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これは普通じゃないモニター。超きれいでムラがなく、しかもアーム付き!BenQ「PD2706UA」がおすすめなワケとは?

ベンキュージャパン「PD2706UA」。実売11万円前後

 プロクリエイター向けのモニターと言えば、写真や映像を扱うときに正しい色合いで表示してくれるもの、というイメージが強い。DCI-P3などの広い色空間や、DisplayHDRのような高コントラストに対応し、認証機関による表示品質のお墨付きがあるなど、発色に関わる性能の高さを前面に押し出している製品をよく見かける。

 ただ、その高度な発色性能を生かすには、モニターとしての基本的な機能・性能もしっかり伴っていなければならない。TVのようなほぼ映像を表示するだけのデバイスではなく、PCと接続して、しかも長時間連続して使用するものだけに、使い勝手や快適性を考慮した設計も重要だ。そして、こうした機能・性能は、PCを使う仕事をしているのであればクリエイター以外のどんな人にも通じる要素だったりする。

 その意味で注目したいのが、ベンキュージャパンのクリエイター向け27型4Kモニター「PD2706UA」だ。発色性能の高さだけでなく、それを支えるモニターとしての特徴がどんなところにあるのか、チェックしてみよう。

専門家の目をも納得させる高精度な色再現

 まずはPD2706UAの発色に関わる性能から見てみたい。プロクリエイターはもちろんだが、そうではない一般的なビジネスユーザー、たとえばWebブラウザやビジネスアプリケーションをメインに使うような人にも関係してくる部分だったりするので、ぜひ覚えておきたいところだ。

美麗な4K液晶
プロ向けというだけあり、明らかに一般的なモニターよりも発色が良い

 最初のポイントは「BenQ AQCOLOR」という色再現の独自技術だ。

 PD2706UAはこのAQCOLORを採用する製品の1つで、パネル製造に用いる部品の選定から始まり、厳格な設計、高い色精度を実現するための複数のカラーキャリブレーションを経ることで、高い表示品質を担保している。

 Pantone認証やCalMAN認証を取得したその個体の品質については、製品に同梱されるキャリブレーションレポートでも確認でき、BenQが精度にこだわって出荷した証明にもなっている。

高品質を示す証拠は安心感を与えてくれる
製品に同梱されるキャリブレーションレポート

 そうした色精度の高さを知る上である程度分かりやすい指標となるのが、色空間のカバー率と、Delta E(国際標準色差)と呼ばれる値だ。PD2706UAはDCI-P3(Display P3)の色空間について95%、sRGBおよびRec.709について100%のカバー率を達成しており、Delta Eの平均値は3以下が保証されている。

 Delta Eについて簡単に説明すると、標準色として定義されているものと実際にモニターに表示される色との間で、どれだけの差があるかを0~100の数値で表すもの。値が小さいほど精度が高いことを意味するため、0が理想的な値となる。「3未満」だと一般の人にはほぼ差が感じられないレベルで、「1未満」になると専門家の目でも区別がつかないとされている。

 今回試用したPD2706UAのキャリブレーションレポートでは、Delta Eの平均値が「1.1001」と記載されており、つまり専門家の目でも区別がつくかどうか、といったところ。「3以下」はあくまでも保証値なので、実製品はそれよりはるかに高精度になっていることが多いと考えて良さそうだ。

Delta Eが約1.1という精度
試用機のDelta Eの平均値は「1.1001」となっていた

画面全域が「同じ性能」という信頼性と安心感

 もう1つ、画質精度を語る上で大事なのがモニター各部における色合いの均一性。「ユニフォミティ」とも呼ばれ、たとえば安価なビジネスモニターで真っ白な画像を全画面表示したときに画面の四隅が暗く見えてしまうことがあるが、そのように色ムラがあるものはユニフォミティが低いことになる。

色ムラを感じさせない均一性
白い画像を表示したときに色ムラが見えなければユニフォミティの高いモニターと言える

 PD2706UAはそうした色ムラを最小限にする「ムラ補正」機能を搭載しており、高いユニフォミティを実現しているのが特徴だ。実際にどれくらい色ムラが少ないのかは、これもキャリブレーションレポートで確認できる。

ムラ補正機能を搭載
「ムラ補正」機能により色ムラを最小限にしている

 画面中央部のDelta E値を「0.00」として、画面をグリッド状に25分割したときの各部における中央部との差が記載されており、試用機では左上隅の「0.47」を最大値に、ほかは軒並み「0.1~0.3」に収まっていた。先述の通りDelta Eは1未満だと専門家の目でも区別できないレベルとされていることから、画面の隅々まできれいに均一性が保たれていると言っていいだろう。

均一性は全体を通して保たれている
試用機のDelta E値はほとんどが0.1~0.3あたりで、高くても0.47だった

 PD2706UAはDisplayHDR400による高輝度・高コントラスト、10bit表示にも対応しており、色や輝度の再現精度が高いだけでなく、高いユニフォミティで画面全体に渡ってそれらを正しく表示できる能力を備えている、ということになるわけだ。

 これにより、たとえば写真や動画を全画面表示してもどこにも色ムラがないものとして信頼できるため、クリエイターにとっては迷わず、一貫した編集作業が行なえるというメリットがある。

 Webブラウジングやビジネスアプリケーションの使用がメインであっても、色ムラによる視覚的な違和感がなく、画像表示時に制作者の意図通りに見えているという安心感は、ストレスの少ないPC作業にもつながるはずだ。

一般用途でも違和感を感じさせない
Webブラウジングのような一般的な用途でも、視覚的な違和感なく使い続けられるのが利点

デスクを広々と使えるモニターアームを標準装備

 画質はまさにプロの要望にも応えられる性能を持っていることが分かった。では、それを支えるモニターとしての基本的な機能・性能はどうなっているだろうか。

 PD2706UAの最も特徴的な点は、モニターアームを標準装備していること。通常はデスクなどにそのまま置けるスタンドが付属しているが、PD2706UAはスタンドは付属せず、クランプ式のモニターアームのみが同梱される。

 なお、モニター部の性能が同一でスタンドが付属した「PD2706U」という製品もラインナップしているため、好みに応じて選択したい。

自由度の高いモニターアーム
モニターアームを標準装備

 モニターアームの利点は、省スペースで、かつモニターの位置調整の自由度が高いこと。スタンドよりも台座が小さく、その分デスクスペースに余裕が生まれやすい。モニターをデスクの奥側ギリギリまで遠ざけることができ、特に奥行きの少ないデスクでは大画面でも目から適切な距離を保ちやすいメリットもある。

スタンドがないだけでとにかくスペースが広い
モニターアームで設置したPD2706UA
スタンドの台座より少ないスペースに設置可能。デスクを広く使える。デスク奥ギリギリまで遠ざけると、奥行きのないデスクでも大画面モニターが使いやすい

 また、左右方向の向き変え(スイベル)、上下方向の向き変え(チルト)、回転(ピボット)といった機能の調整幅が広く、姿勢や体格に合った最適なポジションを選べるのも強みだ。アーム内部にケーブル類を通せる構造になっているため、整理されたデスク周りにして仕事の集中力向上を図ることもできるだろう。

縦横無尽な配置が可能
スイベルは左右最大275度の範囲で調整可
チルトは上向きマイナス30度、下向きマイナス5度の範囲
ピボットは最大90度まで回転可能。縦スクロールのアプリケーションに向いたスタイル
ケーブルも見た目すっきり
アームの内部はケーブルを通せる構造になっている
Type-Cならケーブル1本で映像出力&充電
ケーブルがだらしなくぶら下がっていると、仕事のやる気にも影響が出かねない
アームに通して配線するときれいな見栄えになって集中力アップ

簡便なType-C接続にUSBハブ、KVM機能も

 映像入力はHDMIやDisplayPortのほかにUSB Type-C(DisplayPort Alt Mode)も用意されている。Type-C接続であれば、たとえばノートPCとケーブルを1本接続するだけで映像出力でき、同時にノートPCへの給電(USB PD、最大90W)もしてくれるので、少ない手間&すっきりした見た目で活用可能だ。

Type-CでノートPCを接続
ノートPCをUSB Type-C接続。1本のケーブルで映像出力し、ノートPCに給電できる

 加えてUSBハブ機能も内蔵しており、4つあるUSBダウンストリームポート(Type-A×3、Type-C×1)に周辺機器を接続しておくと、それらもノートPCから利用できるようになる。クリエイティブ用途に適したキーボードやマウス、コントローラなどと一緒に活用するなどして、生産性を最大限に高められるのだ。

USBハブ機能を用意
モニター背面側に用意されている各種ポート
右側面にもダウンストリームのUSB Type-CとType-Aポートがある

 なお、Type-C接続できないデスクトップPCなどでは、USB Type-Bのアップストリームポートに接続することでUSBハブ機能を使える。

ハブ機能はType-Cでなくても使える
ノートPCをType-C接続すると、モニターに接続した外付けキーボード&マウスが使用可能
デスクトップPCではUSB Type-Bポートへの接続でUSBハブ機能が使用可能

 ノートPCとデスクトップPCの2台を並行利用しているなら、その延長で「KVM」機能も使いこなしてみたい。たとえばノートPCはUSB Type-Cで、デスクトップPCはDisplayPortとUSB Type-Bでつなぎ、キーボードとマウスをUSB Type-Aポートに接続しておくと、PD2706UAでの映像入力切り替えに応じてキーボードとマウスの制御がその映像入力元のPCに切り替わる仕組みだ。

KVM機能なら2台のPCでキーボード/マウスを共有可能
キーボードとマウスが1セットあればまかなえるので、デスクの占有スペースは最小限に

 通常2台のPCを使うなら2セットのキーボード・マウスが必要になり、それだけでデスクスペースが埋まってしまうが、PD2706UAだと1セットに集約して2台のPCの操作をまかなえる。参考資料をデスクに広げておきたいクリエイターもそうだが、あまり作業スペースが取れない在宅勤務のユーザーにとってもうれしいポイントではないだろうか。

「ホットキーパック G2」でモニター設定を手早く切り替え

 PD2706UAはDCI-P3(Display P3)やsRGBの色空間に対応している以外に、CAD/CAMソフトに向いたモード、デザイン(アニメーション)制作に向いたモード、暗い室内に向いたモードなど多様なカラーモードが用意されている。作業内容によって最適な色合い・コントラスト・輝度が異なる場面でも、それに合わせた使い方ができるのだ。

DCI-P3やsRGB以外にも、CAD/CAM、デザインなど、さまざまなカラーモードを用意

 カラーモードを画面の左右で変えられる「DualView」もおもしろい機能だ。たとえばデザインモードにした画面左半分でクリエイティブな作業をこなし、sRGBにした右半分でWebブラウジングして情報収集する、といった使い分けが可能になる。

左右で違うカラープロファイルを表示
「DualView」では画面の左右で異なるカラーモードを選択できる
中央を境に色合いが変わっていることが分かる

 ほかにもメインPCの画面に別で映像入力したPCを子画面で表示する「PIP(ピクチャインピクチャ)」機能、2つ映像入力した画面を左右に分割表示する「PBP(ピクチャバイピクチャ)」機能もあり、複数台のPCで同時作業するクリエイター、エンジニアにとって大いに役に立ってくれるだろう。

PIPとPBPに対応
2系統の入力映像を同時に表示できる「PIP」機能や「PBP」機能も搭載

 これらのPD2706UAの機能や設定はモニター背面のボタンだけでなく、付属の「ホットキーパック G2」でも操作できる。ダイヤルと5つのボタンを備えたホットキーパック G2は、回転操作やボタンに好みの機能を割り当てられ、映像入力の切り替え、画面モードの変更などをより少ない手間で、すばやく行なえる。

超便利なモニター設定用コントローラ
「ホットキーパック G2」
ホットキーパック G2を使うとモニター設定の切り替えなどが手元で簡単に行なえる

 いちいちモニター背面に手を伸ばすことなく自然な姿勢のまま操作できるので、作業を中断せず生産性を損なわないのがポイントだ。

仕事の質を上げるモニターとはどんなものか、今一度振り返って考えたい

 広色域と高コントラストを達成しているのは当然として、その品質を画面全域に渡って担保しているPD2706UA。信頼性の高い性能のおかげで自信を持ってクリエイティブな作業に当たれるのが、クリエイター向けモニターと呼ばれるゆえんだ。

 自由度の高い設置を可能にするモニターアーム、USB Type-Cでの簡便な接続、USBハブやKVMによる無駄のないデスクトップ環境の実現、あらゆる業務に適する画面モード、モニター設定を手早く行なえるホットキーパック G2などなど、モニターの高い品質をフルに生かせるようにする機能や工夫が詰まっていることもお分かりいただけたはず。

 実売11万円前後と標準モニターに比べると高価だが、それに見合った精度や機能を備えている。こういったクリエイター向けでは20万円を超えるものもあり、この品質と機能で11万円前後という価格はかなりコストパフォーマンスが良いほうだ。

 クリエイター向けだからと言って、一般的なビジネスユーザーにはオーバースペックな製品というわけではないのも大事なところだ。正しい色で見えることは誰にとっても重要で、利便性を高めるアームやホットキーパックも活躍の場面は多い。仕事の質を上げるのにどんなモニターが必要なのか、今一度自分の業務を振り返って考えてみてはいかがだろうか。