山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

Amazon.co.jp「Kindle Oasis(第10世代)」

~フロントライトの色調調整に対応、ページめくりボタン搭載の最上位モデル

Kindle Oasis(第10世代)。海外ではシャンパンゴールドもラインナップされているが、国内はこのカラー(グラファイト)のみ

 「Kindle Oasis(第10世代)」は、Amazon.co.jpが販売するE Ink電子ペーパー搭載の電子書籍端末「Kindle」シリーズの最上位にあたる7型モデルだ。ディスプレイ部が薄く、画面横にページめくりボタンを搭載した形状をそのまま踏襲しつつ、フロントライトの色調調整に対応したことが特徴だ。

 従来の第9世代モデルは、Kindleシリーズ初となる防水機能を搭載したモデルとして登場したが、それから約1年9カ月、いまやミドルエンドのKindle Paperwhiteまで、防水機能を搭載している。またフロントライト機能にいたっては、ローエンドのKindleにまで搭載されるなど、かつては上位モデルのみだった機能が、下位のモデルにも続々と搭載されつつある。

 そんななかで、最上位モデルである本製品のニューモデルは、フロントライトの色調調整という、Kindleシリーズとしては初の機能が追加された。同じE Ink端末ではKobo Formaなどですでに採用例があるが、Kindleファミリーとしては初であり、後発ゆえ使い勝手がどのように工夫されているか気になるところだ。

 今回は発売されたばかりの本製品のWi-Fiモデル(8GB、広告なし)を用い、従来の第9世代モデルと比較しつつ検証していく。

画面横にページめくりボタンを搭載する。ベゼル部に段差がないため水滴も拭き取りやすい
ページめくりボタン。デフォルトでは上が「進む」、下が「戻る」だが、設定で逆にすることも可能
こちらの面にはMicro USBポートを搭載する。そろそろUSB Type-Cの実装も望みたいところ
反対側には電源ボタンを搭載する
グリップ部が一段盛り上がったデザインが特徴的

見た目は第9世代モデルと同一

 まずは従来の第9世代モデル、およびその前の第8世代モデルとのスペック比較から。

Kindle Oasis(第10世代)Kindle Oasis(第9世代)Kindle Oasis(第8世代)
発売月2019年7月2017年10月2016年4月
サイズ(幅×奥行き×高さ)159×141×3.4~8.3 mm159×141×3.4~8.3 mm143×122×3.4~8.5mm
重量約188g約194g約131g+カバー約107g
画面サイズ/解像度7型/1,264×1,680ドット(300ppi)7型/1,264×1,680ドット(300ppi)6型/1,072×1,448ドット(300ppi)
ディスプレイ次世代電子ペーパー技術採用7インチAmazon Paperwhiteディスプレイ、解像度300ppi、フォント最適化技術、16階調グレースケールCarta電子ペーパー技術採用7インチAmazon Paperwhiteディスプレイ、解像度300ppi、内蔵型ライト、フォント最適化技術、16階調グレースケールCarta電子ペーパー技術採用6インチAmazon Paperwhiteディスプレイ、解像度300ppi、内蔵型ライト、フォント最適化技術、16階調グレースケール
通信方式IEEE 802.11b/g/nIEEE 802.11b/g/nIEEE 802.11b/g/n
内蔵ストレージ約8GB(ユーザー使用可能領域:約6GB)
約32GB(ユーザー使用可能領域:約27GB)
約8GB(ユーザー使用可能領域:約6GB)
約32GB(ユーザー使用可能領域:約27GB)
約4GB(ユーザー使用可能領域:約3GB)
フロントライト内蔵(自動調整)、色調調節対応内蔵(自動調整)内蔵(手動調整)
ページめくりタップ、スワイプ、ボタンタップ、スワイプ、ボタンタップ、スワイプ、ボタン
防水・防塵機能あり(IPX8規格準拠)あり(IPX8規格準拠)なし
バッテリ持続時間の目安最大6週間
明るさ設定13、ワイヤレス接続オフで1日30分使用した場合
数週間
明るさ設定10、ワイヤレス接続オフ、1日30分使用時
数カ月
バッテリ内蔵カバー装着時、明るさ設定10、ワイヤレス接続オフ、1日30分使用時
発売時価格(税込)29,980円(8GB、広告つき)
31,980円(8GB、広告なし)
32,980円(32GB、広告つき)
34,980円(32GB、広告なし)
33,980円(8GB、キャンペーン情報つき)
35,980円(8GB、キャンペーン情報なし)
36,980円(32GB、キャンペーン情報つき)
38,980円(32GB、キャンペーン情報なし)
35,980円(キャンペーン情報つき)
37,980円(キャンペーン情報なし)
備考4Gモデルも存在3Gモデルも存在3Gモデルも存在

 この表からもわかるように、従来の第9世代モデルとの違いはごくわずかだ。寸法はまったく同じで、画面サイズも解像度も同じ、Wi-Fiまわりの仕様や容量についても変わっていない。画面横に搭載されたページめくりボタン、IPX8準拠の防水防塵機能も同様だ。

 重量はわずかに6g減っているが、見た目のデザインが変わっていないため、外見だけで本製品と第9世代モデルを判別するのは不可能だ。むしろ価格が4千円安くなっているのが目立つくらいで、第8世代→第9世代へのモデルチェンジ(画面が大型化&バッテリ搭載カバーの廃止)とは、同じモデルチェンジでも、まったく意味合いが異なることがわかる。

 では実際になにが違うのかというと、フロントライトの仕様だ。本製品はフロントライトの色調調節に対応しており、通常の白色光から暖かい色(アンバー)へと切り替えられるほか、時間帯などの条件をもとに自動調節を行なえるなど、詳細な設定が可能になっている。またLEDの個数も12個から25個へと倍増している。

 また従来の無料3G対応モデルが、本製品では4G対応へと改められている。先日フルモデルチェンジしたKindle Paperwhiteも同様のリニューアルが図られており、つまりKindleシリーズ全体で、3Gから4Gへと切り替えが行なわれたことになる。

 1つ興味深いのはバッテリの持続時間で、従来は「数週間」という表現だったのが、本製品では「最大6週間」という具体的な値に改められた。数週間という表現は幅がありすぎて、都合の悪い値をごまかしているかのような印象を与えかねなかっただけに、より具体的になったのは喜ばしいことだ。

左が本製品、右が第9世代モデル。外見はそっくりで見分けがつかない
特徴あるアルミ筐体の形状もまったく同一。重量はわずかに異なるものの、外見での識別は困難だ
左が本製品、右がKindle Paperwhite。画面サイズが異なるほか、ページめくりボタンの有無が異なる。ちなみに本製品は筐体上に「Kindle」というロゴがない
コンセプトがよく似たKobo Forma(右)との比較。ボタン配置を含むデザインはよく似ているが、画面サイズが8型ということで本製品よりもひとまわり大きい

セットアップ手順が大幅に省力化

 パッケージは従来の、黒い化粧箱をスリーブで巻く仕様ではなく、最近のKindleシリーズと同じ縦長薄型のパッケージが採用されている。同梱物は本体のほかにUSBケーブルとセットアップガイドで、AC変換アダプタが付属しないのも従来と同じだ。

縦長薄型のパッケージへと改められた
背面の帯を引っ張って開封する。下段の注意書きは多国語仕様
同梱品一覧。白と黒の小冊子に加えてUSBケーブルが添付される。Fireシリーズと違ってAC変換アダプタは同梱されない

 セットアップ手順も同一……と言いたいのだが、じつは本製品を試してまず驚いたのが、セットアップ手順の大幅な変化だ。

 今回のモデルは(店頭ではなく)Amazon.co.jpで購入したため、アカウントが設定済みの状態で届いたのだが、セットアップの冒頭で、設定済みのアカウントが問題ないかを尋ねられて「はい」を選択したところ、そのまま自動的にセットアップが進行し、ほぼなにもしないまま使い方ガイドの画面が、ついでホーム画面が表示された。

 通常であれば、言語設定で日本語を選択したあとにWi-Fiの設定があり、その後Amazonのアカウントの確認(および入力)、SNSの連携設定、Kindle Unlimitedの要不要……といった画面が矢継ぎ早に表示されるところ、今回はスマホ連携のリンク送信画面を除けば、なにもせずセットアップが完了した。あとから確認したところ、作業開始から終了までの所要時間は3分しかかかっていなかった。この短さは驚異的だ。

 この背景には、過去にAmazon製デバイスをセットアップしたときに、Wi-Fiパスワードなどの情報をAmazonのサーバー上に保存していたこともありそうだが、それにしてもWi-FiのSSIDすら選択せずに、設定が完了してしまうのには恐れ入る(今回購入したのはWi-Fiモデルなので、予め設定されていたことになる)。

 試しに、従来の第9世代モデルを初期化して再セットアップを行なってみたが、Amazonアカウントの入力は(手動で初期化したため)必要となるものの、こちらもどうやら同様のフローになるらしいことが確認できた。おそらく今後のシリーズには同じ仕組みが導入されていくことになるだろう。新機種への移行が容易になるという意味で、これは大きなメリットだ。

セットアップ開始。電源投入後、まずは言語を選択
起動中。樹の下で本を読むおなじみのオープニング画面は今回表示されなかった
今回はAmazon.co.jpで購入したため、このようにアカウントが登録済みの状態で届いた。「続行」をタップするとセットアップが開始される
連携のリンク送信画面。セットアップ中に表示される画面は唯一これだけ
続いてセットアップ完了後に表示されるチュートリアルの表示がはじまった。なにも設定していないままこの画面が表示されたので逆に戸惑う
チュートリアル3ページの表示が終わるとホーム画面が表示される。ここまでわずか3分とあっという間だ

フロントライトは色調調整対応。日の入や日の出に合わせた自動調整も

 さて本製品の最大の売りは、フロントライトの色調調節が可能になったことだ。この機能自体は目新しいものではなく、同じE Ink端末ではKobo Formaなどですでに採用例があるが、Kindleファミリーとしては初となる機能だ。

従来モデル(右)とのメニューバーの比較。本製品では「明るさ」のスライダーの下にもう1つ、「色の暖かさ」というスライダーが追加されている

 設定はとくに面倒なものではなく、ホーム画面上部から呼び出すメニューバーのなかに、明るさを調節するスライダーのほかにもう1つ、色を調節するスライダーが表示される。これを指で動かすことで、フロントライトの色を調整できる。

 またこの色を、時間帯によって自動的に切り替える機能も用意されている。時間帯は任意に設定することもできるほか、位置情報から取得した日の入、日の出時刻をもとに自動的に切り替えることもできる。明るさの自動調節と合わせて使えば、かなり重宝する機能だ。

スライダーを動かすことで明るさを調整できる。これは従来と同様だ
もう1つのスライダーを使ってフロントライトの色調を調整できる。これは両者ともに最大値にした状態
時刻を指定して色を変更することもできる。手動設定のほか、位置情報から取得した日の入、日の出の時刻に連動させることも可能だ
従来モデル(右)とのディスプレイの設定画面の比較。「時間を指定して暖かさを調節」という項目が増えている。なおざっと見たかぎり、設定画面についてはここ以外に従来モデルとの違いはないようだ
同等の機能を備えたKobo Forma(右)との比較。両者ともに明るさと色の暖かさ(Koboでは「ナチュラルライト」)を最大値にしている。色調はやや異なるが機能としてはほぼ同じだ

ページめくり関連の性能は従来モデルと同様?

 リリースによると本製品は「最新のe-ink技術を採用し、より速いページめくりにも対応」と説明されている。この書き方では「より速い」が従来モデルを指しているのか、あるいはPaperwhiteなど下位モデルを指すのか、解釈が難しい。実際に従来の第9世代モデル、およびKindle Paperwhiteと比較してみよう。

 なお最初に断っておくと、通常の読書におけるページめくりについては、従来の第9世代モデルの時点ですでに十分な水準にある。一般的に、ページをめくるスピードは、テキストだと20~30秒に1回、コミックで早くて数秒に1回程度だろうが、このレベルでページめくりが追いつかないことはない。これはKindle Paperwhiteなどでも同じだ。

 むしろ重要なのは、タップやスワイプを実行したあと、画面が切り替えを完了するまでの時間の短さだ。とくにE Inkにおいては、この切り替わりの速さは、レスポンスがきびきびしていると感じるための大きなポイントで、実際、上位機種(Oasis)と下位機種(Paperwhite以下)とで明確な差がある。ただし新旧のOasisを比べたかぎりでは、正直なところ違いはわからなかった。

【動画】本製品(左)とKindle Paperwhite(右)で、タップ、スワイプによるページめくりの速度を比較している様子。本製品のほうがページがスパッと切り替わっており、より快適に感じる
【動画】本製品(左)と従来の第9世代モデル(右)で、ボタン、タップ、スワイプによるページめくりの速度を比較している様子。こちらは動画をスローで再生しても、差はないように思える

 またパラパラとページをめくる操作(連続ページターン)についても、これも上位機種(Oasis)と下位機種(Paperwhite以下)との比較では違いが明白だが、新旧のOasisでは誤差レベルの差しかない。具体的には、コミック一冊の先頭から最後まで移動するのに、新Oasisが12秒、旧Oasisが13秒と、ほんの1秒程度の違いだ。

 このほか、コンテンツのダウンロード速度なども比較してみたが、こちらも同程度の差しかない。今回は約1週間しか試用していないので、上記以外の操作ではなんらかの差が出る可能性はあるが、少なくともページめくり関連については差は見られず、それらの速度向上を理由に買い替えることは考えにくそうだ。

【動画】本製品(左)とKindle Paperwhite(右)で、連続ページターンでコミックの先頭から最後まで移動している様子。かなりCPUに負担がかかる操作で、本製品の性能の高さは明らかだ
【動画】本製品(左)と従来の第9世代モデル(右)で、同じく連続ページターンでコミックの先頭から最後まで移動している様子。4~5回試したかぎり、いずれも本製品のほうが1秒ほど高速だったが、誤差と言って差し支えないレベルだ

見開き表示ではページめくりボタンの使い勝手はいまいち

 次に電子書籍ユースでの表示性能をチェックしていこう。サンプルとしてコミックはうめ著「大東京トイボックス 1巻」、テキストは太宰治著「グッド・バイ」を使用している。

 本製品は7型ということで、Kindle Paperwhiteなど6型のデバイスに比べると、コミックの表示にもサイズ的に余裕がある。アスペクト比は4:3ということで、Fireのようなワイドサイズのタブレットと違い、上下の無駄な余白もない。

コミックの単ページ表示。ページめくりボタンは、上が「進む」、下が「戻る」がデフォルト
左右逆にすることも可能。ページめくりボタンの役割は画面の向きと連動して入れ替わる
270度までは画面は回転しない。そのため、横に寝転がった状態でも画面の向きは維持される
画面の向きを反転させるには、270度以上回転させればよい
6型のKindle Paperwhite(右)との比較。1インチ違うだけとはいえ、その表示サイズの差はかなりのものだ

 解像度が300ppiあることから、コミックの見開き表示も対応できる。7型サイズで見開きだといかにも小さく思えるが、じつはiPhone XS Maxなど6型クラスのスマートフォンでコミックを表示した時よりもページのサイズは大きいので、これら大型スマートフォンでの読書でページを小さく感じないようならば、本製品での見開き読書も支障はないはずだ。

見開き設定は本体の設定画面からではなく、コンテンツ単位で行なう。「ページの表示」メニューのなかにある「方向」をタップすることで切り替わる
見開き表示。この場合、ページめくりボタンは左が「戻る」、右が「進む」となるため右綴じの本の進行方向とは感覚的に逆になる
6.5型のiPhone XS Max(右)とのサイズ比較。見開き状態の本製品のほうがわずかにページサイズは大きい

 ちなみに、本製品と従来の第9世代モデルは、画面サイズや解像度などのスペックは同じ、パネルも同じくE InkのCarta(16階調)とされているが、見開きで比較すると、第9世代モデルはグラデーションで段差が見られるのに対して、本製品はよりなめらかだ。微妙な差ではあるものの、新旧モデルは完全に同一ではなく、なにかしら表示性能は向上していると見てよさそうだ。

単ページでのコミックの解像度の比較。上段左が本製品(300ppi)、上段右が第9世代モデル(300ppi)、下段左がKindle Paperwhite(300ppi)、下段右がKindle(167ppi)。この単ページ表示では、新旧のOasisの差はとくに感じられない
見開きでのコミックの解像度の比較。上段左が本製品(300ppi)、上段右が第9世代モデル(300ppi)、下段左がKindle Paperwhite(300ppi)、下段右がKindle(167ppi)。新旧のOasisを見比べると、背後のグラデーションは本製品のほうがなめらかであることがわかる
テキストの解像度の比較。上段左が本製品(300ppi)、上段右が第9世代モデル(300ppi)、下段左がKindle Paperwhite(300ppi)、下段右がKindle(167ppi)。写真では本製品がくっきりしているように見えるが、実際には新旧のOasisおよびPaperwhiteは差はほとんどない

 ところで見開き表示においては、ページめくりボタンの実用性はかなり低下する。というのも、左側が「戻る」、右側が「進む」という、右綴じの本の進行方向とは逆の配置になるからだ。設定画面で両ボタンの役割を入れ替えることは可能だが、単ページ表示に切り替えるとまた元に戻さなくてはならず、手間を考えても現実的ではない。

 また、たとえボタンの役割とページめくりの方向と一致させても、「進む」ボタンを押すためには(右綴じの本だと)必ず左手で持たなくてはいけないのも厄介だ(右手だと「進む」ボタンに指が届かない)。それならば最初からページめくりボタンの利用はあきらめ、タップやスワイプで操作したほうが楽、ということになってしまう。

 これは本製品とボタン類のレイアウトがよく似たKobo Formaにも言えるが、ページめくりボタンがあるグリップ部に本体の重心があるため、見開き表示では持った時にバランスが悪くなるのも問題だ。総じて、画面サイズや解像度については見開き表示に十分耐え得るが、ページめくりボタンの実用性はいまいち、という評価になる。

ページめくりボタンの上下の役割は設定で入れ替えることもできる
本体の左右を持ち、タップやスワイプでページをめくることも可能だが、重心が手前にあるためバランスはよくない。これならばKindle Paperwhiteのほうがまだ持ちやすい

性能および機能それぞれで順当な進化。ヘビーユーザーならば元が取れる

 以上のように、見開き表示におけるページめくりボタンの実用性はやや微妙だが、通常利用においてはとくに問題点となる箇所はなく、性能および機能それぞれで順当な進化を遂げた製品だ。価格は第9世代モデルに比べると4千円引き下げられており、もっとも安価な「8GB×広告つき×Wi-Fi」モデルはついに3万円を切った。ヘビーユーザーならば元は取れるだろう。

 ただし既存の第9世代モデルから無理に買い替える必要性は感じない。もちろんフロントライトの色調調整に魅力を感じるなら別だが、第9世代モデルもまだ発売から2年経っておらず、そのためだけに買い替えるかは微妙だろう。

 一方、Kindle Paperwhite以下のモデルのユーザーで、より快適な読書を望む人にとっては、買い替える価値は高い。本製品をしばらく試したあとでKindle Paperwhiteを使うと、要所要所での操作のもっさり感が耐えられないほど、性能に差があるからだ。CPUなどからして異なるのは明らかで、価格の高さにはそれなりの理由があると痛感させられる。

 最後に、個人的に希望するのは、ページめくりボタンが現在よりも多くの操作をカバーできるようになってほしいということだ。たとえば、ストアやライブラリでよく目にする本の一覧表示ページは、ページめくりボタンでは前後のページに移動できない。感覚的には移動できそうに思えるだけに、実際に操作してみてやや戸惑う。

 またKindleストアのトップページのように、上下にスクロールする画面も、ページめくりボタンでの上下移動には非対応だ。こうしたページでは、ページめくりボタンを押して反応しないことを確かめてから、タップやスワイプを試すという二度手間が発生するので、非常に効率が良くない。別の機能とバッティングしている様子もないので、ぜひ実装してほしいものだ。

ストアやライブラリなどあらゆる場所で目にする本の一覧ページだが、左右スワイプによる前後移動は対応しているが、ページめくりボタンでは移動できない
同じく、ホーム画面の上下スクロールも、上下スワイプにしか対応していない