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東芝のNAS向けHDDが「選ばれる理由」。妥協しないモノづくりと独自FW「NASLink」の全貌
- 提供:
- 東芝デバイス&ストレージ株式会社
2026年4月10日 06:25
現在のPCのストレージは、SSDがすっかり標準になったが、NASやサーバー用途では「HDD」がいまだ主流だ。容量あたりの単価の低さがHDDのメリットだが、 日本企業として唯一HDD製造を手がける東芝デバイス&ストレージ(以降、東芝)のNAS向けHDDには、同社ならではの大きな強みがあるという。
現時点において、国内で入手できる東芝製のNAS向けHDDの普及モデルは「N300」という製品で、家庭や小規模オフィス向けとしつつも、24時間365日安定して運用できる高い耐久性を備える。そのN300にどのような技術が詰まっているのか、同社に話をうかがった。
なお、N300はNAS向けとしつつも、通常用途での利用においても信頼性が高いという。本稿ではその理由についても語ってもらっているので、HDDの購入を検討している方全員にぜひ読んでいただきたい。
※NASLink™は、東芝デバイス&ストレージ株式会社の商標です
NAS向けHDDとデスクトップ向けHDDの違いはどこにある?
――東芝製HDDのラインナップや、NAS向け製品の特長について教えてください。
東芝 現在当社はB2B、データセンターおよびサーバー向けに加えて、NASや監視カメラ向けの製品に注力しています。その中でも「N300」は、家庭や小規模オフィスでの運用に向けたNAS向けモデルです。最大8ベイまでのNAS環境において年間ワークロードは180TBを想定しており、24時間365日安心して使えるHDDという立ち位置となります。
もう1つ「N300 Pro」というモデルもあって、こちらは中・大規模企業や部門サーバー、映像制作スタジオなどでの使用を想定しています。最大24ベイのNASシステムに対応し、年間ワークロード550TBという多人数での同時アクセスや仮想化、バックアップなど、常時高負荷環境でも止まらずに動作し続けるITインフラ向けの製品となっています。ただし、N300 Proについては現在日本国内での取り扱いはありません。
――N300とN300 Proとで耐久性や仕組みにどのような違いがあるのか教えてください。
東芝 どちらも24時間365日の稼働を前提とし、CMR(Conventional Magnetic Recording)方式や回転数7,200rpmといった基本設計は共通しています。ただ、同一筐体で安全に利用できるHDD台数や保証期間、MTBF(平均故障間隔)、ワークロード耐性といった明確な指標の違いがあります。
その差異の要因は、主に製造段階での部品のランク分けです。搭載している部品の種類は同じですが、製造工程で当社の要求スペックをクリアしたものの中で特性がより優れている上位ランクのヘッドやディスクを選別し、それらを組み合わせたものを「N300 Pro」に使用しています。とはいえ、N300も十分に信頼性・耐久性は高いですし、NASユーザーの要求に耐えうる製品です。
――NAS向けHDDと一般的なデスクトップ用HDDとでは、具体的にどの部分に違いがあるのでしょうか?
東芝 一言でいうと「24時間、複数人で使っても安心」な設計になっているかどうかです。デスクトップ用は基本的に1人のユーザーが使い、必要なときだけ稼働する想定ですが、NAS向けHDDは複数人が24時間365日、同時アクセスが頻繁に発生することを前提にしています。
そうしたことから、NAS向けHDDの設計上の大きな違いの1つとして「RVセンサー(回転振動センサー)」の有無があります。NASでは2台、4台とHDDを密着させて使用します。すると、隣のHDDが回転する際の微小な低周波振動を拾ってしまい、磁気ヘッドが揺れて正確な読み書きができなくなってしまいます。
RVセンサーはそのような外部からの振動を検知し、フィードバックをかけてヘッドの揺れを打ち消し、安定した読み書きを可能にします。デスクトップ用にはRVセンサーがないため、基本的には筐体内に密着させずに搭載することを前提にした設計です。
――ほかにも違いはありますか?
東芝 N300は、トラッキング制御用の高速演算回路を搭載しています。記録密度が上がり、トラックのピッチが狭くなると、わずかな揺れでも隣のトラックを読み書きしてしまうリスクが高まります。トラッキング制御用の高速演算回路はそれを防ぐための装置です。
ディスク上の磁気情報は完全に直線状になっているわけではなく、わずかに揺れながら記録されています。その揺れを瞬時に検知・制御し、高精度にヘッドを動かすことで安全に高容量化を実現しているのです。
――データを一時保存するためのキャッシュメモリにも違いがあるのでしょうか?
東芝 まったく異なります。デスクトップ用であれば、1人がアクセスするだけなのでキャッシュメモリの領域を順番に使うのが最適ですが、NASの場合は複数人が同時にさまざまな形でアクセスしてきます。そのため、大容量のキャッシュを搭載した上で、現在のアクセス人数や用途を内部で解析し、キャッシュ領域を2分割、3分割と動的に割り当てながら処理する制御を行なっています。
CMR方式、7,200rpmへのこだわり、そして独自のヘリウム充填技術
――東芝のNAS向けHDDはすべてCMR方式かつ回転数7,200rpmを採用しています。その理由を教えてください。
東芝 NASにおいて「いつ、誰が、どう使っても破綻しない」という安定性を最優先に考えた結果です。たとえばNASではファイルの本体だけでなく、メタデータやフォルダのような細かなデータの更新が日常的に発生します。CMR方式は、ディスク上の細かなデータを直接書き換えることができるのが強みです。
一方、SMR(Shingled Magnetic Recording)方式というものもあり、こちらはデータを重ね書きできるため大容量化がしやすく、容量あたりのコスト面では有利です。ただし、小さいサイズのデータを書き換える場合、前後のまとまった領域の読み書きまで必要になるので、NAS環境では性能低下や待ち時間が発生する確率が高まります。
回転数については5,400rpmという選択肢もあります。静音性や消費電力でメリットがあるものの、同時アクセスが増えた際には回転数の差がそのまま待ち時間となりかねません。我々は「NAS全体が遅い、もっさりする」というストレスをユーザーに与えないために、安定性を重視し、全モデルCMR方式で7,200rpmの構成にこだわっています。
――12TB以上の高容量モデルではヘリウムガスを充填する設計としています。その効果を教えてください。
東芝 HDD内部には空気が入っていますが、ヘッドはプラッタの上を「空気の分子数個分」という極めて小さな隙間で浮上しながら動作しています。プラッタの回転などによって生じる空気の流れでそこに分子がぶつかると、それだけでヘッドが揺れて正確な読み書きが難しくなってしまいます。
しかし、ヘリウム分子は通常の空気の大半を占める窒素や酸素に比べて約10分の1という非常に小さなサイズです。ヘリウムを充填することで、プラッタ回転時の乱流が激減し、ヘッドを極限までプラッタに近づけられるようになります。近ければ近いほど精度を高められ、記録密度の向上にもつながります。
さらに、空気抵抗が減ることでヘッドやモーターにかける負荷が下がり、消費電力と発熱を抑えられます。それが低騒音化につながり、内部部品の熱による劣化も防げるため、ドライブ単体だけでなくNAS筐体全体の安定性と寿命の向上にも大きく貢献します。
――ヘリウムを長期間密閉し続けるのは難しそうに思います。
東芝 確かに金属すら透過しやすいヘリウムを封じ込めるのは技術的に難しい部分です。東芝では独自のレーザー溶接によって完全密閉を実現し、製造段階でヘリウムの充填密度を計測する試験機も導入しています。温度・圧力・経年による長期信頼性試験を組み合わせることで、長期運用前提の耐久性を確保しています。少なくとも通常利用で保証期間内に漏れるようなことはありません。
長期間の使用でヘリウムが漏れ始めた場合でも、いきなりHDDが壊れるわけではなく、徐々に読み書きのエラーやリトライが増える形で症状が現れます。NASは、HDDのS.M.A.R.T.(自己診断機能)情報をモニターして、その兆候があれば、NASの管理画面等に警告を出しますから、故障前にHDDを安全に交換することが可能です。
「NASLink™」ファームウェアと確実にデータ復旧するための独自の工夫
――NASではRAIDのリビルド時などに負荷が集中し、その間はレスポンスが遅くなるのがネックです。
東芝 RAID環境では、ユーザーの通常アクセスに加えて、リビルド(故障からの復元)やスクラビング(点検・修復)といったシステム側からの大量の読み出しが発生することがあります。一般的にはリビルドやスクラビングの処理が優先され、ユーザーのアクセスが後回しにされてしまいます。そのため、我々は「NASLink™」というNASに最適化した独自ファームウェアを導入しています。
NASLink™が具体的になにをしているのかというと、ユーザーからのI/Oとシステム側からのI/Oを検出し、大容量キャッシュを生かして実行順序を最適に並び替えます。ユーザーのアクセスを優先してレスポンス時間を一定に保ちながら、リビルドも最速で進められるように調整を行なっています。
単に速くするというより、「同時アクセスでも待ち時間を発生させない」制御です。実際に各メーカーのNAS製品でRAID 5を組み、同時アクセスのテストを行なって、通常使用時も含めて転送レート向上を確認しています。
もちろん機種によって処理の相性による多少の差はありますが、あらゆる機種で平均的にパフォーマンスを高められるよう最適化しています。
――一般的にHDDが1台故障した際、新しいものに入れ替えてリビルドを行なっているときに、ほかのドライブが連鎖的に故障する例もあるようです。HDD側で対策できたりもするのでしょうか?
東芝 リビルドでは24時間や48時間という長時間にわたって連続的な高負荷が発生するため、そのようなリスクが顕在化しやすくなります。ですので、我々はそれを想定して設計や対策を行なっています。
たとえば負荷が高まって温度が上昇した際には温度センサーがそれを検知し、パフォーマンスを少し落としてヘッドをゆっくり動かすようなロジックになっています。正確な位置決めを行なえるので安全にI/O処理ができるわけです。
一時的に高負荷が発生する場合でも、S.M.A.R.T.で事前に異常が出ていなければリビルド中に連鎖的に故障する可能性は低いと思われます。安心してお使いいただければと。
――万一データが破損した場合の、データ復旧を意識した設計もあるのでしょうか?
東芝 大きく3つの工夫があります。
全容量帯でCMR方式を採用しているため、SMR方式特有の「特定のファイルを書き直す際に、周辺の正常なデータまで巻き込んで破壊してしまう」という部分復旧不能パターンがほぼ発生しません。
次に、HDDのシステムデータを多重化しています。特定のヘッドが壊れてそのシステムデータを読み取れなくなっても、別の正常なヘッドがシステムデータを保持しているので、HDDがまったく起動しなくなるという最悪の事態を防げます。
さらに、読めないデータをいつまでもリトライし続けてドライブがハングアップしたり、RAIDアレイから不必要に切り離されたりするのを抑制するため、RAIDコントローラ側でリトライの制限時間を設定できる設計にしています。これにより、「RAID崩壊から論理破壊へつながり、復旧難易度が跳ね上がる」という最悪のルートに入りにくい設計としています。
――これだけ耐久性が高いと、デスクトップPCでNAS向けHDDを使ってもメリットがありそうですね。
東芝 もちろんです。N300は長時間の連続稼働や振動対策、静音設計がなされているため、常時オンの自宅サーバー用途や、夜間に自動バックアップを走らせるようなワークステーションでの使用においても相性が良いと思います。扱うデータ量が多く、安心して酷使できる環境を求めている方には、デスクトップ用ではなくあえてNAS向けのN300を選んでいただくことも合理的な判断だと思います。
巨大なデータを安定して長く守る装置へと進化したHDD
――およそ20年ほど前からSSDがPCに採用され始めました。その20年間でHDDはどのように進化したのでしょうか?
東芝 SSDが速度面で主役に躍り出た一方で、HDDは「誰も失敗できない巨大なデータを、安定して長く守る装置」へと進化したと考えています。
記録密度の向上やヘリウム充填技術といった機構部分の進化もありますが、近年は「制御」の進化も大きなものとなっています。現在のHDDはリアルタイムで振動や温度、経年劣化を検知し、状況に応じて動作を最適化するなど、HDD自身が「考えながら動く」デバイスになっています。
SSDは突然認識しなくなったり、書き込み上限があったりするため、常時アクセスされるNAS環境では復旧難易度や寿命の面で懸念があります。ただ、速度が必要なキャッシュ部分にNVMe SSDなどを使い、メインのデータ保存には容量単価や耐久性に優れたHDDを使う、といった適材適所の棲み分けはおすすめです。
最近ではローカルAIを動かす方にとっても、1つあたり数十GBを下らないモデルデータの保存先としてHDDは有用なもの、という認識も広がってきているようです。
――最後に、東芝が今後もHDD開発を続ける理由と、次世代への展望をお聞かせください。
東芝 AIの急速な普及によって世界のデータ量は爆発的に増加しています。これを容量あたりのコストが高いSSDのみで賄うことは非現実的で、「確実にデータを預かるHDD」の需要は今後もさらに拡大するものと思います。
現在、世界にはHDDメーカーが3社しかありません。長年の技術蓄積が必要な分野で、新規参入が極めて困難だからです。東芝は1967年にHDDの製造を開始し、まもなく事業開始から60周年を迎えます。ノートPCの普及に貢献した2.5型HDDや、携帯電話および小型音楽プレーヤー向けの0.85型HDD、家庭用小型ビデオカメラ向けの1.8型HDDも開発してきました。富士通のHDD事業統合によるエンタープライズ向け技術の獲得など、我々には長年にわたり業界をリードしてきた膨大なノウハウがあります。
現在開発を進めている100TB超の次世代HDDについても、単なる「容量競争」ではなく、AI時代に求められるデータ帯域や電力効率を同時に満たす「技術競争」だと捉えています。
昨年(2025年)、当社は業界初※の磁気ディスク12枚スタックの実証に成功しました。HAMR(熱アシスト磁気記録)やMAMR(マイクロ波アシスト磁気記録)といった技術の積み重ねも生かし、徹底した品質・信頼性へのこだわりを持って、今後も世界で増大するデータインフラの需要に貢献していくことが我々の責務だと考えています。
※東芝調べ。2025年10月14日時点
























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