大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」

25周年を迎えるマウスコンピューター。小松社長が語る品質とスピードの両立、ユーザーを見ることの大切さ

マウスコンピューター社長の小松永門氏

 2018年、マウスコンピューターは創業25周年を迎えた。1993年に創業した同社は、日本におけるBTO PCメーカーの先駆け的存在だ。

 高品質の製品を、より多くのユーザーに利用してもらうため、少ロットへの対応や、熟練のスタッフによって組み上げる国内生産体制を確立。さらに、各種試験を通じた徹底した品質管理や、24時間365日の電話サポート対応などを実現。今では、品質に対して、強いこだわりを持ったPCメーカーとして認知されている。

 そのマウスコンピューターが25周年を機に、「MOUSE QUALITY」、「MOUSE SPEED」、そして、「より身近な存在へ」という新たなメッセージを掲げている。これらのメッセージに込めた狙いはなにか。マウスコンピューターの小松永門社長に、新たなメッセージに込めた想いと、これまでの25年間と、これからの25年について聞いた。


――マウスコンピューターが創業25周年を迎えました。小松社長は、どのような気持ちでこの1年を迎えていますか。

小松(敬称略、以下同) 振り返ってみると、長いようで、短かったという印象ですね。社名のマウスコンピューターは、周辺機器のマウスからとったものであり、「マウスと同じように、人とPCの橋渡しを行ない、つねにお客様の視点から、より快適なPC環境作りに役立っていける存在でありたい」という意味を込めています。

 そこで掲げた役割については、少しは社会に貢献ができたのではないでしょうか。だからこそ、25年間存在できたと言えます。ただ、これは私たちが追求し続ける永遠の課題と言えるのではないでしょうか。

 25年間を振り返ると、いくつかのPCメーカーが撤退したり、一方で業界再編のなかで、外資系PCメーカーが躍進したりといったように市場環境は大きく変化してきました。そのなかで、マウスコンピューターが成長を遂げてこられたのは、お客様に支えられてきたことが一番大きかったと言えます。

 そして、マウスコンピューターの製品を使っているお客様に喜んでいただいていることが、私たちの励みになったり、やる気につながったりしています。この好循環が、次の成長の原動力になっています。

――マウスコンピューターが25年間にわたって成長できた要因はなんでしょうか。

小松 ひとことで言えば、お客様に、きちんと向き合ってきたことだと思います。お客様に買ってよかったと思ってもらえる製品づくりを行ない、購入していただいたお客様をしっかりサポートする。ここに注力してきました。

 また、私たちがビジネスをはじめたときは、BTO PCは一部の人のものというイメージが強かったのですが、これを多くの人に広げる努力をし、それによって、お客様の要求に細かく対応できる体制を整えたことが、他社との差異化につながりました。

 BTO(Build To Order = 受注生産)の仕組みによって、小回りを利かせたスピード感を持った製品提供を実現し、さらに、長野県飯山市に自社工場を持つことで、納期を短縮でき、同時に、品質に徹底的にこだわる文化を社内に醸成できた点は、マウスコンピューターのポジションを明確にすることにつながりました。

 また、BTOは、完成品在庫を持たないビジネスモデルになりますから、これによって、健全な経営体質を確立できたことも大きかったと言えます。

 もともと、マウスコンピューターの創業時である25年前のPCは、価格が高くて、購入しにくいものでした。私も学生時代には、アルバイトをして、PCを買いたいと思いましたが、1カ月では買えない値段でした。PC本体が20万円、ディスプレイが10万円、HDDが10万円、プリンタが10万円。合計で50万円というのが相場でしたね。

 しかし、DOS/V PCの登場以降、じょじょに価格が下がりはじめました。ただ、それでも手が届きにくい状況は変わらない。手が届きにくいPCを、身近なところで購入できる価格で提供できないかと考えて事業をスタートしています。今も、手が届きやすいPCを提供するという姿勢は継続しています。

――これまでの25年間の歴史のなかで、どんな節目がありましたか。

小松 創業者である髙島勇二が、PCのアセンブリメーカーとしてスタートしたマウスコンピューターにとって、最初の画期的な製品と言えるのは、1999年に発売した300ドルPC「Easy-300」ですね。価格の観点から、PCを身近な存在にすることができたと言えます。これによって、創業時に目指した目標の1つが達成できました。

 ただ、まだ家庭に1台の時代でしたし、誰もが、もっと身近にPCを使ってもらうという、髙島が目指した大きな目標においては、あくまでも一歩目にすぎませんでした。しかし、この成果をきっかけに、生産体制を拡充したり、量販店ルートでの販売を開始したりといった事業の拡大に踏み出し、そこで培った仕組みが、現在のベースになっています。

 一方で、ゲーミングPCブランドの「G-Tune」や、法人向けPCの「MousePro」、クリエイター向けPCの「DAIV」といった製品群を立ち上げたことも大きな節目です。個人的には、2003年に発売した「LUV MACHINES」が印象深いですね。低価格PCのラインナップを一新し、洗練されたデザインが高い評価を受けました。

 そのほかにも、キューブ型PC「Easy-CUBE51」やスティック型PC「m-Stick」といったユニークな製品でも先行することができました。新たなことにも率先して取り組んできたのがマウスコンピューターの歴史だと言えます。

Easy-CUBE51
m-Stick

 さらに、もともと24時間365日体制だったコールセンターを、2010年には、コールセンター専門企業に委託した体制から、自社運営へと移行したこと、2008年にiiyamaを吸収合併し、ファブレスから自社生産体制に移行したことも、マウスコンピューターの発展にとって大きな節目だったと言えます。こうした取り組みによって、信頼性の高い製品や、より充実したサポートを提供できるようになりました。

 経営の観点から見れば、「品質」や「サービス」を最優先にする企業に転換するとしたことは、大きな決断だったと言えます。

 アフターサポートの強化は、まずはコスト増となりますから、短期的には事業へのインパクトが大きく、社員も、品質やサービスを徹底することに対しては、どうしても不安が先行したようですね。社員から「本当にいいんですね」と言われて、「いいよ」というまでに、私も何度も葛藤しましたよ(笑)。

 しかし、サポートの事業責任者はそれを実現するために本気になって取り組んでくれましたし、ほかの部門の社員も、サポートに負担がかからないように営業現場で徹底的に説明をしてくれたりといったことを含めて、全社員が「品質」、「サービス」の向上に向けて努力をしてくれました。

――小松社長が、「品質」にこだわり続けた理由はなんですか。

小松 お客様と継続的なつながりを持つためには、品質はもっとも重要な要素だと、ずっと考えていました。

 私は、2005年にマウスコンピューターに入社したのですが、それ以前にはインテル株式会社に在籍しており、そのときには、日本のPCメーカー各社の品質担当の方々に、ずいぶんしごかれました(笑)。そのときの経験が大きいですね。

 品質管理の方々が、私に、なぜその質問をしてくるのかといったことを突き詰めていくと、それが製品の品質向上に大きく影響するものだとわかるんです。

 また、当時は、米本社から必要なデータをもらうためには、なぜそのPCメーカーが、そのデータが必要なのかということを示さなくてはなりませんから、そこでも自分のお客様の意図やこだわりについて勉強しました。「ここをきちんと見ていけば、品質はこう上がっていくんだ」ということを目の当たりに体験しました。そうした経験が、品質にこだわるマウスコンピューターを形成する基盤になっています。

 そして、品質にこだわる姿勢は、不都合なことを隠さない、正直になるという社内文化の醸成にもつながっています。

 2011年に、IntelのSandy Bridgeに不具合が発生したときに、Intelはリコールを発表したのですが、当時は、Sandy Bridgeを使っているユーザーもたくさんおり、それがほしいというユーザーも少なくありませんでした。そこで、リコール対象製品ではありましたが、体制が整い次第、すぐにマザーボードを無償交換することを前提にして、Sandy Bridgeを搭載したPCを継続的に販売しました。きちんと説明をして、納得をしていただき、市場のニーズと環境変化に対応していくことができました。

――25年目を迎えたマウスコンピューターは、今後、どんな方向にむかっていくのでしょうか。

小松 25周年を機に、いくつかのメッセージを発信しました。ここに、マウスコンピューターが目指す方向性が盛り込まれています。1つ目は、「MOUSE QUALITY」です。マウスコンピューターの25年の歴史は、品質を追求する歴史であったとも言えますが、それらの取り組みを整理し、5つの品質としてまとめ、「MOUSE QUALITY」として打ち出しました。

――「MOUSE QUALITY」を構成する5つの品質とはなんですか。

小松 「MOUSE QUALITY」は、マウスコンピューターがどういう思いを持って、PC事業をやっていくのかということを、製品、サービスの観点から示したものです。

 「MOUSE QUALITY」を構成する1つ目の品質は、最新技術の搭載と使いやすさを追求し、ひとりひとりのニーズに最適なPCをBTOで確実に叶えることができる「テクノロジクオリティー」です。PC業界は新たな技術が次々と出てきます。これをいち早く製品のかたちとして、お客様にお届けするために、ODMとの緊密な協業関係を築き、同時に、使いやすさについても妥協しない開発体制を構築しています。

 2つ目が、高い品質を実現するため、国内生産で1台1台を熟練した人の目と手で作り上げる「ファクトリークオリティー」です。飯山工場による国内生産を実現するとともに、日々の品質改善活動の繰り返しによって、生産の観点からも、製品品質を高めています。

 3つ目は、お客様のご質問に、いつでも的確に応えることができる24時間365日サポートによる「サービスクオリティー」。ここでは、自社運営のコールセンターを設置し、高い知識を持ったオペレータによる対応を実現しています。

 コールセンターに問い合わせをする多くの場合、利用している現場で問題が発生している状況にあります。だからこそ、その問い合わせに対して、いつでもつながる体制の確立と、確実に問題を解決する解決率にこだわっています。

 4つ目が、万が一、故障してしまった場合にも、96時間以内に修理を行ない、迅速に対応する「リペアクオリティー」です。修理工場では、症状を確実に再現し、それが再発しないように修理を行なっています。

 そして、5つ目が、お客様のニーズを汲み取り、最適な商品を的確に提案する「セールスクオリティー」です。BTOによって、ユーザーの要望に沿った最適な製品を提供することだけにとどまらず、お客様に対して、Webサイトや量販店、ダイレクトショップなどを通じて、正しい情報をお伝えすることが大切だと思っています。

 要望をしっかり聞いた上で、おすすめした製品が、仮に実物を見ていなくても、どんな製品であるのかを理解していただき、手元に届いたときには、それが期待どおりの製品であったという環境まで作りたいと思っています。

――これまでにも「日本品質」という言葉を使ったり、「飯山TRUST」という言葉を使って、品質や信頼性を訴求したりしてきましたが、「MOUSE QUALITY」との違いはどうなりますか。

小松 「日本品質」という言葉は、「MOUSE QUALITY」で再定義したと言えます。その一方で「飯山TRUST」は、テクノロジクオリティーとファクトリークオリティーの2つの要素によって実現するものであり、「MOUSE QUALITY」を構成する要素となります。「飯山TRUST」は、日本で開発し、日本で生産している私たちの姿勢を示すものとして、今後も、継続的に発信するメッセージになります。

MousePro C100シリーズ

――2つ目のメッセージはなんですか。

小松 「MOUSE SPEED」です。お客様に満足していただくために大切な要素は、「品質」と「スピード」の両立だと思っています。いくら品質がいい製品でも注文してから、1週間、2週間待たされる製品だとしたら、選択してもらえないのではないでしょうか。

 とくに、PCのような製品であれば、2週間も待つことはできない場合が多いはずです。このようにスピードが伴ってこそ、品質が認められるのです。

 ここでは、「MOUSE QUALITY」で挙げた5つのポイントに沿って、「テクノロジスピード」、「ファクトリースピード」、「サービススピード」、「リペアスピード」、「セールススピード」を掲げました。

 PCユーザーは、最新技術に対して高い関心を寄せていますから、新たな技術が発表されたさいに、それをいち早く搭載し、製品として提供するのが「テクノロジスピード」です。

WN803

 また、短期間に生産し、それをユーザーに届ける「ファクトリースピード」、24時間365日いつでも、すぐにつながり、応答時間も短く解決できる「サービススピード」、96時間以内に修理を完了させることができる「リペアスピード」、法人からの見積もり依頼に対しては、60分以内に回答するなどの、お客様と営業間のやり取りを迅速に行なう「セールススピード」に取り組んでいます。

 とくに、「リペアスピード」では、実績ベースで平均81時間にまで短縮していますし、さらなる短縮化を目指しています。製品を長くお使いいただくための情報をいち早く提供したり、必要なアップデートをお願いするように情報を提供したりといったことも、「MOUSE SPEED」の取り組みになります。また、社内では、24時間ルールを掲げていて、メールなど、なにかしらの問い合わせ・連絡が来たことに対し、相手へ24時間以内になんらかのレスポンスをすることを目標にしています。これによって、会社全体のスピードを高めていきたいですね。

 そして、今回は、さらにもう1つ、新たなメッセージを発信しています。

――それはなんですか。

小松 3つ目が「より身近な存在へ」というメッセージです。

 これは、マウスコンピューターが社名に込めた思いを反映する一方で、それをもう一歩進めて、私たちのことをもっと知ってほしいという想いも込めています。TV CMやWebを通じたプロモーション、各種イベントへの出展などにより、マウスコンピューターという名前や、どんな姿勢でPC事業に取り組んでいるのか、どんな製品を出しているのかということを知ってもらう活動にも力を注いでいます。

 「日本には、マウスコンピューターという国産PCメーカーがある」と知ってもらい、「PCを購入するのであれば、マウスコンピューターのPCを検討したい」というユーザーが増えることを目指します。

 2016年に、ブランドを「mousecomputer」から、「mouse」に変更しました。これも、もともと愛称として使われていた「マウス」をブランド名とすることで、より多くの方々に認知してもらいたいという狙いから行なったものです。

 これらの一連の活動を通じて、ブランド認知度は高まっています。2016年1月にTV CMをスタートし、その後、乃木坂46をTV CMに起用しましたが、それ以前に比べると、ブランド認知度は約2倍にまで高まっています。ただ、母数が小さかったですから(笑)、まだまだ認知度を高めていく必要があります。

 以前は、「知る人ぞ知るPCメーカー」だったわけですが(笑)、今は「PCに興味を持っている人にとっては聞いたことがあるPCメーカー」というレベルには認知度が上がってきたのではないでしょうか。一般コンシューマユーザーに対する認知度が高まる一方で、法人向けPC市場においても認知度が高まってきました。

 2011年に法人向けPCブランドの「MousePro」を立ち上げ、法人市場に特化した製品を投入してきましたが、ここ数年、法人向けにもしっかりとしたPCを投入しているメーカーであるという理解が深まってきました。

 また、現在、ゲーミングPCの「G-Tune」、クリエイターPCの「DAIV」といった製品もありますが、こうしたマウスコンピューターが得意とする専門領域における認知度向上にもさらに取り組んでいきます。日本の大手PCメーカーに比べるとまだまだですから、認知度を高める活動は積極的に行なっていきたいですね。

G-Tune(左)とDAIV

 当社に勤務する社員が、友人と話をしたときに、「その会社のこと知っているよ」というように言われるようになったり、より多くの人が、マウスコンピューターはPCメーカーであることを知り、PC購入のさいに選択肢の1つに挙げてくれたりするようになったら、「より身近な存在」と言える最初の一歩に到達したと言えるのではないでしょうか。

――今回の3つのメッセージに共通しているのは、社内改革のためのメッセージではなく、ユーザーに対するメッセージとなっている点ですね。

小松 お客様に対して、私たちの姿勢や決意を示したものになります。私たちの製品を購入していただいたからには、これだけのものを提供しますということを、お客様にコミットします。そしてこれは、私たちが信頼される企業になるための最低限のコミットだと考えています。

 多くの人たちがさまざまな発信手段を持つ時代が訪れるなかで、今、企業にとって大切なのは、いいところも、悪いところも含めて、どれだけオープンに情報を開示していくのかということではないでしょうか。

 つねにオープンな姿勢でコミュニケーションをすることが、お客様に対して、真摯に向き合うことにつながると思っています。今回、発表した「MOUSE QUALITY」などは、私たちのビジネスに対する姿勢をきちっと示すことで、マウスコンピューターを理解してもらいたいという想いがあります。

 また、これまでは、当社からメッセージを発信する「一方通行」のような状況が強かったかもしれません。お客様との「双方向」でのコミュニケーションを、さらに重視していきたいと考えています。マウスコンピューターのこれまでの成長を支えてきたのは、お客様の声です。

 お客様の声が開発部門や品質管理部門に入ってこなければ、ニーズに沿った製品を作り続けることができません。お客様が、製品のページに製品レビューを書き込めるようにしたり、コールセンターにいただいたお叱りの声をもとに、製品品質やサービス品質の向上につなげています。私も、お客様からいただいた声をなるべく多く聞くようにしています。

 このようにマウスコンピューターとお客様が双方向につながるという姿勢も、「MOUSE QUALITY」や「MOUSE SPEED」のなかに盛り込んでいます。

 そして、これらの3つのメッセージは、マウスコンピューターがこれまで取り組んできた姿勢をまとめたものと言うこともできます。

 「MOUSE QUALITY」や「MOUSE SPEED」は、お客様に満足を得てもらうためにずっと続けてきたものや、社内でも最優先事項に位置づけて取り組んできたものを再整理しました。

 コールセンターや国内生産体制を自前で持ち、品質やスピードを自ら担保していくこと、それに向けて、現場の責任者や社員ががんばってくれたからこそ、「MOUSE QUALITY」や「MOUSE SPEED」という言葉を使えるようになったと言えます。

 品質がなければ信頼は生まれません。1993年にPC事業をスタートして以来、マウスの歴史は品質を追求する歴史でした。これを25周年という節目に、改めて整理し直したわけです。

――しかし、ちょっと項目が多すぎませんか(笑)

小松 「MOUSE QUALITY」も、本当は3つくらいにまとめようと思ったのですが(笑)、考えているうちに、やはりこれも入れたいということになりました(笑)。

 テクノロジとファクトリーという製品づくりの根幹の部分だけでなく、サービスも、マウスコンピューターにとっては重要なポイントです。しかし、そうなるとセールスはどうなのかということになる。セールスクオリティーは、お客様との直接コミュニケーションを行なう役割をにないますので、欠かすことはできません。

 いろいろと試行錯誤した結果、これまで掲げてきた「日本品質」も5つのポイントとしていますので、では、「MOUSE QUALITY」も5つのポイントを挙げようということになりました。そして、それに伴って、「MOUSE SPEED」も5つのポイントを挙げました。

――「MOUSE QUALITY」や「MOUSE SPEED」で目指したものが達成されたときに、マウスコンピューターはどんな企業になっていますか。

小松 すごい企業になっているのではないでしょうか(笑)。ここで目標にしたものを、高い水準で実現できたときには、本当の意味で、みなさんにご愛顧いただけるPCメーカーになっていると思います。
ただ、この目標にはゴールはないと思います。仮に、今目標にしていた水準に到達したときには、その次の水準の目標が出てくることになるでしょう。

 たとえば「ファクトリースピード」は、短い納期でお客様に製品をお届けすることを掲げていますが、これはとても高いハードルですから、いつまでに実現するということは言えません。

 これを実現するには、単に生産する人員を増やせばいいのではなく、BTOで対応しても、すぐに作ることができるだけの部品の在庫を、効率的に確保する体制が必要ですし、品質管理もその水準にあわせたものが必要になります。

 そうした高い目標に向けて、あらゆるものを改善し続け、努力していく必要があります。そうした一歩一歩の積み重ねが、究極の目標の実現につながることになります。

――ちなみに、25年後のマウスコンピューターの姿はどうなっているのでしょうか。

小松 私は、25年後も、PCはなくならないと思っています。ですから、マウスコンピューターにとっても、PC事業が柱のはずです。ただ、25年後には、PCのかたちが今とは大きく変わっているでしょうね。VRやARなども進化し、さまざまな新たなテクノロジも登場することになるでしょう。こうした新たな技術は、生活を豊かにする領域で貢献すると予測しています。

 そうした変化のなかにおいても、マウスコンピューターという会社は、「動きが速い会社だね」とか、「やることも、品質もしっかりしている会社だよね」、「いつも新しいことに挑戦する会社だね」と言われるような会社になりたいですね。つまり、「品質」と「スピード」を研ぎ澄ました会社になりたいと思っています。

――最後に、25周年の節目を迎えたマウスコンピューターの小松社長から、PC Watchの読者にひとことお願いします。

小松 私たちは、お客様の期待に応えられる製品を出し続け、使っていただいたお客様からは、期待を超える製品だと言ってもらえるものを出し続けたいと考えています。そのためには、製品そのものだけでなく、サービス/サポートもしっかりと強化していきます。これからのマウスコンピューターに期待してください。