イベントレポート

SanDisk、これまでの2倍の容量の128GB microSDXC

〜スマホのストレージ性能を引き上げるiNAND ExtremeのeMMC 5.0版も

128GB SanDisk Ultra microSDXC UHS-I
会期:2月24日〜27日(現地時間)

会場:Fira Gran Via

 MWCには、端末メーカーや通信キャリアなどのほか、インフラ/エコシステムを支えるメーカーも多数参加している。ストレージのソリューションを提供するSanDiskもそうしたエコシステム寄りのメーカーの1つで、MWCでは同社の得意分野であるストレージ関連で2つの発表を行なっている。

 1つはmicroSDXCカードとして最大容量となる128GBの製品で、SDスピードクラスの規定でクラス10、UHSスピードクラス1に該当。同社測定では30MB/secに達する性能を実現しており、4Kビデオの再生などにも利用できるという。

 もう1つは、「iNAND Extreme」の最新版。スマートフォン/タブレットのeMMCストレージの最新規格であるeMMC 5.0 HS400に対応しており、こちらも高速化が実現されている。これによりストレージの遅さがボトルネックになっているスマートフォンやタブレットの性能を引き上げることができると同社では説明している。

30MB/secの転送速度を実現した128GB microSDXCカード

 SanDiskが発表したmicro SDXCの128GBモデルは「Ultra microSDXC UHS-I」という製品の最大容量(他にも8G/16/32/64GBが用意される)。現在一般に流通しているmicroSDXCカードの最大容量は64GBで、新製品は、大規模に流通する製品として初めて128GBを実現した製品となる。なお、128GBはSDXC規格のカードになるので、利用する本体側がSDXCに対応している必要がある。

 SanDiskによれば、128GBモデルは、メモリダイを垂直に積層する技術を使って実現されており、同社独自の技術により、ダイをできるだけ薄くすることで、microSDカードの中に16枚のダイを積み重ねることが可能になったという。

 転送速度は、SDスピードクラスで規定されているクラス10(読み書き時のデータ転送速度が最低10MB/sec)、UHSスピードクラスで1(UHS対応機器で使用したときに最低10MB/sec)をクリアしており、SanDiskの計測ではリードは30MB/secを実現している。

 SanDiskによれば、128GB SanDisk Ultra microSDXC UHS-Iは、2月24日から出荷が始まっており、すでに世界各国で販売が開始されているという。米国での価格は199.99ドル。広報担当者によれば、日本に関しては別途来週に発表会が予定されており、その後に発売になるということだった。

 また、SanDiskはこれに併せて、新しいAndroidアプリ「SanDisk Memory Zone」の提供を開始している。このアプリで、内蔵ストレージ/microSDカードの空き容量や、どんな種類のファイルがあるのかなどをグラフィカルに表示できる。また、オプションの「OptiMem」機能を利用すると、撮影してから時間が経った写真や動画などを自動的にmicroSDカードへコピーされるようになる。Google Playストアより入手できる。

128GB SanDisk Ultra microSDXC UHS-Iの特徴。クラス10、UHS-Iに対応しており、リードでは最大30MB/secを実現している
SanDiskのMemory Zone app。内蔵ストレージとmicroSDカード上のデータをグラフィカルに表示できる
内蔵メモリを圧迫する古い動画や写真を自動的にmicroSDカードへと移動してくれるOptiMem機能

eMMC 5.0に対応し、OSやアプリの起動を高速化するiNAND Extreme

 もう1つ発表されたiNAND Extremeは、最大で64GBの容量を持ち、かつeMMCの最新版の規格であるeMMC 5.0 HS400(別記事参照)に対応した製品となる。

 一般的なPCでは、SSDなどのストレージはSATAかPCI Expressに接続されている。SSDはインターフェイスが高速ということもあり、性能面では有利なのだが、消費電力はやや大きくなってしまうので、低消費電力であることが重視されるスマートフォンやタブレットなどでは、性能はやや落ちるが、消費電力が低いeMMCがフラッシュメモリとSoCを結ぶインターフェイスとして採用されている。

 現在、スマートフォンやタブレットで一般的に利用されているのはeMMC 4.xという規格で、例えばAtom Z3700シリーズ(Bay Trail-T)では、eMMC 4.51 HS200インターフェイス(最大で200MB/sec)に対応している。SanDiskは2013年9月にこのeMMC 4.51 HS200に対応したiNAND Extremeを発表(別記事参照)しており、今回発表された製品はその上位版となる。

 最大の違いは、前述の通りeMMC 5.0に対応していることで、性能には以下のような差が出る。

【表】従来モデルと新モデルの性能の違い
新モデル 旧モデル
シーケンシャルアクセス リード 300MB/sec 150MB/sec
ライト 80MB/sec 45MB/sec
ランダム リード 6,000IOPS 4,000IOPS
ライト 3,000IOPS 800IOPS

 シーケンシャルリード/ライトが倍近くなっているのはもちろんだが、注目するのはランダムリード/ライトも大きく向上している点。OSやアプリケーションの起動などはランダムリード/ライト性能に依存するので、普段の利用シーンでの性能が向上してくる。SanDiskによれば、今回大きく性能を向上できたのは、内蔵コントローラをデュアルCPUにし、内部をデュアルチャネル構成にしたことが大きな要因だという。

 利用するにはSoC側がeMMC 5.0に対応している必要があるが、すでにQualcommがSnapdragon 801で対応を明らかにするなど、対応が進んでおり、今後登場するSoCではさらに対応が進む見通しだ。

 なお、今回発表されたeMMC 5.0対応iNAND Extremeは、16/32/64GBで、128GBの製品は従来通りのeMMC 4.51 HS200に対応した製品に留まる。すでにOEMメーカーのいくつかにはエンジニアリングサンプルを出荷済みで、第2四半期に量産出荷を開始する予定という。

 eMMC 5.0に対応した製品が出回るようになれば、PCのHDDがSSDに変わった時のように性能が飛躍する可能性は高く、早期普及に期待したいところだ。

iNAND Extremeのデモ。右側がeMMC 5.0に対応したiNAND Extreme、左がeMMC 4世代の一般的なフラッシュメモリ。左側は処理が進んでいることがわかるが、右側はまだ表示されている画像が少ない
具体的なベンチマークによる差。eMMC 5.0に対応したiNAND Extremeはレイテンシが短い。PCであろうが、スマートフォンであろうが、レイテンシが短くなることは、即ユーザーの利用感が改善されることを意味しており、SanDiskの担当者によれば、1日使えば10分間得する計算になるという

(笠原 一輝)