山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

BLUEDOT「BNT-1061W」

~10.6型、フルHDながら1万円台半ばで購入できるAndroidタブレット

BLUEDOT「BNT-1061W」 BNT-1061W。容量は32GBモデルのみ
BNT-1061W。容量は32GBモデルのみ

 BLUEDOT「BNT-1061W」は、10.6型のAndroidタブレットだ。フルHD(1,920×1,080ドット)のIPS液晶を搭載しながら、実売15,980円というコストパフォーマンスの高さが特徴だ。

 同じBLUEDOTのタブレットとしては、7.9型ながら1万円を切る「BNT-791W」が今年(2017年)夏に話題になったが、今回新たに登場したこの10.6型モデルは、「BNT-791W」のようにアスペクト比は4:3ではなく一般的なワイド比率で、フルHD対応ながら1万円台半ばという価格を実現している。

 もっとも、本製品の発表後に登場したAmazonの「Fire HD 10」は、やはり10型クラス、かつフルHDより若干天地が広い1,920×1,200ドットで1万円台という価格を実現しており、強力なライバルとなるのは明らかだ。また本製品はCPUなどはあくまでエントリークラスで、かつAndroidのバージョンもやや古い6.0ということで、その実用性は気になるところだ。

 今回はメーカーから量産モデルを借用したので、Fire HD 10との比較を中心に製品をチェックしていきたい。

BLUEDOT「BNT-1061W」 製品外観。全面カメラの配置を見るに横向きで使うことを想定したデザイン。本稿ではこの向きでの利用を前提に紹介する
製品外観。全面カメラの配置を見るに横向きで使うことを想定したデザイン。本稿ではこの向きでの利用を前提に紹介する
BLUEDOT「BNT-1061W」 縦向きに使うこともできるが、一般的なワイド比率(16:10)よりもさらにスリム(16:9)ということもあり、かなり縦に長い印象
縦向きに使うこともできるが、一般的なワイド比率(16:10)よりもさらにスリム(16:9)ということもあり、かなり縦に長い印象
BLUEDOT「BNT-1061W」 本体左上には電源ボタンおよび音量ボタンを備える
本体左上には電源ボタンおよび音量ボタンを備える
BLUEDOT「BNT-1061W」 左側面にはポート類が集中している。上からヘッドフォン端子、Micro HDMI、microSDスロット、電源ジャック、Micro USB端子。なお専用コネクタと見られる電源ジャックは取扱説明書でも言及がなく詳細は不明だ
左側面にはポート類が集中している。上からヘッドフォン端子、Micro HDMI、microSDスロット、電源ジャック、Micro USB端子。なお専用コネクタと見られる電源ジャックは取扱説明書でも言及がなく詳細は不明だ
BLUEDOT「BNT-1061W」 背面上部中央には背面カメラを備える。背面からほんのわずかに突出しているが、最近のiPadシリーズのように明確な段差があるわけではない
背面上部中央には背面カメラを備える。背面からほんのわずかに突出しているが、最近のiPadシリーズのように明確な段差があるわけではない
BLUEDOT「BNT-1061W」 スピーカーは右側面にのみ配置されているため、動画鑑賞時には画面の右側からのみ音が聞こえる形になる。ただしスピーカーが本体裏に配置されている7.9型モデルのように、音そのものが聞こえにくいわけではない
スピーカーは右側面にのみ配置されているため、動画鑑賞時には画面の右側からのみ音が聞こえる形になる。ただしスピーカーが本体裏に配置されている7.9型モデルのように、音そのものが聞こえにくいわけではない

Fire HD 10に近い仕様と価格

まずはFire HD 10、および同社の7.9型モデル「BNT-791W」との比較から。

BNT-1061WFire HD 10(第7世代)BNT-791W(2G)
発売2017年10月2017年10月2017年6月
サイズ(幅×奥行き×高さ、最厚部)268×168×9.6mm262×159×9.8mm195.7×137.2×9.1mm
重量約598g約500g約337g
CPUMT8163(ARM Cortex-A53 64bit 1.3GHz クアッドコアプロセッサ)クアッドコア 1.8GHz×2、1.4GHz×2MT8163(ARM Cortex-A53 64bit 1.3GHz クアッドコアプロセッサ)
メモリ2GB2GB2GB
OSAndroid 6.0Fire OS 5Android 6.0
画面サイズ/解像度10.6型/1,920×1,080ドット(208ppi)10.1型/1,920×1,200ドット (224ppi)7.9型/1,024×768ドット(163ppi)
通信方式802.11a/b/g/n/ac802.11a/b/g/n/ac802.11a/b/g/n
バッテリ持続時間(メーカー公称値)非公開(6,000mAh)10時間非公開(3,500mAh)
microSDカードスロット○(200GBまで)○(最大256GB)○(200GBまで)
その他Micro HDMI-Micro HDMI
価格(発売時)15,980円(32GB)18,980円(32GB)
22,980円(64GB)
9,980円(16GB)

 本製品は9月中旬に発表され、約1カ月後の10月中旬に発売されたわけだが、ちょうどその空白期間にFire HD 10が発表、発売された。Fire HD 10自体、本製品とかなり特徴がかぶることから、発表時点のインパクトがやや薄れる形となったのは否定できない。

 上記の表を見るとそのことは明らかだ。どちらも10型クラスで解像度もフルHDクラス、メモリの容量も同じ2GBだ。11acに対応している点や、microSDが使える点もよく似ている。価格は、一見すると本製品のほうが安価に見えるが、Fire HD 10はプライム会員であればクーポン利用でさらに4,000円安くなるので、32GBモデルだと価格が逆転してしまう。

 本製品は純粋なAndroidタブレットであり、Fire OSを搭載し実質Amazonのコンテンツ専用であるFire HD 10に比べると汎用性の高さが売りだが、Androidのバージョンが6.0であることは注意すべきだろう。今はまだ大きな問題はないが、今後Android 7.0以降へのバージョンアップが行なわれない場合、アプリの互換性にはやや不安が残る。

 CPUはMediaTekのMT8163で、これはFire HD 10が採用しているMT8173よりも1つ下のグレードだ。クロック数も本製品のほうが低く、処理能力はFire HD 10よりも落ちることになる。

 また、筐体サイズはほぼ同等である一方、重量が598gと、同クラスのタブレットと比べてかなり重い点は要注意だろう。Fire HD 10の500gですら重く感じるところに、本製品はそこからさらに約100gプラスと、かなりのヘビー級だ。iPadシリーズで言うと2011年発売のiPad 2(610g)とそう変わらない。

 一方で、8型モデルの「BNT-791W」と同様にMicro HDMI端子を搭載しており、有線での外部出力が可能な点は、本製品のメリットだ。また国内メーカーの製造ということで、取扱説明書がきちんと日本語で用意されており、かつ内容が充実しているのも、7.9型モデルの「BNT-791W」と同じく、初心者にとっては利点となるだろう。

 気になるのは、バッテリの持ちがかなり悪かった「BNT-791W」と同じく、バッテリ持続時間が非公開であること。またアスペクト比が4:3ではなく16:9であり、これは一般的なワイド比率のタブレット(16:10)よりさらに天地が切り詰められた比率であることから、表示するコンテンツによっては余白とのバランスも気になるところだ。

BLUEDOT「BNT-1061W」 左が本製品、右が7.9型モデルの「BNT-791W」。基本的なデザインは共通ながらカメラの位置やアスペクト比が異なるため、まったく別のシリーズに見える。ベゼルもやや幅広だ
左が本製品、右が7.9型モデルの「BNT-791W」。基本的なデザインは共通ながらカメラの位置やアスペクト比が異なるため、まったく別のシリーズに見える。ベゼルもやや幅広だ
BLUEDOT「BNT-1061W」 背面も、プラスチック感の強かった「BNT-791W」と異なり金属製であることから、質感は向上している
背面も、プラスチック感の強かった「BNT-791W」と異なり金属製であることから、質感は向上している
BLUEDOT「BNT-1061W」 背面をアップにしたところ。下が本製品、上が「BNT-791W」。強度はあまり高くなさそうだが、見た目のチープさは緩和されている
背面をアップにしたところ。下が本製品、上が「BNT-791W」。強度はあまり高くなさそうだが、見た目のチープさは緩和されている
BLUEDOT「BNT-1061W」 上が本製品、下がAmazonの「Fire HD 10」。同じフルHDクラスの10型タブレットということで直接のライバルになる存在だ
上が本製品、下がAmazonの「Fire HD 10」。同じフルHDクラスの10型タブレットということで直接のライバルになる存在だ
BLUEDOT「BNT-1061W」 厚みの比較。いずれも左が本製品、右は上から順にBNT-791W、Fire HD 10、10.5インチiPad Pro。BNT-791WおよびFire HD 10とはほぼ同等の厚みだ
厚みの比較。いずれも左が本製品、右は上から順にBNT-791W、Fire HD 10、10.5インチiPad Pro。BNT-791WおよびFire HD 10とはほぼ同等の厚みだ

購入時点ですでにセットアップ済み

 本製品は前回紹介した7.9型モデル「BNT-791W」と同様、各部名称からセットアップ、操作方法、トラブルシューティングまでしっかり記された約30ページほどの日本語の取扱説明書が付属する。国内メーカーの製品ということで、こうした丁寧さは変わっておらず、初心者でも安心だろう。付属品はUSBケーブル、AC変換アダプタと一般的だ。

BLUEDOT「BNT-1061W」 外箱。下が本製品、上に乗っているのは7.9型モデルの「BNT-791W」の外箱。白箱に同社のロゴマークを配置した共通の意匠
外箱。下が本製品、上に乗っているのは7.9型モデルの「BNT-791W」の外箱。白箱に同社のロゴマークを配置した共通の意匠
BLUEDOT「BNT-1061W」 同梱品の一覧。クリーニングクロスとUSBケーブル、AC変換アダプタのほか、取扱説明書、保証書が付属する
同梱品の一覧。クリーニングクロスとUSBケーブル、AC変換アダプタのほか、取扱説明書、保証書が付属する
BLUEDOT「BNT-1061W」 取扱説明書。国産ということもあり、日本語での丁寧なマニュアルで初心者にも優しい
取扱説明書。国産ということもあり、日本語での丁寧なマニュアルで初心者にも優しい
BLUEDOT「BNT-1061W」 AC変換アダプタは「BNT-791W」に比べてコンパクトなサイズに差し替えられている
AC変換アダプタは「BNT-791W」に比べてコンパクトなサイズに差し替えられている

 筐体は正面が樹脂、背面が金属となっている。金属といってもかなり薄いようで、あまり剛性は期待できそうにないが、背面も含めてオール樹脂製だった「BNT-791W」に比べると、チープに見えないだけの質感は保っている。

 正面から見ると、液晶画面がベゼルから少し奥まった位置にあるため、視差のズレがやや気になる。また画面を覆うパネルはプラスチック素材で、ゴリラガラスなどと違って傷にはあまり強くはなさそうな上、指紋もつきやすい。強い光沢があることも合わせて考えると、反射防止の保護シートなどを組み合わせるとよいかもしれない。

BLUEDOT「BNT-1061W」 ベゼルと画面の間に実際には段差はないのだが、液晶画面がベゼルから少し奥まった位置にあるため、斜め方向から見ると段差があるように見える。上に乗っているのは7.9型モデル「BNT-791W」
ベゼルと画面の間に実際には段差はないのだが、液晶画面がベゼルから少し奥まった位置にあるため、斜め方向から見ると段差があるように見える。上に乗っているのは7.9型モデル「BNT-791W」
BLUEDOT「BNT-1061W」 指紋がかなりつきやすく、また拭き取りにくいのは「BNT-791W」と同じくマイナスポイント。外光の反射はかなりきついので、非光沢シートなどを合わせて入手したいところ
指紋がかなりつきやすく、また拭き取りにくいのは「BNT-791W」と同じくマイナスポイント。外光の反射はかなりきついので、非光沢シートなどを合わせて入手したいところ

 さて、本製品の特徴として、最初に電源を入れた時点で、すでにAndroidのセットアップが完了していることが挙げられる。これは7.9型モデル「BNT-791W」と共通する仕様で、いきなりホーム画面が表示されるので、仮にWi-Fiに接続せず、またGoogleの機能を利用しないのであれば、そのまますぐに使えてしまう(もちろんほとんどのケースではそれらの登録が必要になるのだが)。

 この仕様は、Androidの設定経験が豊富な人は戸惑うかもしれないが、本製品の主要ターゲット層と考えられる初心者には親切な仕様と言えるだろう。ちなみにプリインストールされているアプリはGoogleの標準アプリがほとんどを占めており、非常にすっきりとしている。ちなみに電子書籍関連では唯一、Google Play ブックスがプリインストールされている。

BLUEDOT「BNT-1061W」 電源を入れるとすでにAndroidのセットアップが完了しており驚かされる。まるで使用中のタブレットを借りてきて電源を入れたかのようだ
電源を入れるとすでにAndroidのセットアップが完了しており驚かされる。まるで使用中のタブレットを借りてきて電源を入れたかのようだ
BLUEDOT「BNT-1061W」 Google製アプリのショートカットがホーム画面上にまとめられている
Google製アプリのショートカットがホーム画面上にまとめられている
BLUEDOT「BNT-1061W」 プリインストールアプリの一覧。大手メーカー製タブレットのように雑多なアプリがほとんどないのは好印象
プリインストールアプリの一覧。大手メーカー製タブレットのように雑多なアプリがほとんどないのは好印象
BLUEDOT「BNT-1061W」 Androidのバージョンは6.0と、いまとなってはやや古め。将来的なアップデートについても未知数だ
Androidのバージョンは6.0と、いまとなってはやや古め。将来的なアップデートについても未知数だ
BLUEDOT「BNT-1061W」 初回起動時に行なうべき手順の1つ、Wi-Fiの設定
初回起動時に行なうべき手順の1つ、Wi-Fiの設定
BLUEDOT「BNT-1061W」 Wi-Fiの設定が終わったら、続いてGoogleアカウントの登録も行なう。これで一般的なAndroidの設定を完了したのと同じ状態になる
Wi-Fiの設定が終わったら、続いてGoogleアカウントの登録も行なう。これで一般的なAndroidの設定を完了したのと同じ状態になる

アスペクト比16:9ゆえコミックでは天地が圧迫される

 従来の7.9型モデル「BNT-791W」は、紙の書籍を見開きにした場合の比率に近い、4:3というアスペクト比が特徴だったが、一方で解像度は1,024×768ドット(163ppi)と低めだった。本製品はアスペクト比は16:9とかなり横長なので、電子書籍を見開き表示すると左右の余白が目立つが、解像度については1,920×1,080ドット(208ppi)と、実用的なレベルを維持している。

 ただしそのアスペクト比ゆえ、固定レイアウトのページはどうしても表示サイズ自体が小さくなる。本製品の競合になるFire HD 10もワイド画面だが、解像度は1,920×1,200ドット(224ppi)と本製品よりも天地に余裕がある。アスペクト比も16:9ではなく16:10だ。つまり本製品のほうが上下が圧迫され、ページサイズが小さく表示されてしまう。

 こうしたことから、本製品をアスペクト比4:3の7.9型モデル「BNT-791W」と並べた場合、コミックのページサイズはそう極端には違わない。せいぜいひとまわり大きいくらいだ。また同じ10型クラスでアスペクト比4:3の10.5インチiPad Proと並べると、ページサイズはひとまわりどころかふたまわりは小さい。

 また同じ理屈で、本体を縦向きにして雑誌など大判サイズのコンテンツを表示する場合も、アスペクト比が仇となって左右幅が圧迫され、ページが極端に縮小されてしまう。コミックや雑誌など固定レイアウトのコンテンツを表示することを目的に本製品の購入を考えている場合、10.6型という数値から想像できるほどページサイズは大きく表示できないことは、認識しておいたほうがよいだろう。

BLUEDOT「BNT-1061W」 アスペクト比は16:10ではなく16:9と細長いため、電子書籍のコンテンツを表示すると天地が圧迫され、ページサイズが小さく表示される。左右にできる余白のサイズも大きい
アスペクト比は16:10ではなく16:9と細長いため、電子書籍のコンテンツを表示すると天地が圧迫され、ページサイズが小さく表示される。左右にできる余白のサイズも大きい
BLUEDOT「BNT-1061W」 アスペクト比4:3の「BNT-791W」(下)との比較。それほど表示サイズに極端な差がないことがわかる。ただし解像度は本製品のほうが圧倒的に上だ
アスペクト比4:3の「BNT-791W」(下)との比較。それほど表示サイズに極端な差がないことがわかる。ただし解像度は本製品のほうが圧倒的に上だ
BLUEDOT「BNT-1061W」 同じ10型クラスの「Fire HD 10」(下)との比較。表示サイズはほぼ同等だが、左右の余白は本製品のほうがかなり大きい
同じ10型クラスの「Fire HD 10」(下)との比較。表示サイズはほぼ同等だが、左右の余白は本製品のほうがかなり大きい
BLUEDOT「BNT-1061W」 こちらもやはり10型クラスの「10.5インチiPad Pro」(下)との比較。アスペクト比が異なるため表示サイズは本製品のほうが2回りは小さい
こちらもやはり10型クラスの「10.5インチiPad Pro」(下)との比較。アスペクト比が異なるため表示サイズは本製品のほうが2回りは小さい
BLUEDOT「BNT-1061W」 10.6型ということで大判サイズの表示も期待されるが、極端に細長いアスペクト比ゆえ、雑誌を表示してもかなり縮小されてしまう
10.6型ということで大判サイズの表示も期待されるが、極端に細長いアスペクト比ゆえ、雑誌を表示してもかなり縮小されてしまう

 以上のように表示サイズについては若干マイナス要素もあるのだが、解像度については200ppiオーバーということで、細かい文字もしっかりと表示できる。250~300ppiクラスのiPadシリーズと並べるとさすがに差はあるが、200ppi未満の製品のように密集した線がつぶれてしまうこともないので、7.9型モデル「BNT-791W」と比べても圧倒的な優位性がある。詳しくは以下の写真で確認してほしい。

 比較写真での各製品の並び順は以下のとおり。なおサンプルは、コミックはうめ著「大東京トイボックス 1巻」、テキストは太宰治著「グッド・バイ」を用いている。

上段左: 本製品(10.6型/1,920×1,080ドット/208ppi)
上段右: BNT-791W(7.9型/1,024×768ドット/163ppi)
下段左: Fire HD 10(第7世代)(10.1型/1,920×1,200ドット/224ppi)
下段右: 10.5インチiPad Pro(10.5型/2,224×1,668ドット/264ppi)

BLUEDOT「BNT-1061W」 コミック(うめ著「大東京トイボックス 1巻」)の比較。10.5インチiPad Pro(下段右)ほどのメリハリはないが、7.9型のBNT-791W(上段右)に比べるとディティールはしっかりしており、鼻の影のナナメ線などもつぶれていない
コミック(うめ著「大東京トイボックス 1巻」)の比較。10.5インチiPad Pro(下段右)ほどのメリハリはないが、7.9型のBNT-791W(上段右)に比べるとディティールはしっかりしており、鼻の影のナナメ線などもつぶれていない
BLUEDOT「BNT-1061W」 テキストコンテンツ(太宰治著「グッド・バイ」)の比較。こちらも、複雑な漢字やルビなどもきちんと描写できている
テキストコンテンツ(太宰治著「グッド・バイ」)の比較。こちらも、複雑な漢字やルビなどもきちんと描写できている

バッテリの持ち時間は実質5時間程度と短め

 続いて、バッテリの持ち時間および性能について見ていこう。

 本製品の発売元であるBLUEDOTの製品ページは、製品の詳細について他社とは比べ物にならないほどの多くの情報が掲載されており(液晶パネルやタッチパネル、バッテリの部材なども明記されている)、ユーザーからすると非常に有益なのだが、唯一はっきりと記載されていないのがバッテリの駆動時間だ。6,000mAhという容量は記載されているものの、特定の条件下で何時間使用できるのか記述がない。

 これは前回紹介した7.9型モデル「BNT-791W」も同様なのだが、実際に測定してみると、iPad mini 4の3分の1程度にあたる、実質5時間程度しか使えないという結果が出た経緯がある。今回のモデルはバッテリ容量自体は増えているものの、やはりどのくらい持つのか気になるところだ。

 そこで前回と同様、「AbemaTV」でAbemaニュースを表示した状態で放置し、バッテリが残り15%を切ってバッテリセーバーがオンになるまでの時間を測定してみたが、結果は4時間持たず、3時間50分を経過したところで15%を切った。電子書籍ユースでは常時Wi-Fi通信を行なうわけではないので、もう少し長持ちするはずだが、iPad mini 4は同じテストで5時間経過後もバッテリは62%残っていたので、短いことに変わりはない。実質5時間程度といったところだろう。

 本製品はラインナップはWi-Fiモデルのみで、また気軽に持ち歩ける重量ではないため、おもに家庭内で使用することを考えれば、こまめな充電を心がければ問題はない。ただ、上記の実験は音量をミュートにした状態での測定結果なので、動画コンテンツを視聴する場合は、バッテリ持続時間はさらに短くなる可能性もある。使っていないときはつねに充電する習慣は必須となりそうだ。

 もう1つ、ベンチマークの結果も掲載しておこう。ベンチマークアプリ「Ice Storm Extreme」による比較は以下のとおりで、Fire HD 10の半分以下だ。メモリは2GBあるためか、電子書籍を表示してページをめくったり、動画コンテンツをネットワーク経由で再生するなどの操作でもたつくことはなく、このベンチマークの数値ほどの極端な差は感じないのだが、上下に長いWebページをスクロールしたり、動画をシークするような用途では、ひっかかりを感じることは確かにある。

BLUEDOT「BNT-1061W」 ベンチマークソフト「Ice Storm Extreme」による測定結果。Fire HD 10(右)に比べると半分以下のスコアだ。ちなみに7.9型モデル「BNT-791W」は3704、Fire HD 8は3722ということで、本製品はこれらの製品とほぼ等しいことになる
ベンチマークソフト「Ice Storm Extreme」による測定結果。Fire HD 10(右)に比べると半分以下のスコアだ。ちなみに7.9型モデル「BNT-791W」は3704、Fire HD 8は3722ということで、本製品はこれらの製品とほぼ等しいことになる

汎用性の高い10型タブレットを探しているユーザー向け

 以上のように、7.9型モデルの弱点だった解像度については向上しているものの、画面の天地がかなり狭いこと、また端末の重量がかなりあることから、電子書籍の表示にはそこまで向いた製品とは言いにくい。電子書籍端末として使うならば、ソファに座って膝の上に置いて使うなど、かぎられたスタイルでの利用になるだろう。前述のように重量があるため、外出先に持ち出しての利用もあまりおすすめしない。

 では動画再生用の端末としてはどうかということだが、本製品は横向きにしたさいにスピーカーが右側に来る配置であるため、イヤフォンなり外部スピーカーなりは別途用意しなくてはいけない。このように、決定的なマイナスこそないものの、どの用途で使う場合も、どこかしらツッコミどころがあるのが悩ましいところだ。

 ただ、電子書籍端末として使う場合、CPUのパワーはそれほど必要なく、解像度が実用レベルであることのほうが重要であるため、それら条件をクリアしたIPS液晶採用の10型クラスのタブレットを1万円台半ばで買えるというのは、人によっては刺さるはずだ。以前紹介したファーウェイの「MediaPad T3 10」のように、1万円台ながら解像度は1,280×800ドット止まりの製品よりは、満足度は高いことだろう。

 Android 6.0からバージョンアップの保証がないのは少々引っかかるが、Fire HD 10と違って素のAndroidであることから、汎用性の高いタブレットを探しているユーザーには向くだろう。スタンド機能を備えた専用ケースはラインナップされているようだが、個人的には反射防止のシートも用意してほしいところだ。