後藤弘茂のWeekly海外ニュース
Samsungが発表した「V-NAND」でフラッシュの時代が明ける
(2013/8/19 13:36)
メモリの3D積層化の幕を開く3D NAND技術
Samsungがついに「3D NAND」を発表した。3D NANDは、メモリのセルを、3D立体に積み重ねることで大容量化した新しいNANDフラッシュメモリだ。3D NANDの登場で、NANDフラッシュは新しいステージへと踏み出した。ロジックトランジスタが2D平面のプレーナから3Dトランジスタになったのと同じように、3D積層型メモリセルへと転換が始まった。
3D化は、言ってみれば、これまで平屋を並べていた街を、高層ビルの都市に変えてキャパシティを増やす。NANDだけでなく、今後の新しい不揮発性メモリ技術には、ReRAMのように3D積層化で大容量を実現するものが多い。メモリセルの立体化による構造転換の始まりを示すのが3D NANDだ。
Samsungは、同社の3D NAND製品「V-NAND」の第1弾として128G-bit(16GB)チップの量産を開始した。米サンタクララで8月12~15日(現地時間)に開催されたフラッシュメモリのカンファレンス「Flash Memory Summit」で、SamsungはV-NANDの技術概要を発表しただけでなく、サンプルチップによるデモも行なった。V-NANDベースの960GBのSSDを公開、実際にノートPCをV-NAND SSDで動作させて見せた。3D NANDが、もはや研究室のものではなく、量産サンプルの段階にあることを強調した。
ここ数年、NANDフラッシュは3D NANDへと進化すると言われていたが、量産の難しさから、“いつ”が見えなかった。今回、Samsungが3D NANDが量産段階にあると示したことで、一気に3D NANDの現実性が増した。さらに、Samsungは、ワンチップで1T-bit(128GB)までの3D NANDのロードマップも示した。3D NAND化によって、NANDフラッシュの大容量化のペースが速まり、容量の上限も大幅に上がる。
しかし、3D積層化による変化は、NANDフラッシュの世界に留まらない。コンピュータや半導体製造機器など多くの分野に波及する。
まず、(1)3D NAND化によって鈍化していたNANDフラッシュの大容量化が再び推進される。(2)NANDのビット単価の低下が速まることでSSDの大容量化が進み、ノートPCとデータセンターのディスクレス化に拍車がかかる。(3)データセンターのNAND化によりIOPSが大幅に改善されることでビッグデータ対応が進む。一方、(4)NANDメーカーは揃って3D NANDへと向かうが、技術的に追従できないメーカーはふるい落とされる可能性が出る。(5)ReRAMなどポストNANDを狙う新メモリ技術は、3D NANDによってNANDの置き換えが遠のく。そのため、NANDを補完する役割への浸透を狙うことになる。(6)NANDが大容量化の方向を微細化から積層化に転じ始めたことで、プロセス微細化の牽引力が弱まり、半導体機器への需要が変わる。
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ワンチップで128GBのNANDチップが見える
Samsungのシナリオ通りに行くなら、3D NANDは今後、ワンチップで128G-bit(16GB)の容量から、倍々に容量を増やし、数年でワンチップ1T-bit(128GB)の夢の大台に到達する。1~2個のチップで、現在の標準的なノートPC向けSSDの量を実現できてしまう大容量だ。Samsungは、Flash Memory Summitのパネルディスカッションで2016~17年のタイムフレームで1T-bit(128GB)を実現すると説明した。実際の製品として市場に出るのはずれ込むとしても、ペースとしては4~6四半期で倍々に容量を増やして行くことになる。
Samsungはかつて、1年でNAND容量が2倍になるという「ファンの法則(Hwang's Law)」を提唱していた。しかし、ここ数年は容量増大のペースは鈍化しており、現在の最大容量である128G-bitへの移行はかなり遅れている。64G-bitでの足踏みが続いていたのは、NANDのメモリセルが小さくなりすぎたことで、プロセスの微細化のペースが鈍化したからだ。現在の各社の先端製造プロセスは20~19nmで、16nmプロセスをMicronが発表したばかり。しかし、今後、微細化を10nm以下にまで続けて行くことは非常に難しい。
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上の図はこれまでのNANDのプロセス技術とダイサイズを整理したものだ。経済的に見合うダイサイズ(グリーンの帯)に収まるチップの容量の移行が段々と間が空いてきているのが分かる。ビット密度の面から整理したのが下の図だ。
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NANDは、微細化が緩やかになって、同じビット/セルでの大容量化が鈍化している。ところが、NANDの需要の方は、今後も急増し続けることが予想されている。そのため、NANDメーカーは、継続してチップ当たりの容量を増やして、ビット当たりのコストを下げ続けなければならない。そこで、NANDのメモリセルを縦に積層することで大容量化しようというアイデアが浮上した。3D NAND自体は東芝が2007年に発表しており、Samsungも東芝と平行して研究開発を進めてきた。量産段階へは、東芝を追い抜いてSamsungが先着した格好だ。
2D NANDの微細化が難しいのは、メモリセルが小さくなるに従って、メモリセル間の干渉が起き始めるためだ。また、メモリセルに格納できる電子数が少なくなることも問題で、露光も微細化によって難しくなる。Samsungで研究開発を指揮するES Jung氏(Ph.D EVP & GM, Semiconductor R&D Center, Samsung Electronics)は、セル間の干渉の問題を、家屋が隣接した場合に互いの騒音が気になるようになると例えた。その上で、各家(メモリセル)を高層の建物(セルスタック)に収めてしまえば、干渉の問題がなくなると説明した。
容量以外にも利点が多い3D NAND
Samsungが今回製品化したV-NANDは、メモリセルに従来のフローティングゲートではなくチャージトラップを使い、24層にスタックした。縦に生成したチャネルホール沿いにメモリセルを重ねて生成する仕組みだ。この構造では、24層でも、メモリセルの積層自体はそれほど難度は高くはないと説明する。
難しいのはチャネルホールの生成で、40対1のアスペクト比のホールを合計で25億本生成しなければならないという。ちなみに、25億ホールがそれぞれ24層のメモリセルを備え、それぞれが2値だとすると、合計のメモリ容量は128G-bitに届かない。実際には、これより本数が多いのをぼかしていると見られる。
今回の24層のV-NANDは、20nmプロセスの製品に対して2倍の密度だという。積層することで製造工程が複雑になる分はコストが上昇すると予想されるが、ビット密度が上がるため、ダイサイズを抑えられる。Samsungは、現行の2DプレーナNANDに対してコスト競争力が十分にあると説明する。また、容量だけでなく、パフォーマンスや電力消費や信頼性でも2D NANDより優れると説明する。
各メモリセルは2値のMLC(Multi-Level Cell)だ。3値のTLC(Triple-Level Cell)が可能かどうかは、「まだ、私自身が自分の上司に答えることができていない段階」(ES Jung氏)だという。ただし、2DプレーナNANDのメモリセルの電子数が300までであるのに対して、V-NANDは1,000個もの電子数を蓄えられるため、多値化は原理的にはハードルが低いと見られる。
24スタックでチップの容量は128G-bit。プロセス技術は30nmから40nmの間、つまり30nm台だと言う。現在の最先端の2D NANDと比べると2~3世代ほど古いプロセス技術だ。3D NANDでは、プロセス技術はそのままで、積層するメモリセルを増やすことで大容量化を行なって行く。ただし、Samsungは「容量が大きくなれば、より多くのレイヤが必要になるだろう」と言うだけで、正確には説明していない。
上のスライドをさらに分かりやすく示したのが下の図だ。ちなみに、下の図では20から19nmのプロセスを10nm台の最初の世代「1x nm」として扱っている。16nm前後が「1y nm」、それ以下の13nm前後が「1z nm」という区分けとした。しかし、資料によっては、20-19nmを「20nmクラス」として、それより下を1x nmと呼ぶ場合もある。
NANDの4メーカーそれぞれ3D NANDに取り組む
一見して分かるように、3D NANDの最大の利点は、微細化に頼らずに大容量化ができる点だ。そのため、微細化で行き詰まりつつある従来のプレーナNANDの制約がない。3D NAND化は、微細化に伴う問題を回避して容量を増やす「打ち出の小槌」のような手法だ。
3D NAND化には、こうした利点があることから、Samsungは2D NANDを取り残して飛躍できると下のスライドで説明する。これは、言い換えれば、2D NANDに留まるメーカーを抜き去って一人勝ちできるという宣言でもある。
しかし、他のNANDベンダー3社も、もちろん3D NAND化を急いでいる。早くから開発を始めていた東芝はもちろんだが、SK hynixとMicronもFlash Memory Summitの展示会場では、3D NANDに盛んに言及していた。
会場で3D NANDを展示するSK hynixは「3D NANDは当社も取り組んでおり、すでに2世代目の開発に入っている。Samsungと同様に30nmプロセス台で、おそらく似たような層数で製品化するだろう。MLCでチャージトラップという点でも類似だ」と説明する。微細化で先行するMicronは「3D NANDは開発しているが、まだ語る時期になっていない。市場の必要性が出た段階で投入する」と言う。
下はFlash Memory Summitのパネルディスカッションで、コンサルタントのDavid Eggleston氏(Principal, Intuitive Cognition Consulting)が示した予測スライドだ。Eggleston氏は、次世代メモリReRAMの開発ベンチャーだったUnity SemiconductorのPresident and Chief Executive Officerだった人物だ。2012年のFlash Memory Summitでは、Unity Semiconductorを買収したRambusの代表としてキーノートスピーチを行なっている。
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