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サンディスク、日本でもSSDのリテール販売を開始
~第1弾は性能が劣化しない、ハイエンドモデル
(2014/8/4 20:00)
サンディスク株式会社は、読み書きとも500MB/secを超えるハイエンドSSD「エクストリームプロSSD」を9月上旬より発売する。価格はオープンプライス。ラインナップは240/480/960GBで、店頭予想価格(税別)は順に2万円前後、4万円前後、65,000円前後。
同社製SSDとして初めて国内でリテール販売される製品。各量販店やオンラインショップで取り扱われる。
独自コントローラを搭載し、連続読み込み550MB/sec、連続書き込み515MB/sec(240GBのみ520MB/sec)の高速性を実現するとともに、独自の「nCache Pro」技術により、長期使用による性能落ち込みを防ぐことに成功した。
同技術は名前の通り、キャッシュを利用したもので、その正体は、コントローラ、DRAMキャッシュそしてMLC NANDフラッシュというデータ経路の間に置かれたSLC NANDキャッシュとなる。DRAMキャッシュは高速だが、電源が落ちると、内容が消去され、信頼性に不安が残る。SLCキャッシュは、速度こそDRAMには劣るが、MLCに比べ高速で、書き換え寿命も長い。同社はDRAMやNANDの長年のノウハウを持っており、DRAM、SLC、MLCそれぞれを最適なバランスで扱うことで、高速性を実現しつつ、その速さを製品寿命に渡って維持できるようにした。
実際、PCMark8のConsistency Testの結果によると、競合製品がテストを繰り返すとある一定の時期に性能が落ちるのに対し、エクストリームプロでは当初の性能を維持している。この点に同社は大きな自信を持っており、製品の保証についても、クライアント向けSSDとして業界初の10年保証を提供する。昨今のハイエンドSSDはSATA 6Gbpsの限界に近い転送速度を実現しており、性能だけで訴求することが難しくなっているが、信頼性は差別化の要因になるだろう。
そのほかの仕様は、ランダム読み出しが100,000IOPS、書き込みが90,000IOPS、書き込み可能データ量(4KBランダム)が80TBW以上、消費電力が240GBが0.13Wで、残りが0.15W。
SSDの状態監視、TRIMの有効化、ファームウェアアップデートなどを行なうユーティリティ「Dashboard」が付属。今後のアップデートで、プラグインによって他社製ソフトとの連携ができ、2台のストレージでのディスクコピーが行なえるようになる予定。
今回の発表に併せて、米SanDisk本社でリテール製品マーケティングおよびエマージングマーケット担当バイスプレジデントのディネシュ・バハール氏に、日本リテール市場へのSSD投入の背景などを伺った。
同社の強みは、設計から技術開発、製造、応用、販売に至るまでの垂直統合を実現している点。東芝とのジョイントベンチャーによる、最先端工場も持つ。日本リテール市場へのSSD投入はこれが初となるが、世界市場では、4TB SAS SSD、128GB microSDカード、DIMMスロットに装着できる「ULLtraDIMM」など、SSDを含むNANDフラッシュ分野で多くの世界初を成し遂げ、2013年にはOEMとリテールを合わせ、世界2位のSSDメーカーに上り詰めた。現在中国の工場で毎日200万台近くの製品を出荷しているが、2015年半ばには、ウェハ製造から製品組み立てまでを行なう業界初の統合型SSD製造施設をマレーシアに竣工させ、この業界でさらにリーダーシップを取っていくという。
同社では日本のSSD市場は世界的にも大きな市場だと認識しているが、性能への要求が強いため、それに応えうるエクストリームプロを開発できたことで、満を持しての日本参入となる。今回の製品は、エンスージアストとゲーマーをターゲットとしたもので、ゲームについてはPCのみならず、据え置きゲーム機の載せ替えも視野に入れているという。
今後は、メインストリームやエントリー向けも、日本市場に適した製品が用意でき次第、投入していく構え。今回、最近自作市場を中心に脚光を集めている、M.2型SSD投入の予定について聞いたが、現時点では、OEM向けにはM.2製品も用意している、という回答に留まった。肯定とも否定ともとれないが、ユーザーとしては熱い市場への熱い製品の投入に期待したいところだ。
また、製品を事前に試す機会も得られたので、簡単にベンチマーク実施してみた。使用したのは240GBと480GBのモデル。ベンチマークソフトは、CrystalDiskMark 3.0.3 x64とATTO Disk Benchmarkを利用した。
これを見ると、連続アクセスは、ATTO Disk Benchmarkでは、書き込みについては公称通りの性能が出ているが、読み込みについては全般的に公称値をやや下回る結果となった。ただし、550MB/secと515MB/secでは体感できるほどの有意な差はほぼないと言って良い。ランダムデータと0fillデータによる性能差は出ていないので、性能に偏りが出ることはない。本製品の価値は、今回のベンチマークでは測れていないが、この性能が劣化しない点にある。