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日本HP、故障やセキュリティリスクを事前予測してデバイス管理を支援する法人向けサービス
~機械学習を活用、WindowsのほかmacOS/iOS/Androidも対象に
2018年5月29日 18:32
株式会社日本HPは、ITデバイス管理の効率化を支援する「HP アナリティクス&プロアクティブ管理サービス」を、法人向けに5月31日より提供する。
同サービスは、既存の「HP Device as a Service (HP DaaS)」に加えて提供される。サポートサービス「HP Care Packハードウェアサービス」のメニューとして、パートナー経由でサービス導入を行なうことも可能で、HP DaaSではエンタープライズクラスの大企業向けだったが、パートナーを経由してメニュー提供されるため、中小・中堅企業でも導入が容易となっている。
おもな特徴としては、機械学習に基づいた予測分析と効率的な管理機能を行ない、IT資産とリソースを最適化するという。
稼働分析では、デバイスの故障予兆とセキュリティリスクを発見し、ユーザーの業務にそれらが影響を及ぼす前に、パーツの部品交換やセキュリティポリシーの対応などを行なえるとする。万が一問題が発生した場合にも、専用窓口で一本化してサービスエキスパートによる問題解決や修理などの対応が行なわれるため、迅速な問題解決によりダウンタイムを最小化するとしている。
デバイスの管理は、同社の法人向け製品以外に、他社製デバイスも管理対象として扱え、Windows PCのほか、macOSやAndroid/iOS搭載デバイスにも対応。効率的な運用管理を実現できるという。CPU稼働率などデバイスの利用状況レポートを用いれば、ユーザーごとにオーバー/アンダースペックではない最適なデバイス選択への活用も可能となっている。
プランは「スタンダード/エンハンスド/プレミアム」の3つを用意し、ヘルスモニタリングや予測分析、レポートなどは共通で提供される。スタンダードのサービス単体価格は、税別8,800円(デバイス毎/年額)。
同社は29日、法人向けPCサービス事業についての記者説明会を開催し、同サービスについての説明を行なった。
説明会には、株式会社日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントソリューション本部 本部長の村上信武氏、同社 同事業本部 サービス・ソリューション事業本部 サポートサービス部担当マネージャーの中宏樹氏が登壇。
村上氏は、HPのパーソナルシステムズ事業(PC事業)では、PCハードウェアを中心とした「コア」、それらのデバイスをサービスモデルとして販売する“Device as a Sevice(DaaS)”や、ワークフローの変革など新たなイノベーションを生み出す成長分野としての「成長」、VRを中心とした3Dのようなイマーシブコンピューティングといった、新たなカテゴリを想像する「将来」の3つの軸でグローバルに展開していると説明。
2018年では、コア分野ではセキュリティを、成長分野ではサービスを、将来分野では先進事例の開拓について、それぞれ注力していくとした。
そのうち、成長分野のサービスとして新たに投入されるのが、HP アナリティクス&プロアクティブ管理サービスとなる。
同氏は、多くの企業が共通して抱えている課題として、社員1人あたりのデバイス数が増加し、管理デバイスの急激な増加で人的リソースが大きく削られている点、スマートデバイスの利用で、WindowsだけでなくAndroidやiOSといったOSも管理対象となり、マルチOSという管理面で複雑さが増している点、デジタルトランスフォーメーションの流れのなかで、IT部門自体の人員や予算の割り当てが変わらないまま、売り上げや利益に貢献できる「攻めのIT」が求められ始めている現状、管理工数も増えて企業のITリソースが逼迫している点、デバイス増によるエンドポイントの増加で、情報漏えいや業務が停止するような攻撃の防止など、情報セキュリティの脅威が増大している点という4つを挙げた。
それらを解決するソリューションとして、PCのサービス化があると同氏は説明し、サーバー分野でリソースの従量課金へと潮流が移行していったように、PCも利用形態に対して課金する「所有から利用」という仕組みを提示。
先んじてPCのサービス化を導入した企業では、6割がPC関連やソフト、サービスなどなんらかのコスト削減につながったと回答しているとその効果を紹介した。
HPでは、PCのライフサイクル管理サービスとして「HP Device as a Service (HP DaaS)」を提供しており、同社のハードウェアの導入から保守・廃棄までサポートするライフサイクルサービスと、専任アカウントスタッフによる管理をまとめて月額で提供している。
企業の抱える複雑な管理要素をHPへアウトソーシングするというサービスだが、企業によってさまざまなニーズがあり、それぞれに応じたカスタマイズが必要となるため、都度見積もりで提供しているという。このため同氏は、直販のみで大企業向けのサービスという側面が否めなかったとした。
そこで今回新たに投入される「HP アナリティクス&プロアクティブ管理サービス」では、HP DaaSの一部として提供されるだけでなく、パッケージも用意し、パートナー経由で提供を行なえるようサービスを強化していると説明。
限定された顧客から裾野を拡大し、カスタマイズの要望に応えられるよう細かくメニュー化することで、中小企業でも導入しやすくなっており、面倒なデバイスの運用管理に進化をもたらすとした。
中宏氏は、HP アナリティクス&プロアクティブ管理サービスについて、デバイス管理を顧客に代わってシンプルにすることで、企業のITリソースを確保し、業績改善などに割り振れると説明。それだけでなく、エンドユーザーの満足度も改善できるとした。
提供されるサービスの1つが、洞察によるプロアクティブ管理で、デバイスの使用データを分析し、HPのサービス担当者が管理を行なうと同時に、レポートとして可視化したものを顧客に提供するという。
これまでのITサポートは、リアクティブ(事後対応)で、故障などによる突発的な問い合わせの増大などで、対応スタッフを急遽確保しなくてはいけなくなるなど、IT部門のリソースの最適化が難しかったと述べ、プロアクティブな管理では、専任スタッフによるデバイス管理とセキュリティ設定で、業務中断などにつながる問題を積極的に検知し、生産性に悪影響を与える前にリスクを特定し、事前に処置することで、エンドユーザーの体験も改善できると説明。
ヘルスモニタリングは、デバイス単位ではなく部品レベルでの管理を実現。予測分析とレポートでは、機械学習で予測分析を行ない、問題の発生前に予防や可視化することで、デバイスの最適化を図れるとした。
プロアクティブ交換は、問題が発生前に予防交換を行なうもの。こちらは事前に修理などを行なう関係上HP製品のみ対象となるが、問題解決にかかる時間を大幅に削減できるとした。サービスエキスパートによる管理が行なわれるため、障害発生時には顧客からの問い合わせに対応するほか、HPから障害発生の連絡を顧客に行なう場合もあるという。
デバイス管理はマルチデバイスに対応し、セキュリティ管理やアプリケーションの管理もHPから行なえる。具体的には、デバイス紛失などのさいには、紛失デバイスの探索やリモートのデバイスデータ消去などを実施。アプリ管理では、Windowsパッチやアプリケーションの配布などを代行するとした。
前述のとおり、利用状況をレポートとして提供するため、同氏はそれを参考に適材適所のデバイス選択も行なえると説明し、エンドユーザーの実際の利用に即した提案ができると述べた。