会場:Las Vegas Convention Center
Sands Expo and Convention Center
Las Vegas Hilton
MP3関連製品に対する関心の高さは、日本だけでなく米国でも相当のようだ。もちろんそれは、ユーザーレベルの話だけではなく、PC業界全体を巻き込んでのものである。それを示すかのように、今年のCOMDEX/Fallでは非常にたくさんのMP3関連製品が展示されていた。そこで、会場で見かけたMP3関連商品を紹介しよう。
■小型MP3プレーヤー
MP3関連商品といえば、やはり小型・軽量のポータブルプレーヤーが中心的な存在であるといっていいだろう。そこでまず、会場で見つけた小型・軽量のポータブルMP3プレーヤーを紹介しよう。ちなみに、その多くはやはり韓国や台湾メーカーに集中していた。
CreativeのNOMAD後継モデル「NOMAD II」 |
今年のWindows World Expoで、カセットテープ型のポータブルMP3プレーヤーが登場し話題となったが、それと同じコンセプトの製品がCOMDEXでもいくつかのメーカーで展示されていた。その中で最も完成度が高いと思ったのがこれ。韓国HUMAN INFORMATION TECHNOROGYの「C@MP」という製品だ。メモリを64MB内蔵(32MBモデルもある)し、データ転送にはUSBを利用する。リモコンが付属しており、携帯して使う場合の操作は全てリモコンで行なう。また、カセットプレーヤーに入れた場合には、カセットプレーヤー側で選曲などの操作が可能。USB経由でデータ転送を行なえ、携帯時リモコンで操作できるという点は他社製品にはない魅力だ。
コンパクトカセット型のプレーヤー「C@MP」 | 側面にUSBコネクタが用意されており、USB経由でデータ転送を行なう |
「C@MP」と並んで展示されていたポータブルプレーヤー「MPmaster」シリーズ。超小型モデル、FMチューナー搭載モデル、ヘッドホン一体型と様々な製品が用意されている。どのタイプもメモリとしてMMCを利用。MMCスロットを2つ備え、最大64MB搭載可能。また、MMCへのデータ転送はパラレルポートに接続するMMCアダプタを利用する(USB接続のアダプタも将来用意する予定だそうだ)。価格は、超小型モデルが40ドル、FMチューナー搭載モデルが110ドル、ヘッドホン一体型が50ドル、MMCアダプタが20ドルと非常に手頃だ。ただしメモリは付属しない。発売時期は2000年1月~2月が予定されている。ちなみにこのメーカーは、ダイナミック・ネイキッド・オーディオの「Pocket Digital Audio」の開発を担当しているそうだ。
超小型モデルの「IM-100M」とMMCアダプタの「AK-10WP」 | FMチューナー搭載モデルの「IM-300FM」 |
ヘッドホン一体型の「IM-600B」 | MMCスロットが2個用意されている |
鮮やかなボディカラーとキュートなデザインが特徴のポータブルMP3プレーヤー。超小型プレーヤーながらFMチューナーを内蔵している点が特徴。メモリはMMCを利用し、MMCスロットは1個用意されているため、現状では最大32MBで利用できる。MMCへのデータ転送にはMMCアダプタを利用する。このMMCアダプタはパラレル用だけでなくUSB用も用意されるそうで、USB用ではWindowsだけでなくiMacなどのUSB搭載Macintoshでも利用可能となっている(実際にiMacに接続されたUSB用MMCアダプタが展示されていた)。カラーバリエーションが多い点も特徴のひとつだ。
鮮やかなカラーが印象的な「I-JAM」。他に10種類近いカラーバリエーションがある | USB接続のMMCアダプタ。iMacなどのMacintoshでも利用可能 |
「Mr.DATA」ブランドのCD-Rメディアが有名なCMCブースで展示されていた超小型MP3プレーヤー「mp3 jumper」。メモリはMMCを利用(MMCスロット1個)し、データ転送はパラレル経由でおこなう。また、ボイスレコーディング機能も用意されている。超小型ながら、パラレル接続コネクタを本体に用意しており、本体だけでデータ転送が可能となっている。16MBのMMCが付属して価格は115~120ドル程度が予定されているそうだ。
mp3 jumper。スケルトンボディタイプ以外に2色のカラーが用意される | 超小型ながらパラレルコネクタが搭載されており、本体のみでデータ転送が可能 |
こちらもメモリモジュールにMMCを利用する超小型プレーヤーだ。MMCスロットは1個用意されている。また、あらかじめ音楽データが書き込まれたROSも利用可能だ。データ転送には付属のパラレル接続タイプのMMCステーションを利用する。このプレーヤーの特徴は、パーツを組み合わせることでボディカラーを自由に変更できる点だ。また、オリジナルカラーの受注も行なっているようだ。価格は本体とMMCステーション、16MBのMMCが付属して129ドル。他にカセットテープタイプなども予定されている。
MMCを利用する超小型プレーヤー「WOW」 | カセットテープタイプなどの試作品。中央はMMCステーション |
韓国DSCが開発したMP3プレーヤー。特徴は、大型の液晶ディスプレイにキャプションデータを表示できる点だ。再生される音楽や音声に合わせて文字を表示させことができる。表示言語は日本語にも対応しており、日本語での表示デモが行なわれていた。メモリは内蔵で32MB。他にカセットテープタイプの製品と、通常のポータブルプレーヤータイプも用意されていた。
日本語などの文字情報を表示できる大型液晶を備えた「MPCAP」 | カセットテープタイプやノーマルボディタイプも用意 |
Iomegaのリムーバブルメディア「clik!」をメディアとして採用したMP3携帯プレーヤー「clik!Man」。昨年のCOMDEX/FallのIomegaブースでも展示されていた。本体上部にclik!を搭載するスロットがある。clik!は容量が40MBなので、他のプレーヤーと比較して容量面での不利が気になるところだ。
clik!ドライブ搭載のポータブルMP3プレーヤー「clik!MAN」 | 本体上部にclik!を入れるスロットが用意されている | 別のメーカーのclik!ドライブ搭載プレーヤーの試作品も展示されていた |
RCAが開発したCF TYPE II対応の「LYRa」 |
■きわもの的なMP3プレーヤー
次に、会場で見つけたややきわもの的なMP3関連製品をいくつか紹介しよう。
PINE TECHNOROGYのMP3/CD PLAYER。やや大きく重いものの、MP3ファイルの長時間再生が可能な点は魅力だ |
本体サイズは、130mm×138mm×31mmとポータブルCDプレーヤーとしてはやや大きな部類に入るが、かばんに入れて持ち歩くのに苦になるということはないだろう。また、バッテリーとして単3乾電池を4本使用しなければならないため、重量も結構重くなると思われる(残念ながら、展示されていたものはケースに固定されていて実際に重さを体験できず、正確な数字も教えてももらえなかった)。デザインは、ディスカウントショップなどで売られている格安ポータブルCDプレーヤーのような感じだが、思ったほど悪くはない。
機能は、10秒間の音飛び防止用バッファ搭載、リモコン(オプション)、4種類のサウンドエフェクトなど、ポータブルCDプレーヤーとしては非常にシンプルだ。また、連続再生時間はアルカリ乾電池を利用した場合で8時間となっている。
もちろんメモリカードなどを利用するポータブルプレーヤーと比較するとかなり大きいが、CDを入れ替えることなく10時間以上音楽を再生できるというメリットを考えると、大きさやデザインなどは十分に我慢できる。販売価格は米国でのリテールプライスが299ドルで、2000年2月の発売が予定されている。
ところで、操作性や気になる音質だが、残念ながら展示されていたものはモックアップで、動作する製品サンプルは用意されていなかった。そのため、本当に予定どおり発売されるかどうかは不明だ。
こちらは見た目には非常にシンプルなポータブルMP3プレーヤーだが、他にはない非常に変わった機能を備えている。それは、専用のデジタルカメラモジュールが用意されていて、それを取り付けるとデジカメに変身する、というものだ。
デジタルカメラモジュールは、27万画素CCDが取り付けられており、32MBのメモリに最大100枚の写真を撮影できる。クオリティは、CASIO QV-10やSONY VAIO C1あたりとほぼ同等と考えていいだろう。会場には撮影した写真のサンプルが用意されていたが、それを見るとややぼけているような写真だったものの、だいたい思った通りのクオリティの写真であった。また、アナログ出力も用意されていて、CCDビデオカメラとしても利用できるようだ。
ただ、そのデジタルカメラモジュールを見せてくれと言ったところ、「COMDEXに来る途中で紛失してしまい、見せられるものがない」という返事だった。また用意されているカタログにもそのモジュールの写真は掲載されていない。無くしたのではなく最初から無いのでは、とも思ったが、一応データも用意されているし、嘘を付いているような感じでもなかった。
ちなみにポータブルMP3プレーヤーのスペックだが、内蔵メモリ32MBで、スマートメディアスロットが1スロット用意されており、最大64MBまでメモリを拡張可能、PCとはパラレルで接続してデータを転送する、というように極めてオーソドックスなものだ。
価格はプレーヤー本体が200ドル、デジタルカメラモジュールが50ドルだそうだ。
韓国KBTのポータブルMP3プレーヤー「AMUSE」。展示はなかったが、本体左側面のパラレルコネクタにデジタルカメラモジュールを取り付けるとデジカメに変身する | デジタルカメラモジュールで撮影した(らしい)データ。ピントがややぼけているが、画素数を考えるとそれなりの画像だ |
こちらはポータブルプレーヤーではなく、車載用のプレーヤーだ。このプレーヤーの面白いところは、MP3データの記録に3.5インチハードディスクを利用しているというところだ。
この製品は韓国のXEENONが開発した「MP Shuttle」という製品だ。PCパーツとしてよく見かける5インチベイ用のハードディスクリムーバブルラックそっくりの使い方をする(というより、そのものが付属している)。付属するリムーバブルラックをPCに取り付け、リムーバブルケースにハードディスクを取り付ける。あとは、PCに取り付けたラックに接続し、PCからデータをハードディスクにコピー。コピーが終わったらケースを取り出し車に取り付けてある本体に接続するだけだ。
利用できるハードディスクは基本的に制限がなく、20GB程度のものでも利用できるようだ。また、FAT16、FAT32どちらにも対応できる。データを集める方が大変かもしれないが、1週間連続再生も不可能ではない。
さらに、ハードディスクだけでなくCD-ROMドライブにも対応可能だそうで、柔軟な使い方ができるといっていいだろう。
本体側にはリモコンが用意されており、そのリモコンで選曲などのコントロールを行なう。プログラムプレイ機能などももちろん用意されている。また、リモコンに用意されている液晶ディスプレイには既に日本語が表示されるようになっていた。ちなみに対応言語は日本語の他に英語、韓国語、中国語となっている。
この製品の価格はCD-ROMドライブ搭載モデルが550ドル、ハードディスクモデルが535ドルだ。また、ハードディスクモデルにはハードディスクは付属していない。日本での発売は未定だそうだが、提携先が見つかり次第すぐにでも発売したいそうである。
ちなみに同様のコンセプトの製品が別のメーカーでも展示されていたが、そちらはリムーバブルケース自体に全ての再生機能が含まれており、より扱いやすいと感じた。
MP Shuttle。上がハードディスクタイプで下がCD-ROMタイプ。リモコンとPC用のリムーバブルラック、接続キットが付属する | リモコンの液晶画面にはこのように日本語も表示可能だ | こちらは台湾SSE Computerの「NEO」。リムーバブルラックに再生機能も組み込まれており、これだけで再生可能。リモコンも付属する |
以上のような多数のポータブルMP3プレーヤーなどに加え、既報のとおりSONYのメモリースティックウォークマンやVAIO MUSIC CLIPなど多数のプレーヤーが展示されていた。また、どのブースも常に人だかりができており、関心の高さが伺える。特に印象深かったのは、メモリモジュールとしてMMCを採用している製品が非常に多かったという点だ。MMCは容量的には他のモジュールに劣っているものの、プレーヤーの小型化には非常に有効なこともあり、MP3プレーヤーのメモリモジュールとして主流になる可能性がかなり高いと思われる。
ただし、多くの製品が同じような仕様のものばかりで、“これは”というようなものが非常に少なかったのは残念だ。価格はかなり安くなり、以前に比べると使い勝手も良くなってきてはいるものの、データ作成や転送の手間、必ずPCが必要になることなどを考えると、MP3プレーヤーがMDやカセットのように一般化するにはまだまだ時間がかかりそうだ。
□COMDEX/Fall '99のホームページ(英文)
http://www.zdevents.com/comdex/fall99/
□関連記事
【11月17日】COMDEX/Fall '99 レポートインデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991117/comdex_i.htm
('99年11月18日)
[Reported by 平澤寿康@ユービック・コンピューティング]