に渡ることで、ハードウェアの堅牢性や使い勝手の向上もさらに進化が求められている。
坂元副社長は、「ここ数年は、原点回帰の姿勢で、ハードウェアをしっかり磨き、尖ったモノづくりに力を入れてきた」という。
もちろん、「しごとコンパス」や「TRUST WIPE」、「Panasonic PC快適NAVI」といったソフトウェアによる製品強化にも余念がない。だが、ソフトウェアの強化においても、ハードウェアの品質強化といった観点から活用することにも注力してきたという。
たとえば、レッツノートでは、ユーザーの承認を得たうえで、バッテリやSSDの状況などをデータとして収集し、それらを解析している。
実は、先ごろ、使用開始から1年を経過していないのに、バッテリが極度に消費してしまうという状況が発生したという。その際に、従来であれば、実機を入手し、そこから解析をはじめるため、原因特定に時間がかかり、対応までに2カ月を要する場合もあったという。
だが、新たな仕組みを利用することで、ログをもとにして解析でき、原因の特定を短期間で行なえるようになり、解析からファームウェアによるアップデートでの解決までわずか1週間で済んだという。
「品質を高めることや、不具合が発生した場合にも影響を極小化することが大切であり、それが顧客価値の向上につなげる。これは、国内で開発、生産、サポートのすべてやっていることからこそ可能なことである」と語る。
国内外で旺盛なタフブックの需要
一方で、タフブックの動きはどうだろうか。
現在、タフブックの最大の課題は、部品不足が大きく影響し、予定通りの生産数量に達していないことである。坂元副社長は、「平均して毎日1社のサプライヤーとは部品調達に関してミーティングを行なっている状況」と、国内外の調達先との調整を追われていることを明かす。
「タフブックのデマンドは順調。米国では引き続き、警察をはじめとした公共分野への導入が好調である。また、欧州では、エンタープライズ向け中心の戦略から転換し、米国での成功事例をもとに、警察車両や救急車、消防車に搭載するデバイスとしての提案を加速しており、これが成果につながっている。米国で実績を持つ社員を欧州担当として異動させ、そのノウハウをもとに、ドイツや英国、フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクに展開し、グローバルでのアプローチが標準化されている」とする。
また、日本においても、警察や物流業界での大型導入案件を獲得しているという。
パナソニック コネクティッドソリューションズ社が掲げる「現場プロセスイノベーション」の実現するためのデバイスとして、特定市場における存在感を高めているというわけだ。
「タフブックは、欧米でのDXの浸透にあわせて、現場での活用ニーズが増加している。様々な需要が生まれており、それを確実に取り込んでいきたい」とする。
坂元副社長が担当するモバイルソリューションズ事業部では、小売店などに設置する決済端末も事業領域となっている。だが、ここでは、小売店や飲食店への設置予定が延期されるといった動きが顕著に見られているという。パナソニックでは、三井住友カードの新決済プラットフォーム「stera(ステラ)」に対応したオールインワン型多機能決済端末などの戦略製品を投入しているが、コロナ禍における飲食店の営業停止や新規開店数の減少、閉店の増加が影響し、2021年度は厳しい状況にあるという。
「決済端末は、商談の遅れがあるが、それがようやく動き始める時期に入ってきた。ここでも、ビジネスをしっかりとやっていく」と語る。
Blue Yonderを活用して神戸工場を強靭化
もう1つ、パナソニックのPC事業において見逃せない取り組みが、レッツノートの全量を生産している神戸工場におけるモノづくり変革への取り組みだ。
2017年度に比べて、すでに10%の部品在庫削減を達成するなど、成果は様々な形で生まれており、坂元副社長は、「どこも真似ができないモノづくりに挑んでいる。標準化、簡素化、自動化をさらに進めることで、より速く、より強い神戸工場を目指している」と語る。
それらの取り組みの1つが、SKUの絞り込みだ。
これまで様々なカスタマイズが可能であることがレッツノートやタフブックの特徴であったが、市場環境の変化にあわせて、SKUの見直しに着手。すでに、約5年前に比べて5分の1にまで縮小している。
「SKUを減らすことで、部品の種類を絞り込むことができ、調達面でのメリットも生まれる。部品在庫の改善だけでなく、生産やデリバリも改善でき、即納できる製品が増え、お客様も購入しやすくなる」と、その狙いを示す。
SKUが拡大する要因となっていたのはタフブックだ。実際、今回のSKUの見直しの約9割はタフブックが占めている。世界各国で展開するため、それぞれの国のニーズに対応した仕様やカスタマイズが発生していたことで、必然的にSKUが増加していたことがSKU拡大の背景にあった。
さらに、坂元副社長は、「5分の1にまで縮小したSKUを、さらに半分にしていくことになる」と語り、この取り組みは、むしろこれからが本番となりそうだ。
SKUの絞り込みを行なっているのには、もう1つ理由がある。
それは、パナソニックが買収したサプライチェーンソフトウェアの「Blue Yonder」を、自ら神戸工場に導入し、S&OP(Sales and Operations Planning)を進化させようとしているからだ。
「Blue YonderによるS&OPで成果をあげようとすると、まずは品番(SKU)を絞らないといけない。Blue Yonderによって、リーンオペレーションを行なうことができ、設計強化や在庫削減、デリバリの短縮化につなげることができる」とする。
約5年間で部品在庫を10%削減してきた神戸工場だが、Blue Yonderの活用によって、さらに10%の在庫削減を目指すという。
「単なる在庫の削減だけでなく、在庫の中身を変えることができる。たとえば、SKUを減らすことで、納期を優先し多めに発注していた部品や、MOQ(最小消費発注数量)の関係で増加していた部品在庫の改善も可能になり、廃棄ロスも減少するだろう。不要な部品を減らし、安全在庫につながる部品を増やすといったことに取り組みたい」とする。
パナソニックは、在庫管理には厳しい企業だ。
そのパナソニックが、コロナ禍の影響を受けて、グループ全体で在庫の方針を見直し、キーコンポーネントに関しては、2カ月分の在庫を保持できるようになった。コロナ禍では、ロックダウンによって主要部品の生産が止まり、それが入手できずに製品が作れないという状況があちこちで生まれた。2カ月間の在庫を持つことで、その間に代替品や設計変更などの対策や、工場の再稼働を待つことができ、影響を最小限に抑えることができるというわけだ。こうした際にもSKUの削減をもとにした在庫部品点数の縮小は大きな効果を生む。
さらに、神戸工場では、同じくパナソニックが買収したゼテスを活用した物流、在庫管理の刷新や、生産ラインの作業効率化などで先行するパナソニック佐賀工場のノウハウを、2022年度中にも取り込むといった活動を行なっており、さらなる業務効率化につなげる考えだ。
「Blue Yonderの導入によって、直接的成果が生まれる前に、まずは従業員のマインドが変わり、それらの取り組みによって在庫が減るという効果が生まれている。2022年秋には、Blue Yonderによる具体的な成果を、実力値として示すことができる」と自信をみせる。
もともと神戸工場は、レッツノートやタフブックの一括導入を検討している企業や主要販売店関係者、学生などを対象に公開し、モノづくり品質の高さや、信頼性などを理解してもらい、安心感を与え、購入決断につながる場に活用してきた。社内では「注文書が取れる神戸工場」という呼び名もある。
その役割を継続しながら、さらに、Blue Yonderのショーケースとしても活用していく考えも示す。Blue Yonderが中長期で目指しているオートノマスサプライチェーン(自律したサプライチェーン)の実現に向けた実験場としての役割も加わることになる。
レッツノートへの価格転嫁は行なわない
気になるのは、部材価格の高騰による製品価格への転嫁だ。
パナソニックでは、電子部品、制御デバイスなどを扱うインダストリー社においては、すでに2021年度上期から価格改定に取り組んでおり、その結果、第4四半期には、部材価格高騰の影響はほぼなくなるとしている。また、中国市場向けなどの海外家電製品もすでに価格を上昇させており、2022年4月以降は、国内家電に関しても、部材価格高騰の影響を、商品価格に転嫁していく考えを明らかにしている。
パナソニック 取締役専務執行役員兼グループCFOの梅田博和氏は、「銅や鉄が高止まりしている。年間では1,000億円規模の影響があると見込んでいたが、想定より影響が大きく、年間では1,300億円の影響があるとみている」と、部材価格高騰の影響は悪化していることを示す。
当然のことながら、レッツノートやタフブックへの価格転嫁の動きも見込まれるが、坂元副社長は、「他社のPCでも価格転嫁の動きが出はじめているが、現時点では、レッツノートやタフブックでの価格見直しは考えていない。できるだけ吸収していきたいと考えている。仮に、部品不足の影響が拡大し、一般流通市場からの部品調達が増えれば、調達価格への影響が大きくなり、価格転嫁を考えざるを得ないことになるが、まだそこには至らないと考えている」とする。
神戸工場の改革を軸にしたSKUの縮小や調達部品数の削減、在庫削減などの効果が、部品価格の上昇という課題に対しても、プラス効果を及ぼしているといえそうだ。
事業会社化への影響は?
パナソニックは、2022年4月に、持ち株会社制へと移行し、パナソニック コネクティッドソリューションズ社は、パナソニック コネクト株式会社となる。
「事業会社となり、事業領域が明確化し、よりフォーカスした経営が可能になる。Blue Yonderを核に、ハードウェアで収益を得ることができる事業体も集まった事業会社に生まれ変わる。PC事業にとってもいい形になるだろう」と語る。
パナソニックコネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長は、「パナソニックコネクトの設立により、『大リーグボール養成ギプス』を脱ぐ時期が来た。しっかりと筋肉がついている状態にあり、むしろ、これからが本番」と、ユニークな表現を用いるが、これを受けて、坂元副社長も、「剛速球だけでなく、いろいろな変化球(消える魔球)を交えながら、ワクワクするような商材を生み出したい」と語る。
2022年度も成長戦略を推進
2022年4月からスタートするパナソニックコネクトにおいて、PC事業はどうなのだろうか。
坂元副社長によると、2022月1月からの好調な勢いを維持し、2022年度は前年度実績を上回る計画を策定することになりそうだ。
「国内PC市場全体では、2022年度が最も厳しい1年になると予測されている。だが、パナソニック コネクトのPC事業は、2022年度は成長路線に転じる。5~10%上回る計画を立てる考えだ」とする。
懸念材料としては、2022年いっぱいは続くと見られる部品不足や、巣ごもり需要の一巡などがあるが、坂元副社長は、「ハイブリッドワークに関する需要が旺盛であり、現時点でのレッツノートやタフブックのパイプラインが強く、それが継続すると見込まれること、レッツノートでは、14型以上の新たな市場で戦える環境が整いはじめ、これまでのラインアップに+αの提案ができること、SKUの縮小をはじめとしたサプライチェーンへの対応を図っていることなどの要素がある。ハイブリッドワークのキーワードが広がることで、それにあわせてレッツノートの需要も拡大するだろう」と自信をみせる。
モバイルソリューションズ事業部のミッションは、「モバイルワーカーが活き活きと働く社会の実現」だ。
「市場調査の結果にみると、どこでも働けるようになってきた実態はあるが、それに最適なデバイスがないため、心がワクワクしていないという人が多い。ワクワクしながら働ける環境づくりを支援したい。そこにレッツノートが貢献したい」とする。
パナソニックでは、2025年度には年間100万台の出荷を目指す計画を明らかにしている。2025年度は、Windows 10のサポート終了による買い替え需要が見込まれる年だ。2022年度は、年間100万台に向けた助走の1年として、また、地盤づくりの1年として、重要な年となるだろう。
そして、14型液晶ディスプレイを搭載したFVシリーズで得たハイブリッドワークという新たな市場に向けた手応えを、レッツノートの次のステップにつなげることができるかも鍵になる。