鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第60回:'98年12月19日~'99年1月8日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


'98年12月19日

■■Akiba PC Hotline!ヘッドライン(12月19日号)
  「日本語入力標準サポートのBeOS R4J深夜販売に長蛇の列」
http://sphere.impress.co.jp/akibamap/hotline/981219/beosr40j.html

BeOS (Be Operating System)
ビーオーエス

 Be Inc.が開発した、OS(Operating System)。
 Beは、Apple Computerの開発部門の責任者だったJean-Louis Gasseeが'90年に設立した会社で、'95年10月にBeBoxというマシンを発表(現在は製造中止)。BeOSは、このBeBox上で動くOSとしてスタートし、'96年にはPowerPCベースのMacintosh用を、'97年にIntelベースのPC用を発表。'98年には日本語版がリリースされている。

 デジタルメディアの処理に最適なプラットフォームを目標に開発されたOS(同社はMedia OSと呼んでいる)で、プリエンプティブなマルチタスク(※1)、マルチスレッド(※2)、対称型マルチプロセッシング(SMP~Symmetric Multiprocessing)をサポート。WindowsやMac OSに似たGUIを備えている。

(※1)複数の処理を同時に行なうマルチタスクの手法のひとつで、システムが個々のタスクに少しずつ実行時間を与えながら次々に切り替えていくやり方。

(※2)スレッドはプログラムの実行単位で、ひとつのタスクが複数のスレッドを生成し、それぞれを平行処理できること。

□Be Inc.
http://www.be.com/
□ぷらっとホーム(BeOSの国内代理店)
http://www.plathome.co.jp/
【参考】
□対称型マルチプロセッシング
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971118/key7.htm#smp


'98年12月21日

■■アップル、Mac OS 8.5.1アップデータ公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981221/apple.htm

プロキシサーバー(proxy server)
 Webブラウザ等のクライアントアプリケーションと、クライアントがアクセスするサーバーとの間に入り、クライアントに代わってサーバーとのやり取りを行なうサーバー(proxyは代理という意味)。

 プロキシサーバーは、主に以下の2つの目的で使用される。

  1. パフォーマンスの向上とトラフィックの軽減
     クライアントからのリクエストをサーバーに転送し、サーバーから受け取った結果をクライアントに返すというのが、プロキシサーバーの基本的な動作である。この時、リクエストされたWebページ等のデータを、プロキシサーバーが一時的に保存しておき、同じリクエストに対してはサーバーに転送せず、保存しておいたデータをクライアントに返すことによって、余分なトラフィックを生むことなく高速なアクセスを実現する。いわゆるキャッシング機能で、ISP(Internet Service Provider)等が用意しているプロキシサーバーは、主にこの目的で提供されている。

  2. アクセス制御
     ISPの場合には、プロキシサーバーを介さず直接サービスを利用することも可能だが、インターネットに接続された社内のネットワーク等では、セキュリティを確保するために外部との通信経路を遮断。外部とのコミュニケーションは、プロキシサーバーを介してのみ行なえるように設計されていることが多い。プロキシサーバーが、外部との接続窓口になることによって、セキュリティを確保しつつ特定のサービスだけを許可したり、利用できるマシンやユーザー、接続先などをコントロールすることが可能となる。


'99年1月5日

■■東芝、ノートPC用の10GB 2.5インチHDD、スリム用も6.4GBへ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990105/toshiba.htm

ATA-4(ATA/ATAPI-4)
エイタフォー、エーティーエーフォー

 ANSI(American National Standards Institute~米国規格協会)の下部組織NCITS(National Committee for Information Technology Standards)のT13委員会によって標準化され、'98年にANSIの標準規格(ANSI NCITS 317)となった、ハードディスク等を接続するためのインターフェイス規格。

 ATA(AT Attachment)は、Compaqが中心となって開発したディスクインターフェイス「IDE(Integrated Device~またはDrive~ Electronics)」をもとにANSIが標準化した規格で、もっともオーソドックスなIDEは、'94年に「ANSI X3.221」としてまとめられている。現在一般に使われているIDEは、2台のドライブをサポートするオリジナルに対し、2ホスト4デバイスに対応。大容量ドライブをサポートするためのLBA(※1)やディスクドライブ以外のデバイスをサポートするためのプロトコルATAPI(ATAttachment Packet Interface)、33MB/秒(製品によっては66MB/秒)の高速転送を実現するUltra DMA等に対応したもので、これら機能が盛り込まれた最新の正式規格が、'98年にリリースされた「AT Attachment with Packet Interface Extension(ATA/ATAPI-4)」である。

 ATA/ATAPI-4では、これまで別規格だったATAPIが正式に規格に統合され、新たな転送モードとしてUltra DMA(いわゆるUltra DMA/33のモード2まで)を規定。エラー検出のためのCRC(Cyclic Redundancy Check)や、80コンタクトのケーブル仕様などが追加されている。

 なお、標準化が完了したATA/ATAPI-4に引き続き、T13では現在、ATA/ATAPI-5の標準化が進められている。

(※1)LBA(Logical Block Address)は、ディスクを一定単位の連続するブロックとみなして割り当てた連番で、これを使用することにより、メディアの物理構造に依存しないアクセスが可能となる。

【ATAの主な機能】
ATAATA-2ATA-3ATA-4
ANSI規格名ANSI X3.221ANSI X3.279ANSI X3.298ANSI NCITS 317
発刊'94年'96年'97年'98年
接続デバイス数2台4台4台4台
PIOモード0~20~40~40~4
DMAモード0~20~20~20~2
DMAモード00~20~20~2
Ultra DMAモード0~2
LBA
SMART
ATAPI
CRC

【ATAの転送モード】
転送方式モードサイクル最大転送速度ATAATA-2ATA-3ATA-4
PIO0600ナノ秒3.3MB/秒
1383ナノ秒5.2MB/秒
2240ナノ秒8.3MB/秒
3180ナノ秒 11.1MB/秒
4120ナノ秒 16.6MB/秒
Single word DMA 0960ナノ秒2.1MB/秒
1480ナノ秒4.2MB/秒
2240ナノ秒8.3MB/秒
Multiword DMA0480ナノ秒4.2MB/秒
1150ナノ秒 13.3MB/秒
2120ナノ秒 16.6MB/秒
Ultra DMA0240ナノ秒 16.6MB/秒
1160ナノ秒 25.0MB/秒
2120ナノ秒 33.3MB/秒
3*60ナノ秒 66.6MB/秒

* 正式な規格にはまだ盛り込まれていない

□ANSI(American National Standards Institute)
http://www.ansi.org/
□NCITS(National Committee for Information Technology Standards)
http://www.ncits.org/
□T13(ドラフトの規格書あり)
ftp://fission.dt.wdc.com/x3t13/t13.htm
【参考】
□IDE
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980805/key41.htm#IDE
□ATAPI
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971105/key5.htm#atapi
□Ultra DMA
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971014/key2.htm#ultaradma
□Ultra DMA(ATA)/66
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980903/key44.htm#Ultra_ATA/66


'99年1月6日

■■MACWORLD Expo/San Francisco 展示会場レポート第一弾
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990106/macw05.htm

バックサイドキャッシュ(backside cache)

 CPU-メインメモリ間とは別に独立した専用のバスを設けて、この専用バス上に2次キャッシュを配置するCPUのデザイン。

 メインメモリに使われている低速なDRAMのアクセススピードをカバーするために、CPUとメインメモリ間に高速なSRAMを置き、データやコードを一時的に記憶しておくのがキャッシングという手法。最近のCPUではほとんどが、数KBから数10KBの少量のキャッシュメモリを内蔵し、数100KB~数MBのキャッシュメモリを外部に用意するスタイルが採られている。2段目のキャッシュを2次キャッシュ(L2 Cache)といい、Pentium ProやPentium II、PowerPC G3などでは、この2次キャッシュ用に専用のバスを用意。システムバスとは独立したタイミングで、高速にアクセスできるように設計されている。

 2バス構成のCPUでは、メインメモリやチップセットが接続される従来のバスをフロントサイドバス(FSB~Frontside Bus)、2次キャッシュ用の専用バスをバックサイドバス(BSB~Backside Bus)といい、バックサイドバス上に置かれたキャッシュメモリをバックサイドキャッシュと呼んでいる。

□2次キャッシュ(L2 Cache)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971209/key10.htm#L2cache
□FSB(フロントサイドバス)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981105/key53.htm#FSB



 
ADBポート(ADB-Apple Desktop Bus-port)
エーディービーポート

 Apple Computerが開発しSE以降のMacintoshに採用されている、キーボードやマウスなどを接続するためのシリアルインターフェイス。

 プラグアンドプレイ(ホットプラグは未対応)をサポートしたマルチデバイスインターフェイスで、ひとつのバスに最大16台のデバイスを芋づる式(デイジーチェーン接続)に接続することができる。バスは10BaseなどのEthernetと同じように、デバイスがお互いに回線をモニタしあい、衝突を回避しながら共有するスタイルだが転送能力が100~200バイト/秒と低いため、主にキーボードなどの低速デバイスの接続に用いられている。

 物理的には、4ピンのMini DINを使用したインターフェイスで、シリアルバスの他に、電源制御用の信号(デバイス側から電源のON/OFFが可)と、電源供給用の5Vラインが用意されている。

□ADB Devices - Hardware Developer Documentation(Apple Computer)
http://developer.apple.com/techpubs/hardware/DeviceManagers/adb/adb.html
□ADB Manager - Inside Macintosh: Devices / Chapter 5(Apple Computer)
http://developer.apple.com/techpubs/mac/Devices/Devices-204.html

[Text by 鈴木直美]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp