鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第78回:5月24日~5月28日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


5月24日

■■松下電器、LANインターフェイスを内蔵したLet's note
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990524/pana.htm

Wakeup On LAN (WOL)
ウェイクアップオンラン

 LAN上のPCをリモートから起動する機能、およびそのためのメカニズム。「Wake On LAN」とも。
 IntelとMicrosoftが策定するPC98(Windowsプラットホーム用ハードウェアデザインガイドの'98-'99年版)のパワーマネージメントシステムに採りいれられた、OnNow(オンナウ)を実現するためのネットワークカードの機能で、PC98ではNetPCの必須項目、PC99(同'99-2000年版)ではネットワークカードの必須項目となっている。

 WOLは、停止状態(※1)にあるリモートマシンに対して、起動を指示する特別なパターンの入ったパケットを送信。自分宛の指示を受信したWOL対応カードが、システムにそれを通知しシステムを起動する仕組みになっている。PC98/99では、実装方法に関する規定は特に無いが、デスクトップ機では通常、AMDが開発したMagic Packet Technology対応のマザーボードと対応ネットワークカードを装着。スタンバイ時の給電とウィクアップ信号の通知を行なうための3端子のヘッダケーブルを使って両者を接続する。LAN Wakeupを有効にしてシステムを停止すると、リモート起動が可能となる。

(※1)OnNow対応システムの電源は、赤外線リモコンでON/OFFできる家電と同じ様に、パワーオフ時でも起動の指示だけは受け取れる様になっており、この様な停止状態をソフトオフと呼ぶ。また、作業状態を維持しつつ機能的にはほとんど停止状態になる、いわゆる節電モードの方は、スリープと呼ばれる。

□PC DESIGN GUIDES
http://www.pcdesguide.com/
□OnNow and Power Management
http://www.microsoft.com/hwdev/onnow/
□Device Class Power Management Reference Specifications
http://www.microsoft.com/hwdev/specs/PMref/
  Wakeup On LANに関しては「Network Specification」を参照
□Magic Packet Technology
http://www.amd.com/japan/products/npd/overview/20212.html(日本語)
http://www.amd.com/products/npd/overview/20212.html
【参考】
□OnNow
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980723/key39.htm#OnNow
□ACPI
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980310/key21.htm#ACPI


5月25日

■■AMD、最高380MHzのモバイル用プロセッサK6-III-P
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990525/amd.htm

TriLevel Cache
トライレベルキャッシュ

 AMD(Advanced Micro Devices, Inc.)が'99年にリリースしたCPU、「AMD-K6-III」に採用した、3レベルのキャッシュデザイン。
 キャッシュは、CPUとメインメモリ間に一時記憶用の高速なSRAMを置き、メインメモリに使用している低速なDRAMのアクセススピードをカバーする技法である。このキャッシュメモリが複数段置かれている場合に、CPUにいちばん近いものから順にL1(Level 1~一次キャッシュ)、L2(Level 2~二次キャッシュ)と呼ぶ。'89年にリリースされたIntelの486からは、L1キャッシュ(8KB)をCPUに内蔵するデザインが採用され、その互換チップとして登場したAMDの5x86(16KB)やその後継のK6(64KB)ファミリ、Cyrixの5x86(16KB)やその後継の6x86(64KB)等も、同様のL1キャッシュが搭載された(マザーボード上にL1キャッシュを実装したシステムはそれ以前にもあったが)。'95年には、さらにL2キャッシュを内蔵するPentium Proをリリース。このデザインは、後継となるPentium II、III、Celeron(初期版を除く)等に引き継がれている。

 これらCPUでは、システムバスとは独立したタイミングで高速にアクセスできる、L2キャッシュ専用のバスを用意(※1)。システムバス上に置く従来のL2キャッシュよりも、高速に動作するバックサイドキャッシュというスタイルを採っているのが大きな特徴となっている。AMDでは、K6-IIIではじめてコアクロックで動作するL2キャッシュを内蔵(256KB)。同時に、フロントサイドバス上に従来型のキャッシュを置き(最大1,024KB)、L3キャッシュとして利用できる様にした新しいデザインを採用。この、3階層のキャッシュデザインをTriLevel Cacheと呼んでいる。

(※1)メインメモリやチップセットが接続される従来のシステムバスをフロントサイドバス(FSB~Frontside Bus)、2次キャッシュ用の専用バスをバックサイドバス(BSB~Backside Bus)といい、バックサイドバス上に置かれたL2キャッシュは、バックサイドキャッシュと呼んでいる。バックサイドキャッシュは、Pentium II/IIIではコアクロックの半分、その他のCPUではコアクロックでアクセスできるようになっている。

□AMD-K6-III
http://www.amd.com/japan/products/cpg/k6iii/index.html
【参考】
□L2キャッシュ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971209/key10.htm#L2cache
□バックサイドキャッシュ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990114/key60.htm#backside_cache


■■法林岳之のTelecom Watch ~第26回:1999年4月編~
  「cdmaOne陣営 vs NTTドコモ」対決の構図
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990525/telw26.htm

デビット方式(debit)

 デビットは「即時決済」という意味の会計用語で、一般にはキャッシュカードを使って代金を精算する方式のことをいう。
 欧米では、'80年代から普及していた同方式だが、我が国では、'98年に郵政省と民間金融機関、流通企業各社によって日本デビットカード推進協議会を設立。'99年1月に「J-Debit(ジェイデビット)」の名で、8つの金融機関と8社の企業による初のサービスが開始された。後払い式のクレジット(credit)と、前払い式のプリペイド(prepaid)に続くこの新しい決算方式では、加盟店の端末に加盟金融機関が発行する通常のキャッシュカードを挿入。暗証番号を入力すると、NTTが提供するオンラインシステムCAFIS(Credit and Finance Information System~キャフィス)を通じて金融機関に接続され、利用者の預金口座から直接店の口座へと清算金額が振込まれる仕組みになっている。

□日本デビットカード推進協議会
http://www.debitcard.gr.jp/


5月28日

■■マイクロソフト「Windows 98 Second Edition」製品概要を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990528/ms.htm

WMT(Windows Media Technologies)

 マイクロソフトが開発した、ストリーミングメディア(※1)向けの製品、コンポーネント、技術、サービス等の総称。
 以前は、NetShow(※2)と呼んでいたものの発展系で、単にWindows Mediaとも。同社が開発したASF(Advanced Streaming Format[※3])を使い、オーディオやビデオのネットワーク配信を行なうもので、主要パーツは、コンテンツを作成するためのツール群(エンコーダやコンバータ、オーサリングツールなど)である「Microsoft Windows Media Tools」、配信用サーバーの「Microsoft Windows Media Services」、再生ソフトの「Microsoft Windows Media Player」から成る(同社のサイトからダウンロード可)。

 サーバーツールとしては、Windows Media Rights Managerと呼ばれる著作権管理機能や、簡単なペイパービューシステムの構築機能が用意されており、NetShowと同等のコーデックに加え、MSAudioと呼ばれるハイクオリティなオーディオコーデックが追加されている。

(※1)ストリーミング(streaming)は、サウンドやビデオなどの時系軸を伴うリアルタイム系のデータを、ダウンロードしながら再生する技術と現在は定義されている。

(※2)NetShow 3.0までは、サーバーソフトウェアとその周辺ツールという構成になっており、現在も「NetShow Theater Server」が存在。フルフレームビデオ等の高帯域までサポートする(かつてのActiveMovieがDirectShowに名を変えた後、プレーヤーとしてのActiveMovieが残ったのと同じかもしれないが)。

(※3)さまざまなメディアを格納し、時間軸に沿った制御が行なえるファイルフォーマットで、Video for Windows の AVI(Audio Video Interleaved)に代わるファイルフォーマットとしてVideo for Windowsの後継といわれた「ActiveMovie」時代に登場。当時は、Active Streaming Formatと呼ばれていたが、Ver.2から現在の名称となる。

□Windows Media Technologies
http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/
【参考】
□AVI
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980930/key48.htm#AVI_file
□WAVE
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990304/key67.htm#WAVE


■■AKIBA PC Hotline! HotHotレビュー by Ubiq Computing
  期待の統合型チップセットMVP4搭載マザーボード登場
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990528/hotrev12.htm

AC-link
エーシーリンク

 Intelが提唱する、AC'97(Audio Codec '97)で規定された、デジタルコントローラとアナログコーデックを接続するためのインターフェイス。
 AC'97では、これまでサウンドカードやモデムという完結した形で組み込まれていたオーディオ/モデム機能を、アナログI/Oを受け持つ部分(Analog Codec)とデジタル処理を受け持つ部分(Digital Controller)に分けて定義。PCベースの統合されたオーディオ/モデムアーキテクチャを打ち出すと同時に、デジタル処理をCPU側で行なうことによるローコスト化やハイパフォーマンス化を狙った規格である。

 AC-linkは、コントローラとコーデックを接続するためのインターフェイスで、その電気的特性とプロトコルを規定。コントローラとコーデック間に、ハードウェアレベルでの互換性を提供する。内部的には、5線の双方向シリアルインターフェイスで、これを時分割で多重化。各スロット(多重化による仮想的なチャンネル)を使って、オーディオの入出力やモデムの入出力、制御情報、ステイタス情報などをリアルタイムに伝送する。オーディオ系は、最大で20bit/48kHzまでのステレオ入出力をサポート。マイク用のモノラル入力と、6チャンネルの再生(5.1サラウンド再生が可能)にも対応できる。モデム系は、データと音声をそれぞれ1系統サポート可能となっている。

□Audio Codec '97
http://www.intel.com/pc-supp/platform/ac97/
【参考】
□AC'97
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980826/key43.htm#AudioCODEC97
□PCM
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980917/key46.htm#PCM
□5.1サラウンド(ドルビーAC-3)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980303/key20.htm#AC-3

[Text by 鈴木直美]


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