Hothotレビュー

レノボ・ジャパン「ThinkPad Tablet 2」

〜重量570gのWindows 8搭載10.1型タブレット

発売中(受注停止中)

 レノボ・ジャパンから登場した「ThinkPad Tablet 2」は、OSとしてWindows 8を搭載した10.1型タブレット製品である。Windows 8搭載機としては、液晶ヒンジが360度回転するなどの機構を備えることで、1台でノートPCとしてもタブレットとしても使えるハイブリッドタイプの製品も登場しているが、ThinkPad Tablet 2は、キーボードや変形機構を搭載しない、いわゆるピュアタブレット端末である。

 初代ThinkPad Tabletは、OSとしてAndroidを搭載していたが、ThinkPad Tablet 2は、OSがWindows 8に代わり、ハードウェア構成も一新されている。ThinkPad Tablet 2は、主にビジネス向けとして開発された製品であるが、スリムで軽く、堅牢性も高いことから、在庫切れで一般向け発売が遅れるほどの人気を集めた。今回は、ThinkPad Tablet 2を試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。

液晶保護に一般的なガラスの6倍の強度を持つドラゴントレイルを採用

 現在販売されているWindows 8搭載タブレットは、搭載CPUによってCore iシリーズ搭載機とAtom Z2760搭載機に大別できる。ThinkPad Tablet 2は、後者に属する製品であり、Core iシリーズ搭載機に比べて、純粋なCPUパフォーマンスでは見劣りするものの、消費電力が小さく、バッテリ駆動時間や本体サイズ、重量などの面では有利だ。

 本体のサイズは、262.6×164×9.8mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は最軽量時構成で約570gである。10.1型タブレットとしては最軽量クラスであり、気軽に携帯できる。液晶保護材として、旭硝子が開発した「ドラゴントレイル」でカバーされていることも特徴だ。ドラゴントレイルは、一般的なガラスの6倍の強度を持つ化学強化ガラスであり、落下や外部からの衝撃に対しても安心できる。

ThinkPad Tablet 2の前面。中央下部にWindowsボタンが用意されている
ThinkPad Tablet 2の背面。中央上部に800万画素カメラが搭載されている
背面カメラのアップ。前面にも200万画素カメラが搭載されており、ビデオ会議などに最適である
試用機の重量は実測で559gであった(ペン込み)。Androidタブレットと比べても遜色のない重量だ

視野角の広いIPS液晶を搭載

 ハードウェアスペックについて見ていこう。CPUには、Atom Z2760(1.80GHz)を搭載しており、メモリは2GB(増設は不可)。ストレージは64GBフラッシュメモリである。液晶は、10.1型IPS液晶を採用。解像度は1,366×768ドットで、5点同時検出対応のタッチパネルを装備している。IPS液晶は視野角が広いため、斜めから見ても視認性は高く、発色も美しい。光沢タイプの液晶だが、表面には反射防止のARコーティングが施されているため、映り込みも比較的少ない。

 インターフェイスとしては、USB 2.0とMini HDMI出力、マイク/ヘッドフォン端子が用意されているほか、microSDカードスロットも用意されている。なお、左側面には、Micro USBポートが用意されているが、このポートは充電専用であり、USBデバイスを接続することはできない。また、本体前面に200万画素カメラ、背面には800万画素カメラが搭載されているほか、デュアルスピーカーやデュアルノイズキャンセリングマイクも備えており、ビデオ会議なども快適に行なえる。

 ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11a/b/g/n対応無線LANとBluetooth 4.0を搭載。センサー類も充実しており、GPS、電子コンパス、照度センサー、近接センサーを搭載する。OSは、Windows 8 Pro(32bit)を搭載している。

 Atom Z2760搭載のWindows 8タブレットとしては、標準的な構成といえる。

10.1型IPS液晶を採用。解像度は1,366×768ドットで、5点同時検出対応のタッチパネルを装備。視野角が広く、発色も鮮やかだ。光沢タイプだが、表面には反射防止のARコーティングが施されており、映り込みが抑えられている
左側面には、USB 2.0ポート(カバーで覆われている)や充電専用Micro USBポートが用意されている
左側面のコネクタ部分のアップ。USB 2.0ポートのカバーは外している
右側面には、回転ロックボタンと音量ボタン、マイク/ヘッドフォンコンボ端子が用意されている
右側面のボタン部分のアップ
上面のカバーの中には、microSDカードスロットが用意されている
上面のスロットカバーを開けたところ。左がMicroSDカードスロット。右はSIMカードスロットだが、日本で販売されている製品はWWAN非搭載なので利用できない
下面には、ドック用端子とMini HDMI出力が用意されている

デジタイザペンが電池不要になり、使い勝手が向上

 ThinkPad Tablet 2は、指でのタッチ操作だけでなく、デジタイザペンでの操作が可能なことも魅力だ。デジタイザペンが付属するモデルと、付属しないモデルがあり、後者には液晶にデジタイザ機能が搭載されていないため、後からオプションで販売されているデジタイザペンを買っても、ペン操作を行なうことはできない。

 初代ThinkPad Tabletでは、デジタイザペンにやや特殊な電池が使われていたが、ThinkPad Tablet 2では電池不要になり、ペンがより細く軽くなった。1,024段階という、高精度な筆圧感知に対応していることも特筆できる。ペンはワコムの電磁界共振技術が使われており、近づけるだけでポインタが反応するほか、右クリックなどの役割を果たすサイドボタンも用意されている。

 ペンの反応や書き心地もよく、筆圧感知対応アプリを使えば、紙にペンで書くのに近い感覚で、メモを取ったり、画を描いたりすることが可能だ。ペンは、本体に収納できるようになっているので、持ち運びの際にも便利だ。

付属のデジタイザペン。ThinkPad Tabletのペンは電池を内蔵していたが、ThinkPad Ttablet 2では電池が不要になり、格段に細くなった。側面にはサイドボタンが用意されている
ペンは本体の左側に収納できるので、スマートに持ち歩ける
【動画】ペンの動作の様子。近づけるだけでポインタが移動していることがわかる。また、サイドボタンを押すと、○印が表示される。これは右クリックと同じ役割を果たし、画面に触れてサイドボタンを押すことで、プロパティメニューなどを開ける

無線LAN有効で約10時間の長時間駆動を実現

 バッテリ駆動時間が長いことも魅力だ。バッテリは、2セルのリチウムポリマー電池で、無線LAN有効時の公称バッテリ駆動時間は約10時間とされている。実際に、バッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとに無線LAN経由でのWebアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ、公称を上回る12時間22分もの駆動が可能であった(電源プランは「バランス」、液晶輝度は「中」)。バッテリの持ちは非常に優秀であり、バッテリの残りを気にせずに、1日たっぷり使うことができる。ACアダプタもコンパクトで軽く、携帯性は高い。

 なお、従来のThinkVantageテクノロジー関連ユーティリティの多くは、Windows 8では利用できないが、代わりにModern UIに対応した新ユーティリティ「Lenovo Settings」や画面キャプチャツールの「Lenovo QuickSnip」などが搭載されている。

付属のACアダプタ。ACプラグ部分が一体化したタイプで、コンパクトで携帯性も優秀だ
ACアダプタの重量(ケーブル込み)は、実測で95gであった
従来のユーティリティの代わりに、Modern UI対応の「Lenovo Settings」が搭載されている
オリジナルキャプチャツールの「Lenovo QuickSnip」。キャプチャ画像を自由形状で切り抜くことが可能

ドックやBluetoothキーボードなど、専用オプションが充実

 ThinkPad Tablet 2は、ドックやBluetoothキーボードなど、専用オプションが充実していることも魅力だ。ThinkPad Tablet 2 ドック(以下ドック)は、ThinkPad Tablet 2の下部に取り付けるドッキングステーションであり、装着することでUSB 2.0×3やHDMI出力、有線LANが利用できるようになる。また、ドックには65WのACアダプタが付属しており、本体バッテリの急速充電が可能だ(ACアダプタを接続しないとドックは認識されない)。

オプションのThinkPad Tablet 2ドックの上面
ドックに本体を装着したところ。本体下面にあるコネクタと接続する。本体の角度は固定で変更はできない
ドックの左側面。こちら側には特にコネクタ類は用意されていない
ドックの右側面。USB 2.0ポートが1基用意されている
ドックの背面。HDMI出力、マイク入力、ヘッドフォン出力、USB 2.0×2、LAN、DC入力端子が用意されている。なお、Micro USBポートは、ThinkPad Tablet 2のエンジニアリングデバッグのみを目的としたポートであり、デバイスの接続はサポートされていない
ドックには65WのACアダプタ(ThinkPadシリーズで一般的に使われているものと同じ)が付属しており、ThinkPad Tablet 2の急速充電が可能だ。なお、ACアダプタを接続しないと、ドックは認識されない

 ThinkPad Tablet 2 Bluetoothキーボード(以下Bluetoothキーボード)は、ThinkPad Tablet 2とBlueooth経由で接続されるワイヤレスキーボードで、ポインティングデバイスとしてオプティカル・トラックポイントを搭載する。

 Bluetoothキーボードは、ThinkPad Tablet 2のスタンドとしての役割も果たすようになっており、スタンド部分を持ち上げ、キーボードの奥側の溝に本体をはめ込んでスタンドに立てかけることで、本体が見やすい角度で保持される。キーボードの配列は標準的で、キーピッチは約18.5mmだが、右側の「ほ」や「へ」などのキーのピッチは最小約12.5mmと狭くなっている。

 オプティカル・トラックポイントは、光学式マウスを裏返したようなデバイスであり、上に載せた指を滑らせることで、ポインティング操作が可能だ。Bluetoothキーボードのスタンドに本体を立てかければ、ノートPCと同じような感覚で利用することができる。また、BluetoothキーボードとThinkPad Tablet 2のフットプリントはほぼ同じであり、両者を重ねれば、カバンの中などでも場所を取らずに収納できるので便利だ。Bluetoothキーボードは、内蔵バッテリで動作し、バッテリの充電はMicro USBポート経由で行なう。

オプションのThinkPad Tablet 2 Bluetoothキーボード。キー配列は標準的だが、右側の一部のキーのピッチがやや狭くなっている。ポインティングデバイスとして、オプティカル・トラックポイントを搭載する
オプティカル・トラックポイントのアップ。表面を指でなぞることで操作を行なう。通常のトラックポイントとは異なり、タップして選択することはできない
スタンド部分を持ち上げたところ。キーボード奥の溝にThinkPad Tablet 2をはめ込み、スタンドに立てかけることができる
キーボードにThinkPad Tablet 2をはめ込んだところ。コネクタなどを接続する必要がなく、外観もスマートだ
ThinkPad Tablet 2本体とキーボードとの角度は固定となる
ThinkPad Tablet 2本体とキーボードのフットプリントはほとんど同じである
キーボードの上にThinkPad Tablet 2を重ねたところ。このまま重ねて持ち運んでも、液晶にキーの跡がついたりはしない
キーボードには充電専用のMicro USBポートが用意されており、本体付属のACアダプタなどを利用して内蔵バッテリの充電が可能

視野角を制限し、覗き見を防ぐプライバシーフィルター

 ビジネスで利用する場合は、覗き見などによる情報漏えいにも注意が必要だ。ThinkPad Tablet 2はIPS液晶を採用しているため、視野角が広く、斜めから覗かれてしまう恐れがあるが、オプションのプライバシーフィルターを装着することで視野角が制限され、覗き見を防ぐことができる。

 また、プロジェクターを利用してプレゼンテーションを行なう場合、ミニD-Sub15ピンのVGA出力が必要なことも多いが、オプションの「ThinkPad Tablet 2 VGAアダプター」を本体下面のコネクタに装着することで、ミニD-Sub15ピンのアナログRGB出力を利用できるようになる。

ノーマル状態の液晶を正面から見たところ
ノーマル状態の液晶を斜めから見たところ。IPS液晶を採用しているため、視野角が広く、斜めから見ても視認性は十分だ
オプションのプライバシーフィルターを装着した液晶を正面から見たところ
プライバシーフィルターを装着した液晶を、先ほどのノーマル状態とほぼ同じ角度の斜めから見たところ。視野角が制限されており、表示内容が見えなくなっている
オプションのVGAアダプター。ThinkPad Tablet 2に差し込むコネクタにはカバーが装着されており、持ち運びにも便利だ
VGAアダプターのコネクタカバーを外したところ
VGAアダプターをThinkPad Tablet 2に装着したところ。VGAアダプターを装着したまま、キーボードに載せて使うことはできない

Windows 8の動作も十分快適

 参考のためにベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークプログラムは「PCMark05」、「PCMark Vantage」、「PCMark 7」、「3DMark03」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark」だ。 比較用として、レノボ・ジャパン「IdeaPad Yoga 13」、ソニー「VAIO Duo 11」の値も掲載した。

  ThinkPad Tablet 2 IdeaPad Yoga 13 VAIO Duo 11
CPU Atom Z2760 (1.80GHz) Core i7-3517U (1.9GHz) Core i5-3317U (1.70GHz)
ビデオチップ PowerVR SGX 545 Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000
PCMark05
PCMarks N/A N/A N/A
CPU Score 2119 8823 7885
Memory Score 2029 7159 7825
Graphics Score 537 2464 2527
HDD Score 6124 38063 48050
PCMark Vantage 64bit
PCMark Score 非対応 N/A N/A
Memories Score 非対応 6642 7951
TV and Movie Score 非対応 Failed Failed
Gaming Score 非対応 8237 10248
Music Score 非対応 14338 14890
Communications Score 非対応 N/A N/A
Productivity Score 非対応 N/A N/A
HDD Score 非対応 28358 45577
PCMark Vantage 32bit
PCMark Score N/A N/A N/A
Memories Score 1012 6423 7609
TV and Movie Score Failed Failed Failed
Gaming Score 1764 7207 9199
Music Score 3019 13721 14047
Communications Score N/A N/A N/A
Productivity Score N/A N/A N/A
HDD Score 5489 28508 45380
PCMark 7
PCMark score 1436 4644 4648
Lightweight score 946 3143 2818
Productivity score 593 2299 1977
Creativity score 2989 8598 9178
Entertainment score 1044 3264 3232
Computation score 3815 14847 16495
System storage score 3000 4877 5171
3DMark03
1,024×768ドット32bitカラー (3Dmarks) 2023 9153 12635
CPU Score 354 1553 1658
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH 860 4224 4206
LOW 1501 6372 6190
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP 42.7 99.97 100
HP 99.93 100 100
SP/LP 100 99.97 99.97
LLP 100 99.97 100
DP(CPU負荷) 32 22 14
HP(CPU負荷) 34 9 6
SP/LP(CPU負荷) 21 4 3
LLP(CPU負荷) 29 5 2
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード 80.41MB/s 253.1MB/s 458.0MB/s
シーケンシャルライト 34.17MB/s 238.4MB/s 260.3MB/s
512Kランダムリード 77.49MB/s 196.5MB/s 315.3MB/s
512Kランダムライト 28.49MB/s 204.9MB/s 240.1MB/s
4Kランダムリード 8.660MB/s 13.68MB/s 19.67MB/s
4Kランダムライト 2.098MB/s 30.89MB/s 40.69MB/s
BBench
Sバッテリ(標準バッテリ) 12時間22分 6時間12分 5時間18分
Lバッテリ なし なし 9時間57分

 IdeaPad Yoga 13やVAIO Duo 11は、Core i7やCore i5を搭載しているため、ベンチマークスコアを比べると、ThinkPad Tablet 2はかなり低く見えるが、Windows 8のModern UIは快適に動作しており、Windowsストアアプリ中心に使う場合は、パフォーマンス面で大きな不満は感じない。もちろん、絶対的なパフォーマンスはやはりCore iシリーズよりは低いため、デスクトップアプリはやや動作が重く感じる場合もあり、動画エンコードなど、CPU負荷の高い作業を行なわせるには向かない。しかし、高い携帯性を活かして、コンテンツビューア的に使ったり、インターネット端末として使うには十分であろう。

Windows 8タブレットとしての完成度は高い

 ThinkPad Tablet 2は、レノボ・ジャパンがこれまでThinkPadシリーズで培ってきた技術が注ぎ込まれた、完成度の高いWindows 8タブレットである。堅牢かつ軽いので、気軽に持ち歩け、実測で12時間を超えたバッテリ駆動時間の長さはまさに驚異的である。主にビジネス向けとしてリリースされた製品ではあるが、Windows 8が快適に動く、軽くて薄いタブレットが欲しいというコンシューマーユーザーは決して少なくないだろう。1,024段階の筆圧検知に対応したペンをサポートしているので、タブレットで画を描きたいといった人にもお勧めできる。現在でもまだ品薄のようだが、一刻も早く需給が改善されることを望む。

(石井 英男)