鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第21回:3月2日~3月6日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


3月4日

■■Windows 98 日本語版β3 ファーストインプレッション 第2回
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980304/win98_02.htm

ACPI (Advanced Configuration and Power Interface)
エーシーピーアイ
 Intel、Microsoft、東芝が共同で開発し、96年に発表されたPCや周辺機器の電力管理を行なうための規格。OSが中心となって末端のデバイスまで管理できるよう、デバイス間のインターフェイスが取り決められている。

 現在、ほとんどのマシンが採用している電力管理規格に、APM(Advanced Power Management)がある。APMは、主にシステムの電力管理を行う規格で、通常のフルパワーから電源オフまでを5段階のモードに分け、システムを長時間使用していない場合にサスペンドモードに移行させたり、マウスやキーボードの操作でそこから復帰させたりといった機能を提供している。このAPMは、マザーボード上のBIOSレベルだけで実現していた機能だったため、周辺機器の特性に合せた柔軟な制御などは行なえず、デバイスの使用/未使用の判定などもおおざっぱな設定しかできなかった(それもBIOSレベルでの設定)。

 ACPIでは、この電力管理をOS側で一元管理。デバイス別の電力モードや情報伝達のメカニズムを規定することによって、機器に合せた柔軟な管理と制御が行なえるようになっている。具体的には、システムやデバイスの稼働状況を知り、それぞれがサポートする省電力モードに移行させるイベントを発生させるので、ACPI対応であれば、外部に接続した周辺機器の電力管理まで、OSの管理下に置くことができるようになる。

□ACPI Home Page
http://www.teleport.com/~acpi/
□OnNow: Introduction and Specifications
http://www.microsoft.com/hwdev/onnow.htm



GPS (Global Positioning System)
ジーピーエス、全地球測位システム
 アメリカ国防総省(DOD:Department of Defense)が開発した、航行衛星(Navigation Satellite)「NAVSTAR(ナブスター)」の電波を受信し、地上の位置情報(経度、緯度、高度)を取得するシステム。身近なところでは、カーナビゲーションシステム(カーナビ)等に用いられている。

 GPSは、元々は軍事目的のために開発されたものだが、80年代には民間でも利用できるようになり、湾岸戦争で一躍その存在が知られるようになった'90年頃には、国産初のカーナビも登場。さらに'94年からは、誰でも無料で利用できるよう、広く一般に開放されるようになった。

 位置決めの原理は、いわゆる三角測量である。衛星からは、常に軌道と時刻の情報が送信されており、この信号を受信すれば、衛星の正確な位置を知ることができ、電波が到達するのに要した時間から衛星との距離も算出できる。これを異なる3つの衛星に対して行ない、位置と距離がわかっている3点を取得すれば、受信点の正確な3次元座標が求められるという仕組みである。ただし、衛星と受信機の時計にずれがあると正しい距離が得られないので、実際には4つの衛星について調査を行ない、座標が一点を指すように誤差を補正している。

 このサービスは、24時間、地球上のどの位置からでも受けられるよう、高度約2万kmの上空にある6つの周回軌道上にそれぞれ4個、計24個の衛星が配置され、常に4個の衛星がキャッチできるようになっている。精度は、一般に開放されているSPS(Standard Positioning Service)で約100m、PPS(Precise Positioning Service)と呼ばれる軍事用の高精度なもので、約20m程度といわれている。



PPTP (Point to Point Tunneling Protocol)
ピーピーティーピー
 Microsoft、3Com、Ascend Communications、ECI Telematics、U.S. Robotics(現在は3Comに合併)が共同で開発し、1996年に発表したVPN(Virtual Private Network)を実現するためのプロトコル。

 遠隔地にあるネットワーク間の接続には、これまでは専用線や公衆回線が用いられてきたが、これらの代わりに安価なInternetを利用し、コスト削減をはかる技術が注目されている。オープンなInternetを仮想的な専用線として使い、プライベートなネットワークを構築するこの技術を「VPN」といい、PPTPはこれを実現するためのプロトコルのひとつである。

 VPNの基本技術は、ローカルなネットワーク使用しているパケットを、Internetで使われているTCP/IPのパケットの中にカプセル化して送り出し、受け取った側で中のパケットを取り出して使うやり方で、これを「トンネリング(Tunneling)」と呼んでいる。

 PPTPは、このトンネリングをプロバイダに接続する際にも使用している、2点間接続用のPPP(Point-to-Point Protocol)プロトコルを拡張する形で実装している。具体的には、LANで使用しているTCP/IPやIPX、NetBEUIなどプロトコルのパケットを、PPPパケットに入れて暗号化。これにパケット化を行なうためのプロトコルであるGRE(Generic Routing Encapsulation)のヘッダを付けて送り出す(実際にはここでまたPPPパケットになってプロバイダに送信される)。受け取った先では、カプセルの中身を取り出して、暗号を複合化。後は普通のPPPとして処理することになる。

□仕様書(3Com)
http://infodeli.3com.com/infodeli/tools/remote/general/pptp/pptp.htm
□PPTPの解説と試験(アセンド コミュニケーションズ ジャパン)
http://www.ascend.co.jp/techdoc/pptp.html


3月4日

■■東芝、800×480ドット液晶のLibretto 100
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980305/lib100.htm

レジューム (Resume)
ハイバネーション (Hibernation)
 主にノードPCをはじめとする携帯端末でサポートされている(デスクトップでもサポートしている機種はある)、省電力用のサスペンド機能。

 サスペンド(suspend)は、システムを終了するのではなく、一時的に停止させる機能である。必用に応じて電力供給を停止したり、最小限の供給だけに押さえるので、電源を切断したのと同じかそれに近い状況を作り出し、電力の消費を防ぐ。システムそのものは現状のままを維持し、いつでも復帰できるようになっているので、システムを起動して以前の作業状態にするよりもはるかに速く(もちろん全自動で)作業が再開できる。

 レジューム(中断した仕事などを再開するという意味)は、初期のノートPCからサポートされているオーソドックスなスタイルで、現状を維持しておくのに必用な最小限の電力だけを供給する。一方のハイバネーション(冬眠という意味)は、この維持しておくべき現状をハードディスクに待避し、システムそのものは停止させてしまう。そのためのディスクスペースが必要になるが、レジュームと違って長時間にわたるサスペンドが可能である(一般には完全にバッテリーが切れてしまっても、次に通電した際に復帰する)。ただし、レジュームと比べて、復帰までの待ち時間が長い(停止時は勝手に書き込んでいるだけなので気にならないが同じように遅延は発生する)。

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp