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ユーザーの声をもとに進化を遂げたLTE対応/11.6型モバイルノート「VAIO S11」

VAIO S11

 VAIOは、ビジネス向けモバイルノートPC「VAIO S11」の新モデルを発表した。従来モデルのユーザーから寄せられたフィードバックをもとに、ビジネスシーンでの利便性を最優先としたブラッシュアップを施すことで、魅力が高められている。

 今回、その新VAIO S11の試作機をいち早く試用する機会を得たので、ハードウェア面を中心に紹介する。なお、仕様面などに関しては製品版とは異なる可能性があるので、あらかじめご了承願いたい。

直線的な筐体デザインとなり軽量化も実現

 VAIO Sシリーズは、VAIOが発売するPCのなかで、ビジネスシーンでの利用をターゲットとした、メインストリーム向けの製品だ。そのなかで、もっとも小型軽量で、ビジネスモバイル用途をメインターゲットとしているのが「VAIO S11」だ。

 今回の新モデルは、従来製品のコンセプトを受け継ぎつつ、さまざまな面で進化を遂げている。

 まず、見た目での変化となるのが、筐体デザインだ。従来モデルでは、側面や角などに曲線を取り入れることで、比較的柔らかい印象となっていた。それに対し新モデルでは、側面や角が鋭角となり、直線的なデザインへと変更されている。

 また、キーボード面は全体を覆うフラットアルミパームレストを採用するとともに、アルマイト処理による染色を施すことで、高級感を演出している。キーボード面のおうとつがないため、ほこりが溜まりづらいという点も、うれしい部分。

 ビジネスシーンでの利用がメインターゲットではあるが、外に持ち出して利用するモバイル用途ということで、見られるときのイメージにも気を配ったという。シャープさが増しており、スマートな印象を相手に与えられるように感じる。

 筐体色も定番のブラックとシルバーに加えて、ホワイトとブラウンを加えた4色をラインナップ。今回は新色のブラウンのモデルを試用したが、重厚感も感じられ、定番カラーにはない魅力がある。VAIO S11がビジネス用途だけでなく、一般ユーザーの利用も想定しているからこそのカラーバリエーションだが、新色でも派手という印象はないため、ビジネスシーンでも問題なく利用できそうだ。

 筐体デザインの変更に加えて、軽量化も実現。従来モデルでも920~940gと、まずまずの軽さだったが、新モデルでは約840~860gと100g近くの軽量化を実現。実測では843.5gだった。

 実際に旧モデルと持ち比べてみると、筐体サイズがコンパクトなこともあって、数字以上に軽くなったという印象だ。新モデルでは、天板に東レ製UDカーボンを採用することで、強度を確保しつつ軽量化を追求したという。

 毎日ノートPCを持ち歩くビジネスユーザーにとっては、軽さは非常に重要なポイントで、実際に従来モデルの利用者からも軽さに関する声が大きかったそうで、それに応える形で軽量化を実現したとのことだ。

 軽さを追求しつつ、従来同様の堅牢性もしっかり確保している。高さ90cmからの落下試験や本体ひねり試験、本体との間にペンを挟んで液晶を閉じる“ペンはさみ試験”、キーボード面への150ccの水かけ試験など、過酷な試験を実施し、それらをクリアする堅牢性を確認しているという。軽さを追求しつつ優れた堅牢性もしっかり確保している点は、ビジネスモバイル用途として非常に心強い部分と言える。

 サイズは、283.4×195.5×15.0~17.9mm(幅×奥行き×高さ)。従来モデルと比べると、奥行きが5mmほど増え、高さは1mm以上薄くなっているが、全体的には大きな違いはなく、鞄などへの収納性に大きな違いはないと考えていいだろう。

本体天板部分。天板素材にはUDカーボンを採用しており、強度を保ちつつ軽量化を実現。新カラーのブラウンは重厚な印象で、高級感も感じられる
従来モデル(右)との比較。新モデルはフットプリントが283.4×195.5mm(幅×奥行き)となっており、奥行きが5mmほど増えている。また、全体的に直線的なデザインに変更され、シャープなイメージとなった
こちらは液晶を開いて従来モデル(右)と並べた様子。こちらからも、新モデルでは全体的に直線的なデザインになっていることがよくわかる
本体前面
左側面。高さは15.0~17.9mm
従来モデル(右)から高さはほとんど変わっていないように見えるが、1mmほど薄くなっている
背面
右側面
底面
重量は実測で843.5gと、従来モデルよりも100g近く軽くなっている

「Always Connected PC」準拠のLTE通信機能に対応し、データ通信用SIMを添付

 VAIO S11の魅力の1つとなっているのが、LTE対応ワイヤレスWAN機能が搭載可能という点だ。もちろん新モデルでもその特徴は受け継がれており、従来同様にワイヤレスWAN機能を搭載可能となっている。しかも、従来モデルよりも大幅な機能強化が実現されている。

 従来モデルのワイヤレスWAN機能では、対応LTEバンドがBand1/3/8/11/18/19/21/26となっていたのに対し、新モデルではBand1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/21/25/26/28/29/30/38/39/40/41/66と、対応バンド数が大幅に増えている。これにより、国内キャリアが利用するバンドだけでなく、海外での利用にも対応できるため、より柔軟な利用が可能となった。海外でのワイヤレスWAN機能の利用については非サポートで、自己責任での利用にはなるが、利便性は大きく高まっていると言っていいだろう。

 また、LTEはカテゴリ9に対応しており、キャリアアグリゲーションによって下り最大450Mbps、上り最大50Mbpsの高速データ通信もサポートされた。これによって、より高速なモバイルデータ通信が可能となったことで、外出時のデータ通信も大幅に快適となっている。

 そして、Microsoftが常時接続対応PCとして提唱している「Always Connected PC」にも準拠している。過去、Microsoftの講演などで、Always Connected PCの対応製品開発メーカーとしてVAIOの存在が公表されていたが、VAIO S11新モデルがその対応製品ということになる。

 さらに、ワイヤレスWAN機能搭載モデルでは、標準でデータ通信用SIMが添付されるという点も特徴となる。このデータ通信SIMは、フランスの通信事業者「Transatel」が提供するデータ通信専用SIM「Cellular Data by Transatel」というもの。

 Windows 10のデータ通信プラン「Cellular Data」に対応する世界で唯一のデータ通信SIMで、VAIO S11のSIMカードスロットに装着するだけで、特別な設定不要でデータ通信が行なえる。

 しかも、今回添付されているSIMカードには、1GBのデータ通信を1カ月間無料で利用できるトライアルプランが付属している。つまり、購入してすぐ、LTE対応のデータ通信を無料で体験できるというわけだ。

 1GBのトライアルプランが終了しても、別途プランを購入することで簡単にモバイルデータ通信が可能。そのプランは以下の表1にまとめたとおりとなっている。

 データプランは、国内MVNOが提供するデータ通信プランに比べると高価だが、Windows 10に用意されているCellular Dataアプリから簡単に購入できるため、普段はモバイルデータ通信を利用しないが、たまに使うことがあるという人にとって、手軽で便利なものとなるだろう。あわせて、海外利用に対応したデータプランも購入可能となっているため、海外出張などでもSIMカードを交換することなくデータ通信が可能だ。

【表1】Cellular Data by Transatelの国内データプラン
容量有効期間料金
500MB1日700円
1GB7日1,200円
3GB1カ月3,000円
10GB3カ月8,400円

 ただし、このSIMカードはフランスの通信事業者が提供するもののため、日本国内ではローミングでの接続となる。そのため、通信レスポンスや通信速度が低下する場面も多いとのこと。

 実際に筆者の自宅(東京都新宿区)で試してみたところ、深夜の比較的通信状況のよい時間帯でも、上り/下りともに10Mbps前後と、思ったほど速度が出なかった。

 2017年内を目途として、ネットワークの改善を予定しているとのことだが、通信速度を追求したいなら、国内通信事業者が提供するデータ通信SIMの利用を考慮したほうがいいかもしれない。

 VAIOが提供している「VAIOオリジナルLTEデータ通信SIM」も引き続き提供され、もちろんそちらの利用も可能となっている。自身のモバイルデータ通信の使い方を考え、自分に合ったSIMを用意したい。

 ちなみに、SIMカードスロットは従来同様に本体背面側に用意されているが、従来モデルではSIMカードスロットがむき出しとなっていたのに対し、新モデルではカバーが装着された。これによって、安心感も増している。なお、対応するSIMカードの形状は従来同様Micro SIMとなっている。

底面後部にワイヤレスWAN用のSIMカードスロットが用意されている
SIMカードスロットはカバーで保護されるようになったことで、ほこりの侵入などの心配がなく減った。対応するSIMの形状はMicro SIMカードだ
ワイヤレスWAN機能を搭載するモデルに添付される、データ通信専用SIMカード「Cellular Data by Transatel」。1GBのデータ通信を1カ月間無料で利用できるトライアルプランが付属しており、購入後にLTE対応のデータ通信を無料で体験できる
Cellular Data by Transatelは、Windows 10のCellular Dataに対応しており、SIMカードを装着するだけでデータ通信が可能となる
トライアルプラン終了後は、Cellular Dataアプリからデータプランを購入することでデータ通信が行なえる
国内向けプランだけでなく、海外でのデータ通信プランも用意されている

フルHD表示対応の11.6型液晶を搭載

 液晶ディスプレイは、従来モデル同様に1,920×1,080ドット表示対応の11.6型液晶を採用している。パネルの種類は非公開だが、広視野角で視点を大きく動かしても視認性の低下は非常に少ない。

 パネル表面は非光沢処理となっており、外光の映り込みが少なく快適な入力環境を提供。光沢パネルに比べると、発色の鮮やかさという点でやや劣るという印象もあるが、表示品質に不満を感じることはなく、必要十分な表示品質が確保されている。

 ところで、近年ではクラムシェルPCでも液晶にタッチパネルを搭載し、タッチ操作に対応する製品が増えつつあるが、VAIO S11ではタッチパネルの搭載は見送られている。これについては、従来モデルを利用するビジネスユーザーから、タッチパネルが必要という声が非常に少なかったことから、今回も搭載を見送ったとのこと。ただ、Windows 10ではタッチ操作も考慮した設計となっていることを考えると、やや残念な部分だ。

 液晶を開くとディスプレイ後方が本体下部にもぐり込み、本体後部をリフトアップする構造となっている。こちらは従来モデルから継承されている特徴だが、キーボード面に適度な角度がつくことで、快適なキー入力が行なえるようになる。しかも、本体前面がかなり薄くなっているため、テーブルとの段差もかなり少なくなっている。これも、快適なキー入力を可能としている特徴の1つと言える。

1,920×1,080ドット表示対応の11.6型液晶を採用。パネルの種類は非公開だが、IPSパネル同等の広視野角を確保している
表面は非光沢処理のため、外光の映り込みは少ないが、発色の鮮やかさは光沢パネルにやや劣る印象
液晶パネルを開くと、パネル下部が本体下にもぐり込み、本体後方をリフトアップする
このように、キーボード面に適度な角度が設けられるため、快適なタイピングが可能となっている

バックライト内蔵のアイソレーションキーボードを搭載

 キーボードは、従来モデル同様のアイソレーションタイプキーボードを採用している。主要キーのキーピッチは約16.95mmとなっており、フルサイズよりもせまくなっている。

 実際に使ってみると、フルサイズキーボードと比べるとやや窮屈な印象もあるが、慣れればタッチタイプも問題ないだろう。ストロークは約1.2mmとそれほど深くはないが、クリック感もしっかりしており、打鍵感は良好。

 そして、従来モデル同様に、タイピング時の音が静かな点も大きな魅力。静かにタイピングが行なえるため、静かな場所での利用や会議中のメモ取りなどでも、周りを気にせず利用できるだろう。そのほか、キーボードバックライト内蔵のため、暗い場所での利用も快適だ。

 ポインティングデバイスのタッチパッドは、従来モデルとは異なり、クリックボタンが独立したものとなった。こちらも従来モデルユーザーのフィードバックをベースとした変更とのことで、確実なクリック操作が行なえる点で大きな魅力となるだろう。

 そのぶん、縦の幅が短くなってはいるが、操作性自体には大きな違いは感じられず、利便性は申し分ない。また、クリックボタンのクリック音も比較的小さく押さえられており、キーボード同様に静音性が高められている。

 さらに、右パームレスト部分に指紋認証センサーが新たに搭載されている。タッチするだけでWindowsログオン認証が行なえるため、セキュリティ性と利便性を同時に高めるという意味で、こちらも大きな進化だろう。

従来モデル同様のアイソレーションタイプのキーボードを採用。キーボード面はパームレストまでフラットなアルミパームレストで、高級感がある
キーピッチは約16.95mmとやや窮屈な印象
ストロークは約1.2mmとまずまずの深さ。クリック感もしっかりしていて打鍵感は良好。加えてタイピング時の音がかなり静かな点もうれしい
キーボードはバックライトを搭載しており、暗い場所でも快適なタイピングが可能
ポインティングデバイスのタッチパッドはクリックボタン独立型となった。クリックボタンのクリック音が小さめに抑えられている
右パームレストのカソルキー下部に指紋認証センサーを搭載している

ビジネスシーンで必要なポートを網羅

 では、スペックを確認していこう。なお、従来同様、VAIO S11は店頭販売モデルだけでなく、直販モデルがあり、直販モデルではスペックを自由にカスタマイズできるため、今回の試用機のスペックはあくまでも一例となる。

 まず、搭載CPUは第7世代Coreプロセッサで、CeleronからCore i7までを選択可能となっている。今回の試用機では、Core i5-7200Uが搭載されていた。

 すでに第8世代Coreプロセッサが発表済みとなっていることを考えると、このタイミングでの新機種ながら第7世代Coreプロセッサーを採用している点は少々残念。これに関しては、VAIO S11はビジネス用途をメインターゲットにしているため、最新CPUで見られることのある、十分な数が確保できないといったトラブルを避けるためとのこと。

 ただ、将来における第8世代Coreプロセッサー搭載モデルの追加は否定していない。今後しばらくは第7世代Coreプロセッサー搭載が続くとは思うが、時期を見て第8世代Coreプロセッサー搭載モデルが追加になる可能性も考えられるだろう。

 メモリはLPDDR3-1866対応で、試用機では4GB搭載と少なかったが、最大搭載容量は16GBと十分な容量となっている。内蔵ストレージはSATA SSDまたはPCIe対応SSDとなり、容量は128GBから最大1TBまで選択できる。

 PCIe SSDはMLC NAND採用の高速モデル「第3世代ハイスピードプロSSD」と、TLC NAND採用モデル「第3世代ハイスピードSSD」とが用意される。なお、試用機では128GBのSATA SSDが搭載されていた。

 無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠無線LANと、Bluetooth 4.1を標準搭載。カメラ機能は、液晶ディスプレイ上部に92万画素のWebカメラを搭載する。

 外部ポートは、左側面に電源コネクタ、USB 3.0×2ポート、オーディオジャックが、右側面にSDカードスロット、USB 3.0×1ポート、HDMI出力、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピンの各ポートを用意。これらポートはすべて標準サイズとなっており、別途アダプタ不要で周辺機器を接続し利用できる。

 ところで、従来モデルではUSB Type-Cポートが用意されていたが、新モデルでは省かれている。これも、ユーザーの声でUSB Type-CポートよりもHDMI出力のほうが必要という要望が多かったことから置き換えたとのこと。最新ポートの用意よりも、メインターゲットとなるビジネスユーザーの利便性を取った形だが、可能ならUSB Type-Cを残しつつHDMI出力を追加するなどしてほしかったようにも思う。

 ビジネスモデルに必要なセキュリティ機能としては、TPM 2.0対応のセキュリティチップの搭載に加え、先ほど紹介した指紋認証センサーと、セキュリティロックスロットを新たに用意。また、内蔵ストレージとしてハードウェア暗号化機能(TCG Opal v2.0)を搭載するSSDも選択可能となっている。

 さらに、BIOS画面から約2秒(SATA 128GB/256GBの場合)と高速にSSDに保存されたデータを消去できる「Phoenix SecureWipe」にも対応。これら豊富なセキュリティ機能の搭載によって、ビジネスシーンでも安心して活用できそうだ。

 ACアダプタは、従来モデルと同じコンパクトなものが付属する。充電用のUSBポートが用意されている点も従来同様だ。なお、ACアダプタの重量は付属の電源ケーブル込みで実測237.6gだった。

左側面には、電源コネクタ、USB 3.0×2ポート、オーディオジャックを用意
右側面には、SDカードスロット、USB 3.0×1ポート、HDMI出力、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピンを用意。従来モデルにあったUSB Type-Cポートは省かれている
Gigabit Ethernetポートは下部に穴が用意され、万が一LANコネクタのピンが折れても外部から細い棒で押し込みケーブルを抜けるよう配慮されている
液晶上部には92万画素のWebカメラを搭載
付属のACアダプタは従来モデルのものと同じ
ACアダプタには充電用のUSBポートが備わっている
ACアダプタの重量は、付属の電源ケーブル込みで実測237.6gだった

スペック相応の性能を発揮

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。

 利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 10 v1.0.1275」、「PCMark 8 v2.7.613」、「3DMark Professional Edition v2.3.3732」、Maxonの「CINEBENCH R15.0」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の5種類。比較用として、日本HPの「HP ENVY 13-ad008TU」の結果も加えてある。

【表2】検証環境
VAIO S11HP ENVY 13-ad08TU
CPUCore i5-7200U(2.5~3.1GHz)Core i5-7200U(2.5~3.1GHz)
チップセット--
ビデオチップIntel HD Graphics 620
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 4GBDDR3L-1866 SDRAM 8GB
ストレージ128GB SSD(SATA)512GB SSD(NVMe PCIe)
OSWindows 10 Pro 64bit

【表3】ベンチマーク結果
VAIO S11HP ENVY 13-ad08TU
PCMark 10 v1.0.1275
PCMark 10 Score3,1153,078
Essentials6,6237,155
App Start-up Score7,9668,997
Video Conferencing Score6,1036,436
Web Browsing Score5,9776,328
Productivity5,6055,476
Spreadsheets Score6,3186,500
Writing Score4,9734,614
Digital Content Creation2,2112,022
Photo Editing Score2,6602,352
Rendering and Visualization Score1,3341,312
Video Editting Score3,0492,680
PCMark 8 v2.7.613
Home Accelarated 3.03,5513,579
Creative accelarated 3.04,4454,400
Work accelarated 2.04,5464,459
Storage4,9854,962
CINEBENCH R15.0
OpenGL (fps)38.9846.71
CPU298322
CPU (Single Core)126125
3DMark Professional Edition v2.3.3732
Cloud Gate5,7106,217
Graphics Score6,9907,955
Physics Score3,4803,524
Sky Diver3,5463,690
Graphics Score3,4923,577
Physics Score4,1294,564
Combined score3,2443,522
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)2,6073,168
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC)1,4591,858

 結果を見ると、ほぼスペックが似通っているHP ENVY 13-ad008TUと、ほぼ大差ない結果となっていることがわかる。ただ、グラフィックス関連のテストでは、VAIO S11のほうがややスコアが低い部分が多い。

 これは、今回試用したVAIO S11の搭載メモリ容量の少なさが影響しているものと考えられるため、直販モデルでメモリ搭載量を増量することで、より性能を引き出せるようになるはず。

 とくに今回の試用機はメモリ搭載量が4GBと少なかったので、実際に使っている場合に動作の重さを感じる場面も結構あった。そのため、購入時には直販モデルでメモリ搭載量を8GB以上に増やすことをおすすめしたい。

 続いて、バッテリ駆動時間だ。VAIO S11の公称のバッテリ駆動時間は約15時間(JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver2.0での数字)となっている。

 それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約10時間20分だった。

 公称の駆動時間に比べるとやや短いという印象ではあるが、バックライト輝度が50%ではまだかなり明るいという印象で、よりバックライト輝度を絞って利用すれば、より長時間の駆動が可能となるはずだ。

 そのため、モバイルノートとして申し分ない駆動時間が確保されていると言って問題なさそうだ。少なくとも、800g台の軽量筐体でこれだけの長時間駆動が実現されていれば、不満を感じることはないはずだ。

ビジネスモバイルとしての魅力が向上

 VAIO S11新モデルは、本体デザインから内部の仕様まで、さまざまな面で大きく進化を遂げ、ビジネスモバイルとしての魅力が大きく向上している。

 そして、その進化の多くがユーザーの声を反映させたもので、それが大きな特徴にもなっている。標準サイズのUSBポートを多く用意し、ミニD-Sub15ピンやHDMI、有線LANなどのポートを装備する一方、タッチパネルの搭載やUSB Type-Cの搭載を見送るなど、近年のPCが取り入れている流れに逆行しているように見える部分もある。しかし、それも実際のユーザーが求める形の実現を最優先してのものであり、手堅さを求めるユーザーからは大きな魅力と感じるかもしれない。

 VAIO S11のターゲットとなっているのは、ビジネスモバイルユーザーだ。VAIOがビジネス市場をとくに重視していることもあるが、そうしたユーザーの声をしっかりと受け止め、それを形にしたのが、VAIO S11の新モデルなのだ。

 そのため、ビジネスモバイルユーザーにとってVAIO S11は非常に魅力的な製品と言っていいだろう。ビジネスシーンで毎日持ち歩くPCを探している人に、自信を持っておすすめしたい。