Samsung Electronicsは7月1日(現地時間)、韓国ソウルにおいて、SSDの新製品発表会「2014 Samsung SSD Global Summit」を開催した。Samsung Electronicsは、2012年以降、毎年こうした発表会を行なっており、今回が3回目となる。今回発表された新製品「850 PRO」については、すでにレビュー記事が掲載されているので、そちらを見ていただきたいが、ここでは発表会での講演の様子を紹介する。
データ爆発の時代に突入した
最初に、Samsung Electronicsのメモリブランドマーケティングチームのリーダーであるキム・オンス氏が挨拶をし、今回の発表会のコンセプト「The New Breed of Performance」を紹介した。次に、メモリマーケティング実行チームのジム・エリオット氏が「IT Market Trends」と題する講演を行なった。その講演の要旨は以下の通りだ。
スマートフォンやタブレットなどが普及したことで、世の中の様相は一変した。FacebokやTwitterが急速に広まり、そうしたSNSには毎日膨大な情報が書き込まれる。現在はまさに「データ爆発の時代」である。特にモバイル機器のデータトラフィックは成長を続けており、2018年には100億を超えるデバイスがインターネットに繋がり、そのデータ量は190EB(エクサバイト)にも達すると予想されている。
NANDフラッシュやSSDの需要も今後さらに伸びていき、PC市場でのSSD需要は2018年には2014年の4.7倍の6,000万TB近くになり、データセンター/エンタープライズ市場でのSSD需要は2018年には2014年の8.4倍の3,300万TBになるとの予想だ。そうした中で、Samsungは、NANDフラッシュ市場の34.7%、SSD市場の46.6%のシェアを獲得しており、市場でのリーダーシップを確立している。
しかし、プロセスルールの縮小によるNANDフラッシュの密度向上には限界が来ており、別のアプローチが求められている。そのブレークスルーとなるのが、世界初の3D Vertical NANDフラッシュ「3D V-NAND」である。
最初にSamsung Electronicsのメモリブランドマーケティングチームのリーダーであるキム・オンス氏が挨拶をした 今回の発表会のコンセプトが「The New Breed of Performance」である メモリマーケティング実行チームのジム・エリオット氏が「IT Market Trends」と題する講演を行なった ロックコンサート今昔。昔(左)は観衆がライターを掲げたが、今(右)はスマートフォンを掲げている ローマ法王就任式今昔。2005年には、スマホやタブレットを持っている人はいなかったが、2013年には多くの人がスマホやタブレットで撮影を行なっている SNSのインパクトの大きさについて。Facebookは1日に87億ページ、Kakao Talkは1日に50億メッセージ、Twitterは1日に5億ツイートが書き込まれる モバイル機器のデータトラフィックは成長を続けており、2018年には100億を超えるデバイスがインターネットに繋がり、そのデータ量は190EB(エクサバイト)にも達すると予想されている 人類が文明の夜明けから2003年までに生み出した全てのデータが5EBである。1EBは、HD動画なら13,300年分、電子書籍なら4.7兆冊分に相当する モバイルの時代では、トラフィックが9年間で100倍に、ストレージ容量は9年間で21倍に到達すると予想されている NANDフラッシュの成長予測。2016年には2014年の1.7倍近くまで増えると予測されている。また、NANDフラッシュの用途としてSSDの割合が増えるという予測だ SSDの成長予測。PC市場でのSSD需要は2018年には2014年の4.7倍の6,000万TB近くになり、データセンター/エンタープライズ市場でのSSD需要は2018年には2014年の8.4倍の3,300万TBになる Samsungは、NANDフラッシュ市場の34.7%、SSD市場の46.6%のシェアを獲得しており、市場でのリーダーシップを確立している Samsungは、2008年に世界初のMLCベースのSSDを出荷した。これにより、SSDのコストは40%も下がり、GB単価は5.1ドルになった Samsungは、2012年には世界初の3bit MLCベースのSSDを出荷した。これにより、SSDのコストはさらに下がり、GB単価は0.79ドルまで下がった プロセスルールの縮小によるNANDフラッシュの密度向上には限界が来ており、別のアプローチが求められている そのブレークスルーとして誕生したのが、世界初の3D Vertical NANDフラッシュ「3D V-NAND」である 3D V-NANDなら1Tbit品も可能になる
次に、フラッシュデザインチームのリーダーであるキョン博士が「3D V-NAND:The Future of FLASH」と題する講演を行なった。その講演の要旨は以下の通りだ。
1999年に120nmでスタートしたNANDフラッシュのプロセスルールは、2013年には1xnmまでシュリンクし、容量も1Gbitから64Gbitに増加した。しかし、プロセスルールが1xnm台に突入したことによって、「セルとセルの間の干渉」と「露光プロセスの光源選びの困難さ」という問題が出てきた。そのため、これ以上プロセスルールをシュリンクすることは困難になりつつある。
そこで登場したのが3D V-NANDである。3D V-NANDは複数のレイヤーを積層しているため、プロセスルールをシュリンクせずに、チップあたりの容量を高めることができる。
NANDフラッシュは、「材料」「構造」「集積」の3点について、破壊的な革新が行なわれてきた。まずは材料の革新として、伝導体から絶縁体へと電荷をチャージする材料が変わり、フローティングゲート型から2D CTF型に移行した。次に、構造の革新として、2D CTF型から3D CTF型へと構造が変わった。そして、集積の革新として、3D V-NANDが誕生した。レイヤーの数は2011年には8層であったが、2013年には24層を達成し、3D V-NAND時代の幕開けとなった。さらに2014年には32層の3D V-NANDの量産を開始した。
3D V-NANDのメリットの1つに、セル同士の干渉がないことが挙げられる、また、より幅の広いプロセスルールを利用できるため、露光の光源で悩む必要がないこともメリットだ。従来の2DプレーナNANDでは、2015年頃に登場する256Gbit品が限界だと考えられているが、3D V-NANDは、NANDフラッシュの容量にブレークスルーをもたらし、2017年には100層を積層して1Tbit品を製造することが可能になる。3D V-NANDは、消費電力も従来の2DプレーナNANDに比べて46%も低いとのことだ。
フラッシュデザインチームのリーダーであるキョン博士が「3D V-NAND:The Future of FLASH」と題する講演を行なった 128Gbitの3bit MLC NAND Flashには430億ものセルがある セル構造の断面図。プロセスルルールはすでに1xnm台に突入している 1999年に120nmでスタートしたNANDフラッシュのプロセスルールは、2013年には1xnmまでシュリンクした。それに伴い容量も1Gbitから64Gbitに増加した プロセスルールが1xnm台に突入したことによって、「セルとセルの間の干渉」と「露光プロセスの光源選びの困難さ」という問題が出てきた 隣り合ったセル同士の干渉が起こる可能性は、プロセスルールが30nmクラスではほとんどゼロである ところが、プロセスルールが1xnm台になると、セルとセルの間隔が狭くなり、干渉を起こし、データが壊れる恐れがある また、プロセスルールが1xnm台になると、フォトマスクの幅が狭くなり、より波長の短い光を使わないと、露光できなくなってしまう セルとセルの干渉が生じず、より大きなプロセスルールで大きな容量を得る構造が求められる 左が従来の2DプレーナNANDで、右が3D V-NANDの模式図。3D V-NANDは複数のレイヤーを積層していることが特徴 建物に例えると、従来の2DプレーナNANDは平屋の一戸建てで、3D V-NANDは超高層ビルである 「材料」「構造」「集積」の3つの点について、破壊的な革新が行なわれてきた まず、材料の革新として、伝導体から絶縁体へと電荷をチャージするための材料が変わり、フローティングゲート型から2D CTF型に移行した 次に構造の革新として、2D CTF型から3D CTF型へと構造が変わった そして、集積の革新として、3D V-NANDが誕生した。レイヤーの数は、2011年には8層であったが、2013年には24層を達成し、本格的な3D V-NAND時代の幕開けとなった。さらに2014年には32層の集積に成功している 3D V-NANDのメリットの1つに、セル同士の干渉がないことが挙げられる 3D V-NANDのもう1つのメリットがより幅の広いプロセスルールを利用できるため、露光の光源で悩む必要がないことである 従来の2DプレーナNANDでは、2015年頃に登場する256Gbit品が限界だと考えられている 3D V-NANDは、NANDフラッシュの容量にブレークスルーをもたらし、2017年には100層を積層して1Tbit品を製造することが可能になる 3D V-NANDは消費電力も従来の2DプレーナNANDに比べて46%も低い 今後もSSD業界のリーダーシップをとり続けていく
再び講演者が先ほどのジム・エリオット氏に変わり、「Samsung SSD Leadership」と題した講演を行なった。その講演の要旨は次の通りだ。
SSD市場は、今後も成長を続けていき、容量ベースで2018年には2014年の5.7倍になると予測されている。また、その利用分野としては、データセンター向けが増加する。SamsungはこれまでPC市場に世界初のSSD技術を投入し続けてきた。世界初の3bit MLC採用SSDが「840/840EVO」であり、世界初のPCI Express対応SSDが「XP941」、世界初のNVMe対応SSDが「SM951」である。また、Samsungはデータセンター市場にも世界初のSSD技術を投入し続けてきた。世界初の3bit MLC採用SSDが「PM853T/845DC EVO」であり、世界初のPCI Express対応SSDが「XS1715」、世界初の電力最適化NVMe対応SSDが「SM953」である。
SSDのこれ以上の高速化には、インターフェイスの高速化が求められる。SATAからPCI Expressに移行することで帯域は7倍に、レイテンシは3分の1になった。ベンチマーク結果も1.5倍向上した。3D V-NANDの利点は、大容量、高速、高耐久性、高電力効率の4つであり、容量は2倍以上、速度は2倍、耐久性は10倍、電力効率は2倍に向上する。そして、Samsungは今後も、3D V-NAND技術と共にSSDサプライヤーとして世界ナンバー1を獲得し続けていく。
SSD市場の予測。2014年にはSSD市場は合計1540万TBであったが、2018年には5.7倍の8,750万TBに増加するとのことだ。また、割合としてはデータセンター向けが増加する ノートPCの薄型化や2-in-1化に伴い、薄型軽量化とバッテリ駆動時間の増加が求められている パフォーマンスについても、マルチタスク化やCPU性能の向上により、より高速なストレージが求められている。HDD性能とCPU性能の差は、2010年には100倍だったが、2020年には1万倍になる 容量についても、4K映像や2,000万画素カメラなどのコンテンツのリッチ化にともない、より大容量が求められている。SSD1台あたりの平均容量は、2014年には169GBであったが、2018年には377GBになると予想されている サイズの自由度や電力効率も重要である。小型化についてはM.2フォームファクタでは3.5インチHDDに比べて、体積は99%以上削減されている。また、消費電力についても、SSDはHDDの3分の1である 高速化のための技術。インターフェイスが、SATA 6GbpsからPCI Expressになることで4倍に高速化され、ミックスパターン性能はHDDの20倍に向上した SamsungはPC市場に世界初のSSD技術を投入し続けてきた。世界初の3bit MLC採用SSDが「840/840EVO」であり、世界初のPCI Express対応SSDが「XP941」、世界初のNVMe対応SSDが「SM951」である 840は第1世代の3bit MLC採用SSDであり、840EVOは第2世代の3bit MLC採用SSDである XP941は、世界初のPCI Express対応SSDであり、2013年には第1世代製品が、2014年にNVMeに対応した PCI Expressの利点について。SATAからPCI Expressに移行することで。帯域は7倍に、レイテンシは3分の1となった。ベンチマーク結果も1.5倍向上した SM951は、世界初のNVMe対応SSDであり、従来のSATA対応SSDに比べて、シーケンシャル速度は2~3倍に、ランダム速度は10~30%向上している クラウドサービスでもSSDを採用するところが増えている。2013年にはAmazonがテンポラリーストレージとしてSSDを採用し、2014年にはGoogleが恒久的なストレージとしてSSDを採用した データセンターのTCOの31%を電力関係が占め、その中でストレージ電力が17%を占めている 仮想化が普及してきたことにより、性能と大容量化に関する要求も厳しくなってきた 高性能化について。SATAからNVMeになることで、帯域幅は7倍に、レイテンシは3分の1に改善される サーバーのコストについても、3bit MLC採用SSDを利用することで、性能が向上し、消費電力は小さくなる 20台のHDDを1台のSSDに置き換えることで、消費電力は60分の1に低減される Samsungはデータセンター市場にも世界初のSSD技術を投入し続けてきた。世界初の3bit MLC採用SSDが「PM853T/845DC EVO」であり、世界初のPCI Express対応SSDが「XS1715」、世界初の電力最適化NVMe対応SSDが「SM953」である PM853T/845DC EVOは、世界初のデータセンター向け3bit MLC採用SSDであり、TCO削減に最適化されている XS1715は、世界初のデータセンター向けNVMe対応SSDである 3D V-NANDの利点は、大容量、高速、高耐久性、高電力効率の4つであり、容量については2倍以上、速度は2倍、耐久性は10倍、電力効率は2倍になる 3D V-NAND採用SSDの容量は、2TB、4TB、8TB、16TBと増加していく パフォーマンスについても、3D V-NAND化により、速度が2倍に向上し、NANDのボトルネックを最小化できる 耐久性も2bit MLC採用SSDの10倍に向上し、SLC採用SSDをも超える。データベースサーバーなどの書き込みが多い用途に適する 3D V-NANDは消費電力の削減にも貢献する。HDDの消費電力を1とすると、SSDでは3分の1に、NVMe対応SSDでは5分の1まで削減され、ノートPCのバッテリ駆動時間の向上やデータセンターのTCO削減が可能になる Samsungは今後も、3D V-NAND技術と共にSSDサプライヤーとして世界ナンバー1を獲得し続けていく 新製品「850 PRO」の出荷日や価格が公表される
休憩を挟んで、アメリカおよびアフリカ地域のセールスブランドプロダクトマーケティングチームのマネージャーであるチョン・ドヨン氏による2つ目のセッション「The New Samsung SSD」が始まった。その要旨は以下の通りだ。
Samsung製SSDは世界53カ国で販売されており、その多くの国でナンバー1のシェアを獲得しており、リテール向けSSD(OEM向けは含まない)だけで年間出荷台数は1,200万台を超えるとのことだ。Samsungはこれまで、SSD市場で技術的なリーダーシップをとり続けており、デザインについてもこだわってきた。さらに、ユーザーの使い勝手を向上させるためのソリューションを提供していることも特徴だ。
欧米のSSDアフターマーケットは年々拡大しているが、それを牽引しているのが、Samsung製SSDの新製品である。今回発表する「850 PRO」は、世界初のコンシューマ向け3D V-NAND採用SSDであり、2012年9月に発表された「840 PRO」の後継となる。そのセールスポイントは、「究極のパフォーマンス」「強化された耐久性と信頼性」「効率的な電力管理機能」の3点であり、840 PROと比べてさらにパフォーマンスが向上しただけでなく、耐久性や信頼性も大きく向上している。PCMark 7でのシミュレーション結果は、840 PROに比べて10%近くスコアが向上したという。
昨年発表されたメインメモリの一部をキャッシュとして利用することで、パフォーマンスを高める「RAPID Mode」についても、新バージョンのRAPID 2.0では、メインメモリの最大25%までのメモリをRAPID用に利用できるようになり、レスポンスが1.8倍に向上したとのことだ。
また、データセンター向けSSDの新製品「845DC EVO」と「845DC PRO」についての解説も行なった。845DC EVOは3bit MLCを採用しており、リードが多いアプリケーションに適し、845DC PROは、24層の3D V-NANDを利用しており、ライトが多いアプリケーションに適する。一口にデータセンター向けといっても、ストレージの使われ方は異なり、Content Delivery Networkなどのリードが多いアプリケーションと、データベースサーバーなどのライトが多いアプリケーションがある。リード重視の845DC EVOとライト重視の845DC PROの2種類のラインナップを用意することで、アプリケーションに応じて最適な製品を選べる。ライト重視の845DC PROは、長期に渡って使い続けた後でも、性能の落ち込みが少ないことも利点である。
845DC PROは、すでに出荷が開始されているが、845DC EVOの出荷開始は7月の予定とのことだ。また、コンシューマ向けの850 PROの出荷日は7月21日であり、店頭価格は、128GBモデルが129.99ドル、256GBモデルが199.99ドル、512GBモデルが399.99ドル、1TBモデルが699.99ドルとのことだ。ちなみに、840 PROの発表時(2012年9月)の店頭価格は、128GBモデルが149.99ドル、256GBモデルが269.99ドル、512GBモデルが599.99ドルであった。また、850 PROはTBWが150TBに倍増し、毎日40GBのデータを書き込んでも10年以上持つため、SSD業界初の10年保証を実現したことも強くアピールしていた。
休憩後、アメリカおよびアフリカ地域のセールスブランドプロダクトマーケティングチームのマネージャーであるチョン・ドヨン氏が「The New Samsung SSD」と題して講演を行なった Samsung製SSDは、世界53カ国で販売されている リテール向けSSD(OEM向けは含まない)だけで、その合計は1,200万台を超える Samsungがこれまでに実現してきた技術的なリーダーシップの数々 デザインについてもSamsungはこだわりを持っている そのデザインに対するこだわりの1つが、エッジがキラリと輝くダイヤモンドカットである また、ユーザーに優しいソリューションをいくつも提供している 「840 PRO」は他に比肩するもののない高性能を実現し、「840 EVO」はメインストリームのチャンピオンとなった 欧米のSSDアフターマーケットの動向。SamsungのSSDの新製品が登場する度に市場が広がっている 850 PROは、世界初のコンシューマ向け3D V-NAND採用SSDである 850 PROは840 PROの後継となる製品であり、製品ラインナップに1TBが追加されたほか、コントローラがMDXからMEXになり、キャッシュメモリも最大1GBに増加した 850 PROのセールスポイントは、「究極のパフォーマンス」「強化された耐久性と信頼性」「効率的な電力管理機能」の3点である 究極のパフォーマンスについて。シーケンシャルリードとシーケンシャルライトの速度を最大化し、すべてのキューデプスについて最高のランダムパフォーマンスを実現した シーケンシャル速度の比較。840 PROと比較して、シーケンシャルリードは10MB/sec上回り、128GBモデルのシーケンシャルライトは390MB/secから470MB/secへと20%も向上している ランダムパフォーマンスの比較。4KBランダムリードではすべてのキューデプスで、840 PROと同等以上の性能を誇る PCMark 7でのシミュレーション結果。840 PROに比べて10%近くスコアが向上した PCMark Vantageでのシミュレーション結果。差はそれほど大きくはないが、全てのモデルでスコアが向上している 強化された耐久性と信頼性について。通常のNANDの2倍の耐久性がある 実際の耐久性テストの結果。27nm 2bit MLC採用の830では、1PB以上の書き込みが可能であり、19nm 2bit MLC採用の840 PROでは、3PBの書き込みが可能であった。850 PROは現在テスト中である 耐久性テスト中の実機。すでに8PB以上の書き込みを実現している 効率的な電力管理機能について。アイドル時とアクティブ時の両方の消費電力が改善されている 一般的なコンシューマのユーザーシナリオでは、利用時間の10%がアクティブで、残りの90%がアイドル状態となっている アイドル時の消費電力は840 PROに比べて、128GBモデルと256GBが改善されている プロフェッショナルのユーザ-シナリオでは、利用時間の30%がアクティブで、残りの70%がアイドル状態となる アクティブ時の消費電力は840 PROに比べて、10~38%削減されている アイドル時の消費電力は840 PROは10mWだったが、850 PROは2mWまで低減された データを守るセキュリティ機能も充実しており、「Class 0 SED」「TCG/Opal v2.0」「eDRIVE(IEEE1667)」の3種類のセキュリティ機能に対応 メインメモリをキャッシュとして使ってパフォーマンスを向上させるRAPID Modeも強化され、「RAPID 2.0」になった。RAPID 2.0では、メインメモリの最大25%までのメモリをRAPID用に利用できるようになり、レスポンスが1.8倍に向上した データセンター向け製品の「845DC EVO」と「845DC PRO」。845DC EVOは3bit MLCを採用しており、リードが多いアプリケーションに適する。845DC PROは、24層の3D V-NANDを利用しており、ライトが多いアプリケーションに適する データセンターやサーバーのストレージは、用途によって使われ方が異なる。図で左にいくほどリード中心となり、右に行くほどライトの割合が増える 845DC EVOは、Content Delivery Networkなどのリードが多いアプリケーションに適しており、845DC PROは、データベースサーバーなどのライトが多いアプリケーションに適している 長期間使ったときのランダムライト性能の比較。使い続けると性能が低下するが、845 DC PROは落ち込みがかなり少ない 845DC PROと845DC EVOの性能比較。シーケンシャル性能やランダムリード性能はあまり変わらないが、ランダムライト性能には大きな差がある 耐久性や保証についての比較。保証期間は両製品とも5年間で変わらないが、耐久性の指標であるTBWやDWPDは大きく異なる 845DC EVOはすでに出荷が開始されているが、845DC PROの出荷は7月中の予定だ コンシューマ向けの新製品「850 PRO」は、7月21日に出荷開始予定 850 PROの価格は、128GBモデルが129.99ドル、256GBモデルが199.99ドル、512GBモデルが399.99ドル、1TBモデルが699.99ドルとのことだ 850 PROは、TBWが150TBに倍増し、毎日40GBのデータを書き込んでも10年以上持つため、SSD業界初の10年保証を実現 データセンター向けでは、来年に4TBモデルが登場する
セッション終了後、質疑応答の時間が与えられた。特に興味深い質問と回答を以下にまとめた。
Q.3bitの3D V-NANDはいつ出るのか?
A.今日はまだ言えないが、今後発表する予定だ。
Q.1セルあたり4bitのNANDフラッシュの商用化は可能か?
A.耐久性を維持できるのかが重要である。開発は進めており、また別途発表の機会があるかと思われる。
Q.3D V-NANDは、SSD以外にも使われるのか?
A.クライアントSSD以外にも拡大していきたい。
Q.他社への3D V-NANDへの提供は?
A.今のところ考えていない。
Q.データセンター用なら、より大容量のSSDが必要では?
A.今年(2014年)の末には2TB SSDをデータセンター向けとして出す予定。来年は4TBも可能。ただし、今日発表したのは、リテール用のデータセンター向けSSD製品なので、1TBまで。
Q.データセンター用は何年保証か?
A.データセンター用は5年保証。
Q.何層まで積み重ねられるのか?
A.無限大に可能なのではないか? 毎年新しい世代の3D V-NANDを提供したいと考えている。データセンター向けSSDでも、32層採用製品が来年発売される予定だ。
発表されたばかりの新製品やエンタープライズ向け製品なども展示
講演が行なわれた部屋の隣の部屋では、今回発表された新製品を含む、多くのSamsung製SSDの展示やデモが行なわれていたので、その様子を写真で紹介していきたい。
今回発表された32層の3D V-NAND採用SSD「SSD 850 PRO」 こちらもデータセンター向けの「845DC PRO」。24層の3D V-NANDを採用 3D V-NANDについての解説。従来の2DプレーナNANDはセルが水平方向に並んでいたが、3D V-NANDでは、垂直(Vertical)にセルが積層されている NANDフラッシュのこれまでの革新。2003年に材料の革新が起こり、フローティングデート型から2D CTF型になった。さらに、2008年には構造の革新が起こり、2D CTF型から3D CFT型になった。そして、2013年には集積の革新として、3D V-NANDが登場した 最新のGREEN SERVER(左)と以前のSERVER(右)とのパフォーマンスと消費電力の比較。CPUなども異なるが、ストレージをHDDから、最新のSamsung SV843に変更することで、パフォーマンスは233TPSから12,499TPSに向上し、システム全体の消費電力は68.5Wから41.9Wに削減された SATAとNVMeの比較デモ。SATA対応SSDでは、リードが558MB/sec程度、ライトが533MB/sec程度である NVMeでは、リードが1,848MB/sec程度、ライトが873MB/sec程度と、非常に高速だ エンタープライズ用の「XS1715」。PCI Express Gen3 x4対応で、NVMeもサポートする エンタープライズ用の「SM1715」。こちらもPCI Express Gen3 x4対応で、NVMeもサポートする エンタープライズ用の「SM953」。M.2フォームファクター対応で、PCI Express接続で、リード速度は最大1,800MB/secに達する こちらはSASインターフェイス対応のエンタープライズ向け製品 世界初の3D V-NAND採用SSD「SV843」。サーバー向け製品である