トピック
レインボーシックスシージは60Hzと240Hzでどう変わるのか?
~FAV gamingのOdeNMiso、ChloroForM、父の背中のはつめが徹底検証
2019年12月20日 11:00
PCメーカーやショップで「ゲーミングPC」として売られているPCは総じて高性能だ。CPUやGPUはミドルクラス以上のパーツが採用されているし、搭載メモリも8GBより低い製品はほぼない。それだけのスペックが必要なのは、多くのPCゲームを問題なく動かすために必要だからだ。
シングルで遊ぶのであれば、それほど高いスペックが必要ないこともある。しかし、対人戦のゲームとなると話が違ってくる。PC環境は人それぞれだが、多くの対人タイトルでは高性能なPCであるほど勝負を有利に運べるようになる。その代表的な要因の1つが「描画性能」だ。
ビデオカードはPCの中で最も高価なパーツの1つだが、これらの性能が高いものを選び、適切なディスプレイを併せて用いることで、ゲーム画面の視認性を上げて対戦に臨むことができる。この時留意しておくべき項目は「リフレッシュレート」と「フレームレート」だ。
リフレッシュレートはディスプレイ性能の1つであり、この数値が高いほど、1秒間に書き換え可能な描画の回数が多く、滑らかな表示が可能になる。
フレームレートは1秒間に描画されるフレーム数のこと。この数値を高めるのは多くの場合ビデオカードの性能だが、CPUの影響も大きい。いくらリフレッシュレートの高いディスプレイを使っていても、それに見合うだけのフレームレートを出すだけの性能がなければ意味がない。
また、PCのスペックが高いということは、PC 1つでできることが多いということでもある。わかりやすい例を挙げると、CPUやビデオカードが高性能であれば、ゲームをプレイしながら、高画質な配信も可能だ。
前編に続き、「レインボーシックスシージ」(以下R6S)で、プロゲーマーとして活動中のChloroForMさん、OdeNMisoさん、はつめさんに、高いリフレッシュレートが実現可能な環境でゲームをプレイすることのメリットについて語っていただいた。また、画像編集ソフトによる人物写真の驚くような修整も体験してもらっている。後者の講師役は、僚誌「DOS/V POWER REPORT」の表紙撮影などを担当いただいているカメラマンの若林直樹氏だ。
60Hz、144Hz、240HzでR6Sの世界はどう変わるのか?
編集:みなさん、普段から少なくとも144Hz以上の環境でプレイされていますが、改めて144Hz、240HzのPCプレイ環境をお試しいただいて、60Hzとの体感上の違いをお聞かせいただければと思います。まずは60Hzから、ChloroForMさんにお願いします。
編集:ChloroForMさんは、普段は144Hz環境だとお聞きしましたが。
ChloroForM:そうです。自宅のPCスペックは240Hzで動かすには足りないので、144Hzにしています。今メニュー画面なんですが、マウスカーソルの見え方がすでにいつもと違いますね。カーソルの動きがいつもよりカクついています。普段と同じ設定のはずなのに、マウス感度が低い気さえします。
ゲーム中では、マウスを振って視界を大きく動かしたり、敵が壁際から出てきたときや、普通に動いているときの見え方にスムーズさがないですね。
OdeNMiso:視界を見上げたときよりも、見下ろしたときの方がカクつきが目立つ気がします。普段は60Hzの環境でプレイしないので、いざ実際にリフレッシュレートが低い状態で見てみると、違和感がありますね。
はつめ:描画がなんだかシャバシャバしてて見にくいです。
ChloroForM:確かに見た目のスムーズさが低いと、3D酔いしやすいかも。
編集:高フレームレートが表示できて画面がスムーズに見えることは、勝ちやすさにつながっているという実感はありますか?
ChloroForM:間違いなくそう思います。僕の場合は普段の基準として144Hzの環境があるので、60Hzの環境は見づらさが先に立ちますね。落差がすごい。
編集:それでは144Hzに切り替えてみます。
ChloroForM:一気に見やすくなりました。自宅でプレイしているのと同じ感覚で操作できます。
はつめ:表示の滑らかさが全然違う。
OdeNMiso:60Hzでも240Hzも、描画している速度が違うだけで、ディスプレイが同じ以上、画面の表示遅延は同じはずなんですが、60Hzだといつもより遅れて見える感覚がありました。
ChloroForM:スコープの覗き込み動作をすると、実感しやすいです。60Hzだと表示の遅さ、カクつきがあるので、覗きながらだと敵を見失いやすかったです。144Hzだとそういうことはないです。
編集:それでは240Hzに上げてみましょう。144Hzとの違いって感じますか?
OdeNMiso:個人差はあると思うのですが、僕は違うなと思いました。でもさすがに、60Hzから144Hzにしたときほどの差は感じないです。
はつめ:144Hzより上はもう個人差って気がします。
OdeNMiso:だいたい平均して180fpsくらいが人間の知覚できる限界だと聞いたことはありますね。
ChloroForM:せっかくなので、普段のディスプレイの距離でやってみてもいいですか?
編集:どうぞ。相当近いですね。
ChloroForM:本当はもっと近いんですが、今日はこのくらいで。照準の先あたりしか見てないです。視界の端で何か動いたらそっちを向くだけって感じです。ああ、でもディスプレイとの距離が近いと、144Hzとの違いがはっきりわかります。全然違いますね。視線を動かしたときに動いたものが全部見えますもん。感動しました。
はつめ:そうですね、ChloroForMさんも144Hzから240Hzに買い替えましょう(笑)。
OdeNMiso:R6SはCPU性能の方が大事なので、まずはCore i7-6700を買い替えないとね。
編集:CPUといえば、このマシンはCore i9-9900Kなのですが、R6Sだと240fpsにしてもCPUにすごく余裕があったので、ややオーバースペックかもしれませんね。
編集:次ははつめさんにお願いします。はつめさんは240Hzディスプレイをお持ちなんでしたっけ。
はつめ:はい。普段は240Hzでやってます。
編集:まずは先ほどと同じように60Hzから。
はつめ:「カクカク」がすごくて、動くと敵が見えにくいです。
OdeNMiso:視線の移動中に敵を見失いやすいですね。
編集:では、144Hzに変更します。
はつめ:やっぱり、60Hzから144Hzがいちばん変わりますね。このスムーズさには安心感すら感じます。
OdeNMiso:今はもう見かけないですけど、昔は液晶が一般になった後も、CRTディスプレイを使い続けているゲーマーもいましたよね。ブラウン管って100Hzくらい出るし、一番高いリフレッシュレートは確か120Hzくらいだったはずです。2010年くらいまでは、強いプロゲーマーはみんなCRTを使っていたという時期がありました。当時は画面の応答速度もリフレッシュレートも、まだ液晶よりブラウン管の方が優れていたんですよね。むしろ、リフレッシュレートより、応答速度の方が重視されていたようです。
はつめ:ちょっと前までは、120Hzのディスプレイだと驚かれてたものですけど、今や240Hzですもんね。
編集:では、240Hzに変更します。
はつめ:144Hzから240Hzだと、パッと見はやっぱりそんなに違いを感じられないかもしれないです。でも、ふとした瞬間に違いを感じることがあります。
編集:結局、普段から144Hzのディスプレイを使っていると、60Hzではかなり厳しくて、240Hzの環境が用意できるならそちらの方がいいってことなんですかね。
OdeNMiso:人によって認識できるフレームレートの限界もあるみたいですけど、大体の人は、違いを感じられるんじゃないかと思います。
かつて120Hzの液晶ディスプレイが出てきた時点で、人間にそんな速さは知覚できない、なんて声が上がったりもしましたよね。でも実際に使ってみると、60Hzや90Hzとの違いは明確に感じられたし、もしかしたら、もっとリフレッシュレートが上がったときに、240Hzじゃ足りない時代が来るのかもしれない。
はつめ:今回改めて試してみると、リフレッシュレートは高いところから下げると実感しやすいと思いました。
編集:最後に、OdeNMisoさんお願いします。まずは、60Hzです。
OdeNMiso:僕の設定はconfigファイルを一部いじらないとまったく同じにはできないので、今回は近い設定にしておきます。
はつめ:どの設定を調整しているんですか?
OdeNMiso:マウス感度の倍率ですね。たとえばゲーム内の設定でマウス感度の項目を1増減させるごとに、振り向きに必要な距離が5cm変わるとして、コンフィグファイルを編集すると、5mm単位で細かくいじれるんですよ。でも今日はそこまでやるのがちょっと難しいので、ゲーム内の設定だけで済ませます。
ChloroForM:え、OdeNMisoさんってリロードは「Alt」キーなんですか?
編集:同じチームでも、メンバーのキーアサインまでは把握してないものなんですね。
ChloroForM:そうですね。僕は全然知らないです。
OdeNMiso:キーアサインって人それぞれの哲学が反映されますよね。僕の場合は「あらゆる行動をできるだけ同時にできるようにする」ことを念頭にキーアサインを設定しています。たとえばグレネードの投擲はデフォルトで「G」ですが、Gだと右移動(Dキー)しながら投げにくいですよね。だから僕はそういうことが起きないように変えてます。
ChloroForM:僕も同じ理由でグレネードはマウスのサイドボタンに割り当てています。
OdeNMiso:60Hzだと、垂直同期の遅延も感じますよね。垂直同期は普段切ってるというのもあって、1フレームの長さが240Hzと比べて4倍長いので、余計に遅れて感じます。
編集:では、144Hzに変更します。
OdeNMiso:やっぱり、144Hzにするだけでだいぶ見やすくなりますね。ただ普段が240Hzだからか、足りない感があります。
ChloroForM:240Hzで目を慣らした後に144Hzの画面を見ると、明らかに違うのがわかりますね。
はつめ:もう戻れないところに来てしまったかもしれませんね。
ところで、R6Sのオフライン大会で使うディスプレイって240Hzなんですか?
OdeNMiso:今はほとんど240Hzですね。世界大会は240Hzが標準です。でも大会によっては、たまに144Hzのときもあります。
OdeNMiso:「いつもの」って感じです。こうして比べてみると、240Hzはエイムの吸いつきというか、自分の手の動きとディスプレイ内の動きがリンクしている感覚が一番強いです。敵の見え方も、壁の向こうから突然全身が現れるのではなく、腕の先から見えてくますね。
はつめ:60Hzだと、ワープして出てくる感じに見えますよね。個人的にFPSのうまさって「瞬間的なエイムの精度」だと思うので、そこで成果を出そうと思うと、やっぱり144Hzとか240Hzは必要だと感じますね。当然ですが、対象が見えてないと追えないですし。
ChloroForM:こうやって自分で比較して試してみると、240Hz出てない環境はダメなんじゃないかって思えてきますね。
OdeNMiso:少なくとも、CPUは買い換えないといけないよね。R6Sは、CPUが良くないと速く動かないから。
高フレームレートではCPU負荷がどれくらい違うかを検証
編集:では次に、R6SのCPU負荷を見ていただこうと思います。ゲームのベンチマークモードを走らせますね。今動かしているマシンに搭載しているCore i9-9900Kは、8コア16スレッドで駆動します。画面の端に数字が流れているのが見えると思うのですが、これは各スレッドの使用率をほぼリアルタイムに表示している数字です。リフレッシュレートを60Hzにしてベンチマークを回すと、20%をくらいですね。
OdeNMiso:これってCPU全体の使用率ですよね。
編集:はい。R6Sだけでなく、OS上で動いているほかのプロセスも含めたすべての使用率です。負荷が低いので、R6Sだけをプレイするなら、ここまで高性能なCPUを使う必要はないかもしれません。でも、ここからフレームレートを上げると、より高い負荷に耐えられるCPUが必要になってきます。
編集:144Hzにしてみましょう。平均して30%くらいまで上がりましたね。60Hzのおよそ1.5倍くらい。最後にV-Syncを切って、240Hzに上げてみます。240Hzでは平均50%なので、60Hzの2.5倍くらいになりました。
はつめ:それでも2.5倍に収まってるんですね。
編集:ここに出ているのはCPUの負荷なので、描画についてはビデオカードの負荷が上がっています。60Hzを基準に考えるならば、単純に4倍になりますね。
OdeNMiso:でもR6Sって、ベンチよりも対人戦の方が重いんですよね。
編集:そうですね、ベンチだと入力をしていないので、そういった点の負荷は減っているはずです。そして、いまはR6Sだけを動かしてプレイしていますが、もし動画配信をしたいとなると、ここからさらに配信ソフトの負荷がかかることになります。単にプレイするだけでなく、同時に配信などもしたい場合は、余裕のあるスペックでPCを組んでおくと安心ですよね。
また、リフレッシュレートが高いと入力頻度も上がります。1フレームの描画ごとに操作を受け付けているからです。60Hzと240Hzの同じタイミングでボタンを押したとしても、240Hzの方が4倍速く操作を受け付けるために、操作の反応がより速くゲームに反映されるということですね。
OdeNMiso:お金で有利が買えるのであれば、僕は買った方がいいと思います。スタートラインが違うわけですから。
ChloroForM:それは間違いないですね。どんなに技術があっても、60Hz対240Hzでは対等の勝負はできないです。
プロカメラマンよるPhotohsop講座
編集:ゲーミングPCは、ゲーム以外の用途でもメリットがあります。ここではアドビの「Photoshop」を使って、人物の修整を体験していただきます。講師は、いままでこの取材を撮影していただいていたプロカメラマンの若林直樹さんです。
若林:この方は編集部の素敵なお姉さんなんですが、いまでも魅力的ですが、より外見を美しくしていきたいと思います。
編集:では3人を代表して、はつめさんに操作をお願いしたいと思います。若林さんは、後ろから指示を出してください。
若林:まずは手の部分だけをいじってみましょう。範囲を指定した後、「フィルター」メニューの「ゆがみ」を選択。指ツールを使って、サイズを適当なサイズに変えてみましょう。それで腕のあたりを押してみると、そこだけ細くなりますよね。あとは、見て違和感のないように、バランスを取りながらどんどん痩せてもらいます。指や手首も忘れずに細くしましょう。面白いでしょ?
はつめ:早くもすっきりしはじめてきました。
若林:今度も、先程の「ゆがみ」を使います。ゆがみの中に、「顔立ちの調整」という項目があるので、被写体の顔はこれを使って調整しましょう。ここではたとえば目であれば目の大きさや幅、傾きなどいろいろな要素をいじれます。このほか「鼻」、「口」、「顔の形状」というのもありますね。ちょっと触ってみましょう。調整しやすいように、わざと澄ました顔で写ってもらいました。
はつめ:あーこれはすごい!
OdeNMiso:これもはやキャラクリ(ゲーム内アバターなどのキャラクタークリエイト機能のこと)じゃないですか!(笑)。
ChloroForM:数値を変えるだけで調整できるなんて思ってませんでした。
編集:この方はメガネをかけていますが、調整ではメガネには影響を及ぼさずに、ちゃんと顔立ちや目つきだけが変わります。
はつめ:目は大きさが変わったりするのに、メガネへの影響が判別できない。
若林:「顔の形状」では文字通り顔の形をスライダーで変えられますので、ここでは顎を細くします。顔を細くしたら、顎や首も細くしてバランスを取りましょう。先程の指ツールで細くしましょう。これはほんのちょっとで大丈夫です。ちょっと若返ってきたでしょう? 数値入力で笑顔にもできますよ。
次に、全身を選択して、全体的に細くしてみます。やっぱり、ウエストは締まっている方がスタイル良く見えますよね。脚も長くしましょう。......写真のお姉さんには、ちゃんとこういう使い方をするって言ってありますから大丈夫です(笑)。
はつめ:お姉さんが無限に細くなってしまう。
若林:色々いじったので、背景の線がゆがみましたね。いじる前の写真の背景を選択して、今の写真に移植しましょう。今回はそれほど大規模なレタッチではないのでレタッチ前画像の一部移植で済みましたが、もし極端に変える場合は、あらかじめ何もない後ろの壁を撮っておくと便利です。最後に明るさを調整して、ひとまず完成です。
若林:そういうわけで、写真をレタッチする場合でも、ハイスペックなPCを持っていると、Photoshopの処理も速くてストレスになりませんよね、というお話しでした。
はつめ:なんだか知ってはいけないことを知ってしまったような、とてつもなく有益なことを知ってしまったような(笑)。
OdeNMiso:レタッチってもっと難しいものだと思っていたのですが、実際に見てみると、こんなに簡単なんですね。
編集:最近、いろんなところで「AI」という言葉を耳にすると思うのですが、PhotoshopでもAIを活用していて、写真に写っているものを認識して、対象だけを選択したり、背景の補完などを行なうようになってきています。微調整のひと手間が必要になることはありますが、雑に範囲指定するだけでも、それなりに認識して処理してくれます。
こういった処理は高負荷なので、ゲーミングPCの高性能が活かせる場面です。ゲームをプレイするだけでなく、Photoshopのような画像処理ソフトや、動画編集ソフトなども使いこなせたらいいですよね。
現在インテルは、「Intel UNLEASH YOUR BRILLIANCE キャンペーン」を開催中。2020年1月15日まで、対象店舗にて第9世代インテル® Core™ i7/i9 プロセッサー単品か、対象CPU搭載PCを購入すると、R6Sのシリアルコードがもらえる。以下に、そんな第9世代インテル® Core™ i7/i9 プロセッサーを搭載した編集部お勧めPCを一挙紹介する。
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