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鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第99回:11月15日~11月19日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


11月16日

■■NTT-ME、PCカードスロットを2機備え、無線LANに対応したダイアルアップルータ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991116/nttme.htm

DSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)
ディーエスエスエス

 スペクトル拡散通信方式のひとつで、直接拡散方式。
 オーソドックスなデータ通信では、搬送用の電波(搬送波)の振幅や周波数、位相の違いにビットの状態を割り当てて伝送する(変調)。変調された信号を周波数軸で見ると、搬送波を中心に信号エネルギーが一定の周波数帯域に広がった(※1)スペクトルになる。スペクトラム拡散(SS~Spread Spectrum)は、このエネルギー分布を広い周波数帯域に拡散して送信することにより、干渉に強く秘匿性の高い通信を行なう技術で、元々は軍事用の通信技術として実用化。身近なところでは、GPS(Global Positioning System)やcdmaOneなどに、この通信方式が用いられている。

 一般に用いられているSS方式は、直接拡散方式(DS~Direct Sequence、またはDirect Spread)と、周波数ホッピング方式(FH~Frequency Hopping)とに大別でき、それぞれ、DSSS(またはSSDS)、FHSS(またはSSFH)と略される(SSとの間にハイフンが入ることもある)。

 直接拡散方式は、元の信号にランダムな符号を乗算し、広い帯域に拡散して伝送する。言い換えると、広帯域の雑音で変調するわけだが、拡散用の符号は完全なランダムではなく、ランダム性を持つ一定の長さの符号列を繰り返し使用。これを擬似雑音符号(PN~Pseudo Noise)という。変調された信号は、単なる雑音に見えるが、一定の周期性を持っており、同じ符号を使って復調することによって、元の信号を取り出すことができる。先のGPS(※2)や、cdmaOneに用いられているCDMA(Code Division Multiple Access)は、このDS方式のスペクトル拡散である。

 周波数ホッピング方式は、無線LANによく用いられている方式で、広い帯域内をいくつかのチャンネルに区分。搬送波の周波数を次々に切り替えて伝送していく(※3)。通常は、これも擬似雑音符号のパターンに合わせて、変調単位(シンボル)ごと、あるいはいくつかの変調ブロック単位ごとにチャンネルを切り替えて送受信する。

(※1)同じ変調方法ならば、転送速度に応じて占有する帯域幅が広がる。

(※2)GPSは、一般に公開されているSPS(Standard Positioning Service)と、軍事用の高精度なPPS(Precise Positioning Service)が一緒に送信されており、PPSには、未公開の非常に長い周期の擬似雑音符号が用いられているという。

(※3)搬送波の周波数を連続的に変化させる方式もあり、こちらはチャープ方式(chirp)と呼ばれる。

□GPS(Global Positioning System)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980310/key21.htm#GPS
□cdmaOne
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990423/key74.htm#cdmaOne
□CDMA(Code Division Multiple Access)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980526/key31.htm#CDMA
□IEEE 802.11
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991007/key93.htm#IEEE_802


■■COMDEX/Fall '99 基調講演レポート  ソニー代表取締役社長(CEO)出井伸之氏
  「広帯域エンターテイメント企業としての道を確立する」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991116/comdex06.htm

HAVi(Home Audio/Video Interoperability)

 ソニー、松下、日立、東芝、シャープ、Philips、Thomson、Grundigの8社が共同で開発した、AV機器を接続するためのホームネットワーク規格。'98年にドラフト仕様が発表され、'99年11月25日現在、Ver.1のβ規格(11月19日版)が公開されている。

 オーディオ機器やビデオ機器を相互に接続し、デジタルデータの転送や機器の制御などを行なえるようにするための規格で、ネットワークメディアにはi.LINK(IEEE-1394)を使用。その上で、実際にデバイスどうしがコミュニケーションを行なうためのプロトコルやAPIなどを規定している。

 イメージとしては、DVカメラやDVデッキがサポートしているDV端子(メディアはi.LINKそのもの)を、AV機器全般に対応させたもので、i.LINKならではのプラグ&プレイ(ホットプラグを含む)をサポートする。DV端子の場合にはデータ転送と、再生や停止、早送りなどの基本的なデバイス制御を行なう、いわばリモコン兼データケーブルといった存在。HAViの場合にはプログラムの実行環境も規定されており、HAViの全機能をサポートするFAV(Full AV device[※1])では、共通のプラットホームとしてJavaの実行環境を備えている。

(※1)基本的な制御のみをサポートするデバイスをBAV(Base AV device)、システム固有のプログラム実行環境を持つタイプをIAV(Intermediate AV device)という。

●HAViホームページ
http://www.havi.org/
【参考】
□DV(Digital Video)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980428/key28.htm#DV
□i.LINK(IEEE-1394)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971118/key7.htm#ieee1394


11月18日

■■COMDEX/Fall '99会場レポート MP3編
  ポータブルプレーヤーが多数展示
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991118/comdex16.htm

WMA(Windows Media Audio)
ダブリューエムエー

 Microsoftが開発し'99年に発表した音声圧縮符号化方式、およびそれを使用したオーディオファイル(※1)
 開発時には、「MS Audio」というコード名で公開されていたもので、'99年8月にリリースされた正式版(Windows Media Audio 2.0)から、この名称で公開。音楽ソースの高音質高圧縮が特徴で、64kbpsで放送品質(※2)を実現できるとしている。圧縮アルゴリズムなどの仕様は公開されていないが、MP3やATRACなどと同じように、私達の聴覚特性を利用してデータを削減するもので、特別な技術は使用していないようである。一般には、ライブラリの形でSDK(Software Development Kit)が配布されているほか、ハードウェアへのポーティングも行なわれており、WMA対応のポータブルプレーヤもいくつかリリースされている。

 なお、オーディオファイルには、通常「.wma」の拡張子が付けられているが、フォーマット的には、同社が開発したASF(Advanced Streaming Format[※3])そのものである(ASFの拡張子は通常「.asf」)。

(※1)Microsoftの場合は、名称が変わったり意味が拡大したりすることがままある。WMAは、同社のWMT(Windows Media Technologies)の一部で、直接は圧縮コーデックにこの名がつけられている。しかし、ファイル自体もそう呼ばれており、WMTのオーディオ系全体が含まれるのかもしれない。

(※2)かつては、高域特性が20kHz程度まで延びているものを特に「CDクオリティ」といい、15kHz程度のものは「放送クオリティ」としていたのだが、最近では15kHz程度のものも全て含めてCDクオリティと呼ばれることが多い。

(※3)時間軸に沿った様々なストリームデータを格納するためのフォーマットで、Video for Windowsの後継といわれた「ActiveMovie」時代に「Active Streaming Format」の名で発表。'97年に発表されたVer.2の最終版から現在の名称になっている。

□Windows Media Technologies
http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/
□Windows Mediaガイド
http://windowsmedia.com/(海外)
http://windowsmedia.jp.msn.com/(国内向け)
【参考】
□MP3(MPEG 1 Audio Layer 3)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980924/key47.htm#mp3
□ATRAC(Adaptive TRansform Acoustic Coding)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991119/key98.htm#atrac
□WMT(Windows Media Technologies)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990603/key78.htm#WMT


11月19日

■■COMDEX/Fall '99 会場レポート CPU編(その2)
  ~ AMDがモバイルK6-III+/K6-2+とAMD版SpeedStepのGeminiを公開 ~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991119/comdex20.htm

レガシーフリー(legacy free)

 PC/AT時代から受け継いでいる古いハードウェアやソフトウェアを排除したシステムデザイン。

 現在のPCは、IBMが'84年に発表したPC/ATのアーキテクチャーがベースになっている。本来のPC/ATが、16bitのISAバスにCPUや各種デバイス、コントローラなどを接続した設計であるのに対し、現在はPCIバスを中心とした設計から、専用のシステムバスと汎用のPCIバスを組み合わせた設計に移行。ISAアーキテクチャは、システムの中心からは既に外された存在になっている。が、依然としてPCIバスに接続する形でISAバスは残されており、そのISAバスに接続する形で、キーボードやマウス、シリアル、パラレル、FDDなどの主要なインターフェイスが取り付けられ、DMAコントローラや割り込みコントローラなどもそのまま使われている。すなわち、高速性が要求されるCPU、メモリ、ビデオ周りの回路とUSB、ATAだけがISAバスから切り離されているのが現行のPCなのである。

 リアルモードでの互換性には必要だが、プラグ&プレイやパフォーマンスの向上のボトルネックとなっているこれら過去の遺産を、ISAバスやBIOSを含めてシステムから排除しようというのがレガシーフリーで、IntelとMicrosoftが発表したシステムデザイン「PC99」で、この方針を強く提唱。次の規格である「PC2001」の基本コンセプトでもある「EasyPC」では、このレガシーフリーがキーポイントとなっている。

 具体的な移行方針は、かつては高速デバイスをIEEE-1394に、低速デバイスをUSBに統合するといわれていたが、その後、IEEE-1394のサポートは後退。それに代わって、高速化をはかったUSB 2.0や次世代ATAがアナウンスされ、現在はUSBとATAの2本立てという方向が濃厚である。

□PC DESIGN GUIDES
http://www.pcdesguide.org/
□New PC Design(Microsoft)
http://www.microsoft.com/hwdev/newpc/
□The Ease of Use Initiative(Intel)
http://developer.intel.com/technology/easeofuse/
【参考】
□ISA(Imaging Systems Architecture)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980723/key39.htm#ISA
□シリアル
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980826/key43.htm#UART
□パラレル
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980421/key27.htm#parallel-port
□ATA(AT Attachment)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980805/key41.htm#IDE
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990114/key60.htm#ATA_4
□IEEE-1394
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971118/key7.htm#ieee1394
□USB(Universal Serial Bus)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971014/key2.htm#us

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp