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オススメのプレミアムビジネスノートが豊作だった2022年。使い勝手や機能性が過去最大級に進化!

 2022年はノートPCにとって大きな変革の年になった。プラットホーム側、つまりインテルのSoCが大きく進化したためだ。同社が今年1月に発表したノートPC向けの第12世代インテルCoreプロセッサーは、P-cores(Performance、高性能)とE-cores(Efficiency、高効率)という2つの異なる種類のCPUコアを搭載したハイブリッド構成になっており、CPUコア数も増えたことで従来世代と比較して大きく性能が向上している。

 また、第12世代インテルCoreプロセッサーを搭載したビジネス向けノートPCの多くには、インテルvProテクノロジーと呼ばれる管理、セキュリティ機能が搭載されており、より安全で安心に使える。ただ、インテルvProテクノロジーのメリットは多くのユーザーには伝わりきっていない節もある。

 本記事では、そうした第12世代インテルCoreプロセッサー/インテルvProテクノロジーの利点を紹介していき、最新の搭載製品を改めて紹介する。

Centrino、Ultrabook以来のノートPCの大転換期

 ノートPCの歴史を振り返ると、プラットホームの転換とともに大きく進化を遂げた年がある。その代表例はインテルがCentrino Mobile Technology(以下Centrino)を投入した2003年。Centrinoにより、ノートPCは薄型化とWi-Fiの標準搭載が一気に進んだが。次はUltrabookが各社から投入された2012年~2013年。ノートPCはさらなる薄型化とデザイン重視が進められた。

 おそらく2022年もそうした年として記憶されることになるだろう。というのも、今年インテルが投入した第12世代インテルCoreプロセッサーは、Centrinoに匹敵するエポックメイキングな製品になると評価されているからだ。

第12世代インテルCoreモバイル・プロセッサー

 第12世代インテルCoreプロセッサーで、インテルはパフォーマンス・ハイブリッド・アーキテクチャという仕組みを導入。P-coresとE-coresという大小2つの種類のCPUコアを混載することで、より多くのCPUコアを実装し、従来世代と比較して大きく性能を引き上げたのだ。

 今後のインテルCPUでもハイブリッド・アーキテクチャが採用されると考えられ、第12世代インテルCoreプロセッサーはその最初の製品としてノートPCの進化史にページを刻むだろう。

 また、第12世代インテルCoreプロセッサーも従来製品同様、ビジネスPC向けに管理機能やセキュリティ機能を引き上げるインテルvProテクノロジーを搭載したモデルが用意されている。

 インテルvProテクノロジーは「インテルハードウェア・シールド」などのハードウエアを利用したセキュリティ機能、そしてSoCに内蔵されているインテルME(Management Engine)というコントローラを利用したPCのリモート管理機能などから構成されるセキュリティ・管理機能の総称だ。

 具体的内容としては、インテルハードウェア・シールドには、OSが起動する前のUEFI(BIOS)への攻撃を防ぎ、PCの安全な起動とデータを保護する機能などが含まれている。また、第12世代インテルCoreプロセッサーには、Windows11に対応した仮想OSのセキュリティを向上させる機能やマルチキー・メモリー暗号化などの機能が追加されている。

 リモート管理機能を利用すると、利用場所に行かなくても電源オフの状態から起動して、OSのパッチを当てることなどが可能になる。また、EMA(Endpoint Management Assistant)を利用すると、ファイアウォールの外側にあるノートPC、たとえば社員宅にあるPCもリモート管理することが可能になる。

インテルvProプラットフォームとインテルEvoプラットフォームという2つのキーワード

 インテルvProテクノロジー対応の第12世代インテルCoreプロセッサーを搭載した製品は、すでにPCメーカーから発売されている。それらのノートPCには、以下の2種類のブランドシールが貼られている。1つはインテルvProプラットフォーム単体のシールで、もう1つが「An Evo Design」が併記されたシールだ。

 インテルEvoプラットフォームは、より長時間のバッテリ駆動や処理能力、より高速なワイヤレスなどのユーザー体験を実現している製品に与えられるブランドマーク。インテルが規定しているテストを通過した製品にだけ与えられるブランドになっている。

 つまり、「vPro」と書かれたシールは、高いセキュリティと管理性を備えており、「vPro」と「Evo」の両方が書かれたシールの場合は、それに加えて長時間バッテリ駆動などのより良いユーザー体験も得られる指標となる。「いい製品」を探しているのであれば、これを目印にするだけでいいのだ。

 そうしたインテルvProプラットフォームとインテルEvoプラットフォーム準拠で、今年発売された代表的なノートPCを紹介する。それぞれ個別にレビューも行なっているので、詳細はそちらをあわせてご覧いただきたい。

700g台という超軽量を実現した13.3型「LIFEBOOK U9312/J」

富士通「LIFEBOOK U9312/J」

 富士通のLIFEBOOK U9シリーズは、数ある富士通ノートPCの中でもモバイルに強く振った製品で、その最大の特徴は700g台という屈指の軽さ。通常の13.3型のノートPCは、海外メーカーであれば1kg超の製品が多く、日本メーカーの製品でも800g~1kgあたりの重量であることが多い。LIFEBOOK U9シリーズは、ノートPCはとにかく機動力重視だというユーザーにとっては最善の選択だと言える。

 バッテリは2つのサイズがあり、大容量でバッテリ駆動時間重視のモデルを選択しても約908gと大容量バッテリモデルを選んでもまだ軽量だ。

 また、キーボードやタッチパッドの使いやすさにも定評がある。タッチパッドの下部には独立式のボタンが用意されており、物理的なボタンが使いやすいと、ベテランのノートPCユーザーにも好評を博している。

 セキュリティの高さも特徴で、Windows Helloに対応した指紋認証センサーが標準搭載されており、オプションで顔認証カメラと静脈認証センサーを選ぶことも可能。パスワードだけでは不安だという企業であれば、よりセキュアな静脈認証センサーを選ぶのもありだろう。

高いセキュリティとコストのバランスが取れた15.6型日本HP「EliteBook 650 G9」

日本HP「EliteBook 650 G9」

 日本HPの「EliteBook 650 G9」は、15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)ディスプレイを搭載したビジネスノートPCだ。CPUは第12世代インテルCoreプロセッサーを搭載しており、メモリは最大64GBまで対応と大容量を選べることがスペック上の特徴となっている。

 15型級のスタンダードノートPCは、やや安価な素材を使ってコストダウンすることが一般的なのだが、HP EliteBook 650 G9はCNC削り出しのアルミ合金を素材としており、非常に高級感があるデザインになっている。近年のHP EliteBookは高級感ある素材を採用しているが、それでも競争力のある価格設定になっているのが最大の特徴と言って良いだろう。

 また、ビジネスPCとして重要な機能であるセキュリティ周りも充実している。HP WOLF SECURITYと呼ばれる追加のセキュリティ機能が用意されており、HP Sure Start(BIOS改ざんチェック機能)、HP Sure Run(アンチウイルスソフトウエアが正常稼働しているかチェックする機能)などが搭載されている。インテルvProテクノロジーを選択することも可能になっており、両方を合わせることで、一段高いセキュリティ機能を実現できる。

 なお、日本HPは今年から、同社の東京工場で生産しているモデルでも、購入時にvProを選択できるようにしており、HP EliteBook 650 G9は購入時にインテルvProテクノロジーを有効にして出荷してもらうことが可能になっている。

堅牢性を維持しながら1kgを切る軽量さを実現したデル・テクノロジーズ「Latitude 7330 Ultralight」

デル・テクノロジーズ「Latitude 7330 Ultralight」

 デル・テクノロジーズの「Latitude 7330 Ultralight」は、天板などの筐体素材にマグネシウム合金を採用することで13.3型で1kgを切るという軽量さを実現したノートPCだ。外資系のノートPCメーカーは、筐体素材にアルミニウムを採用することが多い。アルミは質感に優れているのだが、堅牢性を高めると重くなってしまう。Latitude 7330 Ultralightではマグネシウム合金を採用し、かつ弓形の内部構造という新しい構造を採用することで、軽量で高い堅牢性を実現した。

 CPUは第12世代インテルCoreプロセッサー、メモリは最大16GB、13.3型フルHDのディスプレイを搭載と、スペック的にも過不足ない。また、LattitudeシリーズにはDell Optimizerという最適化ツールが用意されており、マシンラーニングを利用してPC設定を最適化できる。

 また、マイク音声のノイズ低減機能も用意されており、第12世代インテルCoreプロセッサーに内蔵されているGNA(Gaussian & Neural Accelerator)3.0というニューラル処理アクセラレータを利用して、CPUの負荷を最小限にしながら音声以外のノイズを低減できる。

CPUに直結して高画質を実現するMIPIカメラを搭載したレノボ・ジャパン「ThinkPad X1 Carbon Gen 10」

レノボ・ジャパン「ThinkPad X1 Carbon Gen 10」

 レノボ・ジャパンが販売している「ThinkPad X1 Carbon Gen 10」は、その名の通り天板などの素材にカーボンを利用しており、約1.12kgという軽量を実現している。ディスプレイは14型で、解像度はフルHD、2.2K(2,240×1,400ドット)、2.8K(2,880×1,800ドット)、WQUXGA(3,840×2,400ドット)が用意。アスペクト比は16:10と縦長になっており、Webブラウザなどでより多くの情報を表示できる。

 カメラやマイクが高品質なのも特徴で、Dolby Voiceに対応した4マイク、そしてプライバシーシャッターが用意されているカメラは、CPUとMIPI CSI2という高速インターフェイスで直結されていて、CPU内蔵のISP(Image Signal Processor)で直接処理されるため、USBで接続される通常のカメラに比べ高い画質を実現している。

 TDP 15WのUシリーズだけでなく、TDP 28WのPシリーズにも対応し、P-cores(6)+E-cores(8)という14コア構成となる最上位のCore i7-1280Pを選択することも可能だ。

小さいけどPシリーズ対応の「ThinkPad X1 Nano Gen 2」

レノボ・ジャパン「ThinkPad X1 Nano Gen 2」

 レノボ・ジャパンが販売している「ThinkPad X1 Nano Gen 2」は、「X1」というThinkPadのプレミアム製品の中で最軽量のシリーズで、ノンタッチモデルで約965gからとなっている。もともとThinkPadシリーズは日本市場だけでなく、グローバル市場を意識した製品だったが、近年はハイブリッドワークが当たり前になってきたことで、持ち運びに適した軽量なモデルが注目を集めており、ThinkPad X1 Nanoシリーズもそうしたトレンドをリードする製品だ。

 ディスプレイは13型2K(2,160×1,350)で、16:10のアスペクト比になっており、縦が長くなっているため、縦方向に表示できる情報を増やせる。

 また、ThinkPad X1 Carbon Gen 10と同じようにMIPI接続のカメラを選択することが可能で、CPU内蔵のISPを利用してカメラの画像を高画質にできる。

 ThinkPad X1 Nano Gen 2はGen 1に比べ、CPU周りが強化された。Gen 1ではTDP 15WまでのUシリーズしか選択することができなかったが、Gen 2ではTDP 28Wの高性能なPシリーズを選択可能だ。さらに、従来モデルではメモリは16GBまでだったが、Gen 2では最大32GBまで選択肢が用意されていることも見逃せない強化点だ。

薄型ノートPCを買うときは、ディスプレイ、CPU、メモリ、生体認証がカギ

 ノートPCを選択する上で重要な点はいくつかある。毎日みることになるディスプレイの選択はその代表と言える。スペックだけを見ると、4K UHD(3,840×2,160ドット)のような高解像度なディスプレイが気になるところだろう。しかし、モバイルノートで4K UHDのパネルを選ぶと、結局200%や250%などに倍率を上げないと、文字が小さすぎて見えない。4K UHDの200%と、フルHDの100%では、WordやExcelといったオフィスアプリケーションを利用している限り、情報量に差はない。

 4K UHDのような高解像度パネルは、フォントや、画像/動画が高精細で美しい表示になるというメリットはあるが、その反面消費電力も大きく、バッテリ駆動が短くなるというデメリットもある。そのあたりのトレードオフをよく考えて選択したいところ。モバイルノートなら、自宅にいるときは高解像度の外付けモニターを併用し、ノートのパネルはフルHD程度にしておくというのが筆者のお勧めだ。

 また、薄型ノートPCは、CPUやメモリが基板に直付けになっており、購入後にCPUを交換したり、メモリをアップグレードしたりすることができない。購入時にどのグレードのCPUとメモリが必要であるかはよく検討してから購入したい。Webブラウザなどのメモリ利用量が大きいWindows OSの特性を考えると、メモリはできるだけ多い方がいい。最低限16GBは欲しい。また、ビデオ会議ソフトの快適さはCPUの性能に大きく依存するのも、あまり知られていない落とし穴だ。CPUもできるだけ高いグレードがいい。そして、セキュリティを確保するなら、インテルvProテクノロジー対応モデルを検討するのがいいだろう。

 生体認証もよくチェックしたいポイントだ。顔認証は自宅などにいる時は指紋認証よりも速くて便利だが、マスクをしていると使えないという弱点がある。出先でも快適に使うために、顔認証と指紋認証の両方が使える製品を選ぶ、あるいは両方をオプションで選ぶことができる製品を選択するのがよいだろう。

 今回紹介した製品は、これらのポイントを高いレベルで満たしているオススメ製品だ。製品選びの際に参考にしてほしい。