イベントレポート

Lenovo、超高解像度のYoga 2 ProやThinkPad YogaなどマルチモードPCを拡充

~デュアルモードで低価格のFlexも発表

Yoga 2 Proを手に持つLenovo ビジネス事業部上級部長 ニック・レイノルド氏
会期:9月6日~12日(現地時間)

会場:Messe Berlin

 Lenovoは、IFAの開幕前日の5日(現地時間)に記者会見を開催。昨年(2012年)発売した、液晶が360度回転する「Yoga」(ヨガ)シリーズの後継となる「Yoga 2 Pro」や、「ThinkPad」シリーズで同様の液晶回転機構を備えた「ThinkPad Yoga」を発表した。

 同社では、こうした複数の形状に変形できる機能を「マルチモード」と呼んでおり、エンドユーザーに対して複数のシーンで思ったように使える点をアピールしていきたい意向だ。

 また、Lenovoは変形機構を2つに絞った低価格版Yogaとして「Flex 14/15」を投入。14型のローエンドモデルを499ユーロで発売することを明らかにしたほか、1月のCESで発表したファミリー向けのタッチ対応液晶一体型PC「Horizon」の小型版として、「Flex 20」を発表した。

3,200×1,800ドットの高解像度ディスプレイとHaswellを搭載したYoga 2 Pro

 IFA会場に設営されたLenovoブースで行なわれた記者会見で、Lenovo ビジネス事業部上級部長のニック・レイノルド氏は、昨年発売したYogaシリーズの最新製品としてYoga 2 ProをWindows 8.1の正式出荷以後に発売することを明らかにした。

 Yogaシリーズはいわゆる2-in-1デバイスと呼ばれる変形機構を備えるノートPCで、日本では「Yoga 13」、「Yoga 11S」という2製品が既に発売されている。Yoga 13、Yoga 11Sは、いずれも第3世代Coreプロセッサ(Ivy Bridge)を搭載している。

 今回発表されたYoga 2 Proは、13.3型の液晶ディスプレイを搭載しており、サイズを考えると、Yoga 13の後継製品と考えることができる。最大の特徴は、液晶の解像度がQHD+(3,200×1,800ドット)という高解像度になっていることだ。従来のYoga 13はフルHD(1,920×1,080ドット)であったので、かなり大きな進化だと言える。レイノルド氏は「ピクセル数が4倍近くになっただけでなく、1.4mm薄くなって15.5mmに、さらに重量も10%ほど減って1.39kgになった」とアピールした。

 これ以外のスペックとしては、第4世代Core Uプロセッサ、メモリ8GB、SSD 128/256/512GB、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0、720p Webカメラ、Dolby Home Theaterに対応したオーディオなどを搭載している。本体サイズは、330×220×15.5mm(幅×奥行き×高さ)。

 レイノルド氏によれば、Yoga 2 Proは、10月出荷、1,099ドルの価格が予定されているとのことだった。日本での発売などに関しては特にアナウンスはなかった。

タブレットモードなど、4つのモード(タブレット、クラムシェル、テント、スタンド)に切り替えて使うことができる
カメラを利用したジェスチャーコントロール、音声認識操作機能などがデモされた
クラムシェル(LAPTOP)モード
スタンドモード
テントモード
タブレットモード
Yoga 2 Pro。見た目は従来のYoga 13に近いが、330×220×15.5mm(同)と若干小さくなっており、重量もやや減って1.39kg
本体の左側面にはUSB 3.0とUSB 2.0、ヘッドフォン端子が用意されている
本体の右側面には電源スイッチ、ACアダプタのポート(最新ThinkPadと共通の平型端子)、Micro HDMIポートが用意されている
タブレットにした状態
180度開いた状態の裏面。ボディカラーは従来と同じでオレンジ

ThinkPadシリーズとしては初めてのYogaタイプとなるThinkPad Yoga

 引き続いてレイノルド氏は、同社のビジネス向けノートPCであるThinkPadブランドのマルチモードPCとなるThinkPad Yogaを発表した。

 Yogaシリーズが、同社のコンシューマ向け製品であるのに対して、ThinkPadシリーズは、ビジネスユーザーに向けたノートPCとなる。ThinkPadではこれまで、Yogaのような液晶回転機構を持つ製品はリリースされていなかったが、ThinkPad Yogaは、Yogaと同じようにマルチモードで利用できる。

 ビジネスユーザーのニーズを満たすため、従来のThinkPadと同等の耐久性や保証制度などを持っているほか、Yogaシリーズにはない特徴として、タブレットモード時にはキートップが筐体内部に格納される機構を持っている。

 液晶はHD(1,366×768ドット)とフルHDの2モデルが用意されており、CPUは第4世代Core Uプロセッサを採用。標準のサイズは316×221×18.8mm(同)で、重量は1.58kgとなる(サイズと重量はモデルによって異なる)。バッテリ容量は47Whで、Core i3を選択すると8.3時間のバッテリ駆動が可能になるとLenovoでは説明している。

 価格は949ドルが予定されており、11月に米国などで販売が開始される予定だ。日本での発売予定、価格などは現時点では特にアナウンスはなかった。

ThinkPad Yogaは、Yoga 2 Proと同じ360度液晶が回転するタイプのマルチモードPC
タブレットモードにした場合にはキートップが本体の内部に格納される
将来的にはオプションでデジタイザペンも提供される予定だが、発売当初はデジタイザペンなしのモデルが中心になる
クラムシェルモードで閉じた時には、普通のThinkPadにしか見えない
ThinkPad Yogaはクラムシェルモードの時には普通のThinkPadとの違いは分からない
本体の左側面。USBポートとヘッドフォン端子、それに平型のACアダプタ端子
本体の左側面、電源ボタンやロックボタン、SDカードスロット、パワードUSB端子、Mini HDMI端子を搭載している。またパームレストの下にはペンを格納する場所がある
ThinkPad Yogaのキーボードとタッチパッド。TrackPointのボタンは、他の2013年型ThinkPadと同じでタッチパッドと一体型。キーボードは6列配列で、F4-F5、F8-F9の間にスペースがある新型6列配列
キートップが本体に格納された状態。多くのこうした製品では、キーボードをソフトウェア的に無効にして誤操作を防いでいるが、物理的にキートップを押せない状態になるものは例がない

クラムシェルとスタンドモードに絞ることで低価格を実現したFlex 14/15

 Yoga 2 Proや、ThinkPad Yogaが液晶部分が360度回転し、4つのモードで利用できるのに対し、Flex 14/15はクラムシェルとスタンドモードの2つだけをサポートし、コストを削減したローエンドモデルとなる。

 Yogaシリーズで採用されているような360度回転するヒンジのデザインは複雑で、どうしてもコスト高になってしまうため、同じようなクラスのクラムシェルノートPCに比べて価格を高くせざるをえないのだ。

 そこで、Flex 14/15では液晶部分の回転を360度ではなく、スタンドモードとして利用できる程度にまでと限定したことで、安価に提供できるようにした。レイノルド氏は「Flexシリーズは10月以降のホリデーシーズンに499ユーロからで発売する」と述べ、マルチモードを、より買い求めやすい価格帯にももたらすことが狙いだと説明した。

 Flex 14/15はCPUには第4世代Core Uプロセッサ、メモリ最大8GB、タッチ対応HD液晶、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0というスペックになっており、14型液晶を搭載しているFlex 14が2kg、15型液晶を搭載しているFlex 15が2.3kgの重量となる。

Flex 14/15は普及価格帯向けの2-in-1デバイス。
クラムシェルモードとスタンドモードの2つのモードだけをサポートする。その代わりに普及価格帯での提供が可能に
Flex 14は14型HD液晶を搭載する2-in-1ノートブックPC
本体の左側面。ACアダプタ(平型)、HDMI、USB端子、Ethernetなどが用意されている
本体の右側面、ヘッドフォン端子、SDカードスロット、USB端子×2
Yogaのように360度は回転せず、スタンドモードまでの変形になる
左がFlex 15、右がFlex 14、液晶のサイズと本体色が違う以外はデザインなどは共通になっている

Horizonの20型版となるFlex 20

 LenovoはCESで、Horizonと呼ばれるファミリー向けのタッチ対応液晶一体型PCを発表、グローバル市場で販売しているが、IFAにおいては、その20型版となるFlex 20を発表した。

 Flex 20は底面にスタンドを備えており、大型のタブレットPCとして利用できるほか、スタンドをしまい机と水平にするとテーブルトップで利用することが可能になる。

 スペックは第4世代Coreプロセッサ、HD+(1,600×900ドット)解像度の19.5型液晶、メモリ最大8GB、500GB HDDないしはSSDキャッシュ内蔵500GB HDD、Dolby Home Theater v4オーディオ、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0、内蔵バッテリで3時間駆動。サイズは509.3×311.7×20.5 mm(同)、重量は3.5kgとなる。

 このほか、Lenovoは「Vibe X」というスマートフォン、「S5000」というタブレットを発表した。Vibe Xは5型フルHD液晶を搭載したスマートフォンで、SoCにはMediaTek 6589Tというクアッドコアプロセッサを搭載。CESで発表された「K900」がAtom Z2580を搭載したハイエンド向けであるのに対して、普及価格帯向けの製品となる。S5000も同様で、MediaTek 6589Tを搭載しており、米国での価格が199ドルとなる予定で、やはり普及価格帯を狙った製品となる。

19.5型の液晶を搭載したタッチ対応液晶一体型PC(大型タブレット?)のFlex 20
このように、机の上に水平に置くことが可能
Horizonと共通のファミリー向けのユーザーインターフェイスを搭載している
Flex 20にはワイヤレスキーボードとマウスも付属している
ポートは左側面に集中しており、ACアダプタ、USB×2、ヘッドフォンジャックなどが用意されている
本体にはスタンドが内蔵されており、それを利用することで無段階で角度が変えられる
Vibe Xは、MediaTek 6589Tを搭載したAndroid 4.2スマートフォン。液晶は5型フルHDで、中国でこの秋から販売開始予定
S5000は7型1,280×800ドットの液晶を搭載したAndroid 4.2タブレット。米国での価格が199ドルが想定されており、普及価格帯のタブレットとなる

(笠原 一輝)