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鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第93回:9月27日~9月30日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


9月27日

■■ダイジェスト・ニュース
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digest/

IEEE 802.11
アイトリプルイーはちまるにいてんいちいち

 無線LAN(WLAN~Wireless Local Area Network)の標準化を推進する、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers~米国電気電子技術者協会)の委員会の名称、およびそこで標準化された規格。

 '80年に設立されたIEEE 802は、LANやMAN(※1)に関する標準化を行なっている委員会で、そのワークグループの1つである「IEEE 802.3」は、LANのメディアであるお馴染みのEthernetの規格として広くその名が知られている。802.11は、その無線版である無線LANの規格で、Ethernetのネットワークカードと同じように対応製品であればベンダーや製品に関係なく、相互に接続することが可能となる(はずである)。

 規格では、通信のベースとなる使用する周波数帯や変調方式などの物理層(PHY~Physical Layer)と、データフォーマットやコミュニケーション方法などのメディアアクセス制御(MAC~Medium Access Control)を規定。'97年に標準化され('98年にはISOの規格にも盛り込まれている)、既に多数の対応製品がリリースされている現行の規格では、物理層に赤外線を使うタイプと、2.4GHz帯の無線を使うタイプを規定。無線には、直接拡散方式のスペクトラム拡散と、周波数ホッピング方式のスペクトラム拡散(※2)があり、赤外線と合わせた計3種類の物理層それぞれに、1Mbpsと2Mbpsの伝送速度が用意されている。

 802.11委員会では、物理層のさらなる高速化も進めており、802.11bでは、2.4GHz帯の転送レートを10Mbps程度にアップ。802.11aでは、5GHz帯を使って20Mbps以上の高速伝送を実現する。

(※1)社内や構内などの小さな範囲をカバーするネットワークをLAN(Local Area Network)、都市レベルの広い範囲をカバーするネットワークをMAN(Metropolitan Area Network)という。

(※2)スペクトラム拡散(Spread Spectrum~SS)は、元の信号を広帯域に拡散することにより、干渉に強く秘匿性の高い通信を行なう技術で、cdmaOneなどでもお馴染みのCDMA(Code Division Multiple Access~符号分割多元接続)は、このスペクトラム拡散技術を使った通信方式である。直接拡散方式のスペクトラム拡散(DS-SS~Direct Sequence Spectrum Spread)は、元の信号に擬似雑音を乗算して、周波数ホッピング方式のスペクトラム拡散(FH-SS~Frequency Hopping Spectrum Spread)は、元の信号の搬送波を切り替えて、周波数帯を帯域全体に拡散する。

□IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)
http://www.ieee.org/
□IEEE 802.11 Home Page
http://grouper.ieee.org/groups/802/11/index.html
【参考】
□CDMA
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980526/key31.htm#CDMA
□CdmaOne
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990423/key74.htm#cdmaOne


9月29日

■■元麻布春男の週刊PCホットライン
  NECと三菱の合弁に、画期的だったMultiSyncを思う
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990929/hot61.htm

DVI(Digital Visual Interface)
ディーブイアイ

 Intel、Silicon Image、Compaq、Fujitsu、Hewlett-Packard、IBM、NECが中心となって運営するDDWG(Digital Display Working Group)が、'99年にリリースしたデジタルディスプレイ用のインターフェイス規格。

 オーソドックスなVGAインターフェイスが、CRT用のアナログビデオ信号を伝送するためのものであるのに対し、DVIは、液晶ディスプレイを代表とするデジタル駆動のディスプレイ(※1)に、デジタル信号を直接伝送するためのもので、DFP GroupのDFP(Digital Flat Panel Port)やVESAのP&D(PLUG and DISPLAY)と同じ、Silicon Imageが開発したTMDS(Transition Minimized Differential Signaling~PanelLinkとも)というシリアル伝送方式を使用している。

 インターフェイスは通常、RGB3回のデータラインと同期用のクロック信号で構成されるが、DVIではデータラインを2組用意でき(クロックは共通)、2組を併用することによって、より高い解像度やリフレッシュレートに必要な高いバンド幅が確保できる様になっている。物理的なインターフェイスであるコネクタには、P&Dと同じMolexのMicroCross(※2)を使用。デジタルのビデオ信号だけでなく、従来のアナログビデオ信号も同じコネクタ内に収容することができる。

 つまり、P&DからDFPに欠けていたアナログビデオだけを残し、USBやIEEE-1394のサポートを削除。デジタル信号を2系統にして広帯域化も可能とした、市場のニーズによくマッチしたインターフェイスである。

(※1)現行製品では、汎用性を優先させるためにアナログのVGAインターフェイスを備えたものが多く、デジタル駆動本来のクオリティが犠牲になっている。

(※2)8×3列(P&Dは10×3)の端子と、その横に十字形のグランド端子で仕切られた4つのアナログビデオ端子を備えたコネクタ。

□DDWG(Digital Display Working Group)
http://www.ddwg.org/
□Molex, Inc.
http://www.molex.com/
【参考】
□DFP(Digital Flat Panel Port)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981126/key56.htm#DFP
□TMDS(PanelLink)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980723/key39.htm#PanelLink


9月30日

■■塩田紳二のLinuxWorld Expo/Tokyo '99レポート 展示会場編
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990930/linux2.htm

VFAT(Virtual File Allocation Table)
ブイファット、バーチャルファット

 Windows 95/98で使われている、プロテクトモードで動作するFATファイルシステム。

 80286以上のCPUが持つ、8086/8088互換の動作モードをリアルモード、マルチタスクや仮想メモリなどをサポートする実行モードをプロテクトモードという。

 MS-DOSと同じリアルモードのOSとしてスタートしたWindowsは、3.0からCPUのプロテクトモードで動作する様になったが(※1)、ファイルシステムは依然、MS-DOS時代と同じリアルモードで動作していた。このため、ファイルI/Oの処理には、CPUの実行モード切り替えというオーバーヘッドが生じ、その間はマルチタスクも中断される。

 3.1からは、スワップファイルのアクセスをプロテクトモードのまま処理する「32bit Disk Access」をサポート。国内未発売のWindows for Workgroups 3.11(※2)からは、現在の95/98と同様のインストール可能なファイルシステム(Installable File System~IFS)というアーキテクチャが導入され、全てのI/O処理をプロテクトモードで行なう「32bit File Access」をサポート。このFATファイルシステムを「VFAT」といい、Windows 95からは、8.3を超える長いファイル名もサポートされるようになった(※3)

(※1)Windows 3.0では、CPUのリアルモードで動作する「リアルモード」と、80286のプロテクトモードを利用する「スタンダードモード」、386のプロテクトモーを利用するエンハンスドモードの3つの実行モードが用意されていた。

(※2) Windows 3.xにネットワーク機能を付加したもので、'92年に3.0、'93年に3.11をリリース。

(※3)WFWではリアルモードのFATファイルシステムもサポートされていたが、95からはVFATのみのサポートとなる。ただし、下層のディスクドライバなどは、プロテクトモードドライバとリアルモードドライバのどちらも使用できる。

【参考】
□FAT16、FAT32
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980610/key33.htm#FAT16
□FAT64
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981021/key51.htm#FAT64
□FAT32X
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980701/key36.htm#FAT32X
□HFS、HFS+(Hierarchical File System)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980930/key48.htm#HFS
□UDF (Universal Disk Format)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980812/key42.htm#UDF

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp