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日本HP、12.5型モバイルノート「EliteBook 820」にLTE対応モデル
~企業のPCの持ち込み/持ち出し禁止から解放、“モバイル化”を促進
(2014/3/14 17:07)
日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は、ビジネス向けの12.5型モバイルノート「HP EliteBook 820 G1 Notebook PC」、および14型Ultrabook「HP EliteBook Folio 1040 G1」のLTEモデルを5月下旬に発売する。価格は前者が166,000円(税別)から、後者が185,000円(同)から。
いずれも対応するLTE回線については、現在キャリアの認証中で、今後発表する予定。想定しているのはLTEによる閉域網接続(LTEによる通信を利用するが、インターネットを介さず社内インフラに接続すること)で、これにより企業内のPC持ち出し/持ち込み禁止といった規制をある程度緩和するのが狙い。
HP EliteBook 820 G1 Notebook PC
「HP EliteBook 820 G1 Notebook PC」は指紋認証センサーやスマートカードリーダなどを備えた12.5型モバイルノート。
最小構成価格は、CPUにCore i5-4300U(1.9GHz、ビデオ機能内蔵)、メモリ4GB、120GB M.2接続SSD、1,366×768ドット表示対応12.5型ワイド液晶ディスプレイ、OSにWindows 7 Professional(64bit、Windows 8 Proダウングレード権利用)を搭載し、価格は166,000円(税別)から。
インターフェイスは、USB 3.0×3、SDカードリーダ、DisplayPort、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 4.0、指紋センサー、音声入出力などを備える。
バッテリ駆動時間は約7.5時間。本体サイズは310×215×21mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.33kg。
HP EliteBook Folio 1040 G1
「HP EliteBook Folio 1040 G1」は1,600×900ドット表示対応の14型ワイド液晶ディスプレイと、重量約1.49kgと比較的軽量なボディを採用したUltrabook。
最小構成価格は、Core i7-4600U(2.1GHz、同)、メモリ4GB、256GB M.2接続SSD、1,600×900ドット表示対応14型ワイド液晶ディスプレイ、OSにWindows 7 Professional(同)を搭載し、価格は185,000円(税別)から。
インターフェイスはUSB 3.0×2、microSDカードスロット、IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0、NFC、スマートカードリーダ、指紋認証センサー、92万画素Webカメラ、DisplayPort、音声入出力などを搭載する。
バッテリ駆動時間は約12時間。本体サイズは338×234×15.9mm(同)。
企業のモバイル化を推進、ElitePad 900も“ジオフェンシング”対応へ
3月14日に都内で開かれた説明会では、本社から来日したエンタープライズグループ テクノロジーサービス ネットワーキング&モビリティ ワールドワイドストラテジストのクレイグ・パトリッジ氏、および日本HP エンタープライズグループ事業統括 テクノロジーコンサルティング事業統括 テクノロジーマーケティング本部 ネットワーク& モビリティソリューションポートフォリオリードの大村恵吾氏が、製品投入の背景について説明した。
PCを始めとするITによる生産性の向上は今に始まったことではない。PCの出現とともに、会社内にはクライアントとサーバーがLANで接続する環境が構築された。その後インターネットの普及により、クライアントとサーバーはインターネットを介して接続できるようになった。そして今、多様化するモバイルデバイスとクラウドサービスの普及で、社内はこれまでのクライアントとサーバーが接続するだけの関係から、モバイルとクラウドを駆使しなければならない段階へパラダイムシフトが発生している。
ただ現状では、社内のインフラやシステムをモバイルとクラウドへ完全移行することはできていない。クライアントとサーバーという従来のモデルと、モバイルとクラウドという新しいモデルが両方ある状態にあるが、明らかに後者のほうが使い勝手が良く、エンドユーザーはそちらへ期待している。
例えば現在ではオンラインストレージやWebメールの普及により、ユーザーはどのデバイスでも共通のデータにアクセスできる環境下にある。SNSによるコミュニケーションも便利であり、アカウントも共通化できる。しかし仕事となると、基本的にデスクに置かれたPCでしか社内のデータにアクセスできず、もし外部からアクセスしたい場合はVPNを設定し、IDとパスワードを別途用意しなければならない。このエンドユーザーにとっての利便性の格差が、企業内のIT部門へのプレッシャーとなっている。
実はHP自身もこれまでその悩みを抱えている企業の1つであった。同社は全世界/175カ国で32万人を超える従業員を抱えており、そのインフラに接続されているデバイスの数は実に45万を超える。これがWindowsだけなら容易に統一管理できるが、実はiOSやAndroid OSのデバイスのほうが遥かに多いという。
HP自身はハードウェアベンダーとして、サーバーやPC、ネットワークなどのインフラやデバイスを提供できるが、それだけでは問題は解決しない。解決のためには、CitrixのようなVDI(仮想デスクトップ)、Microsoft Lyncを使ったビデオ会議/インスタントメッセージングサービスなどのソフトウェアソリューションを組み合わせて利用する必要がある。
また、モバイルでのワークスタイルが確立するとなると、勤務体系などについても大幅に見直す必要がある。つまり、企業におけるモバイルとクラウド環境への完全移行は、コンシューマのように一筋縄では行かないということだ。
そこでHP自身が今後企業に打ち出していくのは、問題解決のための「モバイルコンサルティングサービス」。ハードウェアやソリューションを導入する企業のIT部門のみならず、総務、人事向けにもワークショップを開き、HPがこれまで実際に抱えた問題をケースの1つとしながら、企業と共同で問題解決に向けて動いていく。また、コンサルティングサービスについては、今後HPが全社の総力をあげて注力していくとした。
今回投入されるノートPCのLTEモデルは、こうした大きな動きの中の1つだ。先述の通り、今回のLTEモデルは一般のコンシューマユーザーが、どこでもインターネットが利用できるようにするというより、閉域網接続を利用して、本来社内でしか接続できなかったインフラを社外からも利用できるようにするもので、これによって、PC持ち出し禁止、持ち込み禁止ルールで、「社内でしか仕事できない」というワークスタイルを抜本的に改善しようとするものである。
また、このほかにもUEFI BIOSが攻撃を受けて起動しなくなっても自動的に回復する機能や、紛失時のデータ流出を防ぐ暗号化機能、NFCリーダ/指紋認証センサーによる2段階認証、Wi-Fi/USB無効化によるセキュリティの向上など、企業で求められるセキュリティをすべてクリアしている。
このほか、国内でPC管理スイート「LANDesk」のライセンス販売も開始することが発表された。資産管理、ソフトウェア配布、リモート管理、電源管理を行なう「Management Suite」、デバイス管理、パッチ管理、アプリ利用、ポリシー管理を行なう「Security Suite」の2種類が用意される。
また、2013年から発売しているWindows 8タブレット「ElitePad 900」では、LANDeskにより新たに「ジオフェンシング」機能が利用できるようになる。これはA-GPSやWi-Fi/LTEのIPアドレス払い出し情報などから端末の位置を割り出し、場所に応じたセキュリティポリシーが自動的に適用できるようになるというもの。
例えば会社内ではUSBポートが使用可、アプリケーションは無制限に起動可能、無線LANは利用可能だが、デバイスを会社外に持ち出すと、位置情報により自動的にこれらに使用制限を掛けるというものだ。これによってセキュリティ性をさらに高められるとしている。