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VAIO、重量約920gからのLTE対応11.6型ノート「VAIO S11」

VAIO S11(シルバーモデル)

 VAIO株式会社は、LTEに対応可能な軽量11.6型ノートPC「VAIO S11」を12月18日より順次発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はWi-Fiモデルが149,800円前後、Wi-Fi+LTEモデルが159,800円前後の見込み。

 LTEモデルでは、NTT網に対応可能なSIMロックフリーのLTEモジュールを搭載し、最大下り150Mbps/上り50Mbpsの通信が可能。アンテナが大型なため電波が強く、スマートフォンでテザリングする場合と比較して、より安定した接続ができるという。

 これに合わせて、NTTコミュニケーションズと共同企画したVAIOオリジナルLTEデータ通信SIMを展開。常時200kbpsで使え、必要時には容量制限付きで高速通信できるプランを用意。1年間32GB高速通信が可能なプランは14,904円、2年間64GB高速通信が可能なプランは24,624円、3年間128GB高速通信が可能なプランが35,424円。VAIO S11同時購入の場合割引され、順に12,744円、22,464円、32,184円となる。

 ビジネスユースに配慮し、静かで心地よい打鍵感を実現する「静寂キーボード」を採用。キートップにはUVコーティングおよび新開発のフッ素含有UV硬化性塗料を採用し、長年使用時の摩耗と皮脂油によるテカリを抑え、防汚性、耐指紋性を強化した。キーのストロークは約1.2mm、ピッチは約16.95mm。バックライトも搭載する。

 タッチパッドは高精度なものを採用し、マルチタッチによりWindows 10の各種ジェスチャ操作に対応。タイピング時のパームリジェクション機能も備える。

 CPUには超低電圧版(Uシリーズ)の第6世代Coreプロセッサを採用。フラグシップの「VAIO Z」で培った放熱設計技術を採用し、サーマルスロットリングが起こりにくい設計を実現。長時間利用でも高い性能を維持できるという。

 ビジネスで多く使われる既存のインターフェイスを搭載するのも特徴で、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、フルサイズのSDカードスロットを搭載。液晶が開くと本体が浮き上がるチルトアップ構造を採用しているため、ミニD-Sub15ピンのコネクタが机にぶつからないようになっているという。その一方でUSB Type-C/Thunderbolt 3という最新規格も取り入れた。

 このほか、VAIO Zと同等の最大約15時間のバッテリ駆動(LTE通信時は8時間)や、ガラス繊維入り強化樹脂をベースとした高剛性ボディなども特徴としている。

 個人向け標準仕様モデルの主な仕様は、CPUにCore i5-6200U(2.3GHz、ビデオ機能内蔵)、メモリ4GB、128GB SSD、1,920×1,080ドット表示対応11.6型ワイド液晶ディスプレイ、OSにWindows 10 Home(64bit)を搭載する。

 インターフェイスは、SDカードスロット、USB 3.1/Thunderbolt 3(Type-C)、USB 3.0×2(うち1基は常時給電)、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1、92万画素Webカメラ、音声入出力を搭載。LTEモデルはGPSおよびジャイロセンサーも備える。

 本体サイズは約284×190.4×16.4~19.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量はWi-Fiモデルが約930g、LTEモデルが約940g。本体色はシルバー、ホワイト、ブラックの3色が用意される。

 カスタマイズ可能な「VAIO OWNER MADE」モデルでは、Core i7-6500U(2.5GHz、ビデオ機能内蔵)またはCore i3-6100U(2.3GHz、同)、メモリ8GB、256GB/512GB SSD(PCI Express x4接続)、OSにWindows 7 Professionalなどが選択可能となっており、最軽量構成時は920gとなる。

シルバーモデル
ホワイトモデル
ブラックモデル

持ち運びの道具としての“快適さ”を追求したVAIO S11

 VAIO S11はモバイルノートPCとしてのビジネス性を高め、ユーザーが気持ちよく快適に使えることを目的として設計され、随所にそうした機能が取り入れられている。

「VAIO S11」(ブラックモデル)

 ターゲットとなるユーザーは男性ビジネスマンだけでなく、そのコンパクトさや軽量さからの女性も視野に入れており、そのためにVAIO S11ではカラーバリエーションを3色用意した。また、性能的な余裕を設けていることから日々レポート作成などに勤しむ大学生が長期間で使えることも想定。ノマド的な生活を送るユーザーのサブ機としても活躍できるとしている。

ホワイトモデル
シルバーモデル
シルバーモデル(左)とブラックモデルの背面
右側面
左側面
ヒンジの表面側
ヒンジの裏面側
カバーを閉じた状態
カバーを閉じた状態の側面
本体背面
裏面の4隅にゴム足を装着
ベゼル中央に92万画素のWebカメラ

バッテリ駆動時間は15時間で、LTE常時利用でも8時間持続する

 前述の通り、VAIO S11は外回りの多いビジネスマンやアクティブに行動するモバイルユーザーをターゲットとした製品で、LTE通信のサポートはその1つの回答になっている。SIMロックフリーであり、NTTドコモとソフトバンクの主要なバンドに対応。選択肢はユーザー側に広くゆだねられている。

 バッテリ駆動時間はJEITA 2.0で約15時間を達成しており、常時LTE通信状態でも8時間以上の動作を可能としており、テキストベースの作業であれば、1日の業務をほとんどバッテリを充電することなくこなすことができる。

本体ヒンジ部分の背面側にMicro SIMスロットを備えている
ベゼル部分が透明でアンテナが見えるモックアップ
アンテナ部分の拡大
ベゼルの側面
透明化されたモックアップの本体背面
右側面
左側面

VAIO Pro 13 | mk2と同じ品質試験を突破した高い堅牢性

 VAIO S11の筐体は金属ではなく、樹脂加工で作られている。これには理由があり、金属筐体では電波の受信感度が悪くなり、LTE通信の受信感度を高めるために樹脂加工が必要なためだ。もちろん金属筐体でも本体に切り欠きを入れるなどすることで、電波を受信できるが、その場合は耐久性が犠牲になってしまうという。ただ、樹脂でも十分な剛性は確保可能だ。

 VAIO S11の筐体は、VAIO Pro 11と同じ耐久性を目指し、新規に設計された。ビスを非対称配置にすることで本体強度を向上させるだけでなく、ディスプレイを閉じた際にショックを和らげるためのラバー部分を一体成形で構築。通常は別パーツで構成して作成されるが、これによって筐体の強度がさらに増し、極端な力が掛かる角持ち状態でも形状が変型しない剛性の高い作りになっている。

 実際のところ、VAIO S11の剛性の高さは、同社のVAIO Pro 13 | mk2と同じ品質試験をパスしていることからも窺い知れる。VAIO Pro 13 | mk2の品質試験では、150kgf加圧振動、90cm落下、ペン挟み試験、LCD加圧、本体ひねり試験、角衝撃試験、LCD開閉試験が行なわれており、VAIO S11はVAIO Pro 11よりも過酷な試練通過している。

ベゼルのラバー部分は別パーツに分かれることなく一体成形となっており、強度が増している
VAIO S11にペンを挟むとディスプレイ部分が大きくゆがんだ
しかしペンをどかせば、本体はペンを挟む前の元の状態と区別が付かないことから、その剛性の高さが窺える

 VAIO S11は本体のヒンジも特徴的で、ディスプレイの開閉はチルトアップ構造の「逆ヒンジ」を採用している。これはコンパクトさを維持するための設計に繋がっている。最大開き角度は約145度を確保し、長身の人が使用しても問題なく画面を見ることができるレベルの角度となっている。このヒンジの特殊性と強度の賜物か、ディスプレイの開閉を片手で行なえるという興味深い動きも可能。通常はノートPCのディスプレイを閉じた状態で片手で開こうとすると、底面部も一緒に持ち上がってしまうが、VAIO S11では片手で開け閉めができるようになっている。

カバーを開いた状態のヒンジ
カバーを閉じた状態のヒンジ
VAIO S11の開閉を片手でできる

フッ素購入のUV硬化性塗装で仕上げた高耐久キーボードと、使いやすさにこだわったタッチパッド

VAIO S11のキーボードのアップ

 VAIO S11のキーボードは、VAIO Zの技術を継承し、打鍵時のたわみを軽減するために強化プラスチックを採用した。静かでありながら押し心地の良さにこだわった作りとなっている。

 また、キートップにはフッ素を混入した新型塗料によるUV硬化性塗装が施されており、摩耗によって発生する表面のテカリを防止する働きがある。これにより、皮脂(指紋)汚れが目立ちづらくなったほか、皮脂が付いたとしても拭き取り時に後が残りにくいようになっている。

 本体カバーやパームレストにもUV塗装が使われており、これによって擦り傷に強い表面仕上げを実現。バッグ内にノートPCとACアダプタを入れている場合など、お互いに擦れてノートPCのカバー部分に傷を残してしまいがちだが、この手のトラブルに強いという特徴を備える。さらに、UV塗装のコーティングによって下地の塗装カラーが劣化しにくいというメリットも生んでいる。

 タッチパッドは、MacBookシリーズのような使い心地を実現したとのことで、スムーズなジェスチャを体験できるという。さらに使い勝手の向上策として、タイピング中に手の平が触れてしまい、日本語入力が中断されてしまうといったありがちな自体を避けるために、タッチパッド側で指と手の平の違いを認識できるようにセンサーを改良し、誤動作防止措置を講じている。

長時間駆動でも性能が落ちない冷却性能の高さ

 VAIO S11の冷却ファンの大きさは55×50.5×5.5mm(同)で、これはVAIO Pro 11の53×50×4mm(同)から口径が若干大きくなっている。数値としてはほんの数mmだが、これにより排熱量が約2倍増加したという。冷却強化を図った理由としては、長時間利用での性能低下を防ぐという目的があり、CPU温度の上昇を抑制することで、サーマルスロットリングが発生しにくくなっている。

モックアップの冷却機構部分
VAIO S11のファンの実物。奥はPro 11
VAIO S11のファンのアップ
基板のメモリ部分
基板のSSD
基板のインターフェイス(右側面)
基板のインターフェイス(左側面)
基板の裏面

(劉 尭/中村 真司)