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水かけ試験にも3分耐える13.3型モバイルノート「VAIO S13」

VAIO株式会社「VAIO S13」104,800円~(個人向けカスタマイズモデルの場合)

 VAIO株式会社は9月21日、同社が「メインストリーム商品」として位置づける11.6型ノートPC「VAIO S11」、13.3型「VAIO S13」、15.5型「VAIO S15」を発表、同日より販売を開始した。

 全モデルに個人向けと法人向け、カスタマイズモデルと標準仕様モデルが用意されており、最速お届け日または販売開始日は9月29日が予定されている(VAIO S11のLTEモデルのみ10月27日)。

 今回はメインストリーム商品のSシリーズのなかでも、ディスプレイが中サイズ(13.3型)を採用しており、もっとも広い層をターゲットにしたVAIO S13のレビューをお届けしよう。

個人向け標準仕様モデルはCore i5-7200U搭載モデルのみ

 VAIO S13の個人向け標準仕様モデルは、以下の3モデルがラインナップされている。本体色はブラックとシルバーの2色から選択可能だ。

  • Core i5-7200U/メモリ4GB/SSD128GB/LTE対応の「VJS13290111B/VJS13290211S」(税別177,800円)
  • Core i5-7200U/メモリ4GB/SSD128GB/LTE非対応の「VJS13290311B/VJS13290411S」(税別162,800円)
  • Core i5-7200U/メモリ8GB/SSD256GB/LTE非対応の「VJS13290311B/VJS13290411S」(税別187,800円)

 なおLTE対応モデルは従来はVAIO S11にのみ用意されていたが、新モデルではVAIO S13にも用意、またはカスタマイズで選択可能になったのが大きなトピックだ。バンドは、3G(バンド1/2/4/5/6/8/19)、LTE(バンド1/2/3/4/5/7/8/11/12/13/17/18/19/20/21/25/26/28/29/30/38/39/40/41)をサポート。また、新たにキャリアアグリゲーション、LTE Cat.9に対応し、下り最高400Mbps/上り50Mbpsで通信可能だ。

本体色はブラックとシルバーの2色。型名最後の「B」がブラックモデル、「S」がシルバーモデルであることを示している
LTE対応モデルは、Windows 10のデータプランに対応したTransatel製Micro SIMカードを同梱。プリペイド形式でLTEデータ通信量を購入できる

 OSはWindows 10 Home 64bit、ディスプレイは13.3型ワイド液晶(1,920×1,080ドット)、セキュリティデバイスは指紋認証センサー、Microsoft Office非搭載などほかの主要スペックは全モデル共通だ。

【表1】VAIO S13(個人向け標準仕様モデル)の主要スペック
型名VJS13290111B
VJS13290211S
VJS13290311B
VJS13290411S
VJS13290511B
VJS13290611S
OSWindows 10 Home 64bit
CPUCore i5-7200U(2.50~3.10GHz)
GPUIntel HD Graphics 620(300MHz~1GHz)
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 4GBLPDDR3-1866 SDRAM 8GB
ストレージ128GB SSD(M.2 SerialATA 3.0)256GB SSD(M.2 SerialATA 3.0)
ディスプレイ13.3型ワイド液晶(1,920×1,080ドット、166ppi、16:9、非光沢、タッチ非対応)
通信IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.1、WAN(3G、LTE)IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.1
インターフェイスUSB 3.0 Type-A×3(内1つは給電機能付き)、HDMI端子、ミニD-Sub15ピン、マイクロフォン/ヘッドフォン・コンボ・ジャック、SDカードリーダ、Gigabit Ethernet、92万画素Webカメラ、Micro SIMカードスロットUSB 3.0 Type-A×3(内1つは給電機能付き)、HDMI端子、ミニD-Sub15ピン、マイクロフォン/ヘッドフォン・コンボ・ジャック、SDカードリーダ、Gigabit Ethernet、92万画素Webカメラ
バッテリ容量34,880mWh(Battery reportで表示された設計上のバッテリ容量)
バッテリ駆動時間約12時間約11.7時間
バッテリ充電時間約3時間
本体サイズ/重量320.4×216.6×15.0~17.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.06kg
セキュリティ指紋認証
Microsoft Officeなし
税別価格177,800円162,800円187,800円

 カスタマイズモデルでは、OS(Home/Pro)、カラー(ブラック/シルバー)、CPU(Celeron/Core i3-7100U/Core i5-7200U/Core i7-7500U)、メモリ(4GB/8GB/16GB)、SSD(SATA 128GB/SATA 256GB/PCIe 256GB/PCIe 512GB/PCIe 1TB)、LTE(搭載/非搭載)、指紋認証(搭載/非搭載)、キーボード(日本語/英語)、TPM(搭載/非搭載)を選ぶことができる。

 また、オフィスソフトもMicrosoft Office(Office Professional PremiumプラスOffice 365サービス/Office Home and Business PremiumプラスOffice 365サービス/Office Personal PremiumプラスOffice 365サービス/Office Professional 2016/Office Home and Business 2016/Office Personal 2016/非搭載)などの組みあわせから選択可能だ。

 なおSSDはPCIe 256GBが第3世代ハイスピードSSD、PCIe 512GB/1TBが第3世代ハイスピードプロSSDが採用されている。

 ただし英語キーボード選択のためには指紋認証センサーの搭載が必要だったり、Celeron搭載の場合はPCIe SSD選択不可など、仕様によっては一部選べない組みあわせがある。

外観の変更はごくわずか、しかし筐体は新たに設計、進化点も多数

 VAIO S13の外観の変更はごくわずかに留まっている。本体サイズは約320.4×216.6×15~17.9mm、重量は約1.06kg。従来モデルより幅が1.6mm減り、奥行きは0.1mm、最薄部の高さは1.8mm増えているが、重量はまったく同じだ。しかし筐体剛性の強化、使い勝手の向上などを目的として、筐体は新たに設計され、細かな修正が施されている。

 VAIO S13のおもな進化点は下記のとおりだ。

  • 第7世代のプロセッサを搭載
  • 第3世代ハイスピードSSD/ハイスピードプロSSDを選択可能
  • バッテリ駆動時間を延長(9.8~10.5時間→11.7~12時間)
  • 英語キーボードを選択可能に
  • 高精度タッチパッドに対応
  • デュアルマイクを搭載
  • フラットアルミパームレストに変更
  • ケンジントンロックを搭載
  • 指紋認証センサーを選択可能に

 多くの点で進化しているVAIO S13だが1点だけ削られた機能がある。それはタッチパネルを選べなくなったこと。不要と考える方も多いかもしれないが、日常的にタブレット端末を利用していると、ついつい画面に指が伸びがち。カスタマイズモデルに選択肢は残してほしかったところだ。

 インターフェイスは、USB 3.0 Type-A×3(内1つは給電機能付き)、HDMI端子、ミニD- Sub15ピン、マイクロフォン/ヘッドフォン・コンボ・ジャック、SDカードリーダ、Gigabit Ethernet、Micro SIMカードスロット(LTE搭載モデルのみ)と豊富に用意されている。

 しかしUSB Type-C端子は搭載されていない。モバイルストレージやディスプレイなどUSB Type-C対応製品が増えているなか、最新インターフェイスをサポートしていない点は正直残念だ。

本体天面。下がヒンジ部。VAIOのロゴは鏡面仕上げ
本体底面。下がヒンジ部。背面はフラット。特殊ネジは使われていない
本体前面。下部左右に見えるのはステレオスピーカー
本体背面。左右にある透明パーツはディスプレイを開けたさいに接地して足になる。中央やや左にあるのはMicro SIMカードスロットのカバー
Micro SIMカードスロットのカバーは背面側にずらすと開けられる。スロットはカードを押すと飛び出てくるプッシュプルタイプだ
本体右側面。左からSDカードリーダ、USB 3.0 Type-A×1、HDMI端子、Gigabit Ethernet、ミニD- Sub15ピン
本体左側面。左から電源端子、冷却口、ケンジントンロック、USB 3.0 Type-A×2、マイクロフォン/ヘッドフォン・コンボ・ジャック
ヒンジ部にも冷却口が設けられている
ディスプレイは、13.3型ワイド液晶(1,920×1,080ドット、166ppi、16:9、非光沢、タッチ非対応)を採用。ベゼル上には92万画素Webカメラとデュアルマイクが搭載されている
キーボード面。標準キーボードは日本語配列。カスタマイズモデルでは英語キーボードも選択可能になった
貸出機には本体、ACアダプタ、電源ケーブル、Cellular Data by Transatel、クリーニングクロスが同梱されていた。製品版にはこのほかにマニュアルや保証書などが同梱される
VAIO S13に同梱されているACアダプタ。型番は「VJ8AC10V9」。コード長はACアダプタが約175cm、電源ケーブルが約75cm
USB Type-A端子(メス)が用意されており、出力5.0V/1.0Aで充電できる
ACアダプタの仕様は入力100-240V、出力10.5V/3.8A、容量は45W(USB Type-A端子ぶんも含まれている)
本体の実測重量は約1044.5g
ACアダプタと電源ケーブルの合計実測重量は約239g
システム情報
主要なデバイス
「CrystalDiskInfo 7.0.5」で表示したストレージ情報。サムソンのM.2形状Serial ATA 6Gbps接続SSD「MZNTY128HDHP」が搭載されていた

VAIO S13に盛り込まれた工夫、追加された「キーボード水かけ試験」

 VAIO S13には長年モバイルノートPCを作ってきたノウハウを活かして、さまざまな工夫が施されている。代表的なものをこの章で解説していこう。

 まずはキーボードのチルト機構。ディスプレイを開くとヒンジ側が持ち上がり、キーボード面に最大約5度の傾斜がつく「チルトアップヒンジ構造」が採用されている。

 もちろんディスプレイ奥の接地する部分には樹脂製の足が設けられているので、天面にキズがつくことはない。なお従来モデルはこの樹脂製の足が大きめに飛び出していたので、バッグから出し入れするさいに引っかかってしまうことがあった。これを避けるために、樹脂製の突起が低く、幅が広い形状に変更されている。

 使い終わったノートPCを仕舞うさいにはスマートに片手でこなしたいところだが、最近の薄型ノートPCは指が入るすき間がなく両手でなければ持ち上げにくいものがある。その点VAIO S13はヒンジ側に斜めにすき間が設けられており、片手でスッと持ち上げられる。デザイン的にも特徴的なフォルムだが、必然性があるわけだ。

 PCを使った音声通話、ビデオチャットの機会が増えてきた今、必須の装備となっているのがデュアルマイク。左右のマイクに到達する音の時間差を利用して、「暗騒音」のようなノイズを低減することが可能だ。

 細かな工夫が多数盛り込まれているのがGigabit Ethernet端子。LANケーブルは一般的に爪を上にして挿入するが、VAIO S13では端子の向きが逆になっている。

 これは端子面をあえて上面にすることでホコリの堆積による接点不良を防ぐための工夫だ。またLANケーブルの爪が折れた場合でも取り外し可能なエマージェンシーホールを備えていたり、万が一強い力がかかっても壊れる前にはずれるように設計されている。

 はずれただけならユーザーが自分自身で取りつけられるし、破損したとしてもパーツのみを交換できる。Gigabit Ethernet端子はノートPCのパーツのなかでもとくに破損しやすい。長年のノウハウを活かした故障を防ぐ工夫の数々はありがたい。

 最後に特筆しておきたいのが耐久性。従来のVAIO S13でも、90cm落下試験、150kgf加圧振動試験、本体ひねり試験、角衝撃試験、液晶ハウジング加圧試験、ペンはさみ試験などさまざまなテストをクリアした高耐久性が評価を得ていたが、新モデルでは「キーボード水かけ試験」が追加された。

 これは動作中のPCのキーボード部に150ccの水を注ぎ、3分の間、水が内部に浸透して電源ショートが起きないことを確認するテストだ。もちろん実際に飲み物をかけてしまった場合には、点検・修理が必須となるが、編集中のデータを保存する猶予が与えられるだけでもうれしいところだ。

ディスプレイは最大で実測136度まで開ける。そのときキーボード面には約5度の傾斜がつき、タイピングしやすくなる
右が旧モデル、左が新モデルのVAIO S11。樹脂製の突起が低く、横幅の広い形状に変更されているので、バッグなどから取り出すさいに引っかかりにくい
ヒンジ側に斜めに角度がつけられているので、指先がスッと入り、そのまま自然に端末を持ち上げられる
92万画素Webカメラの左右にデュアルマイクが搭載されており、音声通話やビデオチャットのさいの周囲の騒音を低減してくれる
一般的なノートPCとは逆の向きでLANケーブルを挿入する。端子の爪が折れても、カバーに設けられたエマージェンシーホールにクリップの先などを挿せば取り外しは容易だ
キーボード部に150ccの水を注いでも、3分の間、水が内部に浸透して電源ショートが起きないことを確認する「キーボード水かけ試験」が実施されている
VAIO S13の説明会で実施された「キーボード水かけ試験」のデモ。実際に目にすると衝撃的な光景だ

メインストリームモデルながらキー打鍵感は最高レベル、タッチパッドも操作性良好

 新型VAIO S13でもっとも評価したいのがキーボードの打鍵感。本製品には東洋理化学研究所製のフラットアルミパームレストが採用されており、キーボード面のたわみがごくわずかに抑えられている。

 キーストローク約1.2mm、キーピッチ約19mmという設計、軽めの押下圧も絶妙なセッティングだ。底打ち感も固すぎず、かつ柔らかく受け止めてくれる。横並びで比較したわけではないので具体的な製品名を挙げて優劣を述べるのは避けるが、少なくともここ3年間で試用したノートPCのキーボードのなかで3本指に入ることは間違いない。

 また、キーボードに手脂のテカリがほとんど目立たないことにも驚かされた。一般的なノートPCを試用しているさいには、100文字程度タイピングしただけでも結構手脂のテカリが目立つ。とくに製品写真を撮影するさいにはウェットティッシュとクリーニングクロスでの清掃が欠かせない。

 しかし、VAIO S13のキーボードにはフッ素含有のUV硬化塗装が施されているので、ほとんど汚れが目立たない。摩耗耐久性は長期間使用してみないと判断つかないが、少なくとも防汚性には太鼓判を押せる。

 タッチパッドの操作性も良好だ。実測80×45mm(幅×奥行き)のタッチパッドはややせまく感じたがすぐに慣れるレベルだ。あえて物理ボタンにしたことによりクリック感も好ましい。

 また、クリック音も従来モデルに比べて約半分に低減されているとのこと。Windows 10の高精度タッチパッドに対応した点も、今後のOSアップデート時の互換性のことを考えると安心できるポイントだ。

キーキャップのパームレストへの潜り込みを増やすことで、ホコリやゴミが侵入しにくくなっている
キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.2mm
キーピッチが約16.95mmのVAIO S11も十分快適なキーボードだが、VAIO S13は一段上のスピードで入力できる
キーボードバックライトを搭載。キーボードバックライトの設定は、「VAIOの設定」アプリから行なう
3日間試用後のVAIO S13のキーボード。一度も清掃していないが、手脂のテカリはほとんど目立たない
指紋認証センサーはカーソルキー下に実装される
タッチパッドのサイズは実測80×45mm(幅×奥行き)。最初はややせまく感じたが、すぐに慣れられた
Windows 10の高精度タッチパッドに対応している。標準のジェスチャーをすべて利用可能だ。今後のOSアップデートで新機能が追加されても、即時利用できる可能性が高い
VAIO S13のキーボード、タッチパッドボタンを打鍵する様子を撮影してみた。簡易騒音計の表示を見つつ、それぞれの音質を確認してほしい

ディスプレイはモバイルノートPCとしては十分、サウンドは物足りない

 VAIO S13のディスプレイは、13.3型ワイド液晶(1,920×1,080ドット、166ppi、16:9、非光沢、タッチ非対応)。VAIO株式会社によれば、IPS液晶とは謳われていないが、同等の構造、性能を備えているとのこと。

 色域は公表されていないが、ディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」で作成したICCプロファイルを、色度図を作成する「ColorAC」で確認したところ、NTSC比は71.3829%、sRGBカバー率は91.5%、sRGB比は100.8%、Adobe RGBカバー率は70.7%、Adobe RGB比は74.7%という結果だった。モバイルノートPCが搭載するディスプレイとしては、実用上十分な品質を備えている。

 一方、サウンド面については物足りなさを感じた。音量自体はそれなりに出ていて、また最大ボリュームでも音が割れたりすることはないが、少々低音域が細く感じられた。ビジネス用途に使うのであれば十分な音質だが、コンシューマ用途に利用するには力不足を感じる。

 メインストリームモデルであっても、昔のVAIOのようにサウンド面にもっと力を入れてほしいというのが、長年のVAIOファンとしての率直な感想だ。

13.3型のサイズで1,920×1,080ドットの解像度があれば、個人的には文字の品質に不満を感じることはない
貸出機の発色はニュートラルで、とくに不自然な傾向は見られなかった。写真現像などしないかぎりは、とくに色を補正する必要はない
正面から見た場合
斜め45度から見た場合
斜め60度から見た場合。もちろん角度によって暗くなるが一定の視認性は確保される
実測したNTSC比は71.3829%
実測したsRGBカバー率は91.5%、sRGB比は100.8%
実測したAdobe RGBカバー率は70.7%、Adobe RGB比は74.7%
YouTubeで公開されている「前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大85.7dBA

Core i3-7100U搭載モデルとして順当なスコア

 最後にベンチマークのスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.0.1275.0」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.7.613」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 7 v1.4.0」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.3.3732 64」
  • CPU、OpenCLのベンチマーク「Geekbench 4.1.1」
  • CPUのベンチマーク「Geekbench 3.4.1」
  • CPU、OpenGLのベンチマーク「CINEBENCH R15」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 5.2.2」
  • 「Adobe Photoshop Lightroom CC」RAW画像の現像時間を計測
  • 「Adobe Premiere Pro CC」フルHD動画の書き出し時間を計測
  • 「BBench」連続動作時間を計測

 今回借用したVAIO S13は、Core i3-7100U/メモリ4GB/SSD128GB/LTE対応というスペックなので、同じCPUを搭載するクラムシェル型ノートPC「LG gram 13Z970-ER33J」を比較対象機種として採用した。

 下記が検証機の仕様と、その結果だ。

【表2】検証機の仕様
VAIO S13LG gram 13Z970-ER33J
CPUCore i3-7100U(2.4GHz)
GPUIntel HD Graphics 620(300MHz~1GHz)
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 4GBDDR4L-2133 4GB
ストレージ128GB(SerialATA 3.0)180GB(SerialATA 3.0)
OSWindows 10 Pro 64bitWindows 10 Home 64bit
【表3】ベンチマーク結果
VAIO S13LG gram 13Z970-ER33J
PCMark 10 v1.0.1275.0
PCMark 10 Score2,685
Essentials6,115
App Start-up Score6,917
Video Conferencing Score5,929
Web Browsing Score5,577
Productivity4,460
Spreadsheets Score5,215
Writing Score3,816
Digital Content Creation1,928
Photo Editing Score2,298
Rendering and Visualization Score1,241
Video Editting Score2,514
PCMark 8 v2.7.613
Home Accelarated 3.03,2472,820
Creative Accelarated 3.03,9443,622
Work Accelarated 2.04,0813,707
Storage4,860
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score4,9024,610
3DMark v2.3.3732 64
Time Spy計測不可118
Fire Strike Ultra172149
Fire Strike Extreme303292
Fire Strike747617
Sky Diver3,5423,101
Cloud Gate5,2614,700
Ice Storm Extreme37,83230,662
Ice Storm50,99341,387
CINEBENCH R15
OpenGL38.32 fps33.30 fps
CPU253 cb256 cb
CPU(Single Core)74 cb
Geekbench 4.1.1
32-bit Single-Core Score2,6812,623
32-bit Multi-Core Score5,5765,109
64-bit Single-Core Score3,0072,936
64-bit Multi-Core Score6,0455,452
OpenCL17,86115,799
Geekbench 3.4.1 Intel(32-bit)
Single-Core Score2,5372,333
Single-Core Score Integer2,4402,443
Single-Core Score Floating Point2,3942,397
Single-Core Score Memory3,0181,988
Multi-Core Score5,3935,078
Multi-Core Score Integer5,8835,660
Multi-Core Score Floating Point6,0116,029
Multi-Core Score Memory3,1792,014
Geekbench 3.4.1 Intel(64-bit)
Single-Core Score2,6592,446
Single-Core Score Integer2,6272,604
Single-Core Score Floating Point2,5052,506
Single-Core Score Memory3,0352,013
Multi-Core Score5,6035,259
Multi-Core Score Integer6,2705,976
Multi-Core Score Floating Point6,1436,165
Multi-Core Score Memory3,1892,013
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット3,2322,526
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,280×720ドット6,2815,144
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)2,0002,149
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)1,553
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)1,330
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC)1,501
1,920×1,080ドット 高品質(ノートPC)1,084
SSDをCrystalDiskMark 5.2.2で計測
Q32T1 シーケンシャルリード558.846 MB/s561.222 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト523.458 MB/s474.799 MB/s
4K Q32TI ランダムリード272.587 MB/s236.004 MB/s
4K Q32TI ランダムライト192.259 MB/s199.422 MB/s
シーケンシャルリード508.579 MB/s474.420 MB/s
シーケンシャルライト505.079 MB/s408.988 MB/s
4K ランダムリード36.793 MB/s27.526 MB/s
4K ランダムライト94.635 MB/s75.949 MB/s
Adobe Photoshop Lightroom CCで50枚のRAW画像を現像
4,912☓3,264ドット、自動階調3分35秒624分1秒60
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分のフルHD動画を書き出し
1,920×1,080ドット、30fps8分32秒5310分16秒63
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%)
バッテリ残量5%まで8時間13分8秒(※バッテリー残量9%まで)9時間44分24秒

 全体的にVAIO S13のほうがLG gramより好スコアを記録している。ただしこの結果は、OS、ドライバ、アプリケーションの最適化が進み、VAIO S13に有利な結果となっている可能性が高い。しかし少なくとも、VAIO S13がCore i3-7100U搭載モデルとして順当なスコアを記録したとは言える。

 ただしBBenchによる連続動作時間の計測では奇妙な挙動が見られた。ログファイルを見ると、バッテリ残量9%から0%にいきなり飛んでいたのだ。そのためバッテリ残量5%の連続動作時間を計測できなかったので、上の表では9%時の動作時間を参考値として掲載している。

 VAIO S13にはCore i5-7200Uモデルが用意され、カスタマイズモデルではCore i7-7500Uも選択できるが、Webブラウジングやオフィスアプリなど一般的な用途であればCore i3-7100U搭載モデルでも十分だ。実際、今回クリエイティブ系アプリケーションを試用しているさいにも、書き出しには時間がかかるものの、読み込みや編集作業自体はある程度こなせると感じた。

 さて、高負荷時の発熱をサーモグラフィーカメラ「FLIR ONE」で見てみよう。今回は室温25℃の部屋で「CINEBENCH R15」の「CPU」を連続で5回実行してみたが、キーボード面の最大温度は43.1℃、底面の最大温度は47.1℃という結果だった。

 底面で最大温度を記録しているのが、膝上で使うときに太ももに当たりそうな中央付近。膝上で使うさいにはバッグなどの上に乗せたほうがよさそうだ。

キーボード面の最大温度は43.1℃
底面の最大温度は47℃
ACアダプタの最大温度は42.4℃

納得のいくスペックでオーダーすることを強くオススメ!

 VAIO S13は実用系PCとして非常に高いバランスでまとまっている。長年の知見が活かされているだけに、細かな部分まで使い勝手が工夫されている点も魅力だ。ほかのメーカー製品と比較すると価格は高めに感じるが、実際に使ってみるとそれだけの質感を備えていることがよくわかる。

 ただ標準構成モデルは少々スペックが物足りなく感じた。メモリ4GB、SSD 128GBというのはビジネス専用なら問題ないが、プライベートにも活用するメインマシンとしてはかなり心許ない。意識せずネットワークにつながるLTE対応モデルの利便性も捨てがたい。

 もし購入を前向きに検討しているなら、店頭でじっくりと自分との相性を試したのちに、納得のいくスペックでオーダーすることをオススメする。VAIO S13は、スペックにさえ妥協しなければ、4~5年は活躍してくれるだけのデザイン性、機能性、耐久性を備えたマシンだ。