鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第74回:4月12日~4月16日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


4月13日

■■セルラーとIDO、「cdmaOne」全国サービスを14日より開始(InternetWatch)
  ~ ドコモの客に乗り換えてもらわないと意味がない(IDO、塚田社長)~
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/1999/0413/cdmaone.htm

PDC(Personal Digital Cellular)
ピーディーシー

PHS(Personal Handy-phone System)
ピーエイチエス

cdmaOne
シーディーエムアーワン

 デジタル方式の移動体通信システムの名称。

 我が国の移動体通信システムは、'79年にNTTの前身である電電公社がサービスをはじめた「自動車電話」がそのはしりとなっている。基本的な仕組みは、サービスエリア内を無線の到達距離に合わせて区切り、中継用の基地局を設置(※1)。基地局間は通常の電話回線で接続したネットワークになっており、「端末-基地局-基地局-端末」というスタイルで通信を行なう。

 この自動電話、および'88年にスタートした「携帯電話」は、ともにアナログ方式のシステムを使用したものだったが、'93年にはこれにデジタル式携帯電話が加わる。デジタル化のメリットのひとつに、限られた周波数帯域を有効に利用するという目的がある。決められた帯域を複数のチャンネルに仮想化することを「多元接続(Multiple Access)」といい、アナログ式では、周波数をいくつかの帯域に分けて(個別のキャリア~搬送波~を使用して)複数の通信チャンネルを確保する「FDMA(Frequency Division Multiple Access~周波数分割多元接続)」という方式が用いられていた。データ圧縮が可能なデジタル式では、チャンネルを短い時間で区切り、複数のユーザーが順番に圧縮したこまぎれの音声を乗せる方式を採用(周波数利用効率は2倍に向上)。この方式を「TDMA(Time Division Multiple Access~時分割多元接続)」といい、これを使った我が国のデジタル携帯電話がPDCである。

 '95年に登場したPHSは、いわゆるコードレス電話をデジタル方式にし、複数の親機に接続できるようにした発展形で、PDCと同じように基地局を設置(※2)。この基地局が屋外の親機役となり、端末が身近な親機に接続することによって、どこからでも通話できるようになっている。

 このPHSも、端末-基地局間はTDMA方式の多元接続だが、第二電電(DDI)が'98年に、日本移動通信(IDO)が'99年にサービスをはじめた、新しい携帯電話サービス「cdmaOne」では、ユーザーごとに異なる符号を使い、信号を周波数帯域全体に拡散するCDMA(Code Division Multiple Access~符号分割多元接続)という方式を採用 (周波数利用効率は4~5倍向上)。通話品質の向上や高速データ通信への対応を実現している。

(※1)セル状に分割されたエリアに基地局が配置されることから、セルラーホンとも呼ばれる。

(※2)コードレス電話の発展系であるPHSは、端末の出力が小さく周波数も高いため、1つの基地局のサービスエリアは携帯電話よりかなりせまい。

□CDG(CDMA Development Group)
http://www.cdg.org/
【参考】
□CDMA
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980526/key31.htm#CDMA



 
■■エプソン、半透過反射型カラー液晶パネルを開発
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990413/epson2.htm

LED(Light Emitting Diode)
エルイーディー

 発光ダイオード。電流を加えると発光する半導体デバイス。
 電流を通す導体と通さない絶縁体の中間にある物質を半導体といい、2つの端子を備えた単純な構造の半導体デバイスをダイオードと呼ぶ(※1)。  半導体は、製造時に加える微量の不純物によって伝導率が大きく変化するが、添加物が電子過剰か電子不足かによって、負電荷の電子が電荷を伝導するN(Negative)型半導体と、電子が飛び出した抜け殻である正孔(ホール)が伝導するP(Positive)型半導体の2つのタイプに分かれる。この2種類の半導体を接合して(P-N接合という)電流を流すと、接合境界付近で様々な効果(※2)が発生する。

 LEDはそのひとつである発光現象を利用したデバイスで、半導体にエネルギーを光の形で放出する化合物を使用。N-P接合面を越えてP型領域に流れ込んだ電子が正孔と結合する際に、持っていたエネルギーの余剰分を放出して発光する。非常に少ないロスで、電気エネルギーを効率よく光に変換できるのが特徴で(低消費電力高輝度)、PCや家電などの表示デバイスに欠かせない存在となっている。

 LEDの発光色は、化合物を構成する元素やその混合比で決まるが、オーソドックスな赤や緑に対し、青は良質のP型半導体の生成が難しく、なかなか実用化されなかった。'90年代に入って高輝度の青色LEDの開発に成功。最近では、この青色LEDと蛍光体を組み合わせた、白色LEDも登場している。

(※1)ダイオードは、もともとは「二極真空管」という意味。

(※2)LEDとは逆の光起電力効果を持つものもあり、こちらは太陽電池に用いられている(LEDも少ないながら光起電力効果を持つ)。また、P-N接合ダイオードは、P→N方向にしか電気が流れないので(電流は電子の移動と逆方向)、交流を直流に変換する整流ダイオードも広く使われている(LEDにも当然極性がある)。


4月14日

■■IBM、SSE/マルチスレッド対応ビデオカード搭載のNTワークステーション
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990414/ibm.htm

マルチスレッド(multithreading)

 複数のスレッドを同時に実行することが可能なOSの機能。
 複数のプログラムを同時に実行することができることを、マルチタスク(multitasking)という。タスク(task)は、独立して実行される処理と、そのためのOSが管理する管理情報のことだが、一般には、ひとつのプログラムの実行単位であるプロセス(process)と同義に用いられることが多い。

 マルチタスクOSの中には、Windowsのように、ひとつのプログラムに対して、複数のタスクに分けて実行する機能を持つものがある。この時、ひとつのプログラムの中の独立して実行可能な単位をスレッド(thread)といい、このようなOSの機能をマルチスレッドと呼んでいる。

 マルチスレッドOSでは、ひとつのプロセスは、ひとつまたは複数のスレッドとメモリなどのリソース(プロセス内のすべてのスレッドで共有)から構成されており、システムは、スケジュールに従って順次、個々のスレッドに対して実行権を与えていく。このマルチスレッド化によって、ひとつのプログラム内で複数の処理を並行して実行できるようになり、例えば入出力などの時間のかかる処理に足留めされることなく、CPUを効率よく利用することが可能となる。さらに、複数のCPUをサポートするマルチプロセッサシステムでは、各スレッドを個別のプロセッサに割り当てることができるため、プログラムの処理そのものを高速化することも可能である。


4月16日

■■後藤弘茂のWeekly海外ニュース
  「Intelが見捨てたIEEE-1394のWinHEC 99での扱われよう」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990416/kaigai01.htm

UPS(Uninterruptible Power Supply)
ユーピーエス、アップス

 無停電電源装置。内部にバッテリとインバータ(※1)を備え、停電時にバッテリを使って給電が続けられるように作られた電源。

 一般に販売されているのは、必要なデータを保存しシステムを安全にシャットダウンするための猶予として、数分間程度のバックアップを行なう小型の製品で、システムと連動して自動的にシャットダウンを実行したり、スケジュールにしたがってシステムをON/OFFするユーティリティが付属しているものも多い。バッテリによる稼動時間は、バッテリ容量と消費電力次第だが、無停止を前提とするような長時間のバックアップには、発電機と連動するタイプも用意されている。また、基本機能である停電補償のほかにも、サグ(sag~電圧降下、brownoutとも)やサージ(surge~電圧上昇)、スパイク(spike~瞬間的な高電圧)、EMI(Electro-Magnetic Interference~電磁波障害)/RFI(Radio Frequency Interference~電波障害)ノイズなどの除去、周波数補正といった様々な機能を提供するものもあり、CVCF(Constant Voltage Constant Frequency power supply~定電圧定周波数電源)と呼ぶこともある。

 UPSは、電源の制御方式の違いから、2つのタイプに大別される。「常時商用給電方式(Standby UPS)」は、平常時は商用電源をそのまま給電し、異常を検出するとインバータ給電に切り替える単純なタイプで、低価格の製品によく使われている。が、切り換えのタイミングが遅かったり、わずかな電圧変動を敏感に察知し、頻繁にインバータ給電に切り替わってしまったりすることがある(※2)。これに対し、常にインバータ出力を供給するタイプを「常時インバータ給電方式(On-Line UPS)」という。商用電源と独立したクリーンで安定した電源を供給できるタイプだが、常時商用給電方式に比べるとかなり割高になる。

(※1)直流を交流に変換するデバイス。DC-ACコンバータ(Direct Current to Alternating Current converter)とも。一般的な交流を直流に変換(convert)するAC-DCコンバータに対し、その逆変換(invert)を行なうという意味でインバータ(inverter)と呼ばれる。ちなみに、省エネタイプの冷蔵庫やエアコンに盛んに使われているインバータもこれと同じもので、出力周波数を変化させることによって、ACモーターの回転を制御している。

(※2)電圧補正回路(AVR~Automatic Voltage Regulator)を使って平常時の電圧変動(±20V程度)を補正し、対処しきれない大きな変動に対してのみインバータ給電に切り替えるタイプもあり、これを特に「ラインインタラクティブ方式(Line-interactive UPS)」と呼んでいる。

[Text by 鈴木直美]


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